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2006年11月

2006年11月29日 (水)

ただ今本屋さんは海外出張中~。鍼とは全然関係ないお仕事らしい。昨日、事務所に電話機のナンバーディスプレイ<表示圏外>から「何か問題はないですか?」と一応社長らしく電話を下さった(笑)。

今日は本屋さんの患者さんでもある、数件先の歯医者さんのお話。ワタシもお世話になってかれこれ1年近くになる。思い起こせば去年の今頃、とっても硬くて素朴な、大好きだった自然食品のビスケットを食べていた時のことだった。左右の下の歯に激痛が走った。しばらく顎を開けられない・・・。何があったんだろう・・・と恐々口を開けてみたが異変は無い。「無かったことにしよう」と、そのまま硬いビスケットを食べ終えた。それから数ヶ月後、食事中に同様の激痛が走り、口を開けると歯が欠けている。おぉ・・・あの時の激痛はひびが入ったのであったのか!と、合点がいき妙に爽快感が出たのもつかの間、下歯の両方ともひびが入るほど、あのビスケットは硬いのかぁと驚いたものだった。

歯が欠けたまま国試に望むのも気分的に嫌だったので、本屋さんに紹介してもらって治療に通い始めた。この歯医者さんは歯だけを見るのではなく、身体全体の構造から歯の治療をしてくれる、とても頼りになる先生だ。「顎が開かない患者さんがいて治療が出来ない」と急遽呼ばれて本屋さんが駆けつけたこともあったなぁ。色々と模型を使って歯並びのことや頚椎との関係だとかを教えてくれてありがたい。治療イスに乗るときも、「頚椎の安定する所に頭を置いてね」とマニアック。そんな先生なので、ワタシもつい「先生、歯に物が入りやすい周期ってありませんか?歯並びがゆるんでいる周期がある気がする・・・」という質問を投げかけてしまう。だが、先生は<我が意を得たり>とばかりに大いに頷き「あります!下顎が首肩の緊張や噛み締めで後ろに下がっている時期は歯が詰まっていきます・・・」等と教えてくれた。内側翼突筋のマッサージをすると歯茎の腫れが引くのも習ったので、たまにまだ残っている親知らず付近が腫れた時にはやってみると、次の日には腫れが引いているから面白い。なので、まだ抜いていない(笑)。

結局治療は欠けた歯だけに留まらず、全部の被せたものを取ってやり直すという大作業になった。銀歯を外してみると、茶色く溶けた部分が出てきて見せてくれる(笑)。うへぇ~。虫歯が中から進んでいたため、硬いものを咬んだ瞬間に割れてしまったのだ。全部で9箇所やり直し。素材にも拘っている歯医者さんの力説に納得し、セラミックと金で頼んだ所、すごい金額になってしまってびっくりしたが、<養生オタク>としては正しい選択として自己満足している(笑)。

この一年、常に仮詰めの歯が何処かにある状態だったので、硬いものが結構苦手である。だが、よくよく考えてみると仮詰めのせいだけじゃない気もし、この年にして、もうこんなに咬めないのか・・・と、シュガイザー先生の色体ちゃんの校正中にあった「腎が衰えてきて歯が抜けたら、入れ歯をしてまで硬いものを食べる必要は無いのだ。」というくだりが胸に堪えた。そのことを、心の呟きとして歯医者さんに言ってみると「アナタは硬いものを食べてきてないでしょ。だからそういう歯じゃないだけ。自分にあったものを食べるように歯が出来ているんだから気にしなくていいんだよ。ムリして硬いものを食べなくていいから」と、意表をつく回答を得て心強くなったものだ。母親にその話をすると、「そうねぇ、野菜ばっか食べさせたわねぇ」と言っていた。

そもそもなんで、硬いものが「きびしぃ・・・」と思うようになったかと言えば、六然社に入ってからかもしれない。本屋さんは非常に強健な歯をお持ちなので、がりがり咬むものが大好きだ。梅干を食べるとずっと種を口の中に入れている。人間も頬袋を鍛えられるのだ!と言っていた。口に入れてから半日以上経ってから、突然がりがりと音が聞こえ「おぉ、まだ口に入っていたのか!!」とびっくりすることもしばしばである(笑)。

そんなわけで、歯医者さんは虫歯だけを治療するのではなく、歯を通してその人が好む食べ物だったり、精神状態、身体のクセから来るゆがみナドナド、人間丸ごと一個を見ているのであって、我々の仕事と似ているなぁと思うのであった。実際、本屋さんとこの歯医者さんは、ある患者さんの治療を今風に言うと<コラボ>しているし(笑)。専門家同士ってすごいなぁ。早くスペシャリストといえる自分になってみたいものである。

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2006年11月21日 (火)

歩みの第二段階(笑)

 黒忍者は当然ながら歩くのが早い。シュガイザー先生もそこそこ早い。
思い起こせば1年前、シュガイザー先生と本屋さんと一緒に歩いた時は、ワタシはお二人の歩くスピードに着いていけなくて、走っていた(ホントです! 笑)。でも、二人ともそんなにシャカシャカ早足で歩いているようには見えないし、ずっと喋りながら進んでいく。本屋さんの歩き方は頭の高さが殆ど変わらず、たしかにちょっと普通の人と違う雰囲気ではあるものの、手足をやたら速く動かしてるわけでも、そんなにコンパスが長いわけでも(笑)、急いでいるように見えるわけでもない。……でも早い。

