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2007年3月

2007年3月30日 (金)

満員御礼

  3月18日、東京にて本屋さんの『鍼灸開業繁栄の秘訣』講座が開催されました。締め切り後の熱意あるドタ参が数名、定員を超えてのスタートで会場は溢れんばかりの人でございました。福岡で一度参加されているのにも拘らず、わざわざ新幹線、夜行バスに乗って、いらっしゃった10名あまりの方々。東京在住ならいざ知らず、交通費が万単位なのになんでわざわざ・・・(笑)。「もう聞いているのに、どうして来るわけ?」と、本屋さんは首をかしげるばかり(笑)。
 
 遠方といえば、アメリカから帰国した足で駆けつけて下さった先生、それに新潟からも数名。そのうちのお一人は先日本屋さんが授業をしてきた学校の生徒さんでした。その時の本屋さんの授業の感想文が事務所に届いたので、内容を本屋さんに伺ってみました。暗い卒後の話を聞いてショックを受けたのは皆一様なのですが、その後に続く文面で判断すると、「ショックだった、ケドとりあえず卒業まで頑張る。だけど、人それぞれだもん(自分は違うぜ)!」という楽観的自己主張をする、人生の設計図を持っていないタイプと、「ショックだった、ナノデ自分なりに行動を変えてかなきゃっ。」という切羽詰った感に襲われ、自分の足で歩きはじめようと決心したタイプにキレイに分かれていました。前者は資格を取るまでしか見通しが立っておらず、後者は鍼灸師として生計を立てることを考えている方ですね。しかも、前者の複数には「授業料を親が払っているから、今更辞められないし・・・」という「受動的、他人のために生きてます」と人のせいにしている方もいました。受動的じゃ、患者さんこないっす。

 さてさて。徹夜明けの本屋さんには長丁場になってしまった日曜日。午前中は経絡経穴学の最後のオマケと称して、1年間毎月講義に参加された方々を無料御招待して、馬丹陽の歌賦解説・奇経などのプリントを配っての2時間の講義がありました。1年来て下さったプレゼントとでも言うべき秘伝がてんこ盛りの内容。技の盗み方、注目するべき視点をアレコレ教えてくださいました。これって、一生自分じゃ気付かなかっただろうなぁ~と思えることばかりです。こういうノウハウを教えてもらえると、「さぁ、自分でやってやってみっかな」という気になります。この一年やっていただいての感想ですが、とにかく、「自分でやってみよう」と仕向けるのが非常に上手い。しかも、失敗してもフォローできるように、その他の視点もついでに与えておく準備のよさ。某学校の教員も受講されていましたが、感想として「教員のための講義であった。本屋さんの講義は、誰よりも教員に聞いて欲しい」「自分も受け売りになっちゃうけど来年から授業内容をガラッと変える」と仰っていました。ワタシもそう思います。「教員の為の講座」是非とも企画実行してみたいうちの一つです。がしかし。方々からいろんなバイアスが掛かっていますから、制約があって実現は難しいかも知れません。まぁ、その突破口を考えるのも一つの楽しみです(笑)。

 『鍼灸開業繁栄の秘訣』講座では、治療院運営の秘訣的なことは事細かに『鍼灸開業繁栄の秘訣』の書籍に書いてあるので、それはおいて置いて・・・という所からスタート。「よくある経営セミナーのつもりでしたらお帰り下さい。交通費を付けて受講料を返します(誰も席を立ちませんでした)。それと、この書籍の内容で1回数万円の経営セミナーがやれると思うので、どなたかやりませんか。儲かりますよ:笑」との出だしで意表をついていました。

 まずはこの本の著者、塚谷先生が活躍された時代背景とともに、当時活躍した各地の鍼灸師の話をしてくださいました。これらのことは、ワタシは本屋さんからしょっちゅう聞いているので当然の歴史の流れとして認識していますが、本屋さんから聞くまでは全く知らなかった闇の鍼灸史です。ですから、初めて聞く方々は相当面白かったみたいです。『昭和鍼灸の歳月』を読んでいる方が半数はいらっしゃったのですが、本屋さんはよくいう「最近はあの本も読んでいない人がいるので、それはそれで困っちゃいますが、あの本の内容は昭和のある時期の関東地方を中心にした一部の人たちの立場から見た歳月に過ぎないので、あれだけ読んで納得しちゃうのは危険!」、本には名前だけ出て来る関西地方の先生の話とか、一世代前の隠れた名人鍼灸師達の活躍ぶりも臨場感溢れる語り口で述べ、実際に本屋さんが直接会ってる人の話などもあり、勉強になるのもそうなんですが、とにかく面白かった(笑)。

