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2007年2月

2007年2月21日 (水)

第一回 伝統医学史セミナー

  ―和方鍼灸友の会主催― 第1回 伝統医学史セミナー

〜開催のお知らせ〜

【開催の趣旨】

2007年は曲直瀬道三生誕500年御薗意斎生誕450年にあたる、伝統医学史上記念すべき1年です。道三は医学中復興の祖、意斎は鍼術中興の祖と称され、現代へとつながる近世日本の漢方と鍼灸が両先哲を代表する時の名医たちによって構築されたのです。

良い手・良い鍼・良い文献をモットーとする和方鍼灸友の会では、これを期に文献解読の基礎知識として不可欠な伝統医学史の連続セミナーを開催いたします。第1回は、道三と意斎が活躍した京都の地を選び、我国の医史学界を牽引しておられる小曽戸洋先生をお招きし、曲直瀬道三の人となりと代表作『啓迪集』についてご講演いただきます。小曽戸先生は『啓迪集』の現代語訳にも携わっておられ、書誌から訓注にいたるまで、余すところなくお話しいただけると存じますのでご期待下さい。 

午後は、夢分・御薗意斎・多賀法印(宗与・露元)もうらやむに違いない、和方プロデュースの打鍼具のお披露目です。「扇」で定評の田上精孝師渾身の一作である18金の打鍼と、30年モノの黒檀一刀彫の小槌がおりなす軽妙な音色は、ほれぼれするほかないでしょう。ちなみに、最近の調査で江戸後期には刺さないタイプの打鍼が行われたことも判明しました。腹部打鍼のフォーマットとして提案した「六角九臓論」ですが、出発点は意斎が『医経小学』から抽出した『陰虚本病」に求められます。その注釈である『陰虚本病鈔』を踏まえつつ解説したいと思います。

今年は、杉山真伝流第61代・馬場美静師の没後70年にも当たります。馬場美静師旧蔵の『杉山真伝流』に収録される32症例について、マンガ家としての一面を持つ大浦先生がとても分かりやすく図解しました。近々、六然社から『杉山真伝流臨床指南』として刊行の予定ですが、ひと足先に拾い読みしていただきます。また、柳谷素霊師の盟友だった天野黄陽師の旧蔵にかかる真伝流の新史料が出現し、未解明の系譜などが浮き彫りとなりましたので、併せて報告していただきます。 

春うららかな京都で、伝統医学の素養を身につけようではありませんか。奮ってご参加下さいますよう、お誘い申し上げます。 

(主催:和方鍼灸友の会  後援:亜東書店 学生交流会のささやき ・六然社・鍼灸療法振興会)

2月吉日 和方鍼灸友の会主宰・長野 仁 謹識

【プログラム】

10:00 受付開始

10:30 �「曲直瀬道三の事績と『啓廸集』」

北里研究所東洋医学総合研究所医史学研究部長  小曽戸 洋

12:00 昼休憩

13:00 �「御薗意斎と打鍼と『陰虚本病』」

和方鍼灸友の会主宰(北里医史研客員研究員)  長 野  仁

14:30 休憩

15:00 �「馬場美静本『杉山真伝流』の32症例」

いやしの道協会師範(北里医史研客員研究員)  大浦 慈観

16:30 閉会

日時:4月22日(日)

会場:京都商工会議所・2階教室

★★★なお、地図は こちらの「ささやき」 からご覧頂けます★★★

費用:会員 ・ 6000円(前納5000円)    

非会員・ 6500円(前納6000円)

※前納締切 4月13日(金)

郵便振替00130―5−351212 

名義「和方鍼灸友の会」

【お申し込み方法】

       こちら  までメールにてお申し込み下さい。

   予約確認のメールを返送させて頂きます。

   FAXでもお受けします。03-6279-5102 六然社 担当山本

        予約完了後、上記口座への振込みをお願いします。 

尚、前泊される場合のご宿泊先は各自でご用意下さいますよう、お願い申し上げます。

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2007年2月20日 (火)

鍼灸開業繁栄の秘訣 講座 IN 東京

開業を考えている方へ

《鍼灸師余剰時代を乗り切るための思考回路を学ぼう》

去る128日、福岡で70名が参加した《鍼灸院開業》に関する講演が東京でも開かれます。六然社より復刻販売された『鍼灸開業 繁栄の秘訣』を片手に、開業するにあたっての「考え方」、「方法論」が展開されます。鍼灸を取り巻く甘くない現状をどうやって乗り切るかのヒントが満載。①開業の準備 ②開業地の選定 ③宣伝の方法 ④療院の設備 ⑤療院の規定 ⑥患者応接の秘訣 ⑦診察と治療の秘訣 ⑧患者優遇上の注意 ⑨経営上の注意…などなど。この本はもともと昭和11年に発行されたものですが、戦前に書かれた物ながら現在にも深く通じるものがあります。

内容を少し紹介すると・・・

「一人でも多く無料患者を取扱え」、「こんな地形は開業に不利だ」、「他業から鍼灸医になった者はこうして開業せよ」、「住宅地開業の繁栄の秘訣」、「便所は斯くすべし」、「診察時間表の根本問題」、「患者に煽てられるな」、「患者の希望を洞察すべし」、「治療回数券の発行は斯くすべし」、「鍼灸学教授の副業は失敗の因」、「濫りに分院を設置すべからず」、「按摩術兼業の利害」、「妻君の活用は繁栄の基」、「鍼灸医の往診は結局不利益だ」・・・等など紹介しきれない内容が盛り沢山です。

テーマ:《鍼灸開業 繁栄の秘訣》 ※ 既に繁栄している方お断り!