 これがなんなのか、薄々感ずいてはいたものの、特に一生懸命早く歩くように努力してきたわけではない。

 ところが、数ヶ月前、シュガイザー先生と一緒に歩いている時に「歩くの早くなったね、っていうか僕より早い」と言われて気がついた。おぉ、身体半分シュガイザー先生の前を歩いているじゃないか!先生の前を行くなんてイケナイ、イケナイ(笑)。先生は何時ものようにブロックのような重さの鞄を持ちつつだったのだが、それにしても同じペースが自分のものになっていた。

 ふと気がつくと、本屋さんと一緒に歩いていても、ほぼ同じ速度で歩けるようになっているのである。これが本屋さんのいう「空気伝染」か!(笑)  ワタシの身体も随分変わったもんだとほくそ笑んでいたある日、本屋さんと神保町の町を歩いていた時に突然、本屋さんが、「アナタも大分普通に歩けるようになったから次の段階に入ろうか?」と言って、突如歩き方を変えたのである。変えたと言っても何かが変わったのが分かっただけで、ピッチをあげるとか、シャカシャカ歩くとか言うのではない。……でも着いていけない!?!?!  ぬあにぃ! ホントはこんなに早いの???

 「身体の此処と此処をこう使う」というその秘訣を後から聞いてなんとなく掴みかけているので、そのうちワタシにも、この本屋さんがいう「次の段階の歩き方」にも何時の日か手が届きそうな感じはしているが、「だったら、始めからそれを教えてくれればいいのに!」と思って言ってみたら(笑)、「始めにそう言っても身体の感覚が育ってないからなんのことやら分からんと思うよ」との事。言われてみれば確かにその通りだと思う。ただ「歩く」という誰もが普通にやっている事でさえこうなのだ。「鍼は腹で打つ」とか「足の力を手に伝える」とか「体重を乗せる」とか、いろんな事をいろんな人が言うけど、身体が出来てなくっちゃ分からない、見えない世界って絶対ある。出来る人にとっては「口だけの人」はお笑いの対象にしか過ぎないっていうのも理解できる。

 第二段階へ突入の翌日、朝起きて駅まで歩き始めると腰に若干の痛みがあった。まだ動きが自分のものになっていないので、無駄に力を入れてしまっているのが原因だろう。事務所に着いて、市民講座で本屋さんが教えていた腰痛ストレッチをやってみたら取れたので、身体の大きな筋肉というよりも、中の使い方がイマイチだったようだ。

 本屋さんは本当に楽々と歩いていってしまう。上半身、下半身ともユルユルと何処にも力が込められていない。しかも、軽身功(の真似事、と本人は言う)とかいう技を使うと、ドクター中松が開発した変なスプリング付きのシューズを装着しているのかと言うほど、「ピョ~ン、ピョ~ン」と飛ぶように去っていってしまう。人混みでコレをやられると、見失う・・・。しかも、人々を避けるのが上手なので、速さにはどうにかついていけても、障害物(人)を上手くかわせないワタシはロスタイムが大きくなって、どんどん離されてしまう。昔、修験道の人々は「野山を飛んで駆け抜ける」と言われていたそうだが、きっとこういう事だろうという気がする。たまに本気で走るとあっという間に居なくなる。「陸上部だったんですか?」と聞いてみたが、「たまにね」とか、「頼まれてね」とかよく分かんない答えしか戻ってこない(笑)。

 そうそう、先日ラグビーの試合で捻挫をした男性が松葉杖をつきながら治療に来られた。本屋さんが身体を触りつつ、「あんまり夜寝付きが悪いと言うか眠れてませんね、身体の故障も多そうですねえ、あ~肩もやってるでしょ、身体のこちら側だけがよく故障しない? あと、こんな事まで言っちゃうと申し訳ないんですけどこういう風に物事考えるタイプでしょ。」等とご本人が常々気にされているポイントを次々と当てていくので、びびっていた(笑)。故障グセをどうにかしたい、という思いが最近ピークに達していたらしく、本屋さんとの出会いから突破口を見つけられたようで本当に喜んでらした。涙を浮かべて感激しているようにも見えた(笑)。<身体の使い方>は鍼灸師だけでなく、万人が知って、体得しておくべきだなぁ、と思った次第である。体育の授業でこういう事を教えれば日本国民の頑強さが益すのになぁ(笑)。でも、こういう教育って徴兵制に続きそうだから阻止されるって、本屋さん達が話していた気がする。世の中知らない所で、色んなバイアスが掛かっているものなんですね。

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2006年11月16日 (木)

東京巨鍼倶楽部(プレ?)

本屋さんの治療を受けている鍼灸学生や、巨鍼のデモをご覧になった方々から巨鍼作りを教えて欲しいとの要望が前々からあった。巨鍼は現在何処にも売っていないものなので、挑戦するなら自分で作らなければ鍼がないのだ。A商店が作るという情報もあったが、その後どうなったのか知らない。ただ、鍼先の感じが違う印象だったのを覚えている。

最初はどこかの会場を押さえて、いつもどおりにおおっぴらに告知をして開催しようと思っていたのだが、要は<工作の時間>と同じで結構汚れるのと、「少人数できっちり見てあげたい」という本屋さんの意向を汲んで、事務所で開催することにした。よって、限定6人の参加者を募った。案の定、半日も経たずに(殆ど数時間)で定員に。お断りしてしまった方々、ごめんなさい。