 実は細かい経営テクニックも織り交ぜながらのお話でしたが、全編を通して「鍼灸師として生きていく心持ち」を語り尽くした感が強かったですね。これは鍼灸師に限らず、人生論としてどなたにもヒットしてしまう力強さがありました。さすが、新興宗教の教祖にならないかと誘われるだけあります(笑)。「《明けない夜はない》なんて言葉は絶対うそっぱち。明けない夜もあるんです。人は必ず死ぬんです。治せない病気、治らない病気はあるんです。人は神様にはなれません!」という言葉が発せられた瞬間の会場の空気といったら・・・。皆撃たれたようでしたよ(笑)。文字にしてしまうと迫力が無いですが、本屋さんの言い方が胸を打つんですね。こういうことを言うと「ブラックだなぁ」と倦厭するのが一般的な反応だと思いますが、人生一回こっきりと思っているなら、この点から目をそらさずに行動することから始まるんでしょうね。 

 続いて身体作りでした。繁栄の秘訣講座からそのままなだれ込みですから、さすがにちょっと人数多過ぎでしたね。いつも参加されている方は後ろの方に下がったり、お部屋からはみ出したりと初体験組みを優先してくださいました。お気遣いありがとうございます(ああいう時の皆さんの行動を結構本屋さんはチェックしてるのねぇ)。基礎を3パターンやってくださいましたが、「次回の四月も参加します」と帰り際に予約をされていった方からの感想では、「私はいずれは鍼灸だけでと考えていますが、現在は整骨院でマッサージをしています。しかし仕事が終わる頃には疲れ切っております。 身体づくりのお話でいかに自分に余分な力が入っているかを痛感し、4月29日の身体づくりにも参加させて頂く事にしました。」とありました。
 
 そうなんです。余計な力だらけです。これは鍼灸師だけに当てはまることじゃなくて、患者さんにももちろん当てはまりますから臨床上とっても役立っています。『繁栄の秘訣』講座のレジメにあった《患者様は何を気に入って貴方の治療院に来てくださっているのか知っていますか?》という問いかけに、「う~ん。このまま真面目にやっていればこれってワタシの売りになっちゃう??」と思っちゃたりしています(笑)。だって、最近疲れないんだもん。あらゆるシーンで「お、ここの力が余計だ」と修正すると、変な疲れって残らないものですね。全体の疲労感はそりゃぁ毎日出ますけど、それはお風呂に入って寝れば治ります。この数日の発見は肩甲骨と鎖骨の関係です。身体作りで気がついた事に注意していると、長時間のパソコンワーク時にワタシが陥りやすい上焦の疲れをぐっと軽減してくれます。すばらしい~。自分で治せるのだ。これぞ患者教育の真髄。実を言えば、本屋さんは一部の患者さんには「宿題」といってこれらの身体作りを教えています。皆さん熱心に取り組みますよ。本屋さんは来なくなって欲しいという願いから教えているんですけどね。が、主訴が取れても、定期的に通わせて下さいとなるのが常です(笑)。これぞ繁栄の秘訣!

 というわけで、次回の身体作りの会は4月29日(日)、10時~12時、神保町です。先着25名様限定です。基本的に先日の会や、今まで参加された経験がある方を優先していますが、どうしてもっていう方はご連絡下さい(と言って、連絡先を書かないのです:笑)。「だんだん来なくなって自然消滅」というのを本屋さんは狙っているようですが、そうは従業員がさせません。とはいえ、初期設定と言いますか、先ず全体像を知ってもらってからでないと差がつき過ぎて教えにくいのだと思います。「どうしても参加したいという人がいたら?」と聞いてみると「面接しようかなぁ」と本屋さんは言っていましたので可能性は大でしょう(笑)。今年は「胴体」からいよいよ「手」作りの領域に入る気配もあります。残り数名で~す。

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2007年3月24日 (土)

肉マンとコーラと戦国時代のハラノムシ

 今日のワタシの《神保町の日々》。

 午前中。本屋さんの治療の助手をしている際に、患者さんから「土鍋でお味噌汁を作ると美味しいよぉ」と教わったので、早速お出かけ前に作ってみた。お出かけ先は某学園。春休み中の教室で有志が集っての巨鍼作りの会が行われるのだ。「自炊ですか」と声を掛けてきたのはシュガイザー先生。そう。昨日から事務所で猛烈に執筆活動中。「じゃ、後で。難しい患者さんだから少し遅れるかも」と言って出て行ったのは本屋さん。忙しなく働く先生方をよそに、ぐつぐつ出来上がった土鍋のお味噌汁、きなこ餅&からみ餅を頂いて、ワタシも出発。

