本屋の治療見聞録 1
せっかく日記帳に書く場所があるのだから、本屋さんの治療見聞録を書く事にしまぴた。多賀フォーの続きは今書き途中で~す。ノートを取り取りのワタシの備忘録の為だけど、誰かの参考になるかもしれないし、◯っちゃん先生、その他大勢の隠れ本屋ファンも読みたいだろうとか思ったりもするし。でもカテゴリーから変な期待はしないでくださいね(笑) 。
たまにいらっしゃる30代の患者さんが、一昨日冷房直撃を7時間受け、翌日から高熱を出したことで、目の奥・周囲と頭がズキズキ痛いし、だるいしどうにもならない、といってみえた。
本屋さんは、いつもは大抵うつ伏せから始めるのであるが、急性症状だからと今回はやることが随分違う。今日は仰向けからまず最初に脈をみて、舌をみている。「やっぱり急性期には見た方がいいのだな」と珍しい光景を眺める。まだ熱があるようで、足は冷たい。「熱だから、今日は鍼灸だけかなぁ」と思いきや、パパパと手足に数本打った後に、大腿部をいじり始める。「ここは取るのが難しいんです、ちょっと痛いですけど目には効きますからね」と言いつつ、ズバリ当たっているポイントに患者さんは痛さのあまり、息を止めてしまう。
目の周りが痛いという事で、顔面部の目の周囲に散鍼をし始めた。「お。これは先日シュガイザー先生が本屋さんの治療で見せた技じゃないか」もう、出来てるよ・・・と思いながら見ていると、次は太淵に弾爪なんてしている。「あ。これもシュガイザー先生がやってたやつだ」と、随所にシュガイザー治療を取り入れている。
本屋さんは≪とりあえずやってみる指数≫が凡人よりもはるかに高い。努力は大嫌いと言っているが、創意工夫(ズルとご本人は言う)を施して、凡人が「面倒くさいから、今度やろう」と永久にやらない事を、ちゃちゃとやってみる。しかも、ご幼少の頃から頭を使い、あらゆる状況設定をしてから物事に当たる癖がついていらっしゃるみたいで、たいていの事は一度でできる。センスが良いと一言で言ってしまえばそれまでだが、「なんとなく」ではなく、「しっかり」物事を多重的に捉えてから行動するというのが、非凡な方の思考パターンであると思えるのである。よって、本屋さんは失敗が少ない、と言うか無い。まず、あらかじめ失敗に陥るいくつかのパターンを思い描くので、それを避けて行動するようである。(にゃので、随時回転中の脳ミソ君は過剰に熱を産むらしい。頭を触るといつも熱い。この辺りは本屋さんにツボの話を聞いてから、随分意識するようになった)。因みに、ワタシも目周りの散鍼を「こんな風でしたよねぇ」と、シュガイザー治療に感化されて本屋さんにやってみたところ、「やめてくれ」と頼まれてしまった。非常に不愉快だったらしい。また首のAKAを施す際の掌の位置も「なんでその指が顔にかかるの、耳を塞がれて気持ち良いと思う?」ナドナド、「ア~たまに誰かにやって貰うのは勉強になるなぁ」と嫌味のつもりじゃ無いらしい、本心を呟くのである(こうするのは良くないという情報を蓄積しているってことのようです)。
さて、伏臥位になってもらい、まだガンガン痛むと訴える患者さんの目の周囲の症状を取るのを目標に治療をする。基本的に、本屋さんは患者さんの服を脱がせない。それこそ四肢末端ぐらいで、あとは手技というパターンである。出ている所だけで勝負するのがポリシーだ。よって、今回の患者さんもTシャツ+膝迄パンツのまま手足に鍼灸を施している。「こういう熱があるときは、Th〇番が凹んでるはず」と言うので、「失礼しまーす」と女の特権を最大限に活かし、触ってみると本当に一ヶ所凹んでいる。「そこにお灸〇壮できる?」と要請を頂いたので、お灸係として治療に参加させて貰う。が、一発目で熱がらせてしまった。この時点で負けである・・・。本屋さんのお灸は指で行う緩和のみで、ほんわか気持ちよ~いスペシャルなお灸である。この〇壮も、「まじないか?」と思うような根拠であるが、必ず本屋さんはそうしている。