企画内容は、①巨鍼作り、②自分の作った巨鍼を本屋さんに刺してもらう、③出来上がったものをオートクレーブで滅菌処理をしてお持ち帰り頂く・・・という具合。

今回は材料を持参してもらった。巨鍼は自分で作り続ける以外には臨床で使えない。工具から全て持っていないと話にならない。また、この作る動作そのものが鍼を上手くする。参加された中には初心者の方もいらっしゃったが、センターを出すのに随分苦労されていた。2年前に初めて作った時の事を思い出しながらワタシも一緒に作ってみたが、あの時は「永遠にワタシのは出来上がらない・・・(泣)」と思えるほど、鍼先を作るのは大変であった。その時、同じ机を囲みながら作業をされていた、リッキーS田先生は初回ながらあっという間に作り上げてしまい「鍼を普段からやっている人は違いますねぇ」と本屋さんに絶賛されていた。初心者の方々の進み具合を見るにつけ、「お、ワタシも随分鍼を持ちなれてきたんだなぁ」と2年の歳月はまんざらではないと、自己満足に陥っていた(笑)。

実は、材料持参の背景には、どの程度「巨鍼作り」に意気込みを持たれているのか、カルチャー気分とそうでないかを推し量る面でもそうさせてもらったのだ。「自分で材料を揃えるところから勉強は始まっているんじゃぁ~」という、本屋さんの言い分をこっそり踏まえ、参加者からのお問い合わせには応じず、逆に材料リスト一覧を送ってもらうように要請した。開催告知後数時間で手を挙げる方々であるので、早々に立派な内容が送り返されてきた。「えぇ~分からない、教えてください。」とでも言う方がいたら、即刻中止になっていただろう(笑)。

また、本屋さんも良く言うが、<巨鍼>の扱いにはとてもデリケートになってもらいたいと思っている。「長いから曲げないようにね」という鍼の持ち運びの問題でない(笑)。強烈な太さと長さの鍼であるので、そのインパクトはすさまじい。鍼灸師だって目を見張るのだから、一般の方々の反応はもっとすごいはずだ。治療という枠を超えて、一歩間違うと大変な誤解を生む可能性も出てしまう。例えばテレビでのお笑い系番組の罰ゲーム等に使われるとか、単にセンセーショナルな話題だけを提供している媒体に取り上げられるとか。豪鍼ではあったが、テレビでそのように扱われているのを実際にワタシは見たことがある。ゴールデンの時間帯でのお笑い番組で、ゲームに失敗したタレントに「失敗したのは動かないこの手が悪い。<治療>として鍼をしてもらいましょう!!」という風に、別室へ連れて行かれて手三里だか、曲池に打たれるのだが、趣旨は罰ゲームであるので、猛烈に痛がる、「身体の中からおかしくなるぅ~」というように誇大に表現する。彼らはそれが仕事だからしょうがない。が、この場で鍼を打っていた鍼師はにやけた顔で映っており、どうしてこんな仕事を受けたのか、そんなに金に困っているのかと、その後を考えないこの人間の浅はかさには軽蔑を通り過ごして、鍼灸師を辞めてもらいたいと思った。仮に、ゴルゴ36先生にオファーがあれば、断固としてお断りされるだろうが、先生の手を離れたところで巨鍼を習った方々が、どのように扱うのかモラルが常に問われると思う。今回この会を企画したワタシとしては、ゴルゴ36先生のお顔を思い浮かべつつ、この点だけは危惧していた。まぁ、本屋さんから学ぶんだから、ゴルゴ先生の思い入れなど等もきっちり伝わるので問題ないんですけど、念のためね。

そういえば、ちょっと以前の事だが、本屋さんは「どうしても巨鍼を体験したい!」と押し掛けてきた学生に(その人は単に巨鍼を体験したいというだけの意識だったようだが)巨鍼だけでなく、きっちりと治療していた。「巨鍼に対してよくないイメージを持たれたら教えてくれたゴルゴ36先生に申し訳が立たない」というのが本屋さんの本音だ。

日曜午後の昼下がりからスタートした巨鍼の会であったが、終了は夜も更けていた(笑)。本屋さんは実労8時間といった所であった。何故にこんなに時間が経ってしまったのか・・・。順を追って説明しよう(笑)。※また長くなりますよ。

鍼作りを始める前に、ココは六然社であるので本屋らしく、自分では滅多に手に入れる事の出来ない、コアな本の販売会が行われた。こういうのを喜んでくれる方々も多く、手に入れた本を嬉しそうに持ち帰る姿はシュガイザーと相通じる。

まず、本屋さんが作った巨鍼を皆さんに回して、本屋さんが出席者にプレゼントした15倍のルーペで先端を見て覚えるように促す。最近本屋さんは50倍で見るのがお好きなようだが(160倍というのも持っているが大き過ぎてダメらしい)、100倍を持参された方もいた。10倍から上がって行って100倍で見るとさらにすごい(笑)。「うわぁ~こんなにはっきり先が分かる~」とはしゃいでふと実物に目を落とすと、毫鍼じゃないから慣れてくるとわざわざ拡大しなくても普通に見える・・・、という事に気付くとなんだかおかしい(笑)。

「初回は苦労して作ってください。裏技は色々ありますが、敢えて教えません」と、自分は裏技を駆使しつつ、皆さんには険しい道をおススメする本屋さん。ワタシも初回じゃないから、と言い訳しつつ裏技工具をお借りして時間&労力の短縮を図ってみた(笑)。「とりあえず、この段階はコノ道具、次はコレが王道。だけど、場合によってはコレを使って、次のソレ」という具合に、各自が持参した道具を組み合わせて、事細かに使用法を教えてくれる。この辺りは本屋さんの工夫伝である。皆さん同じ物を持っていなくても、それぞれに応じて作り方を教えつつ、もっとも原始的なやり方から、横着技まで網羅している所が裏街道も表街道も知っている本屋さんならではである。ゴルゴ36先生のところで巨鍼を学ばれたといっても、このような巨鍼作りの機会なんてあるはずもなく、本当に<盗み見て>の世界である。実際には一度、臨床実践塾講座で巨鍼の作り方を新城先生が見せて下さった事があったが、本屋さんの場合は一度刺されただけで、その後自分で巨鍼を作ってゴルゴ36先生の所に持参したらしい。誰にも聞かず、苦労して自作したからこその創意工夫が蓄積されたのだろうが、自力でソレをやる人、やらない人の差というのは人生の送り方まで違うのだと、「やらない人」代表のワタシは最近思う。今回の参加者の方々へは材料をこちらから提示しなかったので、実は使わない番数のやすりを用意してしまったりと無駄も出てしまっていたようだが、こういった事を通して刻まれる意識もあるだろうし、「○○のハンズにはあったが、△△には置いてない」などという情報交換の場にもなっていた。もちろん、バックアップを欠かさない本屋さんの事であるから、材料も、工具も、買えなかった人の為や落ちこぼれが出ないようにそこそこ用意していたんですけどね(こっそり教えちゃうと)。それが使われる事はなかったようなので良かった、良かった。