●講師:寄金丈嗣

●日程:  平成19年3月18日(日)  午後 13:15~14:45

●場所: 神保町界隈(決まり次第ご連絡しますが、駅から歩いて5分以内です)

●定員: 50名

●参加費: 

9000円 ※『鍼灸開業 繁栄の秘訣』の書籍代(定価4410円)を含みます。

5000円 ※『鍼灸開業 繁栄の秘訣』を既にお持ちの方

無料   ※1月28日の福岡講演にご出席の方で書籍を既にお持ちの方

同日同じ会場にて、鍼灸師に必要な身体作りの大切さを説く講座も開催します。「伝統を伝えるとは、身体を伝えること。身体を鍛え、手を作り、それを継承することであって、ファンタジーを継承することではない。肉体なくして伝統なし」と言い切る寄金氏の優れた身体能力から、貴方の臨床を変える新たな世界が見えること間違いなし。充分に開発された鍼灸師用<肉トレ>の意義を掴んでお帰り下さい。

《身体作り いちから講座》

●日程: 同日 午後 15:00~16:45

●場所: 同室  

●定員: 50名   

●参加費:『鍼灸開業繁栄の秘訣」講座に御参加の方無料。身体作りだけの参加は2000円。

《お申し込み方法》

①御希望の方はこちらまでメールにてお知らせ下さい。

予約完了の返信をこちらからさせて頂きます。

FAXでもお受けします。03-6279-5102 六然社 担当山本

       予約完了後、下記口座への振込みをお願いします。 

※お振込み期限 3月13日(火)

  郵便振替 :口座番号  

有限会社 六然社  00150-4-44092

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2007年2月15日 (木)

自分の頭から出発したもん by白忍者様

 「自分の頭で歩いていきます」を受けて、白忍者さんからまたも投稿がありました!投稿時間から察するに、どうやらご出勤前の超忙しい時間帯に書き上げられた模様。多忙な方の時間の使い方は真似できません…。白忍者さんが「鍼灸だけ師」と一線を介する活動マップも添付されております。なんて親切、超レア物だったはず…(笑)。これで、白忍者さんがどういう活動をしているのか身近に感じていただけるかと思います。今後もマルチな先生の活動には目が離せまへん。以下。

白忍者ことシュガイザーです。
皆さん、色々考えているのですね。

和方の会員も250名を突破したらしく、一年後には300名に届くでしょうか。
顏と名前が一致しないので、申し訳なく思いますし、一度もお目にかかったことのない会員さんもいるのではと危惧しております。 しかし、講義や実演は基本的に一方通行なので、色々な見解を拝見できるのはとても楽しいことです。

アートとエンタについて。
これを「高尚」と「通俗」と訳してみます。
多賀フォー’04で私の「活動マップ(守備範囲)」を配布しましたが、自分にとって…

アートは「医史文献学」であり「唯掌論」です。
エンタは「色体経象学」であり「ツボエクササイズ」です。

「医史文献学」と「色体経象学」は、考証重視か発想重視かの違いであって、「唯掌論」と「ツボエクササイズ」はハードランディグとソフトランディングの違いでしかありません。
臨床から古典を読む作業は、実はとても大変ですし、東アジアの身体知に根ざした簡略なエクササイズを提案するのも意外に難しいのです。

   

    ≪シュガイザー活動マップ≫

  【ツボエクササイズ】   (マスコミ)    【色体経象学】
   軽微な体操       一般大衆    自由な発想
    ↑                         ↑ 
   からだ                      あたま
    ↓                         ↓
  【唯掌論】          (ミニコミ)     【医史文献学】
   重要な鍛錬      少数精鋭    厳密な考証

自分の中では、4者は何の矛盾もなく、共存共栄・切磋琢磨の関係にありますが、頭の固い方からは、テレビで体操を指導したりバラエティで鑑定したりしているとチャラチャラしているとか気が狂っていると思われるようです。まあ、「狂育者」を自任していますので、その程度の酷評は甘んじて受けますが…。

時間切れなので、ここでお終いですが、伝統医学である鍼灸にとって一番大事なのは、「医史文献学」です。伝統医学の立脚点はそこにしかありえません。 そこで…

4月22日(日)、京都にて

第1回・伝統医学史セミナー」を開催します。

奮ってご参加下さいませ。
詳細は後ほどアンジェラ女史にアップしていただきます。
ではでは。

 白忍者さんからでちた。このとっても素敵な会のお知らせは近日中にアップしま~す。

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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日本腹診の源流

皆伝/入江流鍼術

六然選書① 尾張藩医浅井家伝 金匱口訣

古伝大東流闡明

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2007年2月14日 (水)

『鍼灸開業 繁栄の秘訣』 割引販売!!

 大変お待たせいたしました。数々の「書店で売ってないぞ~。送ってくれ~」等のお問い合わせありがとうございました。先日の福岡講演の日が初売りでした、『鍼灸開業 繁栄の秘訣』をこのブログをご覧になった皆様だけにお安くお求め頂けるよう準備をして参りましたのでございます。

 復刻された『鍼灸開業繁栄の秘訣』は六然選書 二でございます。一はお馴染『尾張藩医 浅井家伝 金匱口訣』でございまして、同じサイズ、同じ表紙カラーとなっておりますので本棚の『金匱口訣』横のスペースを空けて到着をお待ち下さい。因みに、この『金匱口訣』については限定数出版で再版はないそうです。お求めになっていない方はこの機会に一緒にどおぞ。後世に残る書籍です。

 実は。本が出来上がって納品されるまで、実際にどう仕上がるのかについてはワタシには一切伏せられているトップシークレット事項です(単に知っているのが本屋さんだけ:笑)大体この本に限らず、いつ仕事してるんだか不明です。。帯には「これで勝ち組!?」という本屋さんらしいギャグが入っていて、手に取った瞬間に「プッ」と笑えました。そして、いつの間にかオマケもついていました。「国医」と称された鍼灸醫家、山崎良齊の「開業の秘訣」であります。これは大正14年に印刷発行された『鍼灸医術開業法』(一名鍼灸医術概論)という本の一部です。著作兼発行人の山崎直文氏は、大正11年に鍼灸醫師法運動を提唱、この運動は同業者6707名の調印賛同者を得、衆議院貴族院などを巻き込み、大きな広がりを見せたことが記録に残っているそうです。これを附録にするに当たって、本屋さんはこんなことを書いております・・・

