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2006年5月

2006年5月26日 (金)

速報! 古典ハンターの古典講座:ガクシャ長野の流儀書解説

これは、ずっと温めておいた企画であります。先生は通常、土日は治療に当たっておられるので勉強会の開催は無理だと思って諦めていたのですが・・・チャンス到来!!(そんなに働かせると死んじゃうよby本屋)

日時:①7月1日(土曜)   ②7月15日(土曜) ※時間は未定ですが多分、夕方以降が濃厚です。2時間程度。

内容: ①『日本腹診の源流』の解説  :②『皆伝・入江流鍼術』の解説

両日とも、六然社発行の著書をテキストに使い、前半は歴史の説明、後半は内容の説明となります。参加費は本を含めての価格になります。既にお持ちの方は参加費のみですが、テキストで使いますので必ずご持参下さい。

詳細は近日中に掲載しておきます!ご覧くださいませ。

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しやけつ

先日、例の《事件》に判決が出ましたね。権田被告の治療院は90年の開業以来、1日50~120人の患者が訪れ、年間8000万の売り上げがあったとのことでした。

来月には刺絡学会もありますね。実は本屋さんも刺絡学会の役員らしい。この判決を刺絡学会としてどう解釈し、どう動くかについて今回開かれる学会でお話が出るのかも・・・開催日等の予定を。

日時:平成18年6月25日(日) 9:35~16:45

場所:タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール)大ホール

会費:

事前受付(6月5日まで)/会員 5000円 一般 8000円 学生 3000円

当日受付/会員 6000円 一般 9000円 学生 4000円

☆参加申し込みは口座振込みのようです。 口座番号 00140-7-559250  日本刺絡学会   

☆以下、今回の事件の新聞記事の引用です。

患者の血を抜く行為認めず 医師法違反で鍼灸師に有罪判決医師免許もないのに患者の血を抜く「瀉血(しやけつ)」と呼ばれる医療行為をしたなどとして、医師法違反の罪に問われた東京都墨田区の鍼灸(しんきゆう)接骨院元院長、権田敏男被告(47)ら2人の判決公判が11日、東京地裁であった。

 村瀬均裁判官は「患者の健康に悪影響を及ぼしかねない行為で悪質」として、権田被
告に懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円(求刑懲役2年、罰金100万円)を言い渡した。もう1人の被告も執行猶予付きの有罪。

 医師しか認められない瀉血と、はりを患部に打って少量の血を出す伝統的な鍼灸技術
「刺絡(しらく)」との違いが明確ではなく、判決が注目されていた。

 判決によると、権田被告らは平成15年8月から昨年2月にかけ、患者7人に計87回にわたって瀉血をした。

 権田被告は公判で起訴事実を認め「腰痛などに治療効果がかなりあり、多くの鍼灸師
もやっているから問題ないと思っていた」と述べていた。

 日本刺絡学会(東京)によると、指先などから“悪い血”を出す刺絡は約7万人の鍼灸師の半数程度が使っている。同学会は「有罪となった行為と刺絡がどう違うのかはっきりしないが、一般的に行っている技術が有罪とされたら大変な問題。判決内容をよく整理して対応を考えたい」と話している。

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2006年5月24日 (水)

昆健一朗先生

『多賀フォー』の前までは、昆健一郎先生が過去に手がけられた仕事を纏める(本にする)ということをやっていました。幾つかありますが『馬丹陽・天星十二穴・歌賦・概要並びに註解』のテキスト入力&校正を最後にしましたなり。

その前は、『傷寒論と針灸』。そのまた前は、『内経並びに難経における五兪穴の運用に関する各種の方法』。これは昭和44年にやられたお仕事です。本屋さんが言うには、こうした仕事が世の中に出回っていれば、日本の中医学や鍼灸の展開も少し違ったものになっていたに違いない、とのこと。こうした仕事が評価されず埋もれていってしまうのが日本の鍼灸界のオブスキュア(暗愚)であるといっております。

昆先生のお仕事の中にはペンネームを《昆豊仲》とされているのもあります。大阪の豊仲にお住まいだったからという単純極まりないネーミングに「なんだかいいなぁ~」と思います。この業界、やたらと画数が多く威厳たっぷりの芸名をよく見かける中において、異色を放っていますです。漢字が読めないんだよぉ・・・。「師匠の一字を貰うのって、好きな人多いよねぇ。師匠(のやっている鍼灸)しか見ていない人なんだろうなぁ」と本屋さんは云っていました。もともと、本屋さんはライターみたいな仕事もやっており、過去に取材活動を結構していた時期もあったそうですが、その頃「なんとか研究所」(「○○医学研究所」「○○療法研究所」とか笑っちゃうのは「UFO研究所」とか)などと名刺に書いてある先生方の「研究所」がたんなるアパートの一室だったりする事を幾度となく経験されているそうです。そして「研究」してる割にはこんだけ? って先生方が案外多かったのでなんだかなあって思ったそうです。 中でも「宇宙大学病院院長」って名刺を渡されたときは、そいつの常識を疑ったって言ってまぴた。ワタシもこのヒト、なんでだか知ってます。何で見たのかは定かでないですが、このあり得ない名称は記憶にあります。世の中いろんな人がいますねえ(笑)

