« 技の競演 | トップページ | お勧め本 『病家須知』 »

2006年10月31日 (火)

10・18 『診極図説』感想

この数日のアクセス数はすごいです(笑)。最近全然アップしてこなかったのに、怒涛のようにアップされているのを、追っかけ追っかけ読まれているに違いない。そうでしょ?大体どれも長いから一度に読めない(笑)。よって、数回に分けて見ている傾向があるはずだ。一人の人が何度も見ているってだけであろうと思う。お疲れ様です(笑)。

昆先生の金針梅花詩抄もひと段落したので、社長(本屋さん)より「ブログを書いててもいいよ」と、お許しを頂戴したのをイイコトに1日4個も書いちゃったのである。楽しかったぁ。もっともっと書きたいことは沢山ある。タイトルだけは浮かぶんだけど、それを打つ暇が無いんだも~ん。

10月18日に、シュガイザーこと長野仁先生による『診極図説』の講義&実技公開が行われた。ワタシは学校の授業でも打鍼を2回ほどやる事があって体験済みではあったが、それはあくまでも体験済みという事だけであって、治療に活かす事が出来る段階のものではない。まず、小槌がダメだ(笑)。私も打鍼の気持ちよさに打たれて、思わず某社の小槌を購入したが、シュガイザー先生がお持ちの小槌とは重さ、大きさ、長さが比較にもならないほど使い勝手を全く考慮されていない代物だったというのが分かった。打鍼用の鍼もないので、幾つか持っている鍉鍼を代用していたが、長さが足りないのも分かった。「とりあえず、君の弥曽以知の『珠』を使おうか」と、本屋さんがニヤニヤして言っていたが、会場からの帰り道でシュガイザー先生に、金で出来た『珠』は打鍼に耐えうる材質ではないと教えてもらっていたので、うっかり提供せずに済んだ(ほっ)。

打鍼を臨床で使い続けているシュガイザー先生の小槌は先が欠けている。打ち込んできた年月だと、愛着を持って眺めておられた。道具が無ければ始まらないのが腹部打鍼法である。その事もシュガイザー先生はちゃんとお考え下さっており、近いうちに打鍼セットを和方オリジナルで作ろうと仰っていた。本屋さんはすぐにでもやりたくなってしまったようで、先日ハンズで材料を探していた。結局は角材のようなものから、削り出す方法を取らなきゃいけないそうだが、売り場をウロウロしながら「むむぅ~。これは出来たものを売っていただきたいなぁ」と自分の手を汚すつもりのない、ナマケモノ鍼灸師であるワタシは思っていたのである。打鍼用の鍼だが、先が丸いものと、尖っているものの二種類を使い分ける。その時々に小槌の打ち込み方も変化してくるという使い分けバージョンの説明も有った。

日本オリジナルの鍼法である<打鍼>は、シュガイザー先生曰く「出たとこ勝負!」の治療法だそうだ。腹を診ながら、その情報を得た所で処理していく。腹全体を診終わった時点で、アク抜きというか前処理が終わっているという事だが、実際の治療では別の方法をとって変わりにする簡便措置を教えてくれた。コレだけでも得してしまった!

まず、腹診の歴史というよりは、実践的に腹部の見方の講義からスタートした。腹診で一般的に重要視されている診方ではなく、本当に大事なのはお腹の「この部分」と語調を強めて説明されたのが印象的だ。①~⑧までの順序の中で、肝心脾肺腎の配当別の叩き方の違いを説明に盛り込まれていた。リズムに乗せて打鍼を振り下ろす様は楽しそうである。本屋さんもはまった理由の一つは「コレ、自分が入っちゃうねぇ」という感覚のようだ。反応を追いかけながら叩き続ける動作は精神集中にはもってこいなのかもしれない。打鍼は腹だけを対象にしてるけど全身に効くのはそういうこともあるのかもなぁ~。

鍼を叩きながら、深度も変えて診ている。その都度、狙った腹部のポイントの反応を見ながら叩く場所を変えてたりもしていた。配布資料の『秘鍼要語集』の図を用いながら、「この辺りで咳を止める事ができます」、「ココは臓腑の配当がありますけど、よっぽどの事が無い限りやりません」、「ココはこの方向へ流す。直に打ち下ろし、柔らかい打ち方を」、「ココは斜めに強く振り下ろす」、「ほら、ココで音が変わるでしょ。分かりますか、音の響き方の変化が。こういう変な音がするのは良くない」といった、口伝が実技公開中にはバンバン飛んでいた。腹部打鍼とは関係ないが、足三里の取り方を教えてくれた。「教科書の三里ってどうしてああいう取穴部位になってしまったんだろうね」と、使えないものを教科書に載せている現状についてぽろっと仰っていた。