 午後。京浜東北線が遅れて(言い訳)、駆け込んだ某学園の前で、向うから白衣を翻して颯爽と歩いてこられるH先生にお会いした。「先日はありがとうございました!」とご挨拶をしながら(あ、先日と言ってもあの飲み会は夏であったと頭をかすめる)、「今日は本屋さんが講師をするので・・・」とお話しすると、わざわざ会場の教室まで自らご案内くださった。恐れ多い~。「お客様が見えましたよ」と、うごめく学生に向かってH先生がご紹介してくださったのはいいのだけど、肝心の本屋さんはまだ来ていない。まずい・・・。みんなの顔が嬉しそうにこっちを向いている。期待度120%である。

 とりあえず、5月4日、5日の『診極図説』&『難経真義』講座のおススメポイントをお話させていただきながら場つなぎをしている最中に、主役が到着。ふ~助かったぜ。その後、ちょ~早口ながら濃厚すぎるアジテーションを繰り広げる本屋さん。五行の色彩による色分けで見る世界観、陰陽の見方には2通りあること、腧穴がどうして膀胱経にあるのか、五蔵に応じる刺法や八会穴等について、その使い方を教えない(教えられる教員が殆ど居ない)のに国家試験には出す矛盾などから現在の鍼灸学校の教育システムへの強烈な批判へ展開。そもそも、東洋医学概論がありながら、東洋医学各論がないというカリキュラム自体おかしいとニコイチは主張します。だいたい現在の東洋医学系のカリキュラムや教科書のレベルの低さといったら・・・と嘆いておられる。坂井豊作の『針術秘要』を引き合いに出しながら、「病状はまず筋に現れるから…」といった考え方も披露しつつも、「学校鍼灸は基本的には筋の部分しか見ないので、皮毛(散鍼)と肌肉(巨鍼)や血脈(刺絡)等をも臨床に取り入れると世界観が広がります。さぁ、巨鍼を受けてみたい人手を挙げて」とデモへ移行し、巨鍼製作がスタート。

 今回は新2年生が中心だったようですが、まぎれて新3年生、専攻科、教員と実は幅広い方々がお集まりになっていた(笑)。2時間経たないうちに続々と仕上がる辺りはかなり優秀。

それぞれ出来た方から、本屋さんにコメント&刺してもらいながら、散鍼のオマケも随所でやってまぴた。本当は散鍼は散鍼だけでやりたそうでしたけど、せっかくの機会だから、なるべくてんこもり! マルチユーザーマルチタスクマルチパーパスが信条の本屋さんならではでぷ。こんな授業学生のうちに受けられるなんて凄い贅沢。それに今日の本屋さんの講義は全くのボランティア。あんだけ鍼灸学校教育に文句言ってるくせにやっぱり母校には愛着あるのかなあ(笑)

最後にはちょっとだけ質疑応答もありました。「東京で入学を奨める鍼灸学校ってどこですか?」との、学生の質問に「まず、鍼灸師になることを奨めない(笑)。それでもっていう人には都内だったらやっぱりココかなぁ。現在の鍼灸学校には優・良・可・不可で言ったら可か不可しかない。ココは可。H先生や今日の担当である、熱意溢れる勉強家の専任教師T先生がいる珍しい学校ではある。日本で何処?と言われたら、シュガイザー先生も教えてる学校かなあ」と言っていた。  「長い巨鍼を作ってちゃんと使って滅菌が必要な人は連絡下さい」と大サービスな発言も。他ならぬワタシもそうでしたけど、こういった一言(チャンス)に食いついて、「迷惑な押し掛けにはならずにちゃんとした人間関係の構築」が出来るかどうかが、結構試されるのだと思います。そう言えば、先日の「繁栄の秘訣講座」でも、六然社の本を大人買いしていた学生さんに、本屋さんはサプライズを差し上げていました。

 その後、帰る前に、H先生の引っ越したばかりの研究室にお邪魔した。中医書が壁一面。この数倍の書籍が他の階に散らばっているそう。この研究室の位置づけは鍼灸科の付属というのではなく、独立している部門だそう。「へぇ。うちの学校は伝統、伝統と言いつつ、そういう独立機関まで持っていける人材&熱意不足だったんだなぁ(古典研究室っぽい部屋は確かにあったが、外に向けて動いている気配はなし……M先生頑張って欲しいby黒忍者)」と、お宅訪問的なノリのワタシであった。