 昨今乱立してきた鍼灸専門学校や鍼灸大学等では、臨床経験の希薄な教員が増えてきており、本来職業訓練校的意味合いを持ちながら、術を教えられる教員も少なく、何故か業界の実態についてもなるべく知らせず、とにかく学生を試験にだけ受からせて卒業させようと言う意図が見え隠れしているのは不思議な事だが、先人の遺業を省察することで、そこから少しでも先人の抱いていた鍼灸術への思いを汲み取り、混迷する現状を改善する一助になる事を祈ってやまない。

  さて、本の内容は以前にこのブログでも紹介いたしました。同文をまた掲載しておきますのでお読みになっていない方は一度ご覧頂き、既にご購入の意思が確定している方はすっ飛ばしてください。

 この本はもともと昭和10年代に発行されたものです。「流行れば大名、流行らねば乞食、これが即ち医業に従事するものの生活状態の真相なのである」という出だしで始まるこの本は、戦前に書かれた物ながら現在にも深く通じるものがあるのであります。 例えば、「斯くまでに鍼灸医業の経営が果たして困難のであらうか、・・・(中略)・・・斯業家の開業政策そのものが、医師、歯科医師のそれよりも遥かに遅れていることが判然と認められる。換言すれば鍼灸家は概して開業術にうといのである」という具合に、今と全く変わらないのです(笑)。 「開業資金の点に於いても技術の研究に於いても、全く不用意でありながら、開業さへすれば忽ち流行るものと考へ、一日も早く旗揚げせんものと焦るからなのである」と、<鍼灸開業繁栄の道>をひた走る著者は言い切ります。この本の項目はこんな感じ・・・

①開業の準備 ②開業地の選定 ③宣伝の方法 ④療院の設備 ⑤療院の規定 ⑥患者応接の秘訣 ⑦診察と治療の秘訣 ⑧患者優遇上の注意 ⑨経営上の注意

そして、詳細な内容はこんな感じ・・・

「一人でも多く無料患者を取扱え」、「こんな地形は開業に不利だ」、「他業から鍼灸医になった者はこうして開業せよ」、「住宅地開業の繁栄の秘訣」、「便所は斯くすべし」、「診察時間表の根本問題」、「患者に煽てられるな」、「患者の希望を洞察すべし」、「治療回数券の発行は斯くすべし」、「鍼灸学教授の副業は失敗の因」、「濫りに分院を設置すべからず」、「按摩術兼業の利害」、「妻君の活用は繁栄の基」、「鍼灸医の往診は結局不利益だ」・・・・・等など紹介しきれない内容が盛り沢山!

 ということで、そろそろ本題(本代:ニヤリ)にはいります。  

 『鍼灸開業 繁栄の秘訣』  塚谷信夫著 

 附 鍼灸醫術開業の秘訣 山崎良齊著

 定価 4410(税込み)円 + 送料300円 4710円  

合計 4710円

なんですが、和方鍼灸友の会会員の方と、本屋さん(+ワタシ)と直接の付き合いのある方には割引もするといっていましたので、御希望の方はこちらまでメールにてお知らせ下さい。書店で頼むよりはお徳でございます。今すぐアクセス!!

①お名前

②お送り先ご住所 (〒も忘れずに・・・)

③お電話番号

④冊数

⑤その他の六然社出版書籍でご注文があれば、和方鍼灸友の会並びにワタクシ&本屋さんの友人にはそちらも割り引きますのでご相談下さい(笑)。

※10冊以上のまとめてご購入につきましては、本屋さんはいつも何かしらの特典をつけています。

 そして・・・。希望者が絶えないので、東京でも本屋さんの「繁栄の秘訣」セミナーを開催することになりそうです。詳細が決まり次第アップしますので、こまめにチェック願いま~す!

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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2007年2月13日 (火)

自分の頭で歩いていきます byレオ・リジンスキー様

 「自分の頭シリーズ」(笑)。今度はワタシと同じ卒後1年目の鍼灸あマ指師さんからです。ワタシに感想を送ってくれると公開される羽目になるのである・・・・(笑)。でも、感想を読んでいると独り占めにしておくのが勿体無いなぁと思えるのだ。この方は今を下積み時代としながらも、それでも自分のやっていることに日々充実感を持っているに違いない。この点こそが大事なのだと思う。必死にもがいている人にはそれなりの強みが生まれる。これが勝負しなかった人からは出ない底力となって、基盤を作ってくれるのだぁ~。以下。

「当方プロ志向、開業希望」

お久しぶりです。年賀状ありがとう。
立春も過ぎ、去年の今頃のことを思うと
「月日ははくたいの過客にして…」の芭蕉的な気持ちになりまする。
1000人揉みを目指す修行はまだ続き、
いまは671人です。あー、たいへん。

ブログが熱いので、私もメールしみますた。

私も、当方プロ志向、開業希望です。
卒業後、一年が経とうとしています。

ライセンスを取ったら、すぐ開業しようと思っていました。
ところが、自分の成りたい、あるいは成れる、
もしくは自分にあっている、鍼灸師像というのが具体的に、
なかなか見えなかったのです。
頭ではわかっている「つもり」でも、腑に落ちてないというか。

で、ここで本屋さんの話を思い出すわけです。

たしかこんな話だったと思います。
「僕の知り合いの先生で看板を出さずに口コミだけでやっててね、
畑の奥の場所も良くわからないところでやってる先生がいます。
でも繁盛しています。
そこにたどり着くのが治療の始まりだって考えもあるんです」