腹診とは関係無いが、腕の持ち方一つで経絡が出てくるのを見せてくれた。これにはびっくり(笑)。本屋さん的には「ありゃ秘伝だよ、よく言った」という類のコツだったからである。「こういう視点で技を盗むんですよ。見方を教えてあげているのに、殆どの人がもって帰らないからなぁ」と喋りながら、腕の持ち方を小腸経、大腸経とやって見せてくれた。参加者が動く手元ばかりを凝視するのが、不思議そうでならないシュガイザー先生と本屋さんであった。シュガイザー先生の身体の使い方は素晴らしいと、見る人が見ると言う。肩甲骨の柔軟性と下半身の安定があるから、ああいう手技が出来るんだと話していた。やっぱり下半身かぁ。

そういえば、事務所で散鍼をするワタシの後姿を、じぃ~っと見ていた本屋さんの武術系の関係者の視線を、なんだか不気味な気配として感じていたのだが(笑)、その人が言った一言が「背中が繋がっていない」というものだった・・・。最初は意味不明のご指摘であったが、説明を受けるとなんとなく分かった。それにしても、どうして多くの人は初期設定で肩が上がるようになってるんだろう?  人間は楽する方向へ行くものなのに、緊張する方向へ行って凝りを自ら作り出すのはおかしいと思うのだが。重い腕を自由に動かす筋肉が発達しきってないから、脊中に寄せるように使うのかなぁ。本屋さんはよく「この緊張が要らない!」と、身体の大きな筋肉を触りながら、<身体作りの会>の時に口癖のように言って回っている。う~ん、身体作りは本当に奥が深いぞ。

シュガイザー先生は普段、「ブロックが入っている?」と思われる重さの鞄を、片方の肩にかけてスタスタと歩いている。随分前に間違って、「先生、お鞄をお持ちします!!」と、下っ端らしい態度で張り切って臨んだ事もあったが、あまりの重さに「前言を撤回します・・・」と無かった事にしてもらった経緯もある。「腰痛になった事ありませんか?」と伺ってみたら、全然無いらしい。肩こりも無いらしい。頭痛があるのは目を酷使しすぎるのと、寝不足だろう。「小手先鍼灸師を目指せ!」と、冗談に引っ掛けて言っているニコイチであるが、実は相当にハラが出来ているのだ。そこを見誤ってはイケナイ。そういえば本屋さんの鞄も重い。ついでに服も異様に重い(笑)。本屋さんの奥様のお話では、これは本屋さんの父親譲りだそうな。

勉強会も終わり、正木先生の講義にも参加し終わり、シュガイザー先生と事務所に戻った時に打鍼を実際にやってもらえる機会が訪れた!やったぁ~。説明しながらだからというのもあるのか、一人に20分は掛かったので、随分と手の掛かる治療法であるというのが分かったが、ココの反応を足を使って取る、という風にお腹から出て行く治療もご披露頂き、その関係性が非常に面白かった。ワタシの場合は身体の何処と何処が繋がっているのかというのが、自分の中に入っていないので、時間が掛かる治療法ではあっても却って勉強になるなぁと思う。患者が列を成して待っているわけでもないので、じっくり時間をかけて治療しながら勉強させてもらう段階というのも有って良いと思うのだ。が、いつも「まだやってるの?!」と、本屋さんには注意される。長く寝かせられている人の身にもなりなさいよ、と言いたいのであると思われる。「(身体を動かせない状態を強要されるから)置針が嫌いなタイプの人もいるんだからね!」とも。「同じような治療しかしない」と言いつつ、その辺りちゃあんと使い分けているのも最近分かってきた。

シュガイザー先生実技公演中のモデルに対する治療を見ている限り、結構優しく触っていたように見えたのだが、ワタシのお腹が硬かったのか、触診&打たれる鍼もかなり痛い。「うぅ~痛いですぅ」と、トトントントン♪というリズムで打ち込まれる度に、唸っていたが、「治療ですから」と返されてしまう。「優しい打鍼」は幻想であったか・・・と、イメージが崩れていくのを見送りながら身を任せていると、数分後に押圧されても、ちっとも「押された感」がなくなってくるのを発見。こりゃすごい。以前学校で習った打鍼は先生のデモを見ながら学生同士でやっていたので、かなりソフトな<振動>であった。「結局さぁ、この<振動>が腹膜の緊張をほぐすんじゃない?」と分かったような口をきいていたのがお恥ずかしい・・・。シュガイザー先生の打鍼は足や顔や背中や、身体の色んな部分に刺激が走って行った。お腹をいじるだけだが、全身治療になっているのを体感できた事は<お腹>に注目する上でとても良い経験をさせてもらったと思う。先生ありがとう!治療後に椅子に座るともっと実感。くにゃっとお腹が崩れるのだ。「へぇ~いつも緊張してるんだぁ」と、敢えて猫背をしてみては気持ち良いお腹のダレダレ感に酔いしれていた。