本屋さんが昆先生に御話を伺いにいった所、《アウトロー》、《変わり者》を自認されているとの事でした。この辺り、本屋さんとウマが合うのかも知れません(本屋さんは「自分は至ってまとも」と主張していますが、このあたり、本屋さんや宇宙刑事ジュガイザー先生と相通ずる部分が見て取れます。;笑)。昆先生は、関西鍼灸柔整専門学校で講師をされていても、あまり表に出て行くことをされず、数ある仕事を本にして世に出すことを薦めたお弟子さん達もいたようですが、実現していませんでした。医道の日本から幾つか本やビデオを出している大谷素明先生も昆先生の御弟子さんだそうです。原稿打ちをしていた時に、「大谷素明君が・・・」という一文が書かれており、びっくりしました。と言うのは、ちょうど大谷先生に授業を持っていただいた時で、先生はアメリカ帰りでカイロ・クリニカルマッサージ・オステの先生ってイメージでしたので、こういうコテコテの東洋医学を通って来られたのを知らなかったのです。不勉強で申し訳ありません・・・。

さて。本屋さんが昆先生の所に行った時に、昆先生はちょっと足を悪くされていたようで「あれだけたくさんの人を教えたのに、ボクが具合の悪い時に見てくれる人は一人しかいない(一人はいるんだぁ)」「ボクに治療すると実力を観られちゃうからみんな嫌なんだろう」と昆先生が仰るので、「ちょっとやらせてもらっちゃった」(本屋談)だそうです。「不思議そうな顔をされていたけど、特にコメントがなかったから良かったんだか悪かったんだか分んないけどね」って言ってまぷ。次回に伺う時に、また治療させてもらいましょうか?って聞いてみて「やってくれ」って言われたらまあ合格だし、結構ですって言われたら「バツ×残念!」ってことなんだろうって本屋さんは言ってまぷ。さすが実力主義(笑)。

もともと、本屋さんが10年以上前に努めていた出版社、緑書房の社長と昆先生とは懇意の中で、雑誌『東洋医学』誌上にも昆先生は何度か書いておられます。こうした事から、本屋さんの「いい仕事を残したけどあまり知られていなかった先生リスト」の中に昆先生のお名前があったそうですが、先年の森秀太郎先生のお別れ会で昆先生がご健在であることを掴んだ事が、今回の出版始動へのきっかけだったそうです。

昭和の按摩の知られざる歴史なんかについても、《アウトロー》ぶりが発揮されている文章があります。早くちゃんと読みたいなぁ~。「臭いものには蓋」的な業界の中で、ちゃんと蓋を開けて掃除した方がいいんじゃない?って本屋さんは言い続ける訳ですね。そういえば毒ガス兵器や人体実験で有名な731部隊と鍼灸の教科書に出てくる石川太刀雄(日出鶴丸親子)との関係とか、私も本屋さんから聞く迄知りませんでしたし……。皆さんは知ってましたか? 731部隊(石井部隊)の本を読むと確かに金沢医大の関係者との部分で石川先生の名前は部隊のキーマンとして登場しますよ。この本結構エグイですが・・・。その流れを組むのが今年の金沢で開かれる全日本鍼灸学会の親玉のTる先生だとの事ですが、全日本鍼灸学会の中では731部隊繋がりの御話は例によって(霊によって?)タブーとなってるみたいですねえ………おしまい。

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2006年5月23日 (火)

5・17 長野先生陰陽五行説 感想

今回の講座の内容は陰陽五行説という、鍼灸師にとっては基本中の基本なんだけど、実は分かりにくい、分かってないでしょという点をずばり斬っていただきました。

ナンデ分かりにくいのか。①抽象的  ②多義的  ③相対的  ④重層的 という構造があるそうです。この辺りを認識して、整理してアウトプットしている先生には普通お目に掛からないですけどねぇ。

そもそも、五行を五角形の星型で説明しきろうってところがおかしいと。依拠している理論が違うのに、そこをなんでムリヤリ五角形で言おうとするのか。何故ならば、ビコーズ オブ、バカだからby宇宙刑事シュガイザー。(あっ、言っちゃった)

でも、2時間たっぷり聞いて随分整理が付きました。先生は自信たっぷりに「今回聞く話はボクの頭の中に在る物ですから、聞く価値があります」と断言されていました。ハイ、その通りでした。

①正経12経脉と奇経の相違点と共通点。(任督のみね)

②人間を立方体として捉えた際に、経絡による胴体の分割と手足の関係。(役割・機能とエネルギーといった視点を教えてもらいました)

③手足の指の関係から見た各經の流れ。(Oh!そうねじれるわけですね)

④馬王堆以前は腑は手顔と繋がっていた。それが、現在も穴性として残っている。(ニャルホド)

⑤五行の逆循環理論!(これでワタシは救われたっ。なんで、身体の弱いヒトが寝てるばっかりでは強くなれないのかが理屈が付きました。疲れちゃうから、休む時間が多くなきゃっていう考えは間違っています。自ら動かなければ、エネルギーが生み出せない。蓄えられない。それが次に繋がる動力になるのに。っていうのが、実は五行の五角形で、ちょっと順序が違うんですが君火・相火+水の働きを踏まえて言えちゃうところがシュガイザー)

⑥《分割陰陽》と《同心円陰陽》という概念。(これがなきゃ、いかん。こう見なきゃ、いかん。これを使って流注と要穴が合致するのですぅ。因みに、経絡治療が陰經重視なのもこの図で説明可能なのだ)

⑦治療の奥義から、なんと足心道まで。

⑧経絡治療を標榜しておきながら、脈を診やすくするためにまずお腹に鍼をする?!それって、募穴を使ってんじゃん。中脘、天枢、関元って募穴3穴を使っちゃたら、3腑も治療済みだろうがぁ~。それって、太極療法でしょ。

⑨図1:気の流れ(エネルギーの流れ)バージョンの人体図。遠道刺の理論付け。

⑩図2:物質の流れ(水の流れ)バージョンの人体図。(これが素晴らしい。河と海という経絡の流れの考え方がこうやって人体を置いちゃうと、誰だって分かるさ。だから井榮兪経合の理論が言えちゃうわけです。)