そして、三年の冬に訪れた、
某有名2世先生の豪邸も思い出したのです。

どちらも鍼灸師。
どちらも喰っていっている。
在り方は自由。
なにを選ぶのかは自分じゃん、と思いました。

そしてそれがはっきりしないうちは開業はやめとうと、
丁稚やろうと。

どんな生き方がしたいの?
どんな人間になりたいの?
っていうことと、
どんな鍼灸師になりたいの?
どんな鍼灸院を開きたいの?
ってのは、イーコールだと思いました。

私の場合、25歳から自由業。
サラリーマンはわずか三ヶ月で挫折。
実家は商人なので、月給という感覚も知らず。
確定申告やら国保やら面倒だけど、
そんなぷーたろー15年をおくって鍼灸学校へ。
(ここらへんのダメ人間さ加減が、
堅気な鍼灸師の方とは違うと思います)

私はバンドやら劇団やらに表現に没頭していたので、
自分を河原乞食として見ていました。
で、鍼灸師も、水商売じゃん、って。
それも、おもしろい水商売だな、って。

なので自分が開業するというイメージは、
バンドがメジャーでレコードを出したりするのと
似ているな、と思ったりします。
自分のやりたい音楽、人が見て自分に合ってると思われる音楽、
その差、とか。
売れるということはどういうことか、ってこと。
だって普通の鍼灸師がキューピー先生に憧れたって、
キューピー先生にはなれないでしょ?

鍼灸も表現だと思っています。
肉体表現。
ので、
表現にはアートとエンターテインメントの問題が常につきまとうのです。
しかしアートとエンターテインメントは両立するのです。
技術が際立てば、それは娯楽としても通用するのです。
ここらへんは、落語、歌舞伎、能、文楽、バレエなどの
伝統芸能の名人の芸を観れば明らかなのです。

あーなんだか文章がとっちらかってきたわ。

なので、いまブログで熱くなっている話題には関心があります。
というのは、私は今年に開業を目論んでいるからです。

単純に言えば、
いろんな治療家、治療院を見学にどんどん行けばいいのです。
そしたら自分の好きなモノ、嫌いなモノがはっきりするのです。

鍼灸師としての、本屋さんの在り方は、
私の憧れのひとつでもあります。
かっこいいと思います。
でも私は師のようにはなれっこないので、
自分の在り方を探しています。

臨床一年生、若葉マークの意見です。しかし、私の場合、ちょっと「普通」ではないので
参考にならないかもしれませんが。

言いたかったのは、とにかく「独りで立つ」ということ。
そしてそれでも伝統医学ゆえ「依って立つとこ」も必要だということ。
キューピー先生以外の学校は抜きにして、学外で良き師匠に巡り会えたので、
今日の自分がいると思わざるを得ません。
「独りで立つ」のですが、けっして「独りで立っているわけではない」のです。
このアンビバレントをわかって欲しいな、と思います。
いまの仕事も局面、局面でいろんな師匠の姿を思い出しながらやっています。
いまの治療法はその師匠方のコピーなのです、恥ずかしながら。
自分のオリジナルなんてひとつもありません。
でもそれでいいと思っています。
毎日、こつこつ、それをやるのが大事だと痛感しています。
なんか偉そうだな。失礼。

本屋さんとは、三年の夏の講座を受けて、
そのあと地震で北海道へ見学へ行けなくなって飲み会に出て、
それが強烈な出会いになりました。天変地異に感謝です。(笑)

あと、某有名2世先生のことは否定はしているわけではないのです。
それもありだと思っていますが、自分は違うな、と。

掲載がまた波紋を呼ぶかも、ですが、
これも一つの意見だと思ってくれれば幸いです。
自分の発言には責任を持っていますし、
発言すれば敵に刺されるのも覚悟のうえです。
表現とは戦いだ!そういうことだと思っています。

以上で~す。

 冒頭に二通りの鍼灸師像として挙げられている最初の先生についてですが(某有名2世先生ではなく)、実は佐渡移住ク~ルヘア~様なのです(笑)。この話題に関して、お二人からメールを頂いた偶然にワタシ一人でニヤニヤしてしまいました。

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2007年2月10日 (土)

自分の頭で生きてゆこう by佐渡移住ク~ルヘア~様

 またまた。勝手に思うことを書いているブログに対するご意見を頂きました。成功鍼灸師のタイプは何も一つではありません。これも言いたかったのですが、なんせボキャブラリー&表現能力&アウトプット能力に欠けるので上手く表現できませんでした。勝手に拝借してみたいと思います(笑)。

 この方は本屋さんの大切なお友達のお一人で、東京暮らしを捨て大好きな佐渡に移住し、地元のコミュニティにも参画しながら、毎晩大好きな日本酒と佐渡で獲れる美味しいものを食べて人生を積極的に楽しんでいる鍼灸師です。お話もとっても面白く、一緒にお酒を飲める次の機会をずっと狙っています。そういえば『TAO鍼灸療法』でも連載を持ち、『新日本鍼灸楽会草紙』にも文章を寄せて下さってますね。早く佐渡に上陸せねばっ。以下転載です。

本日の熱血長編ブログ。 (←「自分の頭で考えよう」)
全国の学生さんに読んでもらいたいものです。

鍼灸師は世間的な成功をするか、
あるいは世間的な成功はしなくとも、
ちゃんと人を治せるようになれば、
存在価値のある生き方ができるかと思います。

また私の知人たちの中には、
自分は続けたくとも、
現状の収入と家族のことを考え転職した人たちもいますので、
できちゃった結婚するような人たちにはまず無理な商売でしょうね(笑)。

