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2006年7月

2006年7月31日 (月)

食の本物志向

本屋さんは「僕はグルメじゃないから」と何でもお食べになりますが、そう言いつつ食に対しても相当の≪本物志向≫であります。

基本的に何でも召し上がる本屋さんですが、これは特別という食べ物が有ります。貢物が多い本屋さんですから、品名を書いてしまうと今後大変な事になりそうなので敢えて明記いたしませんが(笑)。この食べ物を便宜上≪A≫といたします。≪A≫は合成香料で再現されたた最低コンビニ製品から、上等なフレッシュまで幅広く世に存在し、特に夏場に日本人の舌を楽しませている食品です。一部の方は本屋さんが≪A≫に目が無いのをご存知ですから、≪A≫が使われているであろうパッケージを見ると、本屋さんのお顔が浮かぶようで事務所には≪A≫の絵が書かれたおやつが集まります。この前はビックウェ~ブが到来して、誰も彼もが≪A≫をお持込みラッシュ。たまたま遊びに来ていた本屋さんの一族の方が、事務所のテーブルの上にごっそりあった最低ランク≪A≫製品見るなり「全くセンスが無いねぇ。鍼灸師のクセに相手の価値観を読めないのかねぇ」とばっさり。一族ならではの黒い発言です。が、その後に続いた話に納得せざるを得ない。「こんなんじゃ、患者さんの心理なんて掴めないだろうね。」

先日、国内でも最高級の≪A≫も扱う有名なお店に立ち寄った時の事。本屋さんが御土産用に何かを買いまして、レジの順番待ちをしている最中に、最高級≪A≫を使用した保存食品を見つけたワタシは「おっ。これは、押さえねば!」と慌ててレジへそれを持って走りました。品物を見て一瞬目の端に喜びを浮かべた本屋さんですが、モノを手にするなりすかさず裏返して品質表示をチェック。「亜硫酸塩が入っているじゃないか。俺に漂白剤を食わせる気かっ!戻して来いっっ」とあっさり返却を命じられてしまいました・・・。例え、有名店の≪A≫という大看板を背負っても、本屋さんの本物志向のお眼鏡には掛からないのでありました。

このように、本屋さんの舌攻略法は難しい。しかし、珍しく本屋さんを唸らせた御仁がいらっしゃいました。京都在住のMさんです。本屋さんの舌に挑戦すべく京都から車を飛ばして大阪まで約一時間、≪抹茶ソフトクリーム≫で勝負に出ました。閉店間際に飛び込んだその店(本当は氷屋さんらしい)では、通常カキ氷を提供するはずの大きめ発砲スチロールカップに、うず高く盛られたソフトクリームの上からグリーンの抹茶がどっぷり掛とけられ、コーンフレークが飾り気なく散りばめられたその量は半端では無く、価格はなんと信じられない210円。現在六本木ヒルズ等で大流行のジェラードとは比較にもならない程、見た目も価格もB級もB級、C級と言ってもいいのではないかと思わせるシロモノです。「えぇ~こんなに食えん。3人分じゃん」とあっさり試合を放棄したワタシはアイス最中に変更。さて、売られたケンカは絶対に買う本屋さんがどんな反応を見せるのか、挑戦者の京都在住のMさんは最初のひと口を固唾を飲んで見守ります。「これはうまい!ちゃんとした抹茶を使っていやがる」と、どんどん口に運ぶ本屋さんを見て挑戦者のMさんはガッツポーズ。試合放棄したワタシもつまみ食いをさせて貰ってびっくり。お腹を壊してもいいかも、と思わせる絶品でした。

≪グルメじゃないけど、本物志向≫という本屋さんにピタッと合うのを見つけるのは本当に難しい、というかこちらが試されているという気にさえなります。因みに本屋さんは、甘いものよりしょっぱい煎餅派だそうです。そう言いつつ、コンビニでレジの横に「うっかり買ってしまえ」、とばかりに置かれているアメをかなりの確率で購入しています。「そんなにうるさいのに、何でそんな変なものいっぱい入ってそうなアメを買うんですかねぇ」と聞いてみたところ、「俺はこだわっている。合成着色料、保存剤が入っていないのをちゃんと見てるからね」と、ご本人のこだわりのレベルが他人からは分かりづらい本屋さんでありました。

余談ですが、シュガイザー先生のオフィシャルフードはサッポロポテト、オフィシャルドリンクはコーラです。とてもジャンキーな嗜好の御方だから気にしないかと踏んで過去2回程失敗しました。≪ワラビ餅とコーヒー≫、≪チーズケーキと緑茶≫でお出ししようとしたところ、「組み合わせが有りえない!」とお叱りを受けました。まだまだワタシも修行が足りません(笑)。

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2006年7月28日 (金)

鍼先

今日は巨鍼日記です。初めて習ってから1年以上が過ぎました。まだまだ刺入技術がままならないので常用使いではありませんが、私にとっては《伝家の宝刀》であり、何をやっても変化がない時に出番がやってきます。

打っているこっちが血の気が引いてくる、という現象にも随分慣れました(笑)。元々、長野先生と同類でして≪熱いのダメ・痛いのダメ≫な人間ですから、巨鍼を横に入れていく感覚は恐怖感に近い物がありました。患者さんが「うぅ」等と呻いた瞬間に、「あぁごめんなさい、ごめんなさい」と、言ってしまいそうになります。言いませんけど。こっちが焦っている気配を察知されては治療も成立しませんので、まず「鍼は見せない」で勝手に打ちます。インフォームドコンセントもへったくれもありません。そうじゃないと、あの衝撃的な本の表紙のような図が患者さんの脳裏に浮かんでしまったら、その時点で湊理、肌肉や筋やらが締まってしまい、非常に不利になるのではないか?とコズルイ計算をしているのです。因みに、巨鍼の患者は関係者に限っていますので、万が一のクレーム処理もお手軽です。が、相手はうつ伏せで鍼を見ていないので、まさか0.8mm、30cmが入っているとは気付きようも無いわけです。抜鍼後も、確実に証拠隠滅。「うぉ~響いた」とか喜ぶ人もいますね。さすがに毎回不意打ちは出来ませんので、次第にバレますが、もう体験済みなので大丈夫です。

さてさて、使用済みのマイ巨鍼を「事務所のオートクレーブで消毒させてもらおうっ」と持ち込みまして、本屋さんの巨鍼と一緒に消毒にかけました。竜頭の出来が全然違うので混ざっても大丈夫。っていうか、長さが違うから一目瞭然なんですが。本屋さんは現在、≪右膈兪から大腸兪越え≫をするので主に50cmの巨鍼を使用しています。へっぴり腰の私は30cmがせいぜいです。本屋さんは一時期懲りすぎて、結果的に竜頭が重くなってしまい、50cmだと刺入時にブランブランしてしまって「やりずらい」と近頃はシンプルにされているようです。因みに製作時間は一本30分以内。喋りながら、手を動かしているうちに完成です。ワタシは数日。そうそう、初めて本屋さんから巨鍼作りを習った時に一緒に参加された島田力先生も、初めてのはずなのに早かったですねぇ。

今回は消毒の他にも目的がありまして、ずっと事務所に置いてあった50倍のルーペで鍼先をチェックしたいと常々思っていたのです。ワタシの母校では鍼先チェックが実技時間必須となっていました。特に戸ヶ崎正男先生は徹底されていました。アサヒの銀鍼ディスポを学校から供給されて使用していたのですが、先生がチェックされると1箱全て「鍼先が出ていない」と却下されるケースも多々ありました。巨鍼の鍼先は通常20倍程のルーペで付けていきますので50倍だと「どう見えるんだろう~っ」と密かに楽しみにしていました。消毒完了した巨鍼を取り出し、おもむろに50倍のルーペと鍼先を合わせながらうっかり「ワタシのこの鍼先達はねぇ、新城先生に作ってもらったんだよぉ~ん」と自慢してしまったのが仇となり、横から瞬時に黒忍者に奪い取られました。こういう時の素早さはさすが忍者です。

「なるほどね」と納得が行ってからようやくワタシの見る順番が回ってきました。実は2ヶ月に一度開かれている新城先生の《実践塾》で巨鍼の紹介があった時にマイ巨鍼を持参しまして、先生の隙を窺って見て頂いたのでありました。そしたらですね、お話をしながらなんと、持参分全部をちゃちゃちゃっと「お直し」してくださったのです。「ううぅ。これは貴重だから使わないでおこうっと」と心に決めたにも拘らず、なんせ今回の父親の腰痛はあまりにも手に負えず《伝家の宝刀》最高バージョンを使用してしまったわけです。※学生諸君。「新城先生、お直しお願いします」などと持っていかないようにくれぐれもお願い申し上げます。たまたま運良く、タイミング良く、ワタシはやって頂けただけでありますので。常時受付中と誤解なさいませぬよう・・・。

50倍で見ると新たな発見がありましたよ。あの太さですから、肉眼だってしっかり見えるんですけど。一通り眺めて納得したので、こっそり本屋さんのと二つ並べて見てみました。「ムム。どっちが新城先生だっけ?」とルーペをはずして再確認。反対に映るのを考慮して、再度チェック。「あれ。角度がばっちり揃ってるよ」と教えて差し上げたところ、とても満足げな表情を浮かべてました。50倍を使っての比較は本屋さんもこの日が初めてだったそうです。新城先生のを《目で見て、指先で確認して》ってだけで同じ角度を出していたことに、ワタシは脱帽でございます。職人ってそういうもんだなぁと。あぁ、申し遅れましたが本屋さんは鍼職人も舌を巻くぐらいの材料の知識、道具、腕をお持ちです。「一回で覚える」秘訣を講義の中でも再三仰いますが、そういう《見方・盗み方》の方法論をお持ちの方は対象が何であっても通用するんだなぁと思いました。

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2006年7月27日 (木)

7・19 長野先生「陰陽五行説」最終回 感想

ラスト3回目の≪陰陽五行説≫講座でありました。第三水曜4:15からの2時間枠が4月より連続で行われてきましたが、秋からの新講座の告知が冒頭にございました!

