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2006年11月16日 (木)

東京巨鍼倶楽部(プレ?)

本屋さんの治療を受けている鍼灸学生や、巨鍼のデモをご覧になった方々から巨鍼作りを教えて欲しいとの要望が前々からあった。巨鍼は現在何処にも売っていないものなので、挑戦するなら自分で作らなければ鍼がないのだ。A商店が作るという情報もあったが、その後どうなったのか知らない。ただ、鍼先の感じが違う印象だったのを覚えている。

最初はどこかの会場を押さえて、いつもどおりにおおっぴらに告知をして開催しようと思っていたのだが、要は<工作の時間>と同じで結構汚れるのと、「少人数できっちり見てあげたい」という本屋さんの意向を汲んで、事務所で開催することにした。よって、限定6人の参加者を募った。案の定、半日も経たずに(殆ど数時間)で定員に。お断りしてしまった方々、ごめんなさい。

企画内容は、①巨鍼作り、②自分の作った巨鍼を本屋さんに刺してもらう、③出来上がったものをオートクレーブで滅菌処理をしてお持ち帰り頂く・・・という具合。

今回は材料を持参してもらった。巨鍼は自分で作り続ける以外には臨床で使えない。工具から全て持っていないと話にならない。また、この作る動作そのものが鍼を上手くする。参加された中には初心者の方もいらっしゃったが、センターを出すのに随分苦労されていた。2年前に初めて作った時の事を思い出しながらワタシも一緒に作ってみたが、あの時は「永遠にワタシのは出来上がらない・・・(泣)」と思えるほど、鍼先を作るのは大変であった。その時、同じ机を囲みながら作業をされていた、リッキーS田先生は初回ながらあっという間に作り上げてしまい「鍼を普段からやっている人は違いますねぇ」と本屋さんに絶賛されていた。初心者の方々の進み具合を見るにつけ、「お、ワタシも随分鍼を持ちなれてきたんだなぁ」と2年の歳月はまんざらではないと、自己満足に陥っていた(笑)。

実は、材料持参の背景には、どの程度「巨鍼作り」に意気込みを持たれているのか、カルチャー気分とそうでないかを推し量る面でもそうさせてもらったのだ。「自分で材料を揃えるところから勉強は始まっているんじゃぁ~」という、本屋さんの言い分をこっそり踏まえ、参加者からのお問い合わせには応じず、逆に材料リスト一覧を送ってもらうように要請した。開催告知後数時間で手を挙げる方々であるので、早々に立派な内容が送り返されてきた。「えぇ~分からない、教えてください。」とでも言う方がいたら、即刻中止になっていただろう(笑)。

また、本屋さんも良く言うが、<巨鍼>の扱いにはとてもデリケートになってもらいたいと思っている。「長いから曲げないようにね」という鍼の持ち運びの問題でない(笑)。強烈な太さと長さの鍼であるので、そのインパクトはすさまじい。鍼灸師だって目を見張るのだから、一般の方々の反応はもっとすごいはずだ。治療という枠を超えて、一歩間違うと大変な誤解を生む可能性も出てしまう。例えばテレビでのお笑い系番組の罰ゲーム等に使われるとか、単にセンセーショナルな話題だけを提供している媒体に取り上げられるとか。豪鍼ではあったが、テレビでそのように扱われているのを実際にワタシは見たことがある。ゴールデンの時間帯でのお笑い番組で、ゲームに失敗したタレントに「失敗したのは動かないこの手が悪い。<治療>として鍼をしてもらいましょう!!」という風に、別室へ連れて行かれて手三里だか、曲池に打たれるのだが、趣旨は罰ゲームであるので、猛烈に痛がる、「身体の中からおかしくなるぅ~」というように誇大に表現する。彼らはそれが仕事だからしょうがない。が、この場で鍼を打っていた鍼師はにやけた顔で映っており、どうしてこんな仕事を受けたのか、そんなに金に困っているのかと、その後を考えないこの人間の浅はかさには軽蔑を通り過ごして、鍼灸師を辞めてもらいたいと思った。仮に、ゴルゴ36先生にオファーがあれば、断固としてお断りされるだろうが、先生の手を離れたところで巨鍼を習った方々が、どのように扱うのかモラルが常に問われると思う。今回この会を企画したワタシとしては、ゴルゴ36先生のお顔を思い浮かべつつ、この点だけは危惧していた。まぁ、本屋さんから学ぶんだから、ゴルゴ先生の思い入れなど等もきっちり伝わるので問題ないんですけど、念のためね。