世間的には何の花もないのに、
もっとも困難な職種であることを、
学生さんは知ってて入学しているのかな。

もちろん実際は毎日が「お花畑」で仕事のできるすごく楽しい世界なのですが、
しかし、その花が見えんことには不幸なだけでしょうね。

 以上。

 ワタシは現在手ごろなお花畑で日々楽しんでおります。こんなに充実した毎日を送れるのも鍼灸師に必要な知識が生活全般に関わることだからだと思います。生活の中の動作、食べ物、考え方、生き方そのものが患者さんへ提供できるネタになります。ですから、毎日の中でどれもが勉強であって、無駄なものが何一つありません。

 ワタシが20歳から3年間お世話になった爺さんの話はこの前少し書きましたね。この爺さんはコンピューター室長だったのですが、世の中にコンピューターが出始めたのが40も半ばになった頃で、若者に交じって必死で勉強したそうです。しかし、コンピューターの世界は日進月歩、日々新しく変化します。70の爺さんは「ついていけないよぉ。ずっと知識が生きるもの、経験が積み重なっていくもの、年齢を重ねれば重ねることが生きる仕事はいいよ・・・」とこぼしていました。「またぼやいてる。ふ~ん、そんなものかなぁ」と聞き流していましたが、アロマに出会った瞬間に「こりゃいいぞ。女としての日常がぜ~んぶ仕事に生きるじゃないか。出産育児子育て、仕事のキャリアを邪魔するどころか全部がプラスにしかならないや」と、爺さんの轍は踏まない、ライフワーク獲得の雄叫びをひっそりあげたものです。

 そしてアロマショップで働き始め、「こりゃまずい」と思ったのです。単なる売り子に必死に不定愁訴を訴え、どうやったら解決できるかをすがるように聞いてくる人間の多いこと、多いこと。《アロマセラピスト》と横文字を謳っていると、治療者と誤解するのが一般人。アロマ=癒やしのイメージが先行していますから、不定愁訴の女性がはまりやすいのです。こちらはアロマ学校で得たとってつけ知識と雑誌で見るようなお手軽あるある知識を能弁に語り、アロマグッツを売りつけるのですが、それでもしょっちゅうやってくる。4年も経った頃、いい加減自分の薄っぺらい健康商法に嫌気がさし、「しっかり人間の身体について勉強して、ちゃんとしたことを言ってあげよう」と鍼灸学校へ入ることにしました。

 ワタシのアロマの先生は鍼灸あマ指の資格を持ち、人体の理解度が他とは雲泥の差だったので、「鍼灸学校へ行くとああなるんだ。勉強厳しいだろうなぁ」と、意気込み熱く、鼻息荒く入学しました。3年間の授業費+その他モロモロ費を用意して、集中して学生をやるため仕事は辞めました。バイトはしようと持っていたので、アロマの先生のアロママッサージ院でバイトをしたいとお願いしたところ、出産のため一時休業するとになったと。タイミングが合わなかった・・・。実はこれでアロマとはしばし縁が切れ、鍼灸一本になりました(笑)。

 与えられた勉強をこなすだけの1年が過ぎ、2年になって少し鍼灸業界の存在に気付いた頃、シュガイザー先生の講演(『新日本鍼灸楽会草紙』掲載)を聞いてしまったのです。ワタシは熱いの痛いのダメでしたので、シュガイザー先生が救世主のように見えました。自分の好きな鍼灸をやっていけばいいんだ、と発想の転換一歩目でした。その後、本屋さんの散鍼を体験し、「この人はこれが出来るようになるノウハウを持っている。こんなすごいことが自分にも出来るかもしれない・・・」と思い込んで六然社に潜り込んだりしたわけですが、本屋さんの「鍼だけ刺してて治るわけないじゃんねえ」という言葉の背景にあるものを模索しつつ今日に至るわけです。

 雇われ鍼灸師ではなく、自分の鍼灸を追い求める限り、常に裸で歩いているようなものです。「で、ちゃんとやれんの?」と、ファーストコンタクトから値踏みされ、「結果出してよ」と無言のプレッシャーをかけられます。こういう事を《甘くない》というのでしょうが、しかし、上手く乗り越えられたときの喜びは得がたいものです。自分を磨いて、どんどんできることが多くなっていく面白さもこの商売にはつきものですね。だから、経験豊富な鍼灸師は輝いている人間が多いのでしょう。チャレンジせずにはいられない職業です。でも何故か鍼灸学校の専制(?)達には背中のすすけた人が多いんです。

 本屋さんにくっついていると色んなチャンスが転がり込んでくるわけですが、その一つのチャレンジの模様を近いうち紹介します。

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2007年2月 8日 (木)

自分の頭で考えるには by白忍者様

 じゃ~ん。好き勝手書いている(だから肌つやがいいと評判です:笑)このブログですが、こうやって予想外の反響が来るというのは大変ありがたいことです。皆様にもお福分け!!

 

初めて投稿します。白忍者ことシュガイザーです。
ネタを明かすと、「シュガイザー」はアニメ「テクノポリス21」に登場する 「ブレーダー」というキャラを元にデザインしたものです(特にメットの部分)。

患者さんとの関係について、参考までに、学校でしゃべっていることを要約しておきます。

不信:

患者さんは鍼灸に対して不信感を持っています。 すなわち、痛い+熱い=怖い、の足し算です。 根強い不信と、紹介者の信用とを比較・検討して 不信(患者)≦信用(紹介者)
となった方が、治療院に電話をかけて下さいます。

来院の予約を入れて下さるかどうかは、電話の応対にかかっています。

患者さん候補は、受話器越しに院長の人柄や実力、治療院の雰囲気などを事細かく察知しているのです。 もし、予約を入れて下さったら、とりあえず不信(患者)≦信用(治療者) 、紹介者から治療者に信用がバトンタッチしたことを意味します。