足に鍼をしていた本屋さんに「凹みが消えた?」と、問われるが「????」わからない。そこで、本屋さんの療術が炸裂。わずか30秒にして「よし、戻った」と触って見るように促す。「ほ~」、いつまでもぺたぺた触っているワタシをよそに淡々と治療を進めて行く。もう一度仰向けになってもらい、現状を聞いてみると「まだ目の周りが・・・」と。寝ている時は大丈夫になったが、起き上がると響くのか、体位変換がしんどそうである。
「頭にまだ熱があるか見て」と言われたので、触って見ると頭頂部は抜けたようだが側頭部がすごい。上実極まりない、飲食過剰の太ったおっさんの百会の如く蒸れている。「側頭部がまだあります」。「それは今から取るから大丈夫」と、また足をいじくり始めた。時間にして、左右夫々10秒。「見て」。「あれ????」、熱感が引いている。蒸れていたのが無くなっている。そんなにすぐに引くのかぁ??? 氷を当てたってこんなにすぐに引かないでしょう~。えー、えー、えー・・・とワタシはイマイチ状況が飲み込めない。が、本当に熱感が引いているのである。本屋さんの心理マジックかも知れないから、「えー」と思っている間に、何度か触って見た。やっぱり取れている……。
こんだけ、熱も引いたから大丈夫だろうとワタシは思ったが、患者さんは「まだ・・・」と痛みを訴える。今日の患者は手強い。「わかった」と、なにやら意を決したらしく、ゼロ番鍼を探す本屋さん。「うぉ~、眼窩内刺鍼だぁ」と、更に手元に注目していると「この方は骨の形がちょっと特徴的だから・・・」と刺鍼部位を丹念に探し出す。スーッと寸3が根元迄たっぷり入ったまま、しばらく置鍼タイムへ。いつも通り最後の調整をして、抜針後しばらくお休みいただく。ちょうど、多賀フォーの荷物を持ってきてくださった亜東さんがいらっしゃった。荷物を上げたりして、時間が経ったので「いかがですか?」とお部屋を覗くと、「頭痛は収まったけど、まだ目の周りが・・・・」と、大分楽になったが、全ては取り切れていないと訴える。それを聞いた本屋さん、本気モードのスイッチが入った。カチッ。座位にて、頚椎の調整やらを始めている。「最後をどう終えるのか」に興味深々だったのだが、雑用が入ってしまい残念ながら見届けられなかった。
着替えを済ませ、お部屋から出てきた患者さんのお顔は一時間前とは明らかに違う。事務所の奥でなにやら整理を始めていた本屋さんの代わりに、お支払いをしようとしている患者さんの側へ進んだ。「ありがとうございました。楽になりました」と差し出すお金を受け取ろうと、両手を出す前に、何だか嫌な予感がしたので念のため本屋さんをチラッと見てみた。やはり・・・・。なぜだか、手をヒラヒラ振っている。ついでに首も振っている。そして口は「要らない」と言っている。状況が飲み込めない患者さんは口を開けたまま、本屋さんを見つめ返す。「今日の治療は自分的には納得が行かないから受け取れない」と、お財布にしまうように促す。両手を出す前で良かった、と恥をかかずに済んでホッとしたワタシは、「そういう事ですって(笑)」と、患者さんを玄関へお見送りした。
色んな状況によるが、治療費を受け取らないのはよくある事である。意表を突かれて、ポカンとする患者さんへの対応も慣れてきた(笑)。また、受け取った治療費も懐へ入るよりは、多賀大社のお賽銭に入る事の方が圧倒的に多いように見受けられるのであった。
翌日、本屋さんはこの患者さんへ電話をし、情況を聞いていた。フォローはもちろんするのである。
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