そういえば、ちょっと以前の事だが、本屋さんは「どうしても巨鍼を体験したい!」と押し掛けてきた学生に(その人は単に巨鍼を体験したいというだけの意識だったようだが)巨鍼だけでなく、きっちりと治療していた。「巨鍼に対してよくないイメージを持たれたら教えてくれたゴルゴ36先生に申し訳が立たない」というのが本屋さんの本音だ。

日曜午後の昼下がりからスタートした巨鍼の会であったが、終了は夜も更けていた(笑)。本屋さんは実労8時間といった所であった。何故にこんなに時間が経ってしまったのか・・・。順を追って説明しよう(笑)。※また長くなりますよ。

鍼作りを始める前に、ココは六然社であるので本屋らしく、自分では滅多に手に入れる事の出来ない、コアな本の販売会が行われた。こういうのを喜んでくれる方々も多く、手に入れた本を嬉しそうに持ち帰る姿はシュガイザーと相通じる。

まず、本屋さんが作った巨鍼を皆さんに回して、本屋さんが出席者にプレゼントした15倍のルーペで先端を見て覚えるように促す。最近本屋さんは50倍で見るのがお好きなようだが(160倍というのも持っているが大き過ぎてダメらしい)、100倍を持参された方もいた。10倍から上がって行って100倍で見るとさらにすごい(笑)。「うわぁ~こんなにはっきり先が分かる~」とはしゃいでふと実物に目を落とすと、毫鍼じゃないから慣れてくるとわざわざ拡大しなくても普通に見える・・・、という事に気付くとなんだかおかしい(笑)。

「初回は苦労して作ってください。裏技は色々ありますが、敢えて教えません」と、自分は裏技を駆使しつつ、皆さんには険しい道をおススメする本屋さん。ワタシも初回じゃないから、と言い訳しつつ裏技工具をお借りして時間&労力の短縮を図ってみた(笑)。「とりあえず、この段階はコノ道具、次はコレが王道。だけど、場合によってはコレを使って、次のソレ」という具合に、各自が持参した道具を組み合わせて、事細かに使用法を教えてくれる。この辺りは本屋さんの工夫伝である。皆さん同じ物を持っていなくても、それぞれに応じて作り方を教えつつ、もっとも原始的なやり方から、横着技まで網羅している所が裏街道も表街道も知っている本屋さんならではである。ゴルゴ36先生のところで巨鍼を学ばれたといっても、このような巨鍼作りの機会なんてあるはずもなく、本当に<盗み見て>の世界である。実際には一度、臨床実践塾講座で巨鍼の作り方を新城先生が見せて下さった事があったが、本屋さんの場合は一度刺されただけで、その後自分で巨鍼を作ってゴルゴ36先生の所に持参したらしい。誰にも聞かず、苦労して自作したからこその創意工夫が蓄積されたのだろうが、自力でソレをやる人、やらない人の差というのは人生の送り方まで違うのだと、「やらない人」代表のワタシは最近思う。今回の参加者の方々へは材料をこちらから提示しなかったので、実は使わない番数のやすりを用意してしまったりと無駄も出てしまっていたようだが、こういった事を通して刻まれる意識もあるだろうし、「○○のハンズにはあったが、△△には置いてない」などという情報交換の場にもなっていた。もちろん、バックアップを欠かさない本屋さんの事であるから、材料も、工具も、買えなかった人の為や落ちこぼれが出ないようにそこそこ用意していたんですけどね(こっそり教えちゃうと)。それが使われる事はなかったようなので良かった、良かった。

作り始めて2時間以上が経過した辺りで、実践塾にも行かれている先生が一番乗りで仕上がった(さすが!)。自分で作ったのを右、本屋さん作の巨鍼を左に受けて「鍼の進み具合、抵抗感、残鍼感が全く違う」と身を持って実感されたようだ。順次鍼製作が終わった方から、背中に受けるトライアルタイムが訪れる。

 ……と、ここまでが企画内のことなのだが、根っからの治療家である本屋さんは、身体に触って「おかしい」と思った部分は治してしまう(笑)。だから、仕事の都合で先に帰られたお一人を除いて、巨鍼の体験以外に、かなりの全身の治療も含まれていた。よって、5名が体験し終わるまでに3時間。いやぁ~治療家魂に頭が下がります。参加者の方にとっても、巨鍼を含む全身治療の5パターンといった予期せぬ見学も大いにお役立ちになったで事でせう。