もし、「また電話します」などといって切られてしまったら、 二度と電話がかかってこないケースが圧倒的です。

すなわち、不信(患者)>信用(紹介者) となり、患者さん候補に「ダメだ、こりゃ!」のダメ出しをくらったということ。 それは同時に紹介して下さった方を裏切ったにもなるのです。

後述するように、やっと築けた大切な信頼を一つ失ったことをも意味する場合もあります。電話を通じて相手の耳に届く、声質・声量・テンポ・内容のどれかが悪いのです。内容(相手の理解=病状の理解)が不十分だとテンポが悪くなり、自信がないとトーンが下がり、声が小さくなるものです。大切なのは、電話越しに先回りして患者さん候補の置かれた状態を読めるかどうかです。電話では、治療者の実力が問題なのではなく、「何としても治そう」という意気込みの部分を感じて下さるのです。とはいえ、実力がないと全く話しになりませんが……

信用:

もし、来院の予約をして下さったら、電話越しにとりあえず信用していただけたことになります。 ただし、この信用は仮のもので、バックに紹介者の信用という保証書が付いていることをお忘れなく。
   

鍼灸未経験の方はまだしも、鍼灸トラウマ(以前の治療で、痛い+熱い=効かない)の方の場合は、よほど注意して施術しないと、鍼灸不信をダメ押しする結果となります。 患者さんの治療は、「施術前より悪化させないこと」を肝に銘じるべきでしょう。
   

ビフォーとアフターがドローなら、再診に応じて下さいますが、ビフォーが勝ちなら、ドロボーと一緒です。恥ずかしくて施術料などいただけません。 患者さんとしては、次の予約なんてする気になる訳がありません。 「一人の成功は一人の増加に繋がることもあるが、一人の失敗は十人の減少に繋がりかねない」、これも格言です。

信頼:

もし、劇的に効いたり、回数を追うごとに恢復していくならば、もはや紹介者の信用なしに、治療者への信用は次第に信頼へと昇華していきます。

信用(患者)≦信頼(治療者)
信頼とは、仲介者なしに、患者さんが治療者に心と体(魂までは知る由もありません)を任せきって、すっかり安心している状態です。 この段階になって初めて、家族なり、友人なり、同僚なり、何らかの苦痛を抱えている周囲の方々を紹介して下さるのです。「まあ、私を信用して、通ってみては?」と提案して下さるのです。

まがり間違っても、新患さんを紹介してくれた方には、 1回無料券発行とか、割引サービスとか、景品進呈とか、浅ましい営業努力はしないように!

不信から仮信用へ(1回勝負)、仮信用から信用へ(1回勝負)、信用から信頼へ(焦らず、弛まず、怠らず)、 このことさえ肝に銘じていれば、臨床家として一人立ちできない訳がありません。以上です。

う~ん。学校の教員をしながら、治療院経営を軌道に乗せている先生のアドバイスはなんて具体的で、示唆に富み、実践してみたくなる話なのでしょう。治療の合間に読んでいただいて、書いてくださったとのことです。白忍者先生に習っている学生は恵まれていますね。先生は1年生の一回目の授業で、本当に厳しいことをおっしゃいます。たまたま見学させて頂いたワタシはびっくりしました。その洗礼を受けて入学早々ブルーになる学生ばかりなんでしょうが(笑)。でも、ワタシの母校でもそれに近い洗礼はありました。4月はブルーでしたねぇ。ただ、ワタシの場合は「学校では限界があるから、自分で外へ動いて師匠を見つけろ」という内容でした。今思えば責任転嫁も甚だしいと思います。自分の職域に制限を最初から設定して、断言して、逃げ道を作っているようじゃ甘いでしょう。白忍者のように師匠につかず、自分の頭と手を開発しつづけ、治療院の合間を縫って教えに来ている鍼灸師が「ちゃんと取り組まないと何にもならないよ。しっかりやるか、道を変えるか。そして鍼灸を取り巻く現状は・・・」と、暗愚主義を徹底的に話しますから、勝手に膨らんでいた卒後の華やかな希望が一瞬にして消え去ります。厳しいけど、親切ですね(笑)。

実は他にも反響がありました。教員になる意義を考え直すきっかけになったと、専攻科に進んでいる方からでちた。皆さんも、思うことがあったらメールくださいね~。クレームも随時受け付けております。クレーム対応能力は顧客=患者を定着させる能力に直結しますので、キチンと対応させていただき、臨床に応用しようと思っています。

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2007年2月 7日 (水)

自分の頭で考えよう

 本屋さんの近くにいると、色んな事があります。キレイ事で繕わない、体裁を気にしない、問題点をぐぃ~っとえぐりだし、本質をズバッと鋭く突きつけるのが本屋さんの性分です。フリーライターを実はかなり手広くやっている(芸名は多数お持ち。ついでに記念写真はヤバい世界の大物から宮様まであるようでそれこそ治療院に貼り出せばスゴい誤解を生むのでは…:笑)、本屋さんの仕事を覗く度に、ジャーナリストとはこういうものかぁと分かってきました。ご本人は「鍼灸や~なりすと」と自虐的に称されています。

 さて、鋭い毒牙に当たった人々の反応は大体同じです。反論を直接やり取りする気は起こらないようで、大抵地下に潜って「陰口」を展開します。本屋さんのたっての希望であるディスカッションが実現しないことが多いのです。何故でしょう。(シュガイザー先生も悪口を言われるようになって本物とも言ってますが)

 例えば、講演をされる時などに出てくる鍼灸業界にまつわる裏話。初めて聞くと衝撃的です。特に従順な学生の方にとってはその傾向が強い。しかし、社会人経験を経てしっかり社会を見てきた学生さんは、ショックというより「ごもっとも」と相槌を打ちまくり、ファーストコンタクトにしてファンになってしまうことが多く見受けられます。