⑪江戸期における、鍼灸のパターン。(もちろん、経絡治療のような陰經重視ではないんですね。お灸と鍼の身体の部分での使い分けも参考になりました。ワタシの母校は経絡治療が切り口でありましたから、ちょっと異質な考え方に馴染んでいます。これが良い悪いではなく、他があることを知るべしと自分には言い聞かせています)

⑫海といえば、髄海・気海・水穀之海・血海。(おもぴろ人体図を使って言えちゃうのですねぇ。発想が違いますねぇ。さすが、アニメオタク)

⑬岡本一抱がいう脾胃の働きを図解で説明。

ざっと振り返ってみました。こんな内容でございました。水曜の4時15分という、中途半端な時間からスタートという参加者泣かせの会ではございましたが、結構来るんですねぇ。当たり前か(笑)。また報告しまーす!纏めに使ってくださいね。長野先生に直接聞ける方は聞いてみてね。

  今回も、参加者から感想を頂きましたので、転載させて頂きます。以下……

>今日は時間作ったかいがありました。

>寄金さんの講義もかなりイケてますが、長野先生の講義もかなり面白いですね。

教室の掲示板に今回の講義の件も掲示されてたのですが、皆さん有料が気にいらない様で…何人かには『学校に払ってる金額を考えると、全然得だしタメに なると思うけどね〜』 とは言ったのですが、ダメ学生の雰囲気プンプンの僕の発言は気に止まらない様でした(笑)。

しかし、僕は親しい人間にだけ『無知は罪』と言ってるのですが、それでも何人かは怪訝な顔をするのに、公然と『犯罪』とまで言うんだから、この人は敵も多いんだろうな〜と思いましたよ(笑)。

> うちの学校の講師に一人でも、寄金さんや長野先生のような人がいたら、熱いんですけどねぇ…

> ホント、あのクソつまらない学校の授業は『犯罪』ですよ(笑)。

> 来月と再来月は寄金ライブと長野ライブの二本立てですので、今から楽しみにしてます(^_^)v。

  ==========という事で、六月七月八月と暑いさなかも講座が続きます。七月は一日(土曜日)、十五日(土曜日)に特別講座を企画しました。また改めて御知らせいたします。

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2006年5月21日 (日)

多賀フォー ’04

きのうで、昆先生のお仕事が一段落しました。本屋さんに「次の仕事はねぇのかぁよぉ(本屋さんが得意とする土方風言い回し)」と催促したところ、意表をついて、なんと初回多賀フォーの原稿校正が回ってきました。もう最終段階に近いものなんですが。これはですね、初回は不参加のワタシにとっては、とってもありがたいお仕事なのです。

思えばニコイチ氏の存在を知ったのは、04年の全日本の千葉大会でありました。ワタシは例の雑誌『茶番呆人 新日本鍼灸楽会草紙』が出版される発端となった、長野先生講演の時に大勢いたオーディエンスの一人だったのです。

「熱いのイヤ、痛いのイヤって堂々と言っちゃう先生って居るんだ~」と、希望の星を見つけたワタシの胸中は踊るようでありました。だって、ワタシもそうなんだもん。痛くて当然のむやみやたらな刺鍼を受けたり、熱いのがお灸と押し切られて水泡が出来たりしましてね。ワタシの肌質を見てくれよぉ!皮毛ってカテゴリーがあるじゃないか!その段階で刺激量を考えて施術方法(道具・触り方・変化の現れ方を含む)を選択することから、まず教えてくれよ!・・・・と思っていた2年生でありました。←というよりも、これも本屋さんと知り合って後、大師はりの谷岡先生の提唱する「皮膚をみる」という世界観との出会いから身に付いた視点であります。

壇上で面白おかしく、分かりやすく身体で表現しながらお話を進めていく長野先生が何方かに「ちょっと上がってきて見せてくださいよ」と、声をかけていました。後から思えば長野先生があの時声をかけていたのが本屋さんだったんですね。立つ、坐る、という基本的な動作の仕方やら見事なマープー(馬歩)やらを見せるようにお願いしていたようです。もちろん、断っていました。人前に出るのはイヤだそうです。※だから、皆さん!本屋に学ぶシリーズを続けるのは大変なんですよぉぉ。心の叫び・・・。

朝一の講演のために、早起きして千葉まで行った甲斐があったなぁと大満足で会場を出ました。これがニコイチを知った瞬間だったのです。

後で思い起こせば、千葉大会でU先生がやられていた実技デモの司会も本屋さんだったんですね。黒ずくめのなんだか怖いお髭のおじさんが、司会のくせに(だって、ああいう会での司会って普通ヨイショが仕事でしょ)先生に突っ込みを入れているなぁというのが脳裏に焼きついています。一般の人が気付きにくいけど、術者が実はこだわっている部分というのを見事に言い当てていたのが印象的でした。

そういえば、何かしらの学会で『鍼灸大成』の日本語版を探していた際に、出展していた業者さんにお尋ねして回っていたことがありました。今にして思えば、ワタシを一瞥した後、ただ片手をヒラヒラ振って「あ~ナイナイ」と追い返した人も本屋さんだったんですね。「このオジサン、結構色んなところで見るけど、商売っ気が全然ないなぁ」と元販売業に従事していた者にとっては、信じられな~いっと思ったことを思い出しました(笑)。当然ですが、現在に至るまで「いらっしゃいませ!」的な作り笑顔を見たためしがありません。内臓まで見透かすのではないか??と思われるような鋭い眼差しで、寄ってきた人間のレベルを瞬時に判別しているかのようであります。本屋さん曰く、いつでもどこでも何があっても大丈夫なように状況判断する癖がついているとのことです。

…ってこの「だいじょうぶ」ってのがなかなかくせ者だというのが最近少しづつ見えて来て、それはそれでいろいろ大変なんです……「だいじょうぶ」だけど「いつでも死ねる」ってのと共存してるっていうか……本やさんは生まれる時代を間違えたんじゃないかなぁ、もしかして。

まぁ、ヒラヒラやって追い返されるのも今じゃ分かるんですけどね。ワタシから《本は買わないもの》、《図書館で見ればいいや》、《コピー取ればいいし》というオーラが出ていたんでしょう。本屋さんは本を買う人には、「オイオイ、そこまでやるの?」ってくらい、商売抜きの感覚で対応しちゃいます。長野先生にしても同じ。善い本は、古本で見かければ必ず手に入れておいて、学生さんに譲ってあげている。しかも、購入値段は忘れちゃっていることが多いから、かなりお値引きになってるようです。(5万円で買っていた本をあげちゃっていたのも目撃!)