 駅で本屋さんと別れて、ワタシは事務所へ戻りまぷ。シュガイザー先生はパソコンに向かってキーボードを絶え間なく打ち続けている。どうやら、このまま徹夜らしい。明日朝から治療があるんじゃ・・・。今日のタイトルである肉マンはシュガイザー先生の好物。で、コーラは鍼灸鴻仁オフィシャルドリンク。で、書いているものが4月後半に発売予定の『戦国時代のハラノムシ』。九州国立博物館の『針聞書』の絵本の記憶も新しいかと思われるが、今度はハラノムシ全63種の解説を付けた図鑑のような詳しい本が出るそうだ。一般向けだそうなので、とっても分かりやすい。ざっと頭を拝見した限り、「続きが見たいぃ~。しかもハラノムシの解説が読みたいぃ~」となる(笑)。ハラノムシの解説が素人さんにだって面白く、勉強になる風に書かれているのも、シュガイザー先生のベースに《色体ちゃん=色体経象学》があるからなのだ。これも早く本にして頂きたい。

 先生は書きながらたまに解説をしてくださる。「この戦国時代のハラノムシの概念って、『診極図説』に繋がるんだよね。ムシが毒に変わったの。だから吐かせたり、下したりっていう治療法に結びつくんだよ」と。なるほどぉ~。5月4日の講座が楽しみだ!因みにまだお申し込みは間に合います。こちら  までメールにてお申し込み下さい。参加費1万円のうち、本代が殆どですから講義自体はタダみたいなものです。これを逃す手はない。腹診を身近なものにしたければ、お見逃し無く。今話題の『蟲師』からもヒントを沢山得たようであるシュガイザー先生のお説は、非常にユーモア溢れるハラノナカノハラッパなのだ。

 気付けばもう20時。お腹が空いたので、勝手にワタシは夕食の準備に取り掛かる。先生は寝てしまうから食べないそう。さすがだ。で、コーラと肉まん(笑)。お昼の残りの土鍋お味噌汁が更に熟成されていて、まろやかな美味しさになっていた。一心不乱にパソコンに向かう先生の斜め前に座り、今日4杯目のコーヒーが落ちるコーヒーメーカーをボケ~と見ながらお菓子をつまみ食い。ここにあるコーヒーはどれもすごいランクのようだが、コーヒー党でないワタシにはサッパリ分からない。いつも大事なお客さんには一番いいものを出す本屋さんを見習って、「ハワイコナってすごいんだっけ、先生だからこれにしよう」と、たっぷり夜中の分も落としておいた。本屋さんも0時頃戻ってきて朝まで仕事らしい。シュガイザー先生は始発の新幹線で帰るとの事。一体この人達って?

 そして、ワタシはこっそりブログを書き始めました。途中、シュガイザー先生に見つかってしまい「コラ、アンジェラ何やってるっ」と、つっこまれたが、本屋さんもまだ帰ってきてないし、いいでしょう(笑)。おしまい。

 

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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治療家の手の作り方

神道の呼吸法

ハイブリッド難経

超鍼灸法

東洋虹彩診断 『診断革命』

新日本鍼灸楽会草紙

大師流小児鍼

日本腹診の源流

皆伝/入江流鍼術

六然選書① 尾張藩医浅井家伝 金匱口訣

六然選書② 鍼灸開業繁栄の秘訣

古伝大東流闡明

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2007年3月13日 (火)

知って得した『食用油には危険がいっぱい!』

 今回ご紹介する本は、ワタシの人生を根底から支えてくれそうな内容です。【食用油】の知識が欲しかったので、患者さんにも紹介しやすい、お話しやすい、身近な文章でかかれた本を注文してもらいまぴた。

中央アート出版社の『食用油には危険がいっぱい!』氏家京子著(1500円)。

 ワタシは外食もかなり多いのですが、自炊をしていれば、油を一切使わない調理法の方が好みなので、気付くと数ヶ月も油を使っていなかった・・・ということになります。ワタシの場合は自分で作る以外の場所からしか油を摂取しないのですから、とても受動的です。「大体、外食産業のずっと加熱されっぱなしの油が良い状態なワケがない」とは思っていたものの、もっとやばかった。一般家庭に普通にある食用油こそ見落としてはいけないものだと言うのです。