当初、≪色体ちゃんリターンズ≫を予定しておりましたが、「同じテーマより違う方がいいでしょ?」と長野先生。でも、同じテーマだってネタは満載なんだから話す内容だって全然違うはずだからなぁ・・・と心の呟きを吐いてしまおうかと思った瞬間。「今度は『診極図説』の解説にしましょう」という予想外の展開へ!

『診極図説』という名前はよく耳にしておりました。長野先生の顔を見る度に本屋さんは「先生、『診極図説』お願いしますよ」って催促していましたですよ。〔無理やり締め切りを引き伸ばす先生〕と〔頭を下げてお願いする編集者〕の良く有りがちなパターンだ、と現場を頻繁に目撃していたワタシは思っていたですよ。

『診極図説』は吉益東洞の直弟子、瀬丘長圭によって書かれたもので、ここから『百腹図説』の流れがあるそうです。先生曰、ようやくいろんな資料が手元に揃って、この本と周辺の全体像がまとまってきたので、機は熟しつつある。漢方の腹診であるこの本が日本の按腹に与えた影響(日本独自の直感重視の原点ではなかろうかと本屋さんは申しております)、そして、そこから指圧へと発展した経緯、例えば、近代の指圧家増永静人先生らは明らかにその影響を受けている、という流れが存在するそうです(玉井天碧から増永静人への流れは、多分に霊学的要素が強い、と本屋さんは言います。ですので、増永静人先生に縁のある者がそういう方向へ行くのもあながち無理はないそうな)。シュガイザー先生の講義は全2回。10月18日(水)と12月20日(水)、4:15~6:15、会場は未定です。詳細は追ってご連絡いたしますね。12月には書籍の出版がされている予定ですので、本の解説も含まれます。楽しみが増えましたですね。

さて、話しを「陰陽五行説」へ戻しませう。

①五行を臨床で応用するには、六行化と四行化といったことをします。火を君火と相火に分けて六行。土を中央へ配置し、東西南北に置き換えた四行。これって、今まで普通に習っていたことですけど、概念の整理整頓というか、「何をしているのか」ってことを考えた事もありませんでした。先生がよく仰る「こういうもんだから憶えとけ」っていう学校鍼灸の悪弊の一つだったわけです。先生の説明を聞いていると随所で、ワタシはいかに頭を使わずに鵜呑みにしているのかを思い知らされますねぇ。

②視点次第でどんどん変わっていくのが陰陽論ですが、連想ゲームのように次々と具体例を図にして説明されました。先生の手腕に掛かれば、顔はお腹側なのに陽で、お尻は背中側なのに陰という矛盾が馬と機関車トーマスの絵でスルっと理解できるわけでございます。

③本屋さんの師匠の一人でもあるらしい、古神道の大家、大宮司朗先生の著書『古神道の身体秘伝』(ビイング・ネット・プレス発行 1600円+税)より為になるキーワードを紹介。曰く、「火足:ひたり」、「水極:みぎ」。確かに心臓は左にあるし、学校でも「左は陽で、右は陰」とも習ったのでありました。こんな意味があるなんて・・・と日本語の奥深さを垣間見ましたっす。この御本はとっても分かりやすく神社参拝のお作法が解説されています。無知なワタシにはありがたい一冊でございます。因みにご覧になった事のある方もいらっしゃるかと思いますが、本屋さんの参拝は芸術域です。美しいぃぃ~。ようやく「二礼二拍手一礼だったな」と緊張せずに出来るようになったワタシですが、鳥居を出る時は本屋さんのように「振り返ってお辞儀」をこっそりまねっこしています。「玄人はそうするもんだ」と言ってました。「神社は拝んだり願ったりする場所ではなく、感謝する場所である」との本屋さんの持論です。

④左右対称と左右非対象。これが訳の分からん、臓腑学説を理解するキーワードだそうです。

⑤陰陽可分の話から、『標幽賦』、曲直瀬玄朔が用いた「日用灸法」「日用針法」へと話しが展開。恐るべき知識量で、ネットサーフィンならぬ、鍼灸史サーフィンといった感覚です。「聞き逃せないっ」って話しばっかり。

⑥木火土金水の役割を通して、魂神意魄志がどういった性質を持ち、人をどう行動させるのかといった説明を図式で。それにしても、先生は図式化するのがお得意です。初学者にとってこんなに有り難いことはございません。「難しい話しを難しく」、「知らない奴にはわかるまい」方式のくせに「わかりやすい~」といったタイトルだけ付いた、さっぱり理解不能な講義ってのが大体の相場じゃないですかね。本屋さんが「長野さんは天才だ!」とよく呟いているのもうなずけます。

先日、神保町での本屋漁りから帰還した先生に「今日の収穫は??」と伺った際の事。タイトルも著者名も鳥の脳を持つワタシはすっかり忘れてしまいましたが、先生曰「この人の初期の本は面白い。最後の方はイマイチだけどね。きっと僕もそう言われるんだろうな」と。その真意が掴めず聞いてみると、「論文書いていた頃は面白かったけど、色体ちゃんとかツボエクササイズとかやり始めた辺りからねぇと、諸先輩方から影で言われるに違いない」という事のようでした。そうかなぁ・・・。こんなに理解しがたい物を、鍼灸学校一年生の素人さんに理解させる仕事の方が先生が産み出したものとしての価値は大きいと思うんですけどねぇ。トップクラスのものを底辺へ持ってこれるというのは並大抵な事じゃございません。唯掌論もそうですが、教員がこういった存在に気付いて取り入れていったら、鍼灸師の質は変わりますよねぇ。

⑦「心の問題を体で治していけるのが鍼灸の面白いところ」と。いつぞや、先生の臨床を見学させて頂いた事がありますが、3つのベッドを回りながらの治療ですから患者さんとゆっくり対話している場面はほとんどありません。「心の問題」を個々の鍼灸師がどう捉えているのかについてワタシ的には興味がありますが、カウンセリング的要素を含まずとも、こっそり体から変えてゆく事が出来るのが理想であります。因みに本屋さんの治療でも、何人もの女性が治療中に泣き出したという現場にいたり、話を聞いたりしております(部屋から出て来た顔見れば分かります)。治療室に入っていない場合は実際には目撃してはいませんが、本屋さんの臨床スタイルから想像するに、医療面接的「開かれた質問で患者の思うように話させる」ようなことから感情が吐露され・・・・ってのは絶対に無いと断言できます。だいたい、本屋さんは主訴を聞いたら、大抵すぐに治療に入ってしまいますし、一言二言、質問っていうよりは確認を取るように聞いてみるだけです。でってことは、普通に体を触り、鍼を刺し、灸をすえってだけで起こっている現象なのでせう。感情の発露があると、どこかすっきりして主訴も軽減することが多いようですが、「つまり湿邪がとれたんだよ」って本屋さんはそっけなく分析してみせたりするのでした。「カタルシスが起きて…」とか「前世の因縁が……」とかそういうのニコイチは大嫌いみたいです。この間は「もし、前世があるんだったら『冥土喫茶』っていうのを作って『お帰りなさい御先祖様』とかやったらいいんじゃないか」とかおかしな事をいってまぴたです(笑)。

シュガイザー先生に話を戻します。

⑧脈診の際に手首を触りながら、内傷/外感の見極めをこっそりする術をご披露。先生は具体的な治療法は滅多に仰らないのですが、体の見方の一例として心因性の動悸にはゆるめるポイントを伝授されました。8月3日のツボエクササイズの予告のような感じです。また、治療原則として「ココとココを緩める」という、聞き捨てならない名言をボソッと吐いてましたよ(笑)。伝統的な鍼灸の世界観(心身一如)が分かってくると、心理学をやらなくたって、体を緩めて心を緩める事ができるようになってくるんですね。

おしまい。

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2006年7月26日 (水)

酒屋でみのもんたの巻

今回本屋さんがみのもんた化した現場は、鍼灸祭で気の利いた美味しいお酒達ををいつもケイタリングして下さっている、入谷の酒屋≪明治屋≫さんの店舗2階でございました。お酒の量り売りもされているようで、伺った時にちょうど常連さんらしき方がそうやって購入されているのを目撃しました。とても良いシステムだと思います。ワタシなどただビンを眺め、「純米吟醸ならよいであろう」ぐらいで、何を買っていいものか良く分からないのですが、「次回も教えてもらいたい!」という気にさせるご主人の絶妙なアドバイスから地元に根付いた酒屋であるのというのが伺えました。感じが悪いのに、やたらと説明する店員っているじゃないですか。そういう所は、また行く気がしませんよねぇ。

この日は、明治屋さんの顧客の集いとでも申しましょうか、7人だけのこじんまりと纏まった素敵な会でありました。明治屋さんの奥様の気持ちと手の込んだお料理を頂きながら、一品一品に合う日本酒を頂くという、なんともなんとも素晴らしい企画にワタシもお邪魔いたしました。≪健康≫に関するテーマで本屋さんはこの日の講師としてお呼ばれされていたわけでございますけれども、六然社の社名の由来からお話しが始まりました。