すいません。随分、多賀フォーの話題から遠ざかりました。結局9月の時点でワタシのアンテナは全然伸びておらず、多賀フォー開催をまったく感知できずに過ごしてしまったわけです。「あれ、一回目来てなかったの??」って何度もシュガイザー先生には聞かれています。ああ残念・・・。しかし、ホントにすごい先生(ボキャブラリーが足りない・・・)ばかりが出ておられます。ニコイチ氏の人脈の広さには脱帽です。

さて、今日の校正は藤村宮司の「多賀の社の守り神、祈りと長寿と鍼灸」でした。藤村宮司は、実は今年になって突然お亡くなりになりました。ワタシは昨年の第二回の際にお目に掛かったのですが、今年もお会いできると思っていたので・・・。会が始まる前の準備も終わって、館内をウロチョロ探検していたワタシを気遣って声を掛けてくださり、長野先生との出会いで《多賀法印と鍼灸の関わり》が分かった経緯を教えてくださいました。今のこの歳まで務めていても、知らなかったことだったので、このご縁を大切にしたいと仰っていたのが印象的です。その時の、神社特有の静けさと宮司の温かいお人柄を思い出しながら、多賀の神さまや信仰と医療の関わり合いといったお話を読みました。それにしても、お話が上手です。その場で聞いていた方々は惹き込まれたでしょうね。ご冥福をお祈りいたします・・・。

今回はここまでですが、どんどん素晴らしい先生が登場します。今後もブログに載せて行こうと思っています。ワタシにこの仕事が振られているということは、きっと今年の多賀フォーでは本になっているのでは??あんまり、はっきりしたことは言えませんが、お楽しみにぃぃぃ~。つづく。

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2006年5月19日 (金)

宇宙刑事シュガイザー

『新日本鍼灸学会草子』の表紙を飾る、宇宙刑事シュガイザー

これって、宇宙刑事ギャバンなんかのシリーズもんの一つだと、疑いもなく思っていました。現在40代前後に当たる元男の子諸君は、かじりつきでテレビを見ていたんだと・・・・。

「えっ??テレビでやってたのをコスプレにしたんじゃないんですか??」と真面目に聞いてしまいました。「俺のオリジナルだよ!」に続き、昔やっていたヒーローインタビューという映画の中の話をなが~く引用され、「それぐらい、ありえない間違いっ」と念を押されました。

でも、ワタシと同じ思い込みをしている人っているんじゃないかなぁ。因みに、これはオリジナルだと分かった上で、「説明しよう!」以降を読んでみると、高校生活をかけて取り組んだ大作だとちゃんと書いてありますねぇ。前にもちゃんと読んでるんだけどなぁ(笑)。「世の中変えるのはオタクだ」と、よく本屋さんは口にされますが言いえて妙です。

この表紙って相当凝ってるんですよ。かなり手こずったらしい。パロディ版だけあって、本家の方と同じ緑の色を合わせるのだって真剣だったし。アブストラクトだってチャンと真剣に英語作ってるし、なにより気が付かない人も多いみたいですが、学会のマークまで一見同じでもすごい笑っちゃうパロディになってるし。「俺の仕事を甘く見るなよ」by本屋。

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2006年5月18日 (木)

色体経象学

今まで間違えていました。ごめんなさい。

色体象学であります。色体形象学、ではありません。前々から本屋さんには注意されていたんですが、たった今シュガイザー先生からも注意を受けました。でも、先生も間違えるそうですから大丈夫(自分で言うなぁ~)。

形象ではなく、経脉の象り(かだどり)なのでという漢字を以って表すのです。今度、秋口には色体ちゃんリターンズをやってくださるそうですから(今日の講義でも公言されていたので確実でしょう!)、皆様頭の整理にいらしてください。

陰陽五行説の講義の最中に改めて実感しましたが、こういった東洋医学を読み解くソフトをまず頭に入れていかないと遠回りだし、迷路に迷い込むなぁと。読み解くソフトという概念だって、ワタシはニコイチ氏に出会わなければ、辿り着けなかったに違いない。間違いないっ。「経脉のことを知りたくて、霊樞・経脉篇を読んだって絶対に分かりません!!」と、シュガイザー先生は断言されていましたが、本当に納得、その通り。まずは解説書から入って概要を知り、それから古典に当たる。が、しかし!解説書自体に様々なトラップが潜んでいるので注意をしていかないとイケナイのであります。どの解説書を手に取るかで、その後の発想が変わってくるんですよね。ウソ情報に付き合ってしまった事に気付いた時には「ワタシの○○年を返せぇぇぇぇ・・・」という悲惨な結果になりかねない。○○に入る数字が短ければ短いほど良いですなぁ。周りに道にももちろん意味はあるんでしょうが、自分の人生の100倍近い長さの歴史を持つものを相手にしている訳ですから、こればっかり、時間のロスは避けたいです。

