肉マンとコーラと戦国時代のハラノムシ
今日のワタシの《神保町の日々》。
午前中。本屋さんの治療の助手をしている際に、患者さんから「土鍋でお味噌汁を作ると美味しいよぉ」と教わったので、早速お出かけ前に作ってみた。お出かけ先は某学園。春休み中の教室で有志が集っての巨鍼作りの会が行われるのだ。「自炊ですか」と声を掛けてきたのはシュガイザー先生。そう。昨日から事務所で猛烈に執筆活動中。「じゃ、後で。難しい患者さんだから少し遅れるかも」と言って出て行ったのは本屋さん。忙しなく働く先生方をよそに、ぐつぐつ出来上がった土鍋のお味噌汁、きなこ餅&からみ餅を頂いて、ワタシも出発。
午後。京浜東北線が遅れて(言い訳)、駆け込んだ某学園の前で、向うから白衣を翻して颯爽と歩いてこられるH先生にお会いした。「先日はありがとうございました!」とご挨