古本
本屋さんは取次店へ納品に行くと、決まって5冊は本を買って帰ってくる。その度に本が事務所に増えていく。本棚は始めから飽和状態に近かったので、所狭しと床に並べられてゆく本達・・・。何度、けっつまずいた事か分からない。分厚い赤い辞書『中正形音義綜合大字典』(これを手に入れた日は嬉しそうだった!)に三度もつまづいて、その度に手をテーブルの上の文房具に突っ込む羽目になった日には、さすがにムカついたが、本屋さん曰く「日常動作で足を引き上げる動作はなかなか無いでしょ。君のために用意してあげているんだから、頑張って足を上げて通りなさい」と(ヘリクツ)。でもそうなのだ。つまづいているのはワタシだけである。アチコチにぶつけて青あざを作っているのもワタシだけである。肉体が違うからしょうがないのだろうが、本屋さんには障害ではないらしい。因みに、青あざには皮内鍼を貼ると早く治ると教えてもらったので試してみた。確かに鍼の周囲だけは色が抜けたので、これは全体を網羅するように貼るべきだったと思ったのである。
さて、本屋さんが先日古本屋で買って来た本の中に『常用腧穴臨床発揮』中国語版があった。本の背表紙をめくりながら「あぁ~誰かが売っちゃたんだねぇ。日産厚生会玉川病院・東洋医学内科のハンコがあるよ」と、本屋さんが発見した。以前買った本には『中医臨床』とかに名前が出ているような有名な先生の蔵書印があった事があったし、間中善雄先生が丸山昌朗先生に贈呈したサイン(丸山昌朗仁兄恵存 昭和45年七月 愚弟 知愚庵 敬贈 印)のある本も古本屋で見つけてきた。本屋さんは「先生が一生懸命集めた本もこうして売られちゃうんだねえ」「丸山先生の蔵書も散逸かあ、御弟子さん達はなにやってんだろうねえ」と嘆く。この日産厚生会玉川病院については、某雑誌で臨床レポートみたいなものが連載されていたけれども、ハンコが押されている『常用腧穴臨床発揮』が売られちゃうってことは誰かが盗んで売っちゃったって事なのか、それとも病院がこんな本いらないって判断したのかどちらかのわけで。本屋さんに言わせると、鍼灸やっている人である年代の人ならピンと来る◯◯のリハビリテーション病院でも、使い込みとかいろいろあったらしいし、ある程度の機関が蔵書を廃棄する場合は廃棄印を押すのが普通だから、案外誰かが持ち出しちゃったものが巡り巡ってここに来たのかもしれないそうだ。もちろん本屋さんは当然の事ながら『常用腧穴臨床発揮』は2冊も持っていて(そのうちの一冊は某先生の印鑑付)、今回は適正な値段で古本屋に出ていたので買っておいとこうと思ってたら、初版(1985年11月)で日産厚生会玉川病院・東洋医学内科の(昭和61年)ハンコ付き、というものだった……との事です。これも来年の多賀フォーの景品になるか、勉強会に来ている人で希望者の手に渡る運命なのかも。長野書店に日本中の『夜鳴く鳥』が集まる程ではないにしろ、ここにも毛色の違う本が結構うようよしている。特に本屋さんは、所謂鍼灸とは直接関係ない、だけどちょっと角度を変えるととても治療には役立つ分野の本が御得意みたいで、長野書店の品揃えとはまた違った領域にも鼻が利くみたいだ。クンクン。
先日のブログ、「押手が甘い 続編」にも書いたが、来年の勉強会は本屋さんの幅広い知識から周辺知識を学ぶ会をやりたいと思っている。毎月一冊の本と共に、それを読み解く周辺知識の解説をお願いするという具合。例えば『八面体質論』、『五輪九字明秘密釈の研究』などを教材として購入して、その本の解説を本屋さんに聞く。単発形式で興味のあるものに参加できるというスタイルにして・・・。と、ご本人の了解が取れていなくても構想だけは持っている(笑)。万が一のチャンスにすぐに乗るためにはコレが重要だと思っている。うっかり、本屋さんがやる気を見せた瞬間に畳み込むには具体的なプランがないといけない。こうやってプランを書いておけば、参加したい人もソコソコ集まるだろうし、たまにこのブログをチェックしている本屋さんも、こうも頻繁に書かれているのを知ったら、なんとなくまあしょーがないかって「やるつもり」になるかもしれない(笑)。刷り込みの術である。
本屋さんの講座に参加しているある学生が言っていた「どこの勉強会も人が来ることを望んでいるのに、早く参加者がいなくなることを望んでいる所は初めてである意味驚いた」って。結局金儲けようとか思ってないし、勉強は自分でするもんだと思っているので、みんながそうなってくれれば誰も来なくなってそれでいいと思っているらしい。ところがどっこい勉強の仕方が分っていない人もいるし、本屋さんのように「鼻が利く」人ばかりじゃないのが現実だ。そういう人達にとっては、先に走っている人の言葉は結構参考になるのである。殆ど毎日一回は「え、○○ってほんとに知らないの?」って言われているワタシである。この間は「カノウジゴロウ」だった。普通の女の子(笑)はそんなこと知りません! でも「自分をバカ呼ばわりして(知らないで済ますって事でって解釈してまぷ)問題の解決を図るんじゃない!」とも言われているので、日々雑学収集に勤しむ今日この頃です。
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