作り始めて2時間以上が経過した辺りで、実践塾にも行かれている先生が一番乗りで仕上がった(さすが!)。自分で作ったのを右、本屋さん作の巨鍼を左に受けて「鍼の進み具合、抵抗感、残鍼感が全く違う」と身を持って実感されたようだ。順次鍼製作が終わった方から、背中に受けるトライアルタイムが訪れる。

 ……と、ここまでが企画内のことなのだが、根っからの治療家である本屋さんは、身体に触って「おかしい」と思った部分は治してしまう(笑)。だから、仕事の都合で先に帰られたお一人を除いて、巨鍼の体験以外に、かなりの全身の治療も含まれていた。よって、5名が体験し終わるまでに3時間。いやぁ~治療家魂に頭が下がります。参加者の方にとっても、巨鍼を含む全身治療の5パターンといった予期せぬ見学も大いにお役立ちになったで事でせう。

その後は、晩御飯の時間も過ぎちゃったので本屋さんからの差し入れを片手に至福のひと時であった模様。実はワタシは患者さんの治療が入っていたので中座してしまったのだが、毎度のようなダラダラ長い治療を終えて治療部屋から出てきても、まだ皆さんの熱は冷めていなかった(笑)。テーブルの上には、食料が随分残っており、「あれ、遠慮しちゃったの??」と聞く私に、ずっと片手に本を開きながら、お話を聞きながらで、食べる暇がなかったとの事であった。なんだかワタシが見た事もない怪しげな資料「中国医学を学ぶ上で誤解し易い点」も配ってたし(この資料については次回の経絡経穴講座で解説してもらう事に決定!)。いつの間にか巨鍼に無関係な2時間弱の講義も含まれていたのか・・・。

余談であるが、参加者が巨鍼を受ける度にベットに横たわった背中をワタシも触らせてもらったが、夜に来たワタシの患者さん達よりも鍼灸師の方がよっぽど状態がひどかった(笑)。こりゃぁ、思わず治療しちゃう本屋さんの気持ちも分かるなぁと思った次第である。本屋さんの治療を受けて「初めて痛くない鍼と熱くないお灸を体験した」と感激されていた方もいた(巨鍼がメインでこういう感想なのが意味深:笑)。鍼灸師であってもこうなのだ。こういう感想を聞く度に、本屋さんは「たかが本屋ふぜいの治療に感激する鍼灸師がいるなんて、如何にコノ業界の学校教育のレベルが低いかって事でしょ。嫌になっちゃうなぁ、つまんないよなぁ」と嘆いている。あぁ、今この場にシュガイザー先生がいてくれれば、「鍼灸の世界も楽しいもんだ」と思うリカバリーの瞬間が訪れるのにぃ・・・と神頼みしてみても、こういう日に限ってシュガイザー先生から電話が来ない(笑)。「また、患者が増えちゃいますよ」と言ってみると、「急患と紹介しか見ない」と、お決まりの文句が返ってきた(笑)。「まして、仮にも鍼灸師なら自分で治せってもんだ」と言いたげである。そうして朝までパソコンに向かって仕事(本業?)してたみたいだ。一体いつ寝ているんだ? 次の日事務所にワタシがいってみたらもう(まだ??)いるし。でも「同業者の治療はしたくない!」と言っている本屋さんの患者さんに鍼灸師が何人もいるのをワタシは知っている(笑)。

講座一日の締めくくりに、参加者の方が作られた巨鍼をパック詰めにして、洗濯機サイズの大型オートクレーブで滅菌処理したものをお持ち帰り頂いた。50cmが入るオートクレーブはそうそう無いのであるが、参加者へは「ここに来て作った方はいつでもココのを使っていいですよ。滅菌パックして御返しします」と、明るい希望の道が開かれたので、参加された皆さんも安心されたに違いない(せっかく巨鍼をやるならいい加減な扱いをしてほしくないという事だと思います)。が、企画者としては、本屋さんに、こんなに長時間働かせて良いものか??と一抹の不安も胸に巣食う。「あの内容であの値段は破格では??」との参加者の声もあった。そうなのだぁ・・・。「内容はコレで、3時間+チョイでいいですから」とお願いしたところで、延長に次ぐ延長で、時間が許せば最大限のものを出してしまうのが本屋さんの性分であるのがこの1年でよ~く分かった(笑)。これを見越して企画を立てないといけないのだ。本屋さんがお知り合いを集めてココでやっている(ワタシは参加出来ない)謎の講座とはわけが違う。参加者は言うなればワタシが勝手に集めた一般公募なのだからね。実は今後もこういった(実技もすぐ出来る環境だし資料もすぐあるし)事務所開催の実技講習会をしてもらいたいなぁ、という考えは以前から持っていて、その第一歩のお試し部分を持っていた巨鍼の会であるが、これじゃぁ先生の負担が多すぎた??という面もぬぐい切れない。う~ん、悩みどころではある。デモねぇ、独り占め(してるわけじゃないけど)には持ったいなさ過ぎるのですよ、この本屋さんは。