これを避けるために、人脈を広げるんでしょうねぇ。聞くべき人がいるっていうのは、一つの財産です。ですから、日々の人間関係がモノをいうんですね。聞きたいことを、相手が気持ちよく、しかも自分が想定した以上のモノをうっかり出してしまうぐらいでなきゃ、その人間関係は大したものじゃないんだと反省するようにしています。自分で図書室行ったって見つけられないですし、良さそうだと思えば隅から隅まで読んじゃうし。無意味に。「これは読まなくていい本ですけど、この部分だけは見ておいた方がいいかもね」というようなアドバイスって、恐ろしく時間と労力の短縮ですよね。トラップに引っかからずに、一コマ進む的な。こういったことの積み重ねが、自分なりの人体感、世界観の構築に繋がる最短の方法であるとワタシは思うのです。脳ミソが足りない分、他人の脳ミソで補うみたいな。

「理論を学ぶための投資は惜しまなかった」と、新城先生も仰ってました。技術に関しては、自分でやるよりないから敢えて強調されなかったんでしょう。やってるうちに上手くなるからっておっしゃていたかも知れませんが、センスの良い方はそれで済んじゃうんでしょうねぇ。ああいった即効性治療に行き着いたのは、患者さんが多くて仕方がなかったという背景があってのことで、某社のお灸・○○ミニの筒に自ら艾を詰め直して再利用するような鍼灸師では絶対に出てこない《発想》なんですって、本屋さん曰く。そりゃぁそうですよね。

色体ちゃんしかり、陰陽五行説しかり。「今日の2時間でワタシの3年間が活きてきましたよ。よーく分かりました!今までの教科書知識が使い物になりそうです」ってシュガイザー先生にお伝えしたところ、「当たり前だ。ボクの15年を喋ったんだから」と返されてしまいました(笑)。そうなんです。勉強会の意義って言うのはココにあるんですっ。15年を2時間で聞けてしまう。もちろん、自分から出てきたものじゃないので、聞いたからって翌日からコピーできるわけじゃないんですが、自分の中にシュ先生の理論を落とし込んでみる所からスタートできるわけです。得しましたデス。

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2006年5月16日 (火)

ヤンイー特価

鍼灸祭特別割引 だそうでーす。

カーボデラックス&JP5 (10箱以上の注文から・送料全国無料)

1箱:1155円→945円 (210円のお値引き)

本屋さんお勧めのディスポ鍼です。広告期限は6月30日です。当日、鍼灸祭にお出でになった方へはサンプルの配布もあるそうですよ。

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2006年5月12日 (金)

4・19 長野先生 実技公開 感想

滅多に見れない長野先生の実技を見れるだけでもありがたいと思っていたのですが、なんと参加者全員に体験させるという内容でありました。

企画者もびっくり。先生、そんなにサービスして下さって・・・ありがとうございます(笑)。よく本屋さんは、「長野先生はサービス精神が旺盛だから」とおっしゃいます。『茶番呆人・新日本鍼灸楽会草子』が出版された折には、教卓の下にしまっておいた、高校生の時のお手製シュガイザーのヘルメットを「ちょっと待って下さいね」と装着して、学生さんの前でポーズを決めたそうです。さすが、関西はやることちがうなぁって、先生は埼玉出身。

さて、テーマは《接触鍼》。「刺せる鍼をあえて刺さない方法」と、「刺せない鍼を刺さない方法」に分けられます。今回は後者の技法を習いました。長野先生考案の鍼、扇・奥義(おうぎ)の登場であります。説明しようっ!和方鍼灸友の会、《良い道具》部門、かがみ・たま(やそいち)に続いてニューエントリー。金を銀で割ったレモン色が輝かしい、ずっしり重厚感たっぷりの18K。米山式小児鍼(銀杏鍼)がモデルであるのだ。しかも、携帯用巾着まで付けちゃうぞ。お申し込みはこちらまで(うそ)。月産3個なので、かなり待ちます。

どの指を皮膚に接地するのか、皮膚のどの部分にアプローチするのか、方向はといったことや、術者の腕の動きを細分化しての説明。先生は座りながら、参加者40人近くの腕に補と瀉を区別してデモを。その間、ずっと先生の肩甲骨を見ていました。まさに、自由な肩甲骨であります。羽ばたきそうです。ジャケットを着た下でさえ、肩甲骨の動きが丸見えでありました。柔らかいのは手首だけじゃないんだなぁ~と、しばし想いにふけったワタシでありました。

そうそう。『茶番呆人・新日本鍼灸楽会草子』を読んだだけか、それとも学校の先生方の評判を聞かれただけだったのか、この講義が長野先生とファーストコンタクトの女性が、「長野先生ってお優しいんですね~。こんなに丁寧に教えてくださって」と目を涕で滲ませて(ちょっと誇張:笑)、感激されていました。ハハハ。そういえば、ワタシの発した質問に対して、曖昧にもしくは適当に流すように答えるということは一回もないなぁと、今気付きました。きっちり、かっちり、長野仁としての的確な答えが返ってきます。

次回は陰陽五行説であります。若干前振りがあったのですが、どう深まって説明してくださるのか楽しみです。できたら、散鍼の妙技もチラッと見せてもらいたいなぁと云ってみました。先生、覚えててくれるかなぁ。

因みに、前回は時間がなくて説明がありませんでしたが・・・。刺鍼の構えの肘の位置をどうやって《決める》かを直前にワタシは聞いてしまいました(役得役得)。腕をパタパタしながらのオリジナル動作できっちり《決まり》ます(笑)。先生のお手隙(きっと見つけるのが至難の業でしょうが)を掴まえた方は、伺ってみるといいですよ。

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2006年5月 8日 (月)