 余談ですが、アロマで使う植物油は基本的には遮光瓶です。「自然なものなのでぇ、酸化が早いですからぁ、100%ピュアなアロマ商材はガラスでしかも遮光瓶に入っているものなのですぅ」とお客様によく説明していましたが、ふと考えてみるとスーパーで売っている食用油はプラスチックのボトルでしかもあんなに大量に入っている・・・。おかしい・・・。そうそう。アロマ商材を置く棚に照明があったりすると大変でした。デパートなどの商品陳列の棚には照明が付いているタイプがあります。商品をより素敵に見せるためなのですが、この熱がキャリアオイルと呼ばれる植物油の酸化をすご~く早めます。テスターで開封後の瓶を陳列しておくとあっという間にに酸化(もちろん蓋はしまっています)。特にグレープシードが早かったなぁ。なので、ワタシは勝手に照明を切っていました。これで随分長持ちしました。そして、家での保管も冷暗所です。足の速いのは冷蔵庫の野菜室に入れておくことも、経験的にしょうがないからしていました。だって、すぐに酸化して使えなくなるんだもん。でも、これって肌に塗る油のことです。肌に塗るレベルでこうなのに、口入れる油がビニール容器で、常温棚に埃をかぶって長年スタンバイ、場合によっては照明もしくは日に当たる売り場にあるってあり得ないんじゃ??

 A型特有の几帳面さがココに露呈します(笑)。本屋さん曰く、「A型が几帳面ていうのはさ、自分に関することなんだよねぇ」という言葉が脳裏をよぎりますが、自分の身体に入れるものは選びたいですしねぇ。どこかのバイアスが掛かっていない情報があったらなぁと思っていたのでこの本一冊で随分勉強になりました。巷に溢れるテレビや雑誌の料理情報や健康情報で出てくる【カラダに良いモノ】というのは、それが売れると喜ぶ人々の存在が後ろにあります。ですから、いくらお医者さんや栄養士という人達が肩書きを持って喋っていても、イマイチ信用ならない。特にテレビ、雑誌など広告料で成り立っている業界はその傾向が強いでしょ。本屋さんがよく言う「だまされるな!」の精神を持って見てみると、世の中、誰かの利益を根底にして作られた商品イメージの氾濫が目に付きます。

 さて、この本を読んで良く分かったのは、「油は絶対に摂取しなければいけないものである」、ということです。細胞膜の原料でございますから、人間を作る基礎、オオモト君です。脳神経細胞の材料でもあり、しかもワタシの体内で作り出すことができるものではない。加えて、日々のエネルギー源、ガソリンの役目を果たします。燃料なくして、きっつい鍼灸師人生は乗り切れぬ(笑)。こうなったら積極的に摂取しなければいけないじゃないか。・・・とくれば、答えは自ずと出て参ります。ワタシの原材料とでもいうべき、大切な油君。質の良い物を選び、最善の摂取方法で口に入れよう!!

油は一種類ではない:【油】というと、油・脂全般をイメージしてしまいますが、大きく分けて2種類あります。【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】。後者の【不飽和脂肪酸】では更に分かれて、【一価不飽和脂肪酸】と【多価不飽和脂肪酸】。【多価不飽和脂肪酸】が更に分かれて、リノール酸等の【オメガ-6】と、アルファ-リノレン酸等の【オメガー3】がありあます。この分類により、厳守すべき摂取方法が変わってきます。

【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】:この分類がややこしい・・・と思っていたら簡単でした。前者が常温で固まりやすい動物性脂肪に多く、後者は常温で液体、冷蔵庫に入れても固まらず、分子構造が非常に不安定なので熱に弱く、酸素に触れると酸化しやすい、とってもデリケートな【生食用】と覚えればよし。

 一般的な食用油は【不飽和脂肪酸】ですね。常温で液体だもんね・・・。おやっ、【生食用】のはずが何故、天ぷら油になるのでせうか、そもそも賞味期限が1年以上ってありえないはず・・・。コレは怪しい。魔の手が入っておりますね。