そこから、東京オリンピック以降日本人の人種が変わったという展開になり、ちゃぶ台文化が無くなった事からアトピーの増加を説いてみたりと一気に文化論と身体論へ。面白かったのは、駅などでエスカレーターが設置されているのは昇りの方が多いという話し。そう言えば、取りあえず昇りエスカレータだけはあって、後からエレベータを無理やり設置しているケースをよく見かけます。「足を痛めたり、体が辛い人にとって本当にしんどいのは実は階段の降りでしょ。バリアフリーと叫びながら、強い人が楽をするために昇りエスカレータが先に設置され、弱者を全然考えていないのが社会の仕組みです」と。

ヨーロッパ人の方が牛乳飲んでいるのに骨粗鬆症が多いとか、食養の話でオウサワ・ジャパン辺りかと思っていたら素人さんに石塚左玄とか、水野南北の人相学から運を貯める秘伝まで。参加者の皆さんはご馳走とお酒でお腹も一杯でしたが、お話にも大満足で夜も深まり、会もお開きとなりました。

明治屋さんは厳選調味料も扱っていますので、帰りに味醂(味醂は酒屋で買うもんだぜ:笑)とお料理酢の物がとても美味しかったので、その「純米土佐酢」なるお酢も頂いてみました。あ~おいしかった!!入谷へ行った際は是非寄ってみて下さいね。

以下、その会に出席された方が書かれていたブログを見つけたので、いつもどうり勝手に引用です(笑)。お酒が進むにつれ、「かわいげのない人だ」と直接仰っていましたからね。本屋さんより10才位は年上だそうであります。この方も相当の知識人だとお見受けしましたっ。

今日はその会で、鍼灸師で出版社の先生のお話をお伺いする。この人が年の頃なら40歳ちょいなのに、なんでもかんでも知っていて、何を投げつけても反応が返ってくるというもう、どうにもかわいげのない人。だけれどもその話にほとほと感心してしまうことをやめることができない。いつまでもそのお話をお伺いしていたい人のひとりである。人には本当にいろいろな方がいて、それが面白い。

ですって。

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2006年7月22日 (土)

本屋さんの日曜講座3回目

本屋に学ぶ講座 経穴篇&体作り篇 

土曜日のシュガイザー先生の『皆伝入江流鍼術』講義と連ちゃんで行われた本屋さんの講義。
前日講義の後、シュガイザー先生&『臨床鍼灸古典全書』全69冊御買い上げ鍼灸師(この先生は本屋さん宅に一週間滞在中)とともに、本屋さん宅で朝迄、御話&仕事してたみたいです。シュガイザー先生は七時台の「のぞみ」で名古屋の南山大学へ打ち合わせに、当然のように本屋さんも一睡もせず講義が始まりました。
「経絡経穴講座」では、配られる資料が毎回あるのですが、所謂経絡経穴関係のレジュメと一緒に、一見全く無関係な資料が紹介されるのが本屋さんの面白さの一つです。 
今回は「けんこう仮面」(by唐沢なおき)。な、なんと漫画です(笑:お灸の漫画、笑えました。世間的に鍼灸ってこんな風に見られてるんだよって言いたかったそうです)。
それに(初心者用)『阿字観瞑想法』真言禅ともいわれる密教の瞑想法のやり方が書いてある資料です。漫画と真言宗っていうこのアンバランスさがまた……(笑)。
何故、『阿字観瞑想法』が出て来たかと申しますと、前日のシュガイザー先生の講義で、「五大」「五体身分」と言ったような話が出ました。そして、中国では五行色体といったものをそれほど使わない、という話との関連して、日本では「阿」字を分解して、五官(五行色体)へと繋がる展開というものがあったことを教わりました。そこで本屋さんは参加者へのサービスも含めて、「阿字を分解」ってどう分解して、どう展開するか分かる?だいたい「阿字」って梵字知ってる? 
 ……ということで「阿字観瞑想法」。
梵字の説明や、お墓に立っている卒塔婆の形が五輪塔と一緒の切り込みだって言う話から(本屋さんはこんなことみんな知ってるだろうからって言ってたけどそうかなあ?)、お墓に書いてある梵字の説明、「阿字観瞑想法」の中から一部マントラを交えて「淨三業」の部分を説明して下さいました。「一切諸法は自性清浄なるが故に我も亦自性清浄なり」という真言の意味を説明し(しかし本屋さんはなんでこんな事知ってるんだろうとワタシはいつも不思議に思うなり)、「清浄」の部分で『素問』の生気通天論の一説「蒼天之気清浄……」へと繋げるあたり、「僕は素問のこの部分だけしか覚えていないんですね」って確か一回目も『上古天真論』の一説(恬淡虚無真気従是)を挙げて言ってませんでしたっけ???  とにかく本屋さんが持って来てくれた古文書の梵字の「阿字」の一画それぞれの位置に五行&肝心脾肺腎が配当され、五輪塔との繋がりの説明を具体的に聞く事が出来て、なんだか世界観が一気に昔の「針立て」(シュガイザー先生風いいまわし)に近づけたような気分!  

更に、水滴形の話から火と水の統一、空海の「麼邇宝珠法」の話、ゾロアスター教のアフラマズダの話、二元論から、腎水心火の世界観、丘書機や馬丹陽といった北派全眞教にまつわる話……と一体どこか経絡経穴って思うかもしれませんが、これらが全てリンクしてるんですね、こうやって提示されると本屋さんがしつこくいう「世界観」っていう意味、その世界の大きさがちょっとは感じられてきますです。
で、そうこういいながらも一応(?)今回はきっちり、任脈(ついでに募穴と腎経の一部)をレジュメとともにやったです。

いつもの事ながら、お便り有り難うございます。因みに毎回感想文を講義後に回収しているわけではありません。あくまでも自主的な感想文です(笑)。
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日曜の寄金先生の経絡経穴講座、テンション高かったですね。募穴の使い方の説明、さっそく臨床で使わせてもらいました。
道教の説明についても、いろんな疑問が解けてすっきり。
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徹夜あけなのに、なぜか今までで一番明晰かつすっきりまとまった授業をされたという印象。
あと、わたしもおもうのですが、ひとりごとのように、ボソボソ話すとき、かなり面白かったり、大事なことを言ってる気がします。
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;(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・);(・ ・)
さて、午前の講義が終わった後は、鍼灸師の為の身体作りの講座。さすがに講義の始まる前の20分程は部屋の隅で寝ていたようです。始まりの時間が一分程過ぎ、あれえ、どうするのかなあ、声をかけようかなあと思っていたら、やおらガバッと立ち上がり、いきなり講義を始めまぴた。前回に引き続いて、身体を動かす時の注意点を幾つか、当たり前のように言われて当然のように聞こえる事なんでございますが、これがなかなか出来ないんですね。
横隔膜を使いこなし、胴体を構成している、鎖骨や肩甲骨や肋骨、胸骨といった部分をどうかつようするか……一年以上やっているワタシですが、未だに骨盤が立ち上がってくる感覚は何となく分るものの、脊椎を順番に動かしていく感覚が自分のものになりません。頭を先に動かしちゃう。 参加者それぞれの身体の動きが違うから、それぞれの人に一言二言注意点をアドバイスしながら順番に回っている本屋さんは、今回「存思」ということを強調しておりました。この辺り、石田秀実先生の本を読んどけ、って事なんでしょうけど。
実をいいますと、8月3日のシュガイザー先生のツボエクササイズ、 8月16日のニコイチの唯掌論ジョイントライブを経て、ワタシは本屋さんに、唯掌論継続練習のフォロー(→から散鍼の習得)へまでやって頂きたいと思っているのですね。現実にワタシは、関西の某専門学校の一年生が僅か半年でかなりのレベルの散鍼が出来るようになっているのを見ておりますし(ワタシは一年掛かったのに!)、既にかなりのノウハウが蓄積されている様子ですよ。
でも、本屋さんは「唯掌論システムは基本的にはシュガイザー先生のモノ」と称して教えたがらないのですが、「8月の二つのシュガイザー先生の講義を聴いた人」、っていう条件をクリアしている人限定っていう縛りがあれば、教えてくれてもいいんじゃないかと現在交渉中でございます。片手挿管を何百回やるより、観念論に満ちた弾入を何千回やるより、唯掌論は貴方達の手指を鍼灸チックにすること請け合いです。ちゃんとやればね。
もっとも、参加したいって言う人がいればの話なので、もし御希望の方は

「この指とまれ」 です。 数(世の中に必要!)で交渉っていうのもアリですから(笑)。
 

またもや感想文。

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午後のからだづくり、いろいろ指導や説明を聞いて、いままで自分でやってたことはなんだったんだ、という感じで、もう一度リセットする必要に迫られております。
まあ、ずっと続くんでしょうけど(笑)。
当日風邪で体調が劣悪だったのですが、異様な量の汗かいて、帰りの電車ではほぼ元通りの体調に。すっきり。
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「難しい〜」とキャッ、キャッ、言ってるお姉ちゃん達に「当たり前だ!!、この内容を教えて貰えるのを感謝して、黙ってやれ!」と言いたくなるのをグッとこらえて来月も参加させて頂きます(笑)。
しかし、わざわざ来てるだけあって、京都のピンクのTシャツを着てた人はよく練習して
きたんでしょうね、本当に感心します。
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余談ですが、寄金さんは年取ってくほど格好良くなるんだろな〜、カッコ良いジイ様にな
るんでしょうね。
そういう意味でも、希少ですよね(笑)。

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毒舌の割には案外寛大な事に気がつき始めている人もいるようですが、本屋さんのファンも増えているようですね(笑)

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトから購入出来ます★★★

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2006年7月21日 (金)