さながら、STOP THE 墓場行き運動 と題して今後も続けたいのである。本屋さんに了解を得られたら、またご報告したいと思いまぷ。

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2006年11月12日 (日)

治療現場密偵

このブログで割と登場回数の多い○っちゃんの、お仕事現場を偵察(笑)に行ってきた。到着日の夕方から翌日の夕方まで、正味丸一日見学することが出来、質疑応答&奥義披露&伝授会も開催されたスペシャルな週末であった。○っちゃんにはいつも、本屋さんを初めとする各治療家の技の解説(通訳)頂いているのだが、今回の滞在では非常に得るものが大きかったなぁ。もちろん、均整術のアレコレも見せてもらった。習ったものをココで書いても良いのだが、文章では伝わらないことが多いので今回は<身体の使い方>に焦点を絞って書こうと思う。

現在、○っちゃんの相棒は元クラスメイトのR先生だ。彼是6年程一緒に仕事をされているらしい。R先生はパソコンもお持ちでないらしいので、ここでは思いっきり感じたことを書いてしまえ(笑)。だぁって、こんなに対照的なことってないんだもん!

均整術をご存知の方も多いだろうが、特徴的なのは患者を<揺らし>ながら全身のバランスを整えてゆく点にあるとワタシは勝手に思っている。○っちゃんは手足を揺らすことで、全身の調節をしてしまう。同じ事をしている動作の中でも、実は違うお仕事をしていたりするようで、コノ辺りが本屋さんと通じる。今回の密偵を通し、ワタシ的には身体の変化が前よりは見て取れるようになったつもり(笑)。因みに、この揺らしの技術があれば、無意味に全経絡をモミモミしないで済むので、治療時間の短縮&労力の短縮になってすごく魅力的だ。全部で9人の施術風景を見せて頂いたが、患者の体が緩んでいくのが面白いほど見えてきた。が、ここで分かった気になってはいけない。○っちゃんも本屋さんも緩ませる以外に、緊張させる部分を作っているのである。これがサッパリ分からない。大体、学校では「緊張させる」というか、「力をつける」という概念がなかったからなぁ。「コリを取る、硬結を取る、緩ませる」が概ね初心者の治療目標である。鍼灸にはこういう視点が無いのかなぁ。あんまり聞かないよなぁ・・・。この辺りが、本屋さんの「鍼灸だけやって治るわけないじゃん」発言に通じるんじゃないかと思ったりした。

今までも○っちゃんの臨床デモは目にしてきたが、同じ均整術をやる人を見るのは初めてだったので、そういう意味でも楽しみにしていた。実際の施術が始まってみると「あれ??」と思わずにいられない。ユラユラと揺すぶりをあらゆる場面で多用している○っちゃんに対して、同じ流れで進みつつも隣のR先生がやっているのは「それって、揉んでる??」という具合。同級生なのにこの差は何だ??かたや、クイックマッサージ・・・。技を何で使わないのかなぁ、と不思議に思ってしまったワタシは、お二人が在学中、卒後にどういう事をされてきたのかこっそり聞いてみた。聞けば納得。○っちゃんは敢えて厳しい修行時代を選択されてきたのだった。「うぁ~、きつい」と思うこのエピソードは勿体無いので書かない(笑)。そういえば、先日ゴルゴ36先生の駆け出し時代のお話を聞く貴重な機会があった。シュガイザー先生の鍼灸業界サラリーマン時代の話も壮絶だ。これらの先生に通じるのは、本当に寝る間を惜しんで色んな勉強をされてきてる点とも言える。「鍼灸師の先生方は、苦労した苦労したって言うけど、よくよく聞いてみると患者が来なくて苦労したっていう意味でね。勉強の苦労じゃないらしい(苦笑)」とは、ゴルゴ36先生のお言葉である。麦酒を片手に、隣にいらしたバーバラ女史が開業当時や、ゴルゴ36先生が治療の傍ら、アメリカのキビシイィ通信講座を学び終えた経緯を思い浮かべ、「よく走ったなぁ、あの頃・・・」と相槌を打つ姿は、コンビを組んで○十年のお二人の歴史を垣間見れた気になった瞬間だった。

あ、また話がそれちゃった。

実はワタシはあん摩の免許も持っている(笑)。「そんな手で揉めるの?」とよく言われる。ごもっともだ。でも、入学前に購入した指輪が入らないので、これでも随分太くなったのだが、一般的には細い部類に入る。そうそう。柳谷素霊先生の最後の内弟子、と言われるM先生の鍼灸のベースになっている按摩を習える課外授業が在学中一年間を通してあった。「按摩10年」というキャッチフレーズが定着している、我が母校であったが、現在は開設して5、6年経っている鍼灸科の学生に配慮してそういう事は言わなくなったらしい。が、古い先生は「按摩10年やってから鍼を持て」ぐらいの気持ちはお持ちの様だ。按摩10年を通して、人体の見方を見につけろ、とね。で、この課外授業に意気込んで望んだワタシであったが、強圧を多用する手技に、初日で親指を壊してしまい、泣く泣く諦めた経緯がある。卒業式後の謝恩会でM先生に「あなたは自分の適性を見極めた。そういう選択も大事」とは言って貰ったが、鍼だけやっている先生でも取穴の時の押圧が「ここぞ!」という、すごい瞬間があったりするのを目の当たりにすると、「押せたらいいなぁ」と思うこともしばしばであった。