 どうやら【精製】と呼ばれる工程が、自然界ではありえない長期放置プレーを可能にする油を作り出せるそうなのです。詳しいことは本に譲りますが、【生食用】たる由縁の【アルファ-リノレン酸】を真っ先に取り除き、強制的に安定させるようにさせちゃうのです。【安定】って言葉は良いイメージを植えつけますね。【生活の安定】、鍼灸師が一番所望する言葉ではないでしょうか。が、【油の安定】とは、一番大切な成分を抜き去り、その工程に溶剤を使い、熱に弱いはずの【不飽和脂肪酸】を150℃で蒸留し、脱ガム、精錬、脱色、脱臭といった過程で葉緑素&ミネラル&風味を抜いちゃいまして、場合によっては防腐剤、消泡剤、抗凝固剤、水素を添加しちゃうそうなのです。これじゃ摂取すべき成分が無い上に、取りたくも無い添加物までどうして口にしなきゃイケナイノ?? これって食べ物??、という素朴な疑問が出てきます。商品はできるだけ長持ちしてもらいたい、というのが業者のニーズです。それを最優先し、かつ大量生産できるのでコストパフォーマンスを取っているふりをしているのでしょうか。

リノール酸神話崩壊:この本の中では生活習慣病の原因と名指しされている、リノール酸。悪玉コレステロールを下げる働きにスポットライトが当てられ、随分チヤホヤされてきましたが、同時に善玉コレステロールも下げており「意味無いじゃん」という事実が近年分かってきたそうです。が、しかし。これは摂取すべき成分【オメガ-6】を多く含むものであり、且つワタシの体内で血液を流れやすくし、血管を拡張し、心筋梗塞・動脈硬化・糖尿病の合併症・肥満・アトピーを予防し、子宮の収縮を助け、生理前の不快をやわらげるといった素敵な作用を持つガンマ-リノレン酸やアラキドン酸を作り出す材料なので摂取しなければいけません。が、【アルファ-リノレン酸】とのバランスを考えた取り方の工夫が必要です。

リノール酸vsアルファ-リノレン酸:この両者は人体で競合しあっているそうで、両者の適切な摂取量をマークしてバランスをとることが、「油を取る意味」と言えます。4対1(1対1という説もある)が最適だそうですが、なにせ食用加工油にはアルファ-リノレン酸が予め抜かれておりますので、加工食品や外食産業が氾濫する現代では20対1の割合に陥っているそうです。このアンバランスさこそ、油を摂取する上で最も注目すべき点です。にゃので、完璧に不足している【アルファ-リノレン酸】を生食で毎日とることがキーになってきます。健康オタクであろうとも、油全般を敵視する単一的思考ではいけません。【アルファ-リノレン酸】を一日スプーン1杯取ることで作られる、ワタシの中で起こっているバランスにこそ意識を注ぐべきなのです。陰陽のバランス、東洋医学と通ずるこういう考え方は真理を付いていると思えてなりません(笑)。

動物性脂肪を取りすぎると血液がドロドロになる理由:ゴルゴ36先生もこないだ書かれていましたね。これは動物の体温と人間の体温に差があるからだそうです。牛さん、豚さんの方が体温が高いそうです。油は温度が下がると固まる性質がありますので、温度の低い人間の体に入るとサラサラとは流れずに、ドロドロっとなるのだそう。

ドロドロしない油って?:⑤から類推すると、人間よりも体温が低いモノからもらうのが良いのでしょう。イメージしてください。海は冷たいですねぇ(笑)。冷たい海水の中で生活している魚さんは泳いでいる間に血液が固まってしまっては生きていけませんから、体内で固まりにくい【不飽和脂肪酸】のDHAやEPAを沢山持っているそうです。血液サラサラとよく耳にする油の名前ですね。魚の純粋な油は-45度まで固まることが無いものあるそうです。ひょえぇ~。あ、ちなみにですね。古くから魚食が一般的だった民族は新鮮な魚の油を他の民族に比べて多めに取らないといけない体になっているそうです。一度お金を手にすると、生活レベルを下げられない現象とよく似ています。摂取量が多かったので、それに合わせた体になってしまっているんですね。ですから、余計に不足しがちだそうですよ。「生魚だけから摂取しなければいけないのかよ、EPAさん、DHAさんよぉ」と生魚が案外苦手なワタシは悪態をつこうかと思いましたが、デモ大丈夫。こんなワタシでも体内で生産できる設備が備わっているのです。【アルファ-リノレン酸】から作り出せるんですねぇ。だから、野菜と良質な植物油の組み合わせ、【サラダ】で済むわけですよ。冷たい大地から取られる冬のお野菜には、寒さで細胞壁が破壊されないように固まりにくい【不飽和脂肪酸】の【アルファ-リノレン酸】を大量に生産する能力が備わっているそうです。ですから、成分的に多く含まれるんですね。寒い冬の防寒に一役買う旬のお野菜、納得です。

