房中術つながり
不妊治療をされている方に最近よくお会いします。それを目的に治療に来ているわけではなく、鍼灸が効くとは想像もつかないみたい。そんなモンだろうなぁ。学生時代の友人が勤務している某鍼灸治療院ではホームページで盛んに不妊症治療を謳っているからか知らないが、一日中めまぐるしく回転する院内には不妊治療を受けながらの女性で溢れているそうです。治療内容を根掘り葉掘り聞いてみると、患者さんは自分がどういう身体状況で、どういう治療を受けているのかを理解できていないらしく、その先生は現代医学の不妊治療を深く勉強され、各病院の特色を把握しながら詳しく説明してあげる役割を担っているのが大きなポイントだとワタシは思うっ。因みに30代半ばの男性の先生です。
こういう成功例を目の当たりにしていたので、不妊治療の実際を知っておきたいなぁと思っていた矢先、事務所に置いてあった本が目に入ったのでご紹介します。
『「はりきゅう」治療でしぜんな妊娠 あんしん出産』 中央アート出版社 日野勝俊著1500円
専門書というより、素人さん向けの分かりやすい導入書です。 本屋さんに聞いてみると、著者の先生は、以前本屋さんがやっていたミニコミ鍼灸雑誌(本屋さん談:笑)『TAO鍼灸療法』でも原稿を書いてくれた先生らしい。本の内容は、現在病院で行われる不妊治療の実際についてというのではなく、男女の生殖の意味が生理学的に分かりやすく説明されているので、この部分が私としてはちょうど「コレコレ」という良い本でありました。鍼灸治療の具体的な方法論も述べながら、かといって鍼灸治療を強調した内容でもないのですが、どういうメカニズムで妊娠に至るのかを至極簡単な生理学で説明してくれているので患者さんに説明する時とか助かります。
というのも、事務所にたまにいらっしゃる梅川純代房中博士と本屋さんの房中談義を耳にする機会も多く、「そうなんだぁ」と目ウロコの連続の会話なのですが・・・。ご紹介しましょう。この、梅川純代房中博士とは、女性で房中術を研究されているのは世界唯一という方らしいです。著書に、
『「気」の思想から見る道教の房中術』 坂出祥伸 梅川純代著 五曜書房2830円
があります。実は、毎月行われる身体作りにも参加されているのです。とても気さくな方なので色々聞いてみるといいですよ(笑)。話を戻しましょう。お二人の会話からこぼれるエッセンスを不妊に悩む方々にも教えてあげたいと思ってみても、なんせ房中術の背景にある道教思想を分かっているわけではないので、単語からしてワタシには難解です。それでも。「コレってこういうことでしょ?」というお二人の房中談義はとても咀嚼されたものであって、素人でも分かりやすい。大体が梅川博士が本屋さんに質問しているケースが殆どで、そのおこぼれに与るわけですが、ここでもやはり「丹」が出来ている人じゃないと房中術は実践できそうもない(本屋さんはよく「結局基本は肉トレ(肉体トレーニング)なんですよ」といっている)・・・結局は身体の問題じゃんという風に感じます。
しかし、よくよく聞いていると、お二人の会話から伺い知る房中術とは、とにかく房中術にしても男性がメインのものではなく、如何に女性に重きを置いたものか、という点で一貫している(本屋さんは「どうやって女性を大事にするかの術」といってまぷ)。これは当然のことなんだと、生理学的にも説明がつくし、「種を存続させて行く」という人間の目的に適っているのが良く分かる。昔の人は偉かったなぁ。観察に次ぐ観察、経験に次ぐ経験で技法まで確立してしまうんだから。よく本屋さんは「下手な奴は鍼灸も多分下手。鍼灸学校の学生でわざわざ外国行って金かけて死体の解剖なんてするくらいなら、彼女とやっていた方がよっぽど腕が上がる」と断言していまぷ。要は観察力を如何に磨くかということらしい。