寄金講座 in 京都

本屋さんの教え子が企画した勉強会のお知らせでございます。

企画者は現在2年生の学生ですが、実は均整の臨床家でありまして、前座では患者さんに指導している骨盤体操をご披露してくださるという、盛りだくさんの企画です!鍼灸ではお目に掛からない《身体を見る視点》を下さるので、ワタシ的にはこの方にお会いするは毎回とても楽しみなことなのです(キャラが面白いって言うのも楽しみな理由:笑)。以前に施術していただいた時は、足首を持ってパコパコと下肢を動かしただけで、2センチは骨盤がおへそ側に締まりました。方法論が分からないワタシには「不思議だなぁ~」の一瞬でしたが、その後鍼灸師でも結構、こういう視点を治療で生かしている《ハヤッテイル先生方》にお目に掛かったので、ワタシもちょびちょび本を開いたりしているところであります。

あなたも鍼灸バカになりませんか?」
~学校で教えてくれない、治療家の手と身体の作り方~

開催のお知らせ

いつになったら再設定するんだ?と熱いラブコールを送り続けていただいたみなさん。
お待たせしました。何とか開催の予定が立ちました。

日時:6月3日(土曜日)
時間:午後1:00~18:00
場所:京都市子育て支援総合センターこどもみらい館 
        http://www.kodomomirai.or.jp/access.html

1.「治療家の身体をつくるⅠ」

平成18年6月3日(土)午後2時15分受付開始

◇午後2時30分~3時45分「奇経八脈①」
◇午後4時00分~5時00分「治療家の手の作り方」
◇午後5時15分~6時45分
見学のみ自由。

講  師 / 寄金 丈嗣先生(六然社 主宰)
会  場 / 京都市こどもみらい館2F和室
      京都市中京区間之町通竹屋町下る楠町601番地の1
TEL(075)254-5001
    URL http://www.kodomomirai.or.jp/

定  員 / 25名(先着順)

参加費 / 学生4,000円(学生以外5,000円)
      *当日会場にてお納め下さい

申込方法 /

むらた まで学校名、学年、氏名を
明記の上、メールにてお申し込みください。
     受付完了のメールを返信します。 

前座:早く来た人は得をする!? 誰でもできる身体いじり。
楽しい身体の変化の話、今回は骨盤とヒップアップ、O脚矯正

     時  間 / 午後1時15分~2時15分(午後1時受付開始)
     村田昭人 / 村田均整院
     会  場 / 京都市こどもみらい館2F和室
     参加費 / 無料
*上記講習会申込者はどなたでも参加できます

次回の予告

2.「治療家の身体をつくるⅡ」        

平成18年7月29日(土)・30日(日)

・7月29日(土)午後2時15分受付開始
◇午後2時30分~3時45分「奇経八脈②」
◇午後4時00分~5時30分「奇経八脈③」
◇午後5時45分~6時45分「治療家の手の作り方」

講  師 / 寄金 丈嗣先生(六然社 主宰)
会  場 / 京都市こどもみらい館4F第2研修室
定  員 / 40名(先着順)
申込方法 / 上記に同じ

・7月30日(日)午前9時受付開始
◇ 午前9時15分~10時45分「実技」
◇ 11時00分~12時30分

講  師 / 寄金 丈嗣先生(六然社 主宰)
会  場 / 京都市こどもみらい館2F和室
定  員 / 25名(先着順)
申込方法 / 上記に同じ

* 7月は会場の広さの都合で会場、内容変更の可能性あります。

以前参加表明いただいた方々には後日、個別にメールを送らせて頂きます。
まずはみなさまのスケジュールのためにも開催予定のご連絡を優先させましたこと、
ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。


*学生交流会は鍼灸・手技等を真剣に探求し、心技体をバランスよく鍛え、自らの技術向上を目的としています。
関西近郊の学生有志が集まり運営している非営利団体ですので、登録料や入会金もありません。
ボランティアで講義していただける先生やお手伝いしてくれるスタッフを募集中です。

お問合せは  学生交流会@関西支部 むらた までメールにてお申し込み下さい。

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2006年5月 7日 (日)

押手が甘い!!

ただ今、本屋さんは本棚を作っています。何でも作れる手であるのは、鍼灸師として見ても機能面で優れているのではなかろうか・・・。巨鍼(太さ0,8粍、長さ30cm〜1mの究極の特殊鍼)もあっと言う間に作っちゃうし。  (巨鍼については、新城三六先生の『究極の特殊鍼』(かんぽう発行)に使用法、制作方法が載っています) 名言:「作れるから刺せるんや!!」。新城先生もずっと鍼は手作りされていて、若い頃から中国鍼の針尖も研いでいたので、「指先にちょんちょんと針尖を当てただけで状態が分かる」と、そういえば話されてました。

本屋さんは鍼灸学校のパンフレットに掲載されている写真などを見ては、「押手が甘いんだよなぁ」とよく呟かれています。確かにいわれてみてみてみると、満月とか半月とか言葉だけ知っていても意味が分からずやっている先生は少なくないし、「氣が漏れる!」とかいう割には隙間空いてるじゃん、って押手も少なくなくって…まあ長野先生の手を基準に「甘い」って言われてもちょっと一般鍼灸師には厳しいかも……でもそうした手を作るのがプロってもんじゃぁ?