7・15長野先生『皆伝入江流鍼術』講義感想

7月15日に行われました、歴試講座『皆伝入江流鍼術』は古典に馴染み切っていないワタシ的には想定外の展開でした。本にある、個々の図の説明が中心になるのではと睨んでいたのですが・・・。本屋さんにその事を終った後で言ってみると、「歴試と書いてあるだろう!入江流の背景を知って、周辺知識を入れる事で本の理解が深まるのだ!何のために長野先生が話していると思ってんのよ」と一喝されてしまいました。講義の雰囲気をお伝えすると、入江流にまつわる当時の日本鍼灸の流れを壮大な背景を皆の前にどど~んと展開しつつ、要点を簡潔にまとめあげた3時間ってとこでしょうか。年末大河ドラマスペシャルを見終わった後の充実感に似た感覚に包まれて、我々は翌日の本屋さんの経絡経穴講座へと濃密に繋がる週末だったのであります。

①まずは、よくある説明。杉山和一が弟子入りした山瀬琢一はあんまりにも出来が悪い和一を自分の師匠筋の入江家へ押し付けます(ココの表現が長野式なんですけど:笑)。「自分の師匠へ出来の悪い弟子を押し付けるのもひどい話しだ」とのコメント(もちろん、その意図は後述されます)。この後、江ノ島にて奇跡の≪管鍼法発見伝説≫へ繋がるのですが、ここまでが学校鍼灸レベル。この枠をどう軽々と超えて、どういったストーリーが歴試家長野仁から展開するのか。「次は、次は!」と期待に胸を膨らませて聞いていました。

②『皆伝・入江流鍼術』の出版までの経緯について。ワタシが鍼灸学校へ入学した時点ではもうこの本は出版されていたので、杉山和一の前は入江流に続くというのがすんなりと学べたのですが、実はずっと謎に包まれた≪名のみありて形無し≫といった三焦みたいな流派だったそうです。この元本の発見は世紀の大発見だったと改めて認識しました。 説明しよう!明治天皇の侍医であった浅田宗伯が持っていたこの本を、その後中野康章氏が手に入れ、死後に放出された蔵書を東大と大同薬室文庫で大部分を受け継いだ中で、行方が分からなくなっていたそうです。それを大同薬室文庫からですね、内藤くすり博物館の仕事がらみで赴いていた古典ハンター・シュガイザーの飽くなき熱意に引き寄せられて、ミッシングリングだった入江流が日の目を見たのであります。余談ですが、東大図書館は火事に遭い蔵書の大半が焼けてしまって、随分と貴重な資料が無くなってしまったそう。 また、収集家が亡くなると市場へワッと本が出るそうでその仕組みにも「なるほど、なるほど」と勉強になりました。 (余談ですが、『昭和鍼灸の歳月』にも関西地方の著名な鍼灸家としてお名前が出てくる保寶弥一郎という先生がいらっしゃるそうですが、この先生の蔵書が古書肆に流れた時、ニコイチらはかなり奔走したそうです)。 ちなみにシュガイザー先生が個人で購入される図書費は年間数百万で(今日の講座で一番衝撃的だったお話しかも:笑)お勤めになっている鍼灸学校の図書費を上回るそうです。なので図書館レベルじゃない蔵書数を誇るわけでありまして、長野先生の死後は一体誰が引き受けるのかと今から話題になっています。馴染みの古書屋さんがまた儲けられると長野先生が言えば、誰もこんなに買わないから結局日の目を見ないと本屋さんは冗談を言っています。

③銅人人形という漢字表記のアレコレ。4月に上野の国立博物館にて展示されていた銅人人形を見て来たワタシは「木で出来ていたから銅人じゃなくて、経絡人形って言うのかなぁ」と大きな勘違いをしていまして、本屋さんに「長野先生の論文読んでないでしょ」と切り捨てられた経緯があります(涙)。でも、長野論文をもうじき全部読破しちゃうもんね!中国のと日本の違いは単に素材が違うのではなく、経穴を結ぶ線の描き方が表す特徴を教えてもらいました。

④杉山流の数少ない継承者であった馬場美静氏、この先生の流れは姥山薫先生へと続くわけですが(本屋さん談)、この馬場美静氏の本を借りて、森田蒿英という先生が(六然事務所には、柳谷素霊氏がこの人の講演会に出ていた記録が残っています)ガリ版刷りで『杉山眞伝流』の本を出版した事があります。この本は様々な影響を与え、三部書の発行や、百法鍼術の存在を明らかにする形で世の中に残っているわけですが、もともとの真伝流のオリジナルの姿の全貌は知られる事がなかったわけです。でも、杉山神社からもともと馬場美静氏所蔵の真伝流の本と巻物が発見され、様々な紆余曲折(この辺りの事情は聞けば本屋さんが一時間位かけて話してくれます)を経て、二年程前に桜雲会から復刻出版されました。(この『杉山眞伝流』限定800部は既に売り切れです)。 森田氏の出した本はガリ版刷りで大事な出典部分等、随分とカットされていたモノだったそうですが、この発見されたオリジナルには「入江曰く・・・」「内経曰く・・・」「医学入門曰く・・・」等とたくさん入っており、これによって杉山真伝流の技術や思想の由来が分るだけでなく、人物的な繋がりも見えてくる部分もあり、当然ながら六然社がだした「入江中務〜」の事も書いてあり、歴史的に『皆伝/入江流鍼術』の本が杉山流の先祖に連なる事がはっきりと証明される事にもなり、日本鍼灸史上、兎に角凄い発見である事は間違いないそうです。

また、馬場氏達の年代は今年の多賀フォーでも講演していただける昆健一朗先生の1〜2世代前に当たる時期になるそうですが、昆先生は昭和鍼灸な皆様が「古典へ還れ」を鵜呑みにして内経&難経ばかりに没頭する中、『金針梅花抄』や『鍼灸大成』を読み込み、中国の鍼灸家と学術交流を盛んににしていた卓越したセンスの持ち主であるのと、長野先生が敬服するぐらいの毒舌だそうでありまして(六然社から発行予定の昆先生の序文は凄すぎる:辛!)、個人的に9月2日をすっごい楽しみにしています。

話しを戦前に戻しますが、馬場氏の元に杉山流を教えて欲しいと頼んできた若かりし頃の柳谷素霊一派は、「お金を出すから、エッセンスを教えて」と無茶苦茶な横道ルートを使おうとされたようですが、当時の鍼灸業界の主要メンバーからは全く相手にされなかったそうです。なので、ちゃんと習ったわけではない杉山流の手技を、今で言ったら「コピペ」切り貼りして作った物が現在の学校協会の教科書にまで残った17手技のルーツだそうです。ワタシとしては母校の創設者である偉大な先生という刷り込みが強いのですが、周囲が意図的に作り上げた輝かしい伝説の裏にある人間らしさというか、昭和の巨匠が単なる末端構成員であった頃のお話しというのは、逆に押さえておかねばならない事実だと思うのであります。その辺りを押さえた上でも余りある功績というのがあるのでしょうし、もしかしたら無いのかもしれませんけど(本屋さんの眼光が鋭い:笑。「無い」と言いたげです。)ワタシにはまだ見えません。

⑤平安時代から鎌倉時代にかけては、日本の医学がおおきく変わった時期でもあるそうです。僧侶が大陸へ行ったりできた時代背景が色濃く絡むそう。中国から影響があった本をたくさん挙げられ、いよいよ核心部へ突入!  当時、下級な医療とされていた馬医、金創医といった流れに鍼立も居る様でして、瞑想書である五臓曼荼羅をベースにできた基礎医学書・五輪砕をテキストにしたとのことです。これらの人々から日本独自の腹診などへの展開があるとのシュガイザー先生の説明で初めて「解剖学と合わない腹診」のルーツをも知ることが出来ました。

この時代を色濃く反映するのは、仏教なのだぁと今更ながらに再認識。多賀フォーラム9月3日に正木先生の講義がありますが、真言密教中興の祖・覚鑁の身体論と身体技法を知ることは、今日の講座とすごいリンクするのだ!と気付いたのです(笑)。さすが長野先生、ちゃんとステップを用意して下さっているとは。

⑥ここで、普通なら絶対に目にすることの出来無い貴重な「五臓絵巻」を惜しげもなく皆さんに見せてくださいました。教室の3人掛け机を3つ並べてちょうど納まるサイズ。車一台買えるそうです。和方関係の講習会にみなさまが支払った受講料の殆ど+ニコイチらの私財を投げうってこういう資料を収集しているわけですね。 『皆伝入江流鍼術』本のP99に五臓絵巻図の一部が載っています。こういった絵巻物の見方すら分からなかったのですが、当時鍼灸をやっていた僧医のテキストという風に見ると、描かれている絵の意味に目が行くようになりました。

⑦絵巻を見ていてあっという間に30分経過。その分超過で、いよいよ入江流の講義に入りました。伝説によれば、使えないんで一度は放逐された感の杉山和一ですが、そういう人物が果たして総検校になれるのか??  というシュガイザー先生素朴な問いに「あれ、伝説を鵜呑みにしてた」と気付いたわけです。入江流三代の時間の流れの中で、鍼灸界ではどういった流れがあったのかという時代背景をつきながら仮説検証(森ノ宮ミュージアムの横山先生と話していた内容だそうです)を展開されました。世代間での文献の違いといった周辺知識から読み解く仮説はとてもとても納得。面白い!というか、それって伝説とは比べ物にならないくらい信憑性があるなぁと感激いたしました。

