多賀フォー ’04
きのうで、昆先生のお仕事が一段落しました。本屋さんに「次の仕事はねぇのかぁよぉ(本屋さんが得意とする土方風言い回し)」と催促したところ、意表をついて、なんと初回多賀フォーの原稿校正が回ってきました。もう最終段階に近いものなんですが。これはですね、初回は不参加のワタシにとっては、とってもありがたいお仕事なのです。
思えばニコイチ氏の存在を知ったのは、04年の全日本の千葉大会でありました。ワタシは例の雑誌『茶番呆人 新日本鍼灸楽会草紙』が出版される発端となった、長野先生講演の時に大勢いたオーディエンスの一人だったのです。
「熱いのイヤ、痛いのイヤって堂々と言っちゃう先生って居るんだ~」と、希望の星を見つけたワタシの胸中は踊るようでありました。だって、ワタシもそうなんだもん。痛くて当然のむやみやたらな刺鍼を受けたり、熱いのがお灸と押し切られて水泡が出来たりしましてね。ワタシの肌質を見てくれよぉ!皮毛ってカテゴリーがあるじゃないか!その段階で刺激量を考えて施術方法(道具・触り方・変化の現れ方を含む)を選択することから、まず教えてくれよ!・・・・と思っていた2年生でありました。←というよりも、これも本屋さんと知り合って後、大師はりの谷岡先生の提唱する「皮膚をみる」という世界観との出会いから身に付いた視点であります。
壇上で面白おかしく、分かりやすく身体で表現しながらお話を進めていく長野先生が何方かに「ちょっと上がってきて見せてくださいよ」と、声をかけていました。後から思えば長野先生があの時声をかけていたのが本屋さんだったんですね。立つ、坐る、という基本的な動作の仕方やら見事なマープー(馬歩)やらを見せるようにお願いしていたようです。もちろん、断っていました。人前に出るのはイヤだそうです。※だから、皆さん!本屋に学ぶシリーズを続けるのは大変なんですよぉぉ。心の叫び・・・。
朝一の講演のために、早起きして千葉まで行った甲斐があったなぁと大満足で会場を出ました。これがニコイチを知った瞬間だったのです。
後で思い起こせば、千葉大会でU先生がやられていた実技デモの司会も本屋さんだったんですね。黒ずくめのなんだか怖いお髭のおじさんが、司会のくせに(だって、ああいう会での司会って普通ヨイショが仕事でしょ)先生に突っ込みを入れているなぁというのが脳裏に焼きついています。一般の人が気付きにくいけど、術者が実はこだわっている部分というのを見事に言い当てていたのが印象的でした。
そういえば、何かしらの学会で『鍼灸大成』の日本語版を探していた際に、出展していた業者さんにお尋ねして回っていたことがありました。今にして思えば、ワタシを一瞥した後、ただ片手をヒラヒラ振って「あ~ナイナイ」と追い返した人も本屋さんだったんですね。「このオジサン、結構色んなところで見るけど、商売っ気が全然ないなぁ」と元販売業に従事していた者にとっては、信じられな~いっと思ったことを思い出しました(笑)。当然ですが、現在に至るまで「いらっしゃいませ!」的な作り笑顔を見たためしがありません。内臓まで見透かすのではないか??と思われるような鋭い眼差しで、寄ってきた人間のレベルを瞬時に判別しているかのようであります。本屋さん曰く、いつでもどこでも何があっても大丈夫なように状況判断する癖がついているとのことです。
…ってこの「だいじょうぶ」ってのがなかなかくせ者だというのが最近少しづつ見えて来て、それはそれでいろいろ大変なんです……「だいじょうぶ」だけど「いつでも死ねる」ってのと共存してるっていうか……本やさんは生まれる時代を間違えたんじゃないかなぁ、もしかして。
まぁ、ヒラヒラやって追い返されるのも今じゃ分かるんですけどね。ワタシから《本は買わないもの》、《図書館で見ればいいや》、《コピー取ればいいし》というオーラが出ていたんでしょう。本屋さんは本を買う人には、「オイオイ、そこまでやるの?」ってくらい、商売抜きの感覚で対応しちゃいます。長野先生にしても同じ。善い本は、古本で見かければ必ず手に入れておいて、学生さんに譲ってあげている。しかも、購入値段は忘れちゃっていることが多いから、かなりお値引きになってるようです。(5万円で買っていた本をあげちゃっていたのも目撃!)
すいません。随分、多賀フォーの話題から遠ざかりました。結局9月の時点でワタシのアンテナは全然伸びておらず、多賀フォー開催をまったく感知できずに過ごしてしまったわけです。「あれ、一回目来てなかったの??」って何度もシュガイザー先生には聞かれています。ああ残念・・・。しかし、ホントにすごい先生(ボキャブラリーが足りない・・・)ばかりが出ておられます。ニコイチ氏の人脈の広さには脱帽です。
さて、今日の校正は藤村宮司の「多賀の社の守り神、祈りと長寿と鍼灸」でした。藤村宮司は、実は今年になって突然お亡くなりになりました。ワタシは昨年の第二回の際にお目に掛かったのですが、今年もお会いできると思っていたので・・・。会が始まる前の準備も終わって、館内をウロチョロ探検していたワタシを気遣って声を掛けてくださり、長野先生との出会いで《多賀法印と鍼灸の関わり》が分かった経緯を教えてくださいました。今のこの歳まで務めていても、知らなかったことだったので、このご縁を大切にしたいと仰っていたのが印象的です。その時の、神社特有の静けさと宮司の温かいお人柄を思い出しながら、多賀の神さまや信仰と医療の関わり合いといったお話を読みました。それにしても、お話が上手です。その場で聞いていた方々は惹き込まれたでしょうね。ご冥福をお祈りいたします・・・。
今回はここまでですが、どんどん素晴らしい先生が登場します。今後もブログに載せて行こうと思っています。ワタシにこの仕事が振られているということは、きっと今年の多賀フォーでは本になっているのでは??あんまり、はっきりしたことは言えませんが、お楽しみにぃぃぃ~。つづく。
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