「押手が甘いんだよなぁ」の発言の背景には、痛くなく指すことは大前提で、このレベルの方法論ではなく、患者さんに与える《安心感》を念頭におっしゃっている気がします。

ワタシは母校で3年生の鍼灸実技助手をしていますが、まだ安定していない押手をよく見かけます。大抵、押手の存在は頭になく、刺鍼動作(捻鍼)の利き手のみに意識が集中しています。本人の取り組みが甘い!というよりも、「上下圧・左右圧・固定圧」という言葉だけの教えで、実際にどうするのかということの教えをきっちり受けていないんだろうと思います。自分も適当に作っていた押手に、この一月で随分注目させてもらう、よい機会になりました。

先生方は教えているかもしれませんが、ワタシの場合に限っては、耳から入って実地に役立つものとして頭に残ったのは唯一、長野先生(+お髭の忍者)のお話でした。要は、説明の上手さ、話の伝え方の上手さと鍼灸実技の上手さはイコールではないというのが教育現場の盲点であります。要点をキチンと伝えるというのは、一つの能力です。高いセンスを必要とシマスデス。

因みに、鍼灸学校の図書館には入っていない(入れてもらえない:笑)例の雑誌『新日本鍼灸楽会草紙』のP17に、押手のヒントが書いてあります。この雑誌は、《使い込み暴露》の点しか目に行かない先生方が多くて、びっくりです。この辺りは業界を知るヨミモノとして面白いですが、まじめな部分が大半でして、ワタシ的には宝の山ですけどねぇ。そういえば伝統鍼灸学会の御偉方が今年の国家試験で「未病治の医学」とかいう言葉が出たのにクレームを付ける(古典的には「治未病」だから)という話もあったようですが、この事だってこの『新日本鍼灸楽会草紙』には先読みで書いてあるし、だいたい伝統鍼灸学会の前のパンフにだって何度も「未病治」って書いてあるんだって(笑)。本当に、ポリシー持ってこだわってるのかなぁ・・・。

先日、捻鍼の入らない学生さんが「不器用な上に、手が硬くって」と恥ずかしそうに、手の練習法を聞きに来ました。練習をすれば、今よりは確実に動くようになります。進む速さと到達点は人それぞれでしょうけど、絶対に今日よりは来年の方が進化しているのであります。その為の長野先生の「これで鍼がうまくなる」所謂「唯掌論」システムなのであります。

こんなにキチンとシステム化できているのがありながら、それを使わない手はないんじゃないかと、ワタシなんかは思うのですが。自分の腿を3千回なでるとかやっている間に、散鍼ができるようになりますからねぇ。人生限られた時間です。早く行ける所は、方法論を使って早く行きたいなぁと、絶対的エネルギー不足の虚証のワタシは考えてしまいます。

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2006年5月 4日 (木)

鍼灸祭

毎年、立ち見が出るほどの盛況ぶりです。13時からの祭礼では、いつもお世話になっている《鍼》への感謝を込めて供養を行っています。※お一人9本まで。

懇親会では、多くの先生方も出席されていますので、人脈を広げるるチャンスでもあります。和気藹々としてよい雰囲気ですよ。乾き物だけの懇親会も結構ありますが、ここは違います。しかも、非常においしいお酒が出ます!これを目当てに来ている先生も実は多いのではないかと・・・。ワタシ的には去年は出足で遅れをとってしまい、ベルギービールを飲みそびれてしまった苦い思い出が(笑)。日本酒も結構揃ってまっせ~。

第27回 鍼灸祭

日時:2006年5月21日(日) 13:00~

場所:湯島聖堂大成殿(祭礼13時~)  講堂(特別講演会14時~)

講演: 演題1 「漢詩にみる中国の医薬の心」  

    石川忠久先生(財団法人 斯文会理事長)

     演題2 「深谷灸を語る」

    新間英雄先生(深谷伊三郎長男/音楽家)

参加費:無料

懇親会:湯島聖堂講堂  (会費3000円)

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2006年5月 2日 (火)

第一回経穴講座感想

 第一回経絡経穴講座

 「自分が知ってる事位みんな知ってる」とか言いやがって!

 今回の六然社主宰の寄金氏による経穴講座を通年で開催するというのは、私にとってはようやく実現出来たというかここまで来るのには結構苦労したのです。
「乗り気じゃない」とか、「僕の知ってる事くらい普通の人は知っている」とか。要はめんどくさいんでしょうけど(笑)、某学校で東洋医学の世界観のかけらもない経絡経穴の授業を受けて来たワタシにとって、この本屋さんからでてくる話は、「まさに東洋医学ってこういうもんじゃない!」って目から鱗が落ちた回数は数知れず。……実際、この本屋さんの授業を受けた臨床数十年の経験豊富な先生達が「経絡経穴について考え直すいい機会になった」とか、「ああいう話をあれほど分りやすく説明出来る人は少ない」とか「経絡経穴について忘れていた事、知らなかった事の多さに恥を感じる、自分の臨床が知らないままパターン化していたことに気付かされた」等と評しています。そういう評価からも、東洋医学がやりたかったのに学校へ行って鍼灸を嫌いになりかけちゃった人や、これから教員になって、東洋医学を学びにくる人達に話をしていく立場の先生方にも是非一度耳にしておいて欲しいと思って、寄金さんや長野先生の講座を企画しているのであります。

 長野先生も寄金先生も、《過激》なイメージがはびこってますが、実際にちゃんと関わった人は「優しんですねぇ」って衝撃を受けてます(笑)。お二人が患者さんに接するのを見させてもらった事もありますが、ひじょ~に頼もしい、患者さんから信頼を寄せられる対応です。いたってノーマル。個性的でイッチャッテイル先生には結構お会いしますが、そういう感じはありません。なんせ、あの知識量でありますから、説明一つとっても要点を突いていながら、分かり易く伝わるのであります。いつも、こっそりメモってますが、ワタシでは周辺知識が少な過ぎて、会話が膨らみません。知識に加えて、手技もすごいし。マルチですねぇ。この辺りの話は又今度。