⑧最後には、「僕ならこう使う」といった流儀書からのヒントの取り方を幾つか教えてくださいました。ジェスチャー付きだから分かりやすい。シュガイザー先生は例えば「腰痛にはこうやって」というような具体的な指導は基本的には致しません。自分で考える癖をつけて欲しいからといって、簡単に言うのは止めたと。「ヒントはあげます」「古い本は全てヒントです」とも仰っていました。

⑨本の内容詳細については、多賀フォーでの大浦先生の講義で随分リンクするでしょう、とのお話しでした。どんどん繋がる≪和方鍼灸友の会≫の和。

さて、恒例の感想文。

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土曜の長野先生の講義はも のすごいものを見れてよかったです。これをみれただけでも良かった良かった。もちろん講義もよかったです。個人的には特に「穴法図は交会図」という説明に、おお、と感動。こういうのは、本見てったてわかりっこなくって、実際に講義で教わんないと分からないですよねえ。中世の日本鍼灸は仏教の影響を受けているという事実はとても興味深く、また知りたいと思っていたことでもあったので、今後の展開が楽しみです。

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前回と今回の講座たいへんありがとうざいました。予想していましたが、それ以上の情報量と熱演でした。今回、前回のテーマは古典を本当に読むとは書誌学や墓誌を研究することを含め、どうゆうことか?その古典をどう実際に活かすか?のヒントを長野先生が提示してくれたのだと思っています。それは先日におっしゃっていた、これはこうだから俺の言っているとおりにそうしろ的なことはしたくないってことにつながると思います。

つまり東洋思想なり、日本の東洋思想観のヒントは出すから、後はそれぞれ自分達が咀嚼し、自分で自分の鍼灸ないし鍼灸観を構築しなさいとういうメッセージだと理解しました。それが私達も試されているという意味かと思います。鍼灸の歴史を紡いでいる瞬間に立ち会えて有意義でした。またよろしくお願いします。 

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトから購入出来ます★★★

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2006年7月14日 (金)

多賀大社フォーラム’06 ご案内速報《講演内容》

続きまして、代表小間使い(長野仁)からのメッセージです。ブログなので、簡易バージョンにしようと思ったのですが、削除する場所が見当たらない・・・・。なので、全文掲載です!

-和方鍼灸友の会-

多賀大社フォーラム 06

 ご あ い さ つ

早いもので、「和方鍼灸友の会」の一大イベント、「多賀大社フォーラム」も3回目を迎えますが、最初に残念なお知らせをしなければなりません。本年1月、当フォーラムの後援を快諾下さり、絶大なる協力を惜しまれなかった藤村滋権宮司がご逝去されました。多賀大社の生き字引的存在だった権宮司との永遠のお別れがこんなにも早いとは、誰に予想できたでしょうか。会を代表して、心よりご冥福をお祈りいたします。多賀法印慰霊の折、一同で黙祷し哀悼を捧げる所存です。

◎「茶番呆人」再演

さて、当初は会員100名を目標とし、5080名で推移するものと考えておりましたが、すでに250名を超えたようで、主宰(代表小間使い)としての責務を痛感するようになりました。参加費割引などの優遇に吊られて、何となく「和方鍼灸友の会」に入ることになってしまった方(特に学生諸氏)もいらっしゃるのではないかと想像するに及び、過去2回は空白だった土曜の午前中に、第53回全日本鍼灸学会学術大会における狂育講演「はりをたて やいとをすえる いやしとくらし ―ひらがな日本鍼灸― 」を再演してみることにいたしました。講演の全容はパロディ本『新日本鍼灸楽会草紙』に掲載されている訳ですが、ライブだと、私が何を考え、何をしようとしているのかが、ダイレクトに伝えられると思ったからです。「何となく」状態を明確な動機へとシフトさせられたなら、責任の一端は免れたことになるでしょう。人間の所業ですから全く同じという訳にはいかないでしょうが、バージョンアップしていることは間違いありませんし、せっかく朝っぱらからボランティアするのですから、入会間もない方だけでなく、大勢のご参加を切望する次第です。ちなみに、現存唯一のシュガイザー・パーツのヘルメットも持っていきます!

◎9月2日 会員限定

 私のプレステージのあと、いよいよ本戦突入となります。トップバッターは、斯界の重鎮・昆健一郎先生にお願いいたしました。目下、六然社は昆先生の著作集(仮題:『伝統鍼灸神髄』)を刊行すべく準備を進めております。現時点では、ギリギリ間に合うか間に合わないかの瀬戸際らしいですが、それはともかく、研究家・教育家として、さらには臨床家として、関西(鍼灸は西高東低ですから関西は地方ではなく日本のメッカということになります)の大舞台で20世紀の鍼灸界を牽引されてきた先生の業績は圧巻であり、私たち後学へ向けての熱いメッセージを、基調講演として拝聴いたします。

つぐ実技編は、進化しつづける鍼聖・新城三六先生が、刻苦勉励の果てに編み出した四診法の新境地、「眼診」と「胸診」を開陳して頂きます。「眼診」とは、『診断革命』(六然社)で展開した「虹彩(黒目)分析」と、新たに開拓した「強膜(白目)分析」の総称で、強膜分析は欧米で流布している「スクレオロジー(強膜診)」の誤謬を正して余りあるばかりか、虹彩分析をさらに的確なものとする望診(視診)法です。虹彩分析を正経になぞらえるなら、強膜分析は奇経にたとえられます。「正経を熟知せずんば、奇経を掌握するに及ばす」、参加者各位、虹彩分析を心して復習すべし。いっぽう「胸診」はというと、七星論を前提に考案された、両手の寸口脈診を陵駕する、胸骨と胸椎の切診(圧診)法です。強膜分析とリンクした時、即効新城理論の信憑性・確実性はさらに向上します。過労の余り、突発性難聴の予備軍となってしまった私自身、両診法で裏打ちされた巨鍼と七星鍼法によって発作状態を回避できている次第です。

初日の取りは、昭和鍼灸の巨匠・井上恵理師の高弟で、散鍼法の第一人者である南谷旺伯先生に飾っていただきます。先生に親炙していただくようになってから10年近くなろうかと思いますが、ようやく実技公開に漕ぎつけました。先生には、鍼の持ち方と運び方、ツボの取り方、押手の当て方など、井上恵理師直伝の基本中の基本をご教授下さるようお願いしてあります。学生諸君のみならず、ベテランの臨床家にとっても裨益するところ絶大であると確信いたします。私自身、「唯掌論」の軌道修正を迫られるのではないかと、今からビクビクかつワクワクしている次第です。南谷先生には、ぜひ『散ずる鍼を尋ねて』を上梓していただけるよう切望いたします。もちろん六然社から。

◎9月3日 会員・一般とも

前回は、「近代日本の隠秘学と鍼灸」と題して、霊術・療術と鍼灸の関わりを、石原克己・横山浩之・久米建寿・吉永進一・正木晃各先生に、それぞれの専門から解きほぐしていただき、霊術・霊術家は単なるオカルト・オカルティストの一言で拒絶・排斥しえないほど、鍼灸術・鍼灸師と根底の部分で繋がっていることを思い知らされました。

認識を新たにした瞬間から霊術書・療術書ハンターに豹変した私は、吉永先生をして「素人がそんなに集めちゃイカン!」と言わしめるほどのコレクションを築き上げてしまいましたが、貴重文献の多くは吉永先生に有効活用していただいております。前回の直後、『日本人の心・身・霊』全15巻(クレス出版)に引き続き、『催眠術の黎明』全7巻(同)を編纂された先生には、最新の研究成果である近代日本における催眠術史を概括していただく予定です。私のように、「催眠術」と聞くと興味本位なテレビ番組の格好のネタといった程度の認識しか持ち得ない方も多いでしょうが、宗教学・社会学的の俎上に乗せれば、日本の近代化とは何だったのか、日本人の心性に何が横たわっているのかが垣間見られる訳です。

明治大正期における近代化の文脈を、「催眠術」というフィルターを通して俯瞰した後は、医史学的な指定発言が3題続きます。第1は、昨年の「霊術に関わった鍼灸家」の列伝が好評を博した、横山浩之先生による「近代化の中の鍼灸界」について。前回よりも広角レンズで明治維新以降の鍼灸界を一望してもらいます。催眠術と鍼灸の意外な関わりも顏を覗かせます。注意しておきたいのは、「近代化」イコール「科学化」ではなく、今に繋がる「古典主義」も「近代化」の産物だということです。

第2は、多賀フォー初参戦(K1みたい!)の大浦慈観先生による「杉山流と杉山真伝流」について。今や両流派研究の第一人者となった大浦先生には、『秘傳・杉山眞傳流』覆刻本(桜雲会)『表之巻』『中之巻』訓読本の経緯から、系譜・管鍼・刺手・押手・腹診・医案の最新の研究まで、縦横無尽に語って頂きます。近世に誕生した管鍼法は、近代化の中で刺鍼法の主流となり今日に到っている訳ですが、その体系化を図った『杉山真伝流』の緻密な読解から、管鍼法の持つ技術的・思想的な本質が浮き彫りにされることでしょう。

第3は、多賀フォーの原点回帰です。そもそも当フォーラムの会場が多賀大社となったのは、私が院生時代から多賀法印流の研究を進めていたことに端を発します。ではなぜ多賀法印流なのかといえば、打鍼法の開祖「ムブン」を多賀法印流とする古記録があり、真相を明らかにするためでした。当然まず一次資料の収集から着手し、その一環で本家本元の多賀大社にアポなしで押しかけたのですが、無礼きわまりない私を温かく迎え入れて下さったのが藤村権宮司だったのです。権宮司と意気投合してから急速に「ご縁」の回路が繋がり、次々と発見した流儀書を『多賀法印流医書集成』(和方鍼灸友のに編集、何とフォーラムの直前には宗与法印の肖像画が手中に収まりました。今回は記念品に『医書集成』第3集だけでなく、多賀法印流・多賀大社ゆかりの絵はがきセットを加えましたので、参加費が1000円アップになってしまったことご了承下さい。多賀法印流は打鍼法を用い、大浦先生によれば管鍼は打鍼の色濃い影響下に形成されているとのこと、中世末期から近世初頭に打鍼が風靡した理由、腹診と打鍼の関係などを考察いたします。