でも・・・。○っちゃんにイイコトを習った(笑)。身体を使えばびっくりするほど圧がかかるのだ。「身体を使って、腕の力は使わない」という言葉は耳ダコであるが、こういう事かと納得できた。下半身の力が指に伝われば良かったのだ。よく言われるフレーズは「体重を乗せる」であるが、体重だけで処理するのではなく、下半身が安定するベクトルの力を利用すれば良かったのだ。「本屋さんが教えている、身体作りの<コレ>を応用するんだよ。だから教えて下さっているんだね」と○っちゃんの通訳が入ったお陰で、「そうだったんだ!!」と開眼。もちろん、指も痛くない。

見学初日にこのポイントを教わり、翌日に○っちゃんとR先生が同時に脊椎横を押している場面で合点がいった。術者の姿勢を見れば明らかである。常時R先生は頭が自分のお臍を覗き込む角度であり、背中が繋がっていない。これを、本屋さんへ偵察報告していた時に話していたら、「それってつまり患者を見てないって事じゃん」とだけ・・・。その通りかもしれない。R先生と面識のない本屋さんであるが、ワタシが丸々一日見させてもらって薄々「変だなぁ」と感じていた部分を、この言葉で締めくくってしまった。

他にも身体の見所としては、○っちゃんの指の足である。いつでも5本がバラバラだ。常に床面、ベットの足、壁などなど、近くにある支持面を掴んでいるのだ。で、R先生を見てみると、キチンと正坐して折りたたまれた下腿に静物の如く固まってくっついている。だいたい、○っちゃんは正坐なんてしない。均整の揺れは胴体から発せられるのであって、正坐してたら出る分けないのだ。○っちゃんの胴体はスプリングのように動いている。これじゃ、寝ないでも平気だなぁと思う。患者を調節しながら、自分も調節できてるもん。だから、最小限の横になる時間と睡眠で体調の修復が出来るのだ。ワタシもこのシステムを採用したいと常々思っているが、なんせ胴体力が無いのがいかん。手技の最中に、気付くと正坐している瞬間がある。「はぁ~疲れちった」との身体の意思表示だ。「腰痛は職業病」と仰る先生方が多いが、それだけは避けたい。患者が増えて苦しくなる前に(笑)、身体を作ってしまいたい。「腰痛持ちの先生に、腰痛治療をお願いしたくないねぇ」と言っていた友人の言葉が真意を付いていると思う。

患者さんとの関係が濃厚な治療院ほど、見学者を受け入れての治療はデメリットの方が多いのにも関わらず、「押しかけ偵察員」を快く迎えて頂き、あっという間に一日は過ぎた。しかも、何から何まで奥様にもお世話になってしまったし、「父ちゃん、早く帰ってきてよ・・・」と待つ我が子との時間も頂戴してしまった。京都の学校で本屋さんが授業を持っていた当時、深夜バスで早朝に着いては授業の時間まで京都をフラフラ歩き回っていたワタシに「治療院に見学に来れば??」とお誘い下さったり、均整の世界では講師をされている○っちゃんであるので、見学者は常時受付なのだろうと疑いもなく思い込んでいたのだが、なんとワタシが初の受け入れだったようだ。ひょえぇ~。これに懲りてもう誰も受け入れなくなるかも知れない(笑)。

「なんだか、イイモノもらっちゃったなぁ」とほくそ笑んで、新幹線に乗って戻ってきた。そして、週明けの出勤時に、本屋さんから「再現してみい!」の指令を受け、全体の流れに乗せて、ココがポイントらしいと○っちゃんの解説と、ワタシの私見を織り交ぜて得意げにご披露したのだったが、「○田さんはそうはやらないと思うけどなぁ、ちょっと寝てみて、こうじゃなかった?」と逐一訂正が入る。見ているようで、やっぱり見てないんだなぁ~。節穴アンジェラを通してレベルダウンしたものが、「何をしているのか」という視点で本屋さんにより再構築されて、○っちゃんに違うバージョン&レベルアップして戻る予定である(笑)。○っちゃんありがとう!次回、本屋さんに会う日をお楽しみにぃ。

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2006年11月 9日 (木)

ニコイチレポート 京大篇

先月の木曜日、二週続けて<ニコイチ>が京大で講義を行いましたです。ワタシは治療院修行の日であったので、残念ながら参加できず・・・。かわいそうに思ってくれた(?)、行動派のSさんより、恐ろしく詳細なレポートを頂きましたので(笑)、同様に参加できず仕舞いだった方々へもご報告とさせて頂きましょう。

なんとなくイメージするに、シュガイザー先生はきっちり真面目に日本における鍼灸医学の講義に徹せられた感があります。マルチですからね。今回は学者面(八面体質論ならず:笑)を前面に、日本の鍼灸を追い続ける熱い姿が出ていた事でせう。で、本屋さんは巨鍼のデモあり、武器の使い方のデモもあったそうです。デモの間にお話といった感じかなぁ~。アングラな世界でやった人にしか「味わえない領域」を自慢してきたらしい(笑)。初めて本屋さんを目にした方は「この人何なんだぁ??」と思ったかもしれませんね。肩書きも無いし(笑)。六然社代表とはあるけどねぇ。敢えて言うなら<非常識講師>でしょうか。某学校で教えていた時は、この肩書きの名刺を製作し、配ってましたからね。

①シュガイザー先生の巻き

「日本に現存する朝鮮半島の資料」というタイトルのスライドを用いて打鍼のルーツを解説。肩に打鍼(うちばり)をしている風景の図(1600年頃 森ノ宮のはりきゅうミュージアム所蔵)、『鍼科便蒙』(1700年刊)打鍼をしている場面と腹診をしている場面の図、『打鍼当流別巻上』(1718年写)藤井秀山の打鍼具の図を紹介。馬場白光旧蔵の細川三斎の打鍼具(1800年代の製作品を1900年に偽造)、現在朝鮮半島で使用されている高麗鍼、韓国鍼の紹介と続いた模様。