 先日の福岡講演の後日談として、某学校から電話が事務局に入ったことをブログにあえて載せてみまちた。「素晴らしかった!!」と興奮冷めやらない受講者が多いでしょうが(もっとも賞讃をそのまま真に受ける程本屋さんもお人好しではありませんけどね;笑)、毒のある話を聞きながら嫌な気持ちになった方はやはりおいででした。本屋さんも講演の中で、「ある人にとっては気分を害する話でもありますから」と前置きをされていましたね。実は事務局に電話が入った瞬間、ワタシはあの場におりました。事務局のレベル3氏の返答でどういう内容かを推察するのは容易であり、迷える学生のためを想って電話を掛けてきたというのは手に取るように分かった次第でございます。 

 「何も知らない学生に・・・」という先生の主張は、現代の甘い子育てに共通するように思えてならないのはワタシだけでせうか?育ちきらない大人がする子育てそっくりです。しかも学生は子供ではなく、20歳を超えたイイ大人です。自主性を育てるのに情報規制は要りません。「あのオジサン、色々変なこと言ってるね。自分の頭で考えよう」で良いではありませんか。

 ワタシが思うに、皆さんが鍼灸師を目指して資格を取ろうと思った瞬間に思い描いた姿は雇われ鍼灸師ではなく、開業鍼灸師だったのでは??だって、世の中の鍼灸院は殆ど一人で切り盛りしていますよね。その姿を見て鍼灸師になろうと思った人が殆どでしょう。脳裏に浮かんだのは一国一城の主の姿だったのですよ。たまに病院に入っている鍼灸師を思い描いた人もいるかもしれませんが、病院に入れる鍼灸師の数は限りに限られているのが現状で、よっぽど優秀か、よっぽど強いコネがあるかという一般には開いていない門戸です。因みに雇われ鍼灸師のメッカである整骨院の鍼灸師をスイッチマンと呼ぶのはご存知ですか?求人数は圧倒的ですがその反面、回転が良い、つまり「虚しくなって」辞めていく鍼灸師が後を絶たないので求人が絶えないというのもお忘れなく。

 「一国一城」を「一刻一畳」、つまり「ベット一台一時間で○○円」とちゃかしているのも本屋さんですが、ベット一台からスタートの開業したての鍼灸師や、出張でとりあえず始めた卒業したての新米鍼灸師が切実に思っていることは「どうやったら生計が立てられるか」だというのが、卒後1年目のワタシにはよ~く見えてきましたよ。現実が見えてきたと言い換えられますね。なんで卒業して大海原に出てみないと実感が沸かないのかと言えば、簡単です。学生だったときのフィールドは「学校」であって対象が「先生」に認められることだったのに対し、鍼灸師のフィールドは「世間、社会」であり、対象が「私以外の他者」にどう認められるかだからです。

 学生のときに世間を見せてくれる先生があまりいないんです。口では「現実は厳しいぞ」と言ったところで、具体的な細かい話がでてこない。まぁ、自分が世間に歩みださずに学校へ戻ってきているんだから、具体的な話は分からないんですね。漠然と不安感を煽るぐらいしかできない。学生の視線を自分の所で止めてしまって、その後ろに果てしなく続く世間を遮断してしまう壁とでもいいましょうか。安くないお金を払ってもらうには、何かを認められないと次ぎはございません。成功している鍼灸師を思い浮かべてください。抜きん出た人間というか、強いキャラを持ってませんか? キャラは一日にして成らず、また、誰かがお膳立てして作ってくれるものでもありません。自主性という自分の中にある柱から、知らず知らず自分で作り上げていった結果です。

 そもそも。鍼灸師は自分以外の全人類を顧客層に狙える恐るべき職業なのです。だから、「乞食か大名」に分かれる。認められれば顧客層は全人類。裁ききれないぐらい押し寄せます。が、誰にも認められなければ顧客がいないのですから収入源がありましぇん。裸一貫、自分自身が商品です。ですから鍼灸師は経営者でもあるのです。自分をマネージメントして世に売り出す、意識するともしなくとも、患者に売り込む側面が必要です。 

 これって、営業職にも匹敵します。経営者であり、敏腕営業マンのセンスも必要です。あぁ、大変になってきましたねぇ。他人から情報規制を受けて、自分の頭で考えない人間がやっていける職業だと思いますか?臨機応変、適宜切り抜ける能力、これを育てなくてどうするんですか、先生。それでなくてもマニュアルで育った人間の思考回路から逸脱する様々な出来事が日常的に繰り返されるわけですよ。なんてったて、全人類が顧客層ですから、65億分の1である自分の固定概念を超えるものなんか普通に出てきます。その都度上手く切り抜け、次につなげる能力こそが鍼灸師を続けられる原動力です。だったら頭を開発してあげなきゃ片手落ちです。「どう考えるか」の回路を沢山作り上げてあげなきゃ、臨機応変に対処できません。先生の得意なレールを敷いてその上を歩かせるのはのは簡単ですが、行き着く先はどこですか? 「後は個人の能力だ、健闘を祈る!じゃっ」では、本屋さんがよく例える「神風特攻隊」「学徒出陣」、行ったきりの片道切符と同じです。砂利道、ぬかるみ、コンクリート・・・色んな地面を捉えて歩くには一つのセオリーでは絶対に無理。だけど、一つのことから応用させる頭が出来ていれば、そこから無数に自分で生み出せるのです。これが能力であり、子育てでも大事なポイントだとワタシは本屋さんのやり方を見ていて思うのです。鍼灸師の資格を取らせる=国家試験をパスさせる、のが学校の一番の目的であるのは仕方ない。それは譲ります。だけど、職業に出来る、食べていける鍼灸師をを育てるのが先生の仕事じゃありませんか? 先生の実績はこの点で判断されるべきだと思います。カルチャーセンター気分なのは学生だけじゃないし、殆どの先生が「自分は就職担当じゃない」と、「食べていける鍼灸師養成プロジェクト」には関係ない風に仕事をこなしていませんか? 誰が責任を負うのか明確じゃないから、先生も曖昧にこなせるんでしょうね。就職先を用意しろと言ってるんじゃないですよ。自力で掴んでくるように仕向けるのも教育の方向性なんじゃないでしょうかぁ。