 3題の医史学(鍼灸史学)的な発言のあと、我らが後見人・正木晃先生に「興教大師・覚鑁の身体論と身体技法」について詳察して頂きます。真言密教中興の祖と目される覚鑁の名著『五輪九字明秘密釈』の身体論は、中世の五蔵曼荼羅・五輪砕のブームを呼び、やがて鍼立・金創医らが医学の基礎知識として受容し、人だけでなく馬医の根幹ともなったのです。人が先か馬が先かは議論の余地がありますが、覚鑁を端緒とする身体論が、腹診発明の原動力となったという私の指摘は定説化しつつあります。正木先生には、「新義派」と呼ばれる覚鑁の密教思想から身体技法まで、時間の許す限り熱弁をふるっていただきます。「ご縁」とは不思議なもので、正木先生に覚鑁の講演をご依頼した直後、江戸時代の坐像が友の会にお出ましになりました。会期中は講演会場に鎮座していただきますので、ごゆるりとご尊顔を拝して下さい。ちなみに、明治時代の肖像も展示いたします。

◎最後に

 過去2回行なっていたフリー・ディスカッションは、生産性が低いように感じましたので、今回から講演のみといたしましたことご諒解下さい。今年も盛り沢山の内容で、入会間もない面々は消化不良を起こすかも知れませんが、感電にも似たカルチャー・ショックを体感していただければ幸甚です。奮ってご参加下さいますよう心よりお願い申し上げます。ネット上のブログ「六然の小窓」は、更新情報が得られますので要チェックです。

http://yuishouron.cocolog-nifty.com/blog/

2006年7月吉日

和方鍼灸友の会主宰 長 野  仁 謹識

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2006年7月13日 (木)

多賀大社フォーラム’06 ご案内速報《スケジュール編》

お待たせいたしました!和方鍼灸友の会の秋の集いのお知らせです。会員の方のお手元には近日中にご案内が届くかと思います。今しばらくお待ちくださいませ。以下に、ご案内の抜粋を掲載しますので概要のチェックにお読み頂ければと思います。もう、入金しちゃってもいいですよ~。

-和方鍼灸友の会-

多賀大社フォーラム 06

》 ご 案 内 《

  期:平成18年9月2~3日(土~日)

  場:多賀大社 参集殿

522-0341

滋賀県犬上郡多賀町多賀

参集殿直通

℡0749-48-1103  FAX0749-48-2029

http//www.tagataisya.or.jp

参加費:2~3日とも;会員限定)21,000円

受講料 ②2日:懇親会費 ③3日:昼食代 ④記念品代の総額です。

※宿泊は各個人でご予約下さい。()彦根観光協会;宿泊のご案内

 http://www.hikoneshi.com/syukuhaku_annai/index.html

3日のみ;会員)11,000円/(非会員)16,000円

受講料 ②3日:昼食代 ③記念品代の総額です。

入会金:10,000円

締 切:8月25日  郵便振替にてご入金下さい

記号番号:00130-5-351212 

名義:和方鍼灸友の会

連絡先:〒101-0051

東京都千代田区神田神保町2‐144

 IKビル2F

()六然社内 和方鍼灸友の会事務局 tel/fax 03-6279-5101

記念品:

①『多賀法印流医書集成』第3集 A4コピー版 

※第1集・第2集の残部は実費(各5,000円)にて頒布いたします。

②多賀法印流・多賀大社 絵はがき6枚セット

主催:和方鍼灸友の会/後援:多賀大社・六然社・亜東書店

多賀大社フォーラム 06

― プログラム ―

【2日】……………………………………………………………

1030 多賀フォー・プレステージ 

再演「はりをたて やいとをすえるいやしとくらし ―ひらがな日本鍼灸史―」

和方鍼灸友の会主宰 長野  仁

1200 受付

1230 開会の辞               六然社主 寄金 丈嗣

1245 基調講演・日本鍼灸の20世紀  研究家・教育家・臨床家として

          元関西鍼灸柔整専門学校理事 昆 健一郎

13:30 休憩(本殿に移動) 

13:45 「多賀法印」慰霊・「藤村滋権宮司」追悼・「弥曽以知」入魂式

14:15 休憩(参集殿に移動)

14:30 公開実技1・眼診と胸診  四診法の新境地  

東洋虹彩分析協会代表 新城 三六

16:15  休憩

16:30 公開実技2・散ずる鍼を尋ねて  井上恵理先生直伝の刺手と押手

                  旺針療所院長 南谷 旺

18:15  休憩(参集殿1階大広間に移動)

18:30 懇親会(参集殿1階大広間)

【3日】……………………………………………………………

日本鍼灸の遡行

~思想と技術の文脈(コンテクスト)を探る~

9:00 受付

9:30 招待講演1「催眠術の黎明」

舞鶴工業高等専門学校講師 吉永 進一

10:45 休憩

11:00 指定発言1・近代化の中の鍼灸  

森ノ宮医療学園専門学校図書係 横山 浩之

11:45 指定発言2・杉山流と杉山真伝流―近世から近代へ 

癒しの道協会師範 大浦 慈観

12:30 昼休憩

13:45 指定発言3・意斎流と多賀法印流―中世から近世へ 

和方鍼灸友の会主宰 長 野  仁

14:30 休憩

14:45 招待講演2・興教大師・覚鑁(かくばん)の身体論と身体技法

慶応義塾大学非常勤講師 正木 晃

16:00 閉会の辞      

正木  晃(研究者として) / 長野  仁(臨床家として)

続きまして、代表小間使いからのご挨拶を別にアップしますのでご覧下さい。

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黒忍者 「だし」を語る

以前にも書いたように、黒忍者は月に一回、一般向け健康講座で《みのもんた》に変身します。先月のちょっとタメになるお話は食品添加物でした。

参加者の多くは主婦層であり、毎日の食事の作り手であります。普段使っている調味料の原材料を知っているか、という黒忍者の問いに、殆どの方は「知らない」「値段しか見ない」と言ったありがちなお返事でありました。「やっぱりなぁ、たいていの主婦は値段しかみないよなぁ~」と思うワタシでありましたが、例えば醤油。原材料の表示の一番先に書かれているものが、材料の中で占める割合が一番多いということのようですが、脱脂大豆と丸大豆の大きな違いについて、黒忍者は語り始めました。続いて、みりん「風」調味料という名前のトリック。味の素を始めとした化学調味料、発泡酒、マーガリン、そして「白い麻薬」砂糖、へと次々と食べるべきではないアイテムを挙げていかれました。ちょっと食養をかじった人なら分かる程度の初歩的な処から話始めたのですが、一般の方はそういう視点が無かった為か、熱心に聞き入っていました。しかし、そうはいっても健康講座へ出席している方々だけあって、1/3の方がお味噌を自分で作った経験があるというのにはワタシは感激いたしました。でも、戦後という時代は、家庭の味を企業が奪っていった時代であると、また「おふくろの味」はすでに「袋の味」(レトルト食品)に変わりつつある現実を本屋さんが話しているのを聞いていて、ああ、少なくともそんな親に育てられなかったシアワセを感じたりもしたのでちた。

講座が終わってから帰ってみると、ふと事務所の本棚に『自然流「だし」読本』船瀬俊介著(農文協 ¥1330)という本があるのが眼に付きました。どうも黒忍者が編集に関わっているニオイを感じますです。にゃので、黒忍者のお話は素人に毛の生えたレベルじゃないのですよ。ご自身でキムチもお作りになるそうですが、その説明にも化学式が出てくるし。ムズカシイ。

事務所の本棚に黒忍者所有の本達は、多分、鍼灸師にとって(? 鍼灸に直接関係なくても)何かしら役に立つ物ばかりだとにらんでいる、今日この頃のワタシなのですが、この本もとても素晴らしい本です。この価格にしてすごい情報量。化学調味料との比較データー、味覚が落ちる背景を生理学的に解説(アミノ酸飲料を飲んだって意味ないじゃんってこととかも)、ほんものの「だし」素材の伝統的な生産法、入手経路、お料理レシピまでたっぷり載っています。読むうちに、かつお節、昆布、干ししいたけの常備「濃縮だし」を作らねば!!といやる気満々になってきます。

ワタシは学生時代に自然食品を扱うお店でバイトをしていたのですが、そこのオーナーも「調味料だけはイイモノにしなさい!毎日せっせと取り続けるモノだから」と強く勧めていました。日本に根付くダシの文化、それを大事にしなさいと。黒忍者も言っていることは同じです。というか、もっと具体的かつ理論的に語ります。