江戸時代の経鍼。背中のお灸を「五臓の根焼き」と言った経緯。御園意斎の伝説のうち、天皇家の牡丹が枯れそうになっていたので幹に鍼をして治し「御園」姓を賜ったという話。中国の古代九鍼の6番目の円利鍼が朝鮮半島、日本でどのように変遷を遂げて行ったか。流儀として実用された「百穴主義」。
渡辺東伯、「五臓五鬼之図」(1682年、狩野永納画、武田薬品所蔵)等の説明があり、だんだんと伝説化された夢分の話から、「別々の資料を続けて見ると今まで見えなかったものが見えてきて面白く、研究はやめられない!」と熱く語る、シュガイザーの姿がそこにはあったそうです。また、先生蔵の明治時代の三稜鍼、豪鍼を披露されたそう。以前、治療院にお邪魔したときに、手動按摩器のような年代物オモシログッツも見せてもらったことを思い出しました。ギャクかと思ったら、本当に気持ち良くてびっくり。

②本屋さんの巻き

巨鍼のデモからスタート。以下、本屋さんの語り口調を拾ってくれたレポートのスクロールがワタシの身長ぐらい続くので(笑)、箇条書きで端折らせてもらいます。速記のプロも顔負けです。レポートしてくれるのに、すっごい労力だったと思われます。お忙しいのにも関わらず・・・・多謝多謝。

・空海が大事にしていた理趣経について云々。人は行きている限り欲から離れることはできない。

・多くの人は「今を生きて」はいない。事に応じて、善悪良否好き嫌いなどの判断をするのは過去の知識や記憶と照らし合わせてその都度生きているわけであって、それは結局過去を生きているに過ぎない。

・刹那の過去を生きることなく今の現実としっかり向き合っていれば人には悩みも問題もない筈。

・鍼灸師はサービス業。日銭稼ぎは水商売。
・ある坊さんに「一回見ただけで覚えられなければどうするのか?」と聞いたら「お前が恥かくだけだと言われた」話。要は一度で覚える覚悟で物事習えってこと。
・体の使い方についても日本では五体身分という形で展開した。
・阿字観瞑想法というのが密教にあって云々。
・日本は言葉で調子良くうまい説明をする。中国は漢字一字に託す。
・人の為と書いて「偽り」と読む。
・信じる者と書いて「儲かる」と読む。
・口伝口訣。巻物や伝書があって、なんとかの奥義と書いてあっても技の名前だけ。内容は口伝えに教わるシステム。巻物一個もらっても話を聞かないと分からない。
・日本人は免状や段位とか外側の権威が大好き。だから実力なくても名誉段とかを作っちゃう。が、中国には元々そんなものない。例えば、太極拳何段なんていうのは有り得ない。中国人が儲けるために始めた制度だと分かった上で、太極拳何段を持ってる人は恥ずかしいと思って下さい(笑)。
・世の中には「話せば分かる人、話しても分からない人」がいるけれども、「話さなくても分かる人」だけが「分かる世界」がある。
・「信即応」信じればなる
・性命双修。体の中と外を鍛えていく。入れ物も中身も鍛える。
・「学んで至れる」システムを口伝によって伝えてきた。
・中国の伝統的な世界では学生と弟子というものは違う。習える人が全員学べるかというと違う。弟子にならないと学べないこともある。だから、よく、なんとか先生に学んだというが、「学生レベル」なのか、「弟子」になったのかの違いは大きい。
・伝統的な鍼灸は戦前で廃れて今それを長野先生が鍼灸バカ、と言われながらが再興しようとしている…等等。

・体をどうやって作るか、と言ったことに着いても文章化して残さないことの方が多い。
・伝統的な世界が敢えて効率の悪いシステムをとっているのは、そういう効率の悪さの中で生き残った人の方が伝統的なものを大切にするだろうと考えるからだろうきっと。
・形不正法不存。力は形から出る。
・人は見たいものを見るので、学ぶ側に自分の作為が入ってしまうと難しい。

・様々な理由から伝統は伝わりにくく、伝わらない事も多い。
・文献的なものは少しずつ残っている。だからそれを大事にしていく必要性がある。
・丹田を作るというのは仙腸関節に動きがない人には無理。仙骨が動かないと丹田はできない。
・丹田に気をためるというが丹田ができているかは体を触ればわかる。
・日本でしている気功の90%以上はインチキ。
・気や丹田は具体的なもの。
・『西遊記』等にも仙道的読み方がある。そういうものは師匠から習う。例えば、孫悟空(空を悟る)、八戒(戒律)、悟淨(何が正しいか)……。
・言葉の意味が重層的多義的例えば「赤龍」という言葉があるが段階によって解釈が違う。舌であったり月経であったり、また他の意味だったりする。そうした口伝を経て門派の秘儀を継承している人達がいる。
・体を作っていかないとたどり着けない世界がある。肉体なければ伝統無し。

等等。

両者とも濃いぃ~内容です。本屋さんのに関しては、もう一人、静岡から行かれた人物からも感想を頂きました。文章力のある方なので全部入れたいところですが・・・。↓

で、仕事休んで何万円も払って、京都まで行って、なにがワカッタかというと、チチコツコツ、だってこと。「結局さぁ、毎日、カラダの練習やんなきゃダメってことじゃん!」

この人物とは同期なのですが、偶然にも同じ時期に、同じ諦めの境地に至っていたのかぁと思うとなんだか面白いなぁと思うのでありました。

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2006年11月 2日 (木)