ワタシの知人で、旦那は子供を早く欲しい VS 奥さんはまだ欲しくない の対決の末、ついに離婚に発展してしまった夫婦が居たのです。が、よくよく奥さんの話を聞くと、そもそもその行為自体が嫌だったという。「痛いから・・・」という、なんとも切ない理由であったが、この感想を持つ女性は結構いるようであります。この話を本屋さんにすると、「それは男がヘタクソなだけじゃん」と烙印(笑)を押していました。この奥さんは、子供を欲しがらない自分が人間としておかしいのかと心底悩んでいたが、ワタシが思うに、子供を作る行為で痛みを伴うっていうのがそもそもイケナイ。人間は危険を回避して生き延びるために、痛みをしっかりと覚えていなければならず、と同時に嫌な思い出をセットにして経験メモリーに保存しておく。もちろん無意識の領域の作業である。これが扁桃体を持つ人間の宿命だ。よって、痛くて嫌な思い出として記憶されてしまったからには、ナカナカそれを外せない。次回からは意図せずとも瞬時に「あ~嫌だなぁ」モードに切り替わり、心身ともに開かず、なのだそうだ。話がそれるが、この辺りの記憶のお話も事務所に置いてあった
『海馬 脳は疲れない』 池谷裕二 糸井重里著 朝日出版社 1700円
に分かりやすく出ていました。横道おわり。問題はココであったのに・・・、解決策は楽しい房中(笑)であったはずなのに・・・、若干DVもあったようなのでさっさと奥さんは見切りを付けたようである。きっと、この旦那は一生自分の技法(?)がヘタクソだった事が離婚の根本原因だったとは思いもよらないに違いない。だって、奥さん自身もそのことには気付いていないんだから。「アレって、そんなものでしょ」と言っていた。日本の性を取り巻く環境は女性の仕組みが全く蚊帳の外なんだなぁと思わずにはいられない、氷山の一角の離婚話でございました。
この話をすると、本屋さんはチベット密教の場合の話をしてくれました。密教のある宗派では技法に長けた高僧が年頃になった女性の初めてのお相手をするしきたりがあるそうであるが、これは女性がその後の人生で嫌いにならずにすむようにと配慮されているそう。子孫を残す点でも、先述のような<嫌な行為>では体が反応してこないので、妊娠しにくい。また、女性の健康は女性たる由縁の機能を使ってこそ作られるものなので、健康維持の役割からも嫌いにならないでもらおう、と配慮されていたそうだ。昔の人はつくづく人間を分かっているなぁと思う。
最後に、もう一つ例をあげましょう。先頃、彼女と別れた男性が教えてくれた話です。別れ話が進む中、鬱傾向に陥っているのが傍から見ても明らかだった彼女は婦人科へ通い始めました。彼女は元々生理のトラブルが結構重かったそうですが、この男性とお付き合いが深まるにつれてそれが治っていたそうです。が、別れの足音が聞こえ始めた辺りから再発。この男性は相談した上司から「ウソでもいいから、<カワイイ>とか<キレイ>だとか、女性ホルモンが出そうな言葉をかけてやれ。そうすりゃ治る」とアドバイスをされたそうです。う~ん、恐るべし。なんて、核心を突いたアドバイス。結局、生理のトラブルなんていうのは、良い男女交際、良い房中で治るのではなかろうか。大体、トラブルの原因は瘀血だったり、冷えだったりの血流の停滞や減少ですね。房中=運動、即ち全身運動よりも遥かに効果的な女性器をメインに強制的に動かす運動ですから、その部位の血流改善に最大の効果があるわけです。ちゃんと、子宮が収縮したのかどうか。この点だけを男性は気にして頑張っておくんなまし(笑)。パートナーの女性疾患を治すのは案外簡単かも知れませんよ。
本屋さんの講義に出られている方には、
『「はりきゅう」治療でしぜんな妊娠 あんしん出産』 中央アート出版社 日野勝俊著
『「気」の思想から見る道教の房中術』 坂出祥伸 梅川純代著
上記の本がお安く手に入るはずです。次回の経絡経穴と身体作りでお問い合わせ下さいませ。
| 固定リンク