実際に黒忍者のご家庭には化学調味料も白砂糖もなく、料理の度に毎回鰹節を削って「だし」をとるそうです。これは忍者のおこちゃまのお仕事だそうです。情操教育満載です。聞けば黒忍者の奥様も小さい頃毎朝削るのお仕事だったとか。……が比べて、我が家では昨年のリフォーム時に削り器を捨てた経緯があります(泪)。「いいなぁ~、美味しいんだろうなぁ」とかなり物欲しげにワタシがしていたのでしょう、この講座が終わって数日後、事務所にも鰹節セット(削り器と鰹節)がやってきました!削り方を習い、背節と腹節の違いも教わりました。因みに黒忍者のお好みは「どちらかというと腹節」 だそうです。黒忍者のお友達には結構影響を受けて取り入れている人もいるようで、そういえば、お友達の一人が2つあるからと、「削り器レンタル」を申し出てくださったこともありましたっけ。広がる「だし」の輪ですねぇ。 黒忍者は事務所で自炊するワタシを見て、昆布も持って来てくれたんですが、昆布一つとっても、日高、利尻、羅臼とそれぞれ微妙に違いがあるそうなんですね。やっぱり料理人になろうと一度は考えた人は違いますねえ。 そういうわけで、土鍋《かまどさん》で炊くご飯と、昆布とせっせと削った鰹節でとった「だし」のお味噌汁を頂くと、本当におかずは要らないなぁと思うワタシでありました。

おまけ。経済的にも鰹節パックを買うよりも、削る方が圧倒的にお安いそうです。「計算した!」と黒忍者が自信をもって言っています(笑)。ゴミも出ないし。

きっと上記の本が欲しいという方も多数いらっしゃると思いますので、限定30冊注文しておきました。近々行われる勉強会でお持ちしますね~。

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトから購入出来ます★★★

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2006年7月11日 (火)

多賀大社フォーラム

速報! って実は続報を御待ち下さいってオチなんですが。

今年もやるそうです。多賀フォー!なんとかフォー! って喋る芸人がいらっしゃいましたが、まるで関係ありません。和方鍼灸友の会、秋のイベント「多賀大社フォーラム06」です。今年の講演者もすごいっす。まだ秘密。うふふ。さすが、ニコイチの人脈~。

開催は恒例の九月の第一土日、今年は二日と三日になってます。四、五が多賀法印の御命日に冠るらしく昨年一昨年と祭礼の時に雨(涙)が降るという事が起きていたようですが、今年は御命日と重ならないので晴れだろう、と本屋さんは言っています。金額は去年と同様、2万円の予定(懇親会費込)。土曜参加は会員のみ、会員外の日曜参加は1万5千円予定。

昨年は、懇親会会場定員ギリギリでしたので、もしそれ以上の参加希望がある場合は、特別会員優先の抽選になるらしいです。今年も景品あり??(聞いてみたら本屋さんは笑ってます、不明です:笑) 会員の皆様には直接連絡が行くと思いますが、参加希望の方は予め御予定を御繰り合わせ下さい。

また、毎年本屋さんが自主的に世話している宿泊関係ですが、今年も昨年同様押さえているようですので、シングル或いは同部屋御希望の御友人同士等いらっしゃいましたら、予め仰って頂くと融通が効くかと思います。

内容の詳細に付いては、近日中にアップしますので、御待ち下さいませ!

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2006年7月10日 (月)

技を盗む術

以前から本屋さんがお話になる講座等へご参加されている方は、何度となくお聞きになっているかと思いますが、本屋さんは映像、テープに残すというのをやらない方が自分のためであるとずっと仰っています。モノ(技)を盗む(継承する)というのは、真剣勝負であって、《またいつでも見られる・後で聞き直せばいい、という気持ち》は自分の能力を高めるどころか、地に落とす、ということのようであります。

実技を見て「もう一回!」というのも無しです。こうやって、先生の何かを盗むというのを繰り返すうちに身に付く、その瞬発力の集中力も治療効果を倍増させる力にもなるのだそうです。《治療は気合》とよく一言で片付けていますね、本屋さんは。鍼は効くものではなく、効かせるものであって、鍼が効くわけでなく、鍼師によって効くものになるか、そうじゃないかの分かれ道ができるそうです。要は人間がやっていることなわけです。色んな意味での能力を高めることが臨床に繋がるわけですね。ついでに申し上げますと(正木先生風)、うっかり見逃した一瞬を取り戻せる人間関係を作る技術とか。そういう事も大切なわけです。

以前開催した鍋島先生の実技公開の時に、先生の実技中に《携帯で写真・ビデオを撮る=音がします!》、《フラッシュをたいてまで写真を取る》という方々がいらっしゃいました。実技をしている先生への配慮を欠くだけでなく同時に、周囲の参加者を無視した、「自分がよければそれでよい」という態度に本屋さんは怒り爆発! させればまだいいものを、本屋さんはその場は黙って見ていたものの実は極めて冷静に怒る人なんですね(恐)。(サスガにフラッシュは現場で咎めていましたが)結局、この方々へはそれ以後の勉強会への参加をお断りすることになりまして未だに出入り禁止です。まあフォローが効かないわけではないんですけど、その辺も含めて試されているってことなんでしょう。

また、谷岡先生の小児鍼講座で先生が参加者全員の腕に実際に小児鍼を施してくださった際にも「先生、もう一回お願いします」と言いに来た方がいらっしゃいました。谷岡先生はその場できっぱりと「そういう態度じゃ絶対いかん」と仰っていました。何事もチャンスは一回という《気合》はモノを習う者にとって共通なのだと、脇から見ていた私は思ったのでありました。

おまけ。この間の講義をこっそりテープに録音されている方々がいらっしゃった模様です。本屋さんは見て見ぬ振りをしている場合もありますし、時と場合によっては、上述のように「出禁」と言いかねないのでありますが、人間関係がある場合(よそへ流さない事が分かっているとか)一挙に顔パスになったりする場合もあるのです。でも、基本的に「一回で覚える覚悟」ということを重んじている節があり、事に臨むそういう心理を大切にしているんですね。(因に本屋さんがビデオ撮影をしているのは長野先生が本を書く為に必要としているからです)。 一方長野先生は「テープに取ったって、僕の知識を盗まれるわけでもないし、減るもんでもない」と一向に気にする風でもなく・・・(でも映像撮影は不可だそうです)。 ただ、ワタシが思うにはこっそり録音をするのではなく、①必死に聞き取る、メモを取る。②次回までに自分の中でこなしたものを先生に伺ってみたりする。③以上のような《やり取り》や、自らの勉強を重ねていくうちに、録音しなくても、分からなかった部分を確かめたり語り合ったりできる人間関係を手に入れる。という、3段階はいかがでしょうか。

一見遠回りに思えるようですが、長い鍼灸師人生(廃業が近いと思っていないからこそ熱心に勉強会へいらっしゃるわけでしょうし)を考えれば、こういった人間関係を作り上げることって大きな財産になるんではないでしょうか。本屋さんはよく言ってます「自己表現の出来ないやつは鍼灸師としては成功しない」「伝統的な物をやる以上伝統的な価値観を尊重すべきだ」。

こっそり録音した音声は何回聞きますか??

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2006年7月 9日 (日)

7・1 長野先生 『腹診の源流』講座

7月1日の夜に、長野先生による『腹診の源流』の講座が開かれました。関西からも追っかけの如くいらした方々を含め満員御礼でございました。六然社から出版されている『腹診の源流』ですが、この本をテキストにして内容が濃すぎる3時間でした。

まず、始めに森家の家系のお話です。なんで《意仲玄奥》と付けられているのかを説明されました。聞いているうちに、漠然と眺めていた家系図にドラマが見えてきました。御園意斎(松岡意斎)から森家へ伝えられた秘伝を、著者の森中虚はお祖父さんである仲和と意斎をとへの敬愛と誇りを込めて、《意仲玄奥》と二人の名前をタイトルへ入れたというわけです。この中虚は、しっかりと文献学の手法を取り入れている事が、『意仲玄奥』の脚註などから伺え、単なる著者の思い込みではなく、書誌学的にも客観性に富む価値の高い本であると言えるそうです。

P115からの解題以降を読みながら、本には載っていない概要補足をされて一旦休憩。この間に、当日の直前まで長野先生が聴講されていた遠藤次郎先生の『癒やす力をさぐる』の1割引販売をしました。用意してきた14冊が一気に売れ、手に入らなかった方は次回までお待ち頂くことになってしまいました。失礼しました。それにしてもすごい勢いでした(笑)。この本のP138から、長野先生の研究されている《腹診》、《腹の虫(三尸虫等と実際の寄生虫)》が載っています。因みに、このブログの《7月3日の「唯掌論」講座のお知らせ》にこの本をお勧めしするコメントを頂いています。なんてタイムリーなのだ(笑)。

休憩後、いよいよ本文突入。本書には打鍼の図が載っているのですが、この本は原本の93%縮小と断りが最初にされていて、それによってこの図から原寸大を復刻することが可能になるとのことです。随分親切に気配りされてこの本は作られているなぁと思いましたです。そうそう、『医古文の基礎』を翻訳出版する際に尽力された先生も当講座には参加されていましたが、長野先生は、その本についても参加者に勧めてましたです。ついでに、ケチなやつは勉強なんか出来ない! 鍼灸師としても成功しっこない、とも。確かに、この講座一つとったって、この難しそうな本の話をあれだけ、分かりやすく内容豊に、さらには臨床的にも役に立つように説明出来る人はそうそういるもんじゃありません。

《分位診候》の太極・道気・剛火・腎間動気について細かく説明。古典研究の某先生が仰るには、長野先生の腎間動気の解釈は群を抜いているようです(ワタシにはそのレベルすらも分かりませんが)。図を沢山書かれて、これまた「陰陽五行説講座」の続きか?!というような、非常に面白い解説でした。火と水、陰陽、任督脈の昼夜の流るルートの違い、君火と相火、打鍼理論を実際の臨床でどう応用するか、当然ですが、長野先生の全ての講座がちょっとづつリンクして重なっていくので、毎回理解が深まります。例えば8月3日のツボエクササイズに続く話で、《永流》という和製のツボが大腿内側にあるそうですが、とにかく女性疾患に効果があるそうです。改善しずらい慢性疾患には毎日身体を変化させる刺激を継続させるというのもとても有効であると、さらっと言っていました。本屋さんの講義でもそうですが、さらっと言うことに意外と真意があるとワタシは最近気付いたのであります(笑)。