講義中はずっと遠くから見ていた本屋さんもこの時は側で見ていて、「手元で見ると、また違うねぇ。いやぁ、何に拘っているのか良く分かるよ。先生にとって重要なのはこっちのこの指でしょ」とズバリ指摘し、先生の顔つきと手が暫く止まってしまった。「だから『秘鍼要語集』で、だからその持ち方にしたのね」とも。

核心を衝かれて手が止まったのか(笑)は定かでないが、あまりにもハイレベルな質問だったのは間違いない。多分これはシュガイザー先生は講義中は言わなかったし、受講生の誰も気がついていないことだったと思う。数瞬躊躇したものの、本屋さんのその問いかけによって、どぉ~っとシュガイザー先生が大切にしている診方、やり方が出てきた。「ね、質問てのはこうやってしなきゃだめなんだよ」「その人が何を大事にしてるのか知ってないと何考えてるかなんか分らんでしょ」と本屋さんは涼しい顔して言っている。

この時点で相当打鍼が気に入った本屋さんであったが、ワタシの次にシュガイザー先生の打鍼を実際に受けてみて治療効果の高さに驚いていた。この後、京大での講義と森ノ宮での講義のために2日間をシュガイザー先生と行動を共にしたらしいが、その間新幹線の中、シュガイザー先生の治療院でと、数時間は打鍼セットを借りてやっていたそうである。「刺せた方がかっこいいから」とか言いつつ、やっている事が相当ストイックである。ワタシも含め、30人以上いた参加者の中でどれだけの人が数時間やっただろうか・・・。

その後、随分日も経った時点で本屋さんから「打鍼の持ち方やってみてちょ」と、またも唐突にテストがあった。張り切ってやったのが全然違っていた事から(涙)、「だからあ、どうして、頭のビデオテープを回さないわけ? あんだけ近くで見てたでしょ。事務所に帰ってだって見てたじゃない」と言われてしまう始末。この間の○っちゃんの治療の時にさんざ言われたのに全然出来てないじゃん!」    ……こういう事を書いていると、自分で自分の首を絞めている気がしてならないが(汗)、実際にこんなやり取りが繰り広げられていたのだ。だから、本屋さんが打鍼の練習をするのにお腹を提供したときも、何故か目隠しをされて、盗み見れない罰の刑に処された。その後も間違えるたびに、「そんなんじゃさあ、教えてくれた人に失礼だよね。長野先生もきっと悲しいと思うなあ……、もう止めちゃうよ、講演会とかさぁ」と脅され続けた(笑)。5回ほどリベンジを挑み、幾つかのヒントを聞き出してようやく正解に辿り着いた。一回正解を叩きだすと、「実はアナタは此処には気がついていたみたいね、あとは、この部分が大事なんだよ」とちゃんと細かく教えてくれる、実は優しい本屋さんであった。とりあえず、クビは繋がった気がする。まだまだ、やりたい勉強会の案は沢山あるのだぁ~!! 内輪のこっそり勉強会も企画してるのだあ~!!

で、次回12月20日は『診極図説』の本をテキストに講義の予定。実際に腹部打鍼をご覧頂いてるので、本の読み方が進むであろう。(でも本屋さんは長野くーんの原稿の進み具合を心配している)「あく抜き」の終わったお腹に残った腹証を、『診極図説』を紐解いて、証として捉え、選穴していくと治療が完成すると予告されていた。楽しみである。

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

 【--- Ads by Google ---】は勝手につくもので当ブログの内容とは無関係です。

--- Ads by Google ---

治療家の手の作り方

神道の呼吸法

ハイブリッド難経

超鍼灸法

東洋虹彩診断 『診断革命』

新日本鍼灸楽会草紙

大師流小児鍼

日本腹診の源流

皆伝/入江流鍼術

六然選書① 尾張藩医浅井家伝 金匱口訣

古伝大東流闡明

|

« 技の競演 | トップページ | お勧め本 『病家須知』 »