その後は、晩御飯の時間も過ぎちゃったので本屋さんからの差し入れを片手に至福のひと時であった模様。実はワタシは患者さんの治療が入っていたので中座してしまったのだが、毎度のようなダラダラ長い治療を終えて治療部屋から出てきても、まだ皆さんの熱は冷めていなかった(笑)。テーブルの上には、食料が随分残っており、「あれ、遠慮しちゃったの??」と聞く私に、ずっと片手に本を開きながら、お話を聞きながらで、食べる暇がなかったとの事であった。なんだかワタシが見た事もない怪しげな資料「中国医学を学ぶ上で誤解し易い点」も配ってたし(この資料については次回の経絡経穴講座で解説してもらう事に決定!)。いつの間にか巨鍼に無関係な2時間弱の講義も含まれていたのか・・・。

余談であるが、参加者が巨鍼を受ける度にベットに横たわった背中をワタシも触らせてもらったが、夜に来たワタシの患者さん達よりも鍼灸師の方がよっぽど状態がひどかった(笑)。こりゃぁ、思わず治療しちゃう本屋さんの気持ちも分かるなぁと思った次第である。本屋さんの治療を受けて「初めて痛くない鍼と熱くないお灸を体験した」と感激されていた方もいた(巨鍼がメインでこういう感想なのが意味深:笑)。鍼灸師であってもこうなのだ。こういう感想を聞く度に、本屋さんは「たかが本屋ふぜいの治療に感激する鍼灸師がいるなんて、如何にコノ業界の学校教育のレベルが低いかって事でしょ。嫌になっちゃうなぁ、つまんないよなぁ」と嘆いている。あぁ、今この場にシュガイザー先生がいてくれれば、「鍼灸の世界も楽しいもんだ」と思うリカバリーの瞬間が訪れるのにぃ・・・と神頼みしてみても、こういう日に限ってシュガイザー先生から電話が来ない(笑)。「また、患者が増えちゃいますよ」と言ってみると、「急患と紹介しか見ない」と、お決まりの文句が返ってきた(笑)。「まして、仮にも鍼灸師なら自分で治せってもんだ」と言いたげである。そうして朝までパソコンに向かって仕事(本業?)してたみたいだ。一体いつ寝ているんだ? 次の日事務所にワタシがいってみたらもう(まだ??)いるし。でも「同業者の治療はしたくない!」と言っている本屋さんの患者さんに鍼灸師が何人もいるのをワタシは知っている(笑)。

講座一日の締めくくりに、参加者の方が作られた巨鍼をパック詰めにして、洗濯機サイズの大型オートクレーブで滅菌処理したものをお持ち帰り頂いた。50cmが入るオートクレーブはそうそう無いのであるが、参加者へは「ここに来て作った方はいつでもココのを使っていいですよ。滅菌パックして御返しします」と、明るい希望の道が開かれたので、参加された皆さんも安心されたに違いない(せっかく巨鍼をやるならいい加減な扱いをしてほしくないという事だと思います)。が、企画者としては、本屋さんに、こんなに長時間働かせて良いものか??と一抹の不安も胸に巣食う。「あの内容であの値段は破格では??」との参加者の声もあった。そうなのだぁ・・・。「内容はコレで、3時間+チョイでいいですから」とお願いしたところで、延長に次ぐ延長で、時間が許せば最大限のものを出してしまうのが本屋さんの性分であるのがこの1年でよ~く分かった(笑)。これを見越して企画を立てないといけないのだ。本屋さんがお知り合いを集めてココでやっている(ワタシは参加出来ない)謎の講座とはわけが違う。参加者は言うなればワタシが勝手に集めた一般公募なのだからね。実は今後もこういった(実技もすぐ出来る環境だし資料もすぐあるし)事務所開催の実技講習会をしてもらいたいなぁ、という考えは以前から持っていて、その第一歩のお試し部分を持っていた巨鍼の会であるが、これじゃぁ先生の負担が多すぎた??という面もぬぐい切れない。う~ん、悩みどころではある。デモねぇ、独り占め(してるわけじゃないけど)には持ったいなさ過ぎるのですよ、この本屋さんは。

さながら、STOP THE 墓場行き運動 と題して今後も続けたいのである。本屋さんに了解を得られたら、またご報告したいと思いまぷ。

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