時間を少し過ぎるも、結局全部の解説は終わるわけもなく・・・。「来年はそうそう東京に来ませんから」と言いつつ、「本気でやろうとしたら1年は出来る内容ですから。そのうちまた機会を作りたいです(やったー!byワタシ心の声)」と言い残して、先生は国立九州博物館の腹の虫関連の絵本(腹の虫がモデル)のの出版打ち合わせの為に、参加者を残してフェードアウト。と、アイドル並みに忙しいのであります。

しかし、残された参加者には素敵な続きが! 予告通り、大浦慈観先生の登場です。15日に開かれる『皆伝・入江流鍼術』とも関係するお話でした。「どうも、杉山和一は打鍼術の影響をかなり受けている」と。杉山流の管鍼術である細指術や内調術は打鍼の技術を転用しているし、杉山三部書に出てくる単語からもそれが窺えるのにここ数年で気付き始めたそうです。打鍼の研究が、杉山流の解明に続きそうであるというようなことを仰っていました。

若干名でしたら、まだ参加可能です。「これは見逃せない!」と思った方、ご都合つけて是非どうぞ。特に学校教育関係者のご参加お待ちしています。優待割引はありませんが (これからそれで食っていこうっていうんだから教員は割り増しでもいいくらいだ! by本屋)。因みに『腹診~』には参加者の1/4が先生&予備軍でした。随分高い参加率だと思われます。 これで安直な学校鍼灸から救われる学生が増えるといいなぁと願っています。

『皆伝・入江流鍼術』 入江流を読まずして、伝統鍼灸は語れない!

 杉山眞傳流の奥義書にも名前が登場する流儀の治法の考え方と手法とを臨床に応用できるように解説します。その入江流の手技・手法を歴史の深淵からカラー図版をそのまま再現!歴史と内容解説により、杉山和一のルーツを辿ります。

・日時:平成18年7月15日(土曜)   18:00~21:00

・定員:60名

・会場:富士見区民館 2階洋室A    千代田区富士見1-6-7 http://www.city.chiyoda.tokyo.jp/sisetu/yakusho.htm

・参加費:7200円(和方鍼灸友の会会員 6200円)

※書籍をお持ちの方:4000円(会員3000円)   

《お申し込み方法》

こちら までメールにてお申し込み下さい。予約完了の返信をこちらからさせて頂きます。※FAXでもお受けします。03-6279-5102 六然社 

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2006年7月 2日 (日)

刺絡学会・実技編

前回に引き続き、刺絡学会のご報告。今度は実技編です。

特に印象に残った実技について書いてみます。本屋さんが座長を務める楠本先生の実技の時間は大注目でしたので六然社は店じまいにして見学に行きました。

今回の学会実行委員長でもあった楠本先生の実技は「できもの・はれものの刺絡鍼法」というタイトルでしたが、前日に頭部を強打された方がおられ、抄録内容とは別になりましたが、実際に臨床をされました。タイムリーな患者出現に「おお!やったぁ」と心がちょっと躍ってしまいました。ごめんなさい。

この男性は、学会前日にドアに左頭部前面を強打され、その部分が直径4~5cm程に腫れ上がっていました。吐き気、頭痛などはなく、左目がぼやけて視界が悪く、瞼が開きづらいとのことでした。先生は問診をしながら、座位にさせた患者の上半身の特徴を列挙され、普段は右背のコリの方が強いのでしょうが、左頭部を打ったために現在は左肩が下がっていると全身の関連を観てゆきます。

脈を診て、刺絡が適用かどうかを判断。いよいよ実技。患部にやるのかと思いきや、患者さんにうつ伏せになってもらい、瘂門の辺りと背中に3ヶ所(左右で6ヶ所)にばね式三稜鍼を使って皮膚刺絡を施し、吸角をかけます。この際の手際のよさ。いつ見ても惚れ惚れします。先生は「緊張している」と連発されていましたが、本屋さん曰く「あの情況であれだけスムーズに出来るのはさすがだ」と賞賛されていました。壇上はスポットライトもきつく暑さと光の加減で手元が随分見えづらいそうです。

次に仰向けになってもらい、「いよいよ腫れている局所に刺絡か!」と思っていたのですが、「局所は傷があるからやりたくない」と敢えて触らず。にゃるほど。代わりに左眉の中を2ヶ所、左側頭部に吸角を行いました。顔面の絞り方は特に注意が必要で、骨に押し付けるようにして絞ります。また、側頭部の吸角は髪の毛に隠れるようにして行うと鬱血班がでにくくて済むとも。以上で治療は終了。患者の感想は「目がはっきりしてきて、頭部強打部から全体が軽くなった」とのことでした。

この後、質疑応答でしたが会場からは質問が出ず。そこで、本屋さんが代わって質問を投げかけました。先ず、せっかく用意された抄録から。記載されていた症例で、猫に咬まれて上腕が腫れたケースについて。「抗生物質と化膿止めを服用したが緩解せず、鍼灸院へ来院」との一文に対して、「刺絡を3回続けて1週間後に緩解、とありますが、薬の服用を続けていたとしたら刺絡の効果とは言えないのでは?」とのイジワルなつっこみを。「おぅ。施術者がうっかり自分の手柄にっしてしまったケース??」と一瞬ワタシなどは頭をよぎってしまいましたが、楠本先生はそんな幼稚なレベルではないわけでございまして、先生との信頼関係が非常に出来ている患者さんですから薬に頼らずに、刺絡での治療を希望されていらしたとのことでした。 また、続く患者さんに関連して、顔面部のヘルペス等の場合、刺絡が難しいのが現実で、なにか工夫されている事はありませんか? との本屋さんの質問に対して、楠本先生は「謎の中国人」に習ったというちょっとした工夫と、臨床の蓄積から出て来た秘訣を披露、こうした事も本屋さんの質問がなければ会場の人達は聞けなかったわけで、なかなか聴衆思いの司会ぶりを発揮。最後に、実際の実技に関しても会場の質問を募っていましたが、何故か質問は出ず、またしても本屋さんが、楠本先生が先ず、背中の太陽膀胱経を使った事に対して、それは「目系繋がりを意図したものですか?」と通好みな質問を投げかけた所、やはり「目系」を意識したもの、との答え、このあたりのマニアックなやりとりも、ワタシはあとから「目系」とかの解説を聞いたので理解出来たんですが、会場の皆さんはきっと分かってたんですね。刺絡学会ってやっぱりレベル高ーい!来年は高知だそうです。南ってお酒もありますし。うふふ。

刺絡は誤解が非常に多い技法です。なんでもかんでも、バシバシ切って血を出すのではないのであります。本屋さんなんて、「血を出さない刺絡が存在するらしいよ」という訳の分からない(ワタシ如きには)ことまでおっしゃいます(数年前、そういう実技があったとか)。実際に本屋さんの臨床では井穴か細絡に限定して使うケースが主です。散鍼で細絡を消すという技も良くやっていますし、実際に細絡を狙う場合も三稜鍼を使わずに5番鍼〜の太めの鍼でやっちゃってることもあるようです。

小児鍼の大家である谷岡先生も刺絡をやられますが、普通三稜鍼の刃を0,5〜1mmとかに設定するのを一切行わず、ストッパーをかけずに全部刃が出てしまう状態にして、手の感覚で切皮を調節されるそうです。こんなにすごいやり方は、谷岡先生ならではだろうと本屋さんは断言しています。小児鍼の鍼頭叩きの延長がこのスゴ技に続くのだそうです。挑戦したいところですが絶対にグッサリ入る気がして、まだまだ怖くて自分にも出来ませんし、誰もやらせてくれないだろうなぁ(笑)。鍼頭叩きは終了したんだけど・・・。

渋谷にある某学校では「お縄になる」と言って、学生には絶対にやらせないそうです。確かに注意が必要な技法ではありますが、それだからこその効果が得られるわけです。ワタシの母校は校長が変わる前までは「刺絡」という科目がありました。ワタシの代ではなくなりましたが、刺絡を中心に治療をされている○部先生に課外授業で教わったりと身近なものでありました。でも渋谷の学生さんの中には、今回の刺絡学会と前日の《認定講習会》の関係法規と衛生学の講義に参加され、意識が変わった人もいたようですよ。

「刺絡」に関係する判例集を纏めた本を買ってみました。そうそう、「しゃけつ」という単語で昨年の事件には判決がでましたが、「刺絡」と「しゃけつ」の違いを各自がしっかり認識できるよう、歴史ある刺絡技法のについて愛着を持って欲しいというようなことを天野先生は仰っていました。でも、それを聞いていた知り合いの参加者は、結局刺絡がどういうものかの定義は各々の鍼灸師が決めてくれ、みたいな事を言われて、学会がそんな事を言っていいのか! ってかなり怒ってました。

「本来ならば全日本鍼灸学会こそが、刺絡問題について先頭を切って取り組まなければならないのにシランプリ」と本屋さんは嘆いています。

http://shirakugakkai.com/ こちらは刺絡学会のホームページですよ。

以下、参加者の感想です。↓

こんにちわ。
昨日の刺絡学会お疲れ様でした。
よい本を手にいれることができて嬉しかったです。
六然社のブース、どこよりも人だかりでしたね。

寄金先生の質問も、よかったです。
目系に風府ですかってやつ。唸らされます。

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