お勧め本 『病家須知』

先週末から11月1日にかけて、神田の古本祭りに行かれた方も多かったのではないでしょうか。日曜日にまた出かけてみました。本屋さんは「金曜からやってるんでしょ、もうイイ本なくなっちゃたよ」と言いうので、見ないし買わないのかと思いきや、1ブース見る度に数冊購入し、最後の店ではなんと20冊の大人買い。「沢山買えば安くなるの?」と、店番のお兄さんに聞きながら相手の反応を見て、「コレはいけそうだ・・・」と思ったか知らないが(笑)、お兄さんの要領をあんまり得ない風が露呈した瞬間から、「コレもコレも、あ、コレもね」とドンドン付け足して、計算不能に陥らせ、「そんな馬鹿な」という値段で買い物が成立してしまった(笑)。裏通りも覗いてみると、屋台も出ていて、さすが休日の賑わいでした。所謂屋台じゃなく、普段は結構な値段がする中華料理屋やエスニックレストランがお店の前で屋台しているので美味しい……で、そちらも満足。

さて、先月の勉強会でご存知の方も多いかと思いますが、参加できなかった方のために、農文協さんから出版された厚さ7.7cmの分厚い本(笑)、『病家須知』(原著・平野重誠、監修・小曽戸洋、監訳・中村篤彦、編著・看護史研究会・定価29000円)のご紹介です。

この本は翻刻訳注篇上下2巻と研究資料篇の計3巻セット。江戸時代である、1832年(天宝3年)に発行されたわが国初の、「薬に頼りすぎず、医療を良く選び、日々の養生を大切に」と説く、看護の心と技を伝える書であります。そもそもタイトルの意味ですが、「病家(病人のいる家)」+「須知(すべからく知るべし)」=家庭看護必携、家庭医学の百科を指しています。本屋さん曰く、「医家、じゃないところがミソなんだよ」との事でした。因に「江戸時代の赤本!」というのが本屋さんが『病家須知』を話す時のキャッチフレーズです。 ああ、でも「赤本から説明しなきゃならないんだよなあ」って嘆いてまぴたです(笑)。

先日「助産婦さんの技術が廃れる一方だ・・・」、というような話を事務所でしていた際に、本屋さんは「とりあげばばぁ、とりあげばばぁ」と、助産婦さんの事をわざと悪く言っているのかと(笑)思っていたのですが、「とりあげばばぁ」って江戸時代の助産婦さんの名称だったんですねぇ。家庭の医学書だけあって、お母さんと子供に関する項目が満載です。お灸の辺りではシュガイザー先生も協力したそうです。この本の為に調べなきゃならない事どもも出てきて結構苦労なさったけど新たな発見もあったとか……。

シュガイザー先生の講座と本屋さんの勉強会で、こちらの本をご紹介し、まとめて注文を取ったんですが、この値段にしてなんと31人もの方が即買いでした。やっぱり、トップのお二人の猛烈な読書量に影響されているのか、参加者の方々は意識が高い。ニコイチがよく言っていますが「本は高くない。その著者が何年もかかって築き上げたものが手に入る、その労力の短縮に焦点を当てれば高そうに思える本だって決して高くはない」ということです。この本は作るのに随分掛かったらしいですよ(笑)。本屋さんは「編集は突き詰めれば金と納期!」って言い切ってますが(だから編集者だけでなく、ライターも本屋もパチスロもやってるのでしょうか? :笑)、この『病家須知』については、編集者として「採算取れるのかなあ」と心配しています。なんでも限定千部らしいです(って書いちゃいけなかったかしら??)  図説も豊富で、包帯を巻く図だったり、とりあげばばぁ(笑)が取り上げている出産時の図だったり。図面見てるだけでも結構参考になります。  原文のすぐ下に現代語訳が付いているのも読みやすくて良いです。実を言えば、最初は原文から読んでいたのですが、気付くと下の現代語訳を読んでいる自分がいます。どお~りで内容がよく分かると思った! (笑)

さて、農文協&本屋さんの濃密なご関係(笑)により、六然社経由でご注文を頂いた際には特別お値引き価格でご提供できる段取りが整っております。

『病家須知』29000円 → 26000円 & 送料無料

お申し込みはこちらまでメールにてお知らせ下さい。当初11月一杯のサービスとさせて頂きましたが、まだ間に合います(間に合うことにしてよいとの本屋さんよりお許しが:笑)。お申し込みの際は、郵便番号、住所、お電話番号を明記願います。詳細はお申し込み後にご連絡いたします。(既に勉強会で御注文下さった先生方にはもうじき手元に届くものと思われます)

本の詳しく内容をお知りになりたい方は、こちらをご覧下さいませ。http://www.ruralnet.or.jp/zensyu/byokasuchi/index.html

因みに、このブログで農文協さんといえば、『だし』の本がありましたですねぇ。あの時ワタシと共にご購入頂いた30名ほどの方々、その後やってますかぃ??  ワタシはかつお節の削り器で、ざっくり薬指を削った「刺絡深すぎ」事件以降、なんだか腕を上げた気がします。単に削り方が悪かっただけのような気もしますが・・・。 やっぱり「アミノ酸」じゃない「天然だし」は美味しいですねえ。(そういえば前回の本屋さんの市民向け講座では、何故ある時期から食品の原材料成分表に「化学調味料」ではなく「アミノ酸」と表記するようになったのか、ってお話もしてましたっけ…そうそうあの講座の報告も本当は書かなくっちゃいけないのよねえ…毎日目を通してくれてる読者さんの為には、仕事してる暇なんかないんだわあ:笑)

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