トランス型脂肪酸:日本ではあんまり聞きませんが、欧米諸国ではコレを多く含んだ油脂製品の販売が禁止されるようになったそうです。マーガリンとかね。

後半には、油の悪い取り方が現代日本に於ける諸病蔓延の原因也、とアレコレ言っています。「これさえ守ればアンタは生き返るよ!!」と言わんばかりの押しの強さで畳み掛けていますが、こういう一般向けの本ではしょうがないですね。原因の一端では有るでしょうけど、ちょっちイージーすぎます。ただ、簡単に説明してくれているので、トークには応用が効きます。

 要するに、「質の良い油を選ぶこと」から始めなくてはいけません。信頼できる製造方法で、店頭に並ぶまで、及び店頭に並んでからも温度変化や光に当たってこなかったかをも見た方が良さそうです。生食【アルファ-リノレン酸】に限っていえば、冷蔵がよいらしい。自然食品屋さんでも常温棚に置かれているくらい、油の性質っていうのは気にされていないことが多いらしい。実際に目にしました(笑)。そして、油それぞれの特徴的な成分にあった調理法を守ること。これが正しい油の摂取法の気がします。

で、じゃあどうすればいいのよってことに当然なりますね。

『食用油には危険がいっぱい!』を最後まで読むと上記のような結論が導かれると同時に、巻末には「ココで買えます」と、良心的なオイル製造メーカーが載っています(同じ出版社から出ている『危険な油が病気を起こしてる』では、訳者による日本の精油メーカーへの公開質問状を載せる等、独自の調査結果も掲載されており、各メーカーの対応の仕方によって良心度も窺える仕組みになっていますが、本書では幾つかの入手先を記すに留めています)。

「受動的な油摂取のワタシは確実に【アルファ-リノレン酸】が欠乏しているであろう。これこそ改善せねば!!」と、一気に読み上げた勢いで、ネット検索を掛け、ついついお買い物カゴへ・・・、というパターンに陥る自分を冷静に眺めると、「食用油業界に騙されるな!」と思って読みながら、「いとも簡単にこの本に操られてしまった・・・」という一抹の敗北感も混在するのでした(笑)。でも、大手メーカーのモノは大抵アブナそうで、皆様の食生活へのあらたな視点になる事は間違いありません。皆さんならどうしますか?

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2007年3月 2日 (金)

(社)徳島県鍼灸師会に登場!

 本屋さんは今年に入って地方からお呼ばれされる機会が続いております。1月は福岡、2月は新潟、3月は無しですが東京で『鍼灸開業繁栄の秘訣』講座がありますし、4月は徳島県鍼灸師会様からお声が掛かりました。これは鍼灸師会の会員以外の臨床家はもちろん、学生さんも参加いただけるとのことです。「体全身で鍼を打つ」とか「腹で打つ」とかいう言葉はよく耳にしますが、そんじょそこらの鍼灸セミナーでは見ることのできない人間の可能性をご覧になれますよ。「あぁ、ココが動かなきゃダメなのか」の連続ですが、ある程度練習すれば結構変わるものです(実感)。そう言えば、一月のニコイチの「東洋はり医学会」での講演の最後に、あれだけ「手と身体」とニコイチが主張していたのに「手だけ幾ら動いたってしょうがない、身体で打つんじゃないの?」と突っ込みを入れて、ココゾとばかりに本屋さんに返り討ちになっていた方がいました。これ(本屋さんの動き)を見たらきっとこういう愚問は出なかったことでしょう。だいたい、その辺りのことは『新日本鍼灸楽会草紙』に十分に解説されて書いてあるのでございますが、相手を知らずに切り掛かっちゃ自殺行為とでもいいましょうか。身体が大事、とか言いつつ、じゃあどれだけ身体を使いこなせてるの? という視点がないのです。だって、どれだけ自分の関節が固まっていて動かないのかって知らないんだもん。目で見て分かる柔軟性とは違います。「これは凄い!」という身体の動きを見せてくれる人はあまりにも少ないのが現実ではないでせうか?  以前、黒忍者や白忍者の重い鞄や歩く早さの事を書いたことがありまぴたが、「肚が」、とか、「腰が」、とか言ったって観念論だけでは困ります。百聞は一見にしかずとはこのことです(笑)