 その点、本屋さんは大変立派な教育者です。逆説的に言えばね。しかも、毒を除いてよくよく聞いてみると、「○○もありますが、△△もあります。この違いは・・・でとりあえず試してみたら」という風であったり、「××はおススメしませんが、こう捉えるなら価値があるかも」とかであって、「これだけやってやっていれば大丈夫(真意:オレの言う事だけを聞け!)」とは絶対に言いません。だから「俺についてこい」的なものを求める人にはもっともキビシい教育者かもしれません。突き放して「自分の足でちゃんと歩け」って言われるわけですからね。 

 もっとも本屋さんが「これを練習すると良いよ」と言った事を半年続けていた鍼灸学校の一年生が、(患者さんの皮膚を読むレベルには行かないものの)手の動きそのものは、ほぼ本屋さんが福岡の講演会でも70人にやってみせた散鍼の動きに近いものができるようになっているのをワタシは見ています。たった半年ですよ! 「学生の為」とかいうのでしたら、その位のスキルを学生に身につけさせてこそ初めて言えるものじゃないでしょうか? 少なくとも、口先だけでなくそういう風に身体を作る教育法を持っているのは、シュガイザー先生と本屋さん位しか今の鍼灸界にいない気がする・・・。 もちろん「動きが出来てからがスタート」だとは本屋さんも言ってますけどね。 

 なんとか会の会長とか何の肩書きも組織のバックもなく、腕だけで患者さんと一対一の勝負をして行くのが鍼灸師です。自分の業界ばかり見ていて、振り向いたら患者さんは待っていないという先生じゃねぇ、「何のノウハウを提供できるの?」と聞いてみたくなります。まぁ、どこかに所属していれば業界同士の横のつながりで多少は患者さんが来るでしょう。でもきっとたまにです。それよりも何よりも、患者さんが連れてくるのが一番多いでしょうし、それが一番確実に定着するのです。「この先生いいよ。是非行ってみなさいよ!」という太鼓判をもらって戸を叩いてくる患者さんは、それだけで治るモードに入っています。大船に乗った気になって来ます。同じ治療をしても、マインド的に勝算がぐっと上がるものです。そうやって、患者Aルート、患者Bルート、患者Cルートと、頼んでもいないのに増えていくものなんだと本屋さんを見ているとはっきり分かります。治療院を経営してきた経験もない、確実に使えるスキルを提供するノウハウもない先生って意外と多い気がします。サラリーマン鍼灸師と自分で経営をしている鍼灸師から出てくる思考回路は全然違います。場数を踏んだ対応能力が全然違う。これじゃ、卒業したらどう切り抜けていくかっていう、「自分の足で歩いていけ」教育が出来るわけがない。自分が避けて、やっていない道のりへの対処法を教えることなんて誰だって出来ません。

 毒気を撒き散らす本屋さんの本質の部分が見えてこない人が要所要所に現れ、ワタシはあごが外れてしまいそうです。ワタシが社会人になりたてだった20歳からの3年間、同じ職場の70を過ぎた爺さんが毎日毎日「人の本質を見なきゃダメだよ」と人生を切り抜ける5か条を教えてくれました。ついでに毎日毎日「顕微鏡のレンズがどう作られるか」「焼き芋の美味しい作り方」「少年時代の思い出」「ヒステリックな奥さんの愚痴」等、繰り返された話題は沢山あります。当時は「本質」という言葉を漠然と受け取っていましたが、なんとなく頭にこびりついたこの言葉の意味が、六然社にいるとよく見えてくるのです。 

 鍼灸師という職業を選ぶなら、まぁとにかく、患者さんを納得させらるモノを持っていないと続きませんね。それが何で有っても結構ですが惹き付ける何かがなければ絶対に紹介しようなんて思われません。しかも、鍼灸師は「先生」という職業ですから、まず、他人から見える(認めずにいられない何かを持った)存在感が確立していない顔なし君では土俵に上がれません。やっぱり自己主張ができないとダメなのです(※他人との協調性がないのを自己主張とはいいません)。業界の裏でもなんでも見せてあげて、ありとあらゆる情報の中から自分で取捨選択して行動させる自主性を育ててくれる先生は普通学校にはいません。なので学生の皆さん、しょうがないから、自分の頭で考えて、自分で自分を育ててください。

 鍼灸学校の先生方は胸に手を当てて考えてみて下さい。ご自分の同級生達の何人が「開業して成功」していますか? 他人に教えられる程臨床経験がおありですか?  開業して世の中と向き合って勝負してみた事がありますか? 学生なんて弱いもんで特殊な人を覗けば(笑)先生の言う事を聞くしかないんです。  現実に気がついて随分遅すぎたスタートを切るのが殆どです。  シュガイザー先生は、のべ約1万人(正確には9600人代だったように記憶しています)の患者さんを診てから開業したそうです。 本屋さんも嘗てお寺でのボランティアで数千人を診ていたようですし、最近またそれを復活する事になり(理由があるのですけど秘密)、でワタシも邪魔にならない程度に付き合わせて頂くことにしました。 ニコイチは、鍼灸界の暗愚主義にはひたすら攻撃的ですが、鍼灸治療を受ける庶民への施術にはサービス精神満載です。 福岡で「患者様」と呼ぶ事への批判話を聞いても、その精神から学ぶものは沢山あると思うのですけどねぇ?保身ばっかりで嫌だわぁ。  

 

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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