 さて、ようやく実現した第一回目は、総論的な話と講義をして行く上でのスタンスを説明するとの事でした。なので、一回目に参加しない方は、通年の参加は遠慮して欲しいとのシビアさ(それ以降の回を聞いていてもしかたない、というかいちいち話を蒸し返さないといけないので、各論だけ聞いて頂くのは意味がないという事でした)。
 また、何かの買い物には「クーリングオフ」ってのがあるから、一回目は無料でも構わないくらいの事を本屋さんは言っておりました。事実、返金する為のお金を封筒にいれて人数分に近く持って来て講義に臨んでいました(あぁ、ほんとにやりたくないんだこの人、ってその時思ったのであります)。

 その割には講義は結構パワフルで、聞いてる側は圧倒されっぱなし。特に本屋さんが「仮想敵(笑)」と称する鍼灸学校の教員になろうと養成科に通っている方は、「膀胱経に五臓六腑の腧穴が揃っているのは何故ですか?、とか、なんで脈診で身体の状態が分るんですか?って学生に聞かれたらどうします?」とか、「経絡が循環しているんだったら、肺経、大腸経って陰陽陰陽と来て、最後の陰経の肝経からまた陰経の肺経にってなんで陰陰ってそこだけそうなんですか?って突っ込まれたらどう答えるんですか?」とか、「太陽が当る側が陽だって言うなら、どうして胃経は前にあるのに陽経なんですか?って答えられます?」とか突っ込まれていてタジタジ、殆どイジメであります(笑)。でも、学校の先生だったらそういう質問には逃げずに答えて頂きたい。お金をもらっている以上、プロでありますから。 ちなみに、仮想敵の方々は初回で退くことなく、今後も参加されます。作戦成功!こういった方向性を持つ先生が増えたらいいなぁと思うのであります。

 まあ、そういった受講者への突っ込みも交えながら、伝統医学をとりまく世界観や、歴史観を含めた全体的な流れの話から始まって、江戸期の流儀書柳川流の『鍼家発揮』の中から「鍼家五戒」や、『素問』の八正神明論や宝命全形論の話とかがちょっとあって結構盛りだくさん。
 ワタシが印象に残っている話を一つあげてみると、天人合一と人体との関係について述べたもので、例えば、膈上膈下の問題について、膈上(天)は清虚だからなるべく澄んで虚しているのが望ましい(例えばだから痰があっちゃだめ)、一方膈下(地)は濁実なのが実体なので(だから、胃内停水とか腹満みたいに水が水としてあったり空気が空気としてあったりすると調子悪い、つまり混ざりあっていないから)、上実下虚が身体に悪くって云々、と言ったもの。おへそより下に「天」の字がつく経穴はないっていうのも言われて初めて気がついたけど、この膈上膈下の考え方を持ってるか持っていないかで東洋的な身体観って大分変わってくると思われまぷ。
 どんどん時間は過ぎていき、一回目は、殆ど経穴経絡の話に入る前に、終わってしまいました。でも第一回目は肺経からと思いきや、そうじゃなくて督脈から始めなくちゃいけないという本屋さんの主張が展開された講義には、クーリングオフは一件もなく、とりあえずみんな救われたような顔をして帰っていく人もいて、次回に期待が膨らんでるみたいです。
「だからワタシ言ったでしょ」と本屋さんの無駄な努力(ワザワザ銀行へ行って、返金分をセコセコ封筒に入れて準備していたので)を横目にしつつ、果たしてあの場で「金返せ!」と言い出せる人間が居るのだろうか、居たとしたら相当大物か、結構面白い人であるに違いない・・・などと思ったのであります。

 本屋さんはもともと配った資料を読み上げるだけの教員や、板書を写させたりするような授業が大嫌いだというだけあって、鍼灸は結局、「気合(集中力)が全て」とか言い切っちゃうし、ツボや経絡は理屈的には矛盾だらけ、治療家は技術が必要でそれが一番大事(医療である以上。ある程度の西洋医学的知識は当たり前の素養ともいったけど)、等と、学校等では先生が避けて通る部分をばっさり!。
 《気合》で治すなら知識は必要ないのか??と思う方も居るかもしれないが、ここでまたイイコトをおっしゃるのであります。「経絡経穴理論が必要なのは何故かと言うと、そうした(経絡とか経穴とかを使って治療する以上)自分に嘘をつかないため、……ではどう考えていくのかを、各自が構築しなければならないし(ココポイント)、その為には、東洋の伝統的な世界観をちょっとでも理解しているのとしていないのとでは、大きな違いが生じて来る……。だからツボや経絡の前に、雑学的な先天後天や、三才や、三焦や五行の話なんかを知らないとマズイんだよ」と。この他にも、学校教育のおかしな所や、歴史の話がわあーっと大量に出て来て、圧倒されちゃいました。いつものごとく。何回聞いても、初めて聞いたような《目うろこ》に出会うのでやめられません(笑)。

最後に、実際に参加された方からの感想文も掲載しておきます。

〓〓出身@★★です。直前に、滑り込ませていただいて、ありがとうございました。

さて、寄金さんの講座についての感想です。
中国から帰ってきて、どうしても穴の特性について、勉強しなきゃ、と思っていた矢先。まさに、いまの自分が知りたいこと、の講座だったと思います。
東洋医学的な経穴の授業が学校では聞けないって意見も聞いた事が、あったんだけど、ジャストそうじゃん、って同感でして、そのひとつの解答の講座なんですね。

で、初回を聴かなきゃって寄金師が仰っていた意味も自分なりにもわかったし、
この前提がないとこれから先、どんな治療をしてもダメじゃん、って思います。

「天人合一思想」に基づいた経穴観。そのほんの入口を見られただけでも、嬉しかったです。ありがとう。

私は、寄金師だから、もっとカラダの使い方と経脈、経穴の相関性みたいな話をなさるのかな、と勝手に予想していたんだけど、けっこうアカデミック(?)な内容で、それもまたおもしろかったのです。

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