さて、さて。 それはそれとして。 先日の身体作りの会で、今まで溜め込んでいた消化不良の「点」達が、ある動きをやったことで「線」に繋がりました。この動きは前から習っていたのですが、個人的に教わっている機会には気付かなかったことが、大勢の方々の動きを見たり、それぞれの方に合わせたアドバイスを重複して盗み聞きしているうちになんだか見えてきたのです(笑)。こういうの皆で練習する強みですね。ちょっと気づけた事をを臨床に応用すると、背中の力が抜けて、手と腕が疲れにくくなくなりました。受けている方も刺激が奥まで来るので感じが良いそうです。「こんなに楽していいのか」と思えるほど、脱力の中でこそ出る力があるのだと気付いた次第です。まだまだ、ようやく見えた世界。だけど、長い臨床家人生を送るのには必須なのです。自分の体が壊れちゃしょうがないですからね。臨床を上達させ、且つ自分を守る。身体作りは奥が深いのだぁ。 ワタシのしつこいお願いが効を奏して(笑)来月も引き続き、…というか新規メンバーを迎えて始めの一歩から身体作り講座は再スタートする事になりましたが、「歩く療術のデパート」と某人が称した本屋さんの事ですから、身体作りだけでなく、その使い方についてもいずれは系統立ててやって欲しいと思ってますし、面倒くさいようでしたら間に通訳を入れて(笑)……という企画も検討中です。 

 とはいえ、こういった身体作りの重要性に気づいているのはワタシだけではなかったようで(当たり前か!)なんと遠く四国の土地から本屋さんにお呼びがかかったようです。お断りしておきますと、今回の企画はレベル3氏とは無関係です。(レベル3氏は1参加者としてもう申し込みを済ませたようですが)。本屋さんに伺うと、呼んでくれたのは、経絡治療学会繋がりの先生で、お子様達の小児鍼ならぬスキンタッチなどにも取り組んでおられる大上先生(とその仲間達?)。

 普通は本屋さんみたいに「その業界の暗部を点く!」みたいな事をしていると業界内で仕事が出来なくなるものみたいですが、何故か逆にコアなファンも着実に増えているようで(本屋さんに言わせると「恐いもの見たさなんじゃないの(笑)」と卑下してますが……)、まあ前回の経穴講座の最後の話を聞いていた受講生の中から、「話を聞きながら悲しくも辛くもないのになぜか眼が潤んできてしまいました。自分自身初めての体験で戸惑いましたが、いろいろな形の感動があるということなのでしょうか。」という意見もあったようですが、分かる人には分かる、アヤシサ(笑)があるってことなんでせう。

 というわけで、その徳島県鍼灸師会さんが用意してくれたチラシからの引用です。関西圏の方は出掛けてみては如何でしょうか? ワタシは行った事がありませんが、「四国は土地が違う!。実に風光明媚ないい所だ!」と本屋さんは言っています。ご興味のある方は直接連絡の上、お申し込み下さい。

 

    ~(社)徳島県鍼灸師会~

   特別講習会のお知らせ
    「鍼灸師の身体の作り方」

-----------   徳島県鍼灸師会------------

                         

流派を問わず、名人と呼ばれる人の臨床を見た時に、その流れるような手さばきの素晴らしさに目を奪われた方は多いかと思われます。その美しさは、無駄な力が抜け、動きの全てが治療に注ぎ込まれていることから来ていると私は思います。しかしそれは、長年の臨床の中で培われてきたもので、なかなか意識してまねできることではありません。名人を目指すためには、はり灸の治療をひたすら一生懸命にやるのが一番なのですが、ちょっと身体の使い方を変えるだけで、治療に違いが出てくることも事実です。

“鍼灸師の身体”や“鍼灸師の手”というものは一日セミナーを受けて出来上がるものではありません。しかし、この講習でヒントやきっかけをつかまれ、継続することで、新しい世界は開けることと確信しております。

当日は身体の使い方のレクチャーもお願いしております。今後の臨床に必ず役立つものと思いますので、是非この機会にご参加下さい。

講師:六然社 寄金丈嗣先生

日時:平成19年4月15日(日) 10:00 ~16:00

日程: 10:00~12:00 講義
    13:00~15:00 実技
    15:00~15:30 質疑応答

場所:徳島県青少年センター 小体育室(42畳)
    徳島市徳島町城内2番地1 TEL.(088)625-6166

会費: 会員   3,000円
    会員外 5,000円
    学生   3,000円

申込:当日は現金の受け渡しができません。下記の口座に必要事項を明記の上、
    郵便局にてお振込み下さい。振込用紙の半券を当日受付にお持ち下さい。
    振込先  : 郵便振替番号   01680-0-11252
    加入者名 : 徳島県鍼灸師会
    必要事項 : [氏名] [会員/会員外/学生の区別] [住所] [電話] [e-mail]

問合せ:おおうえ薬局治療院 (担当:日下)
             電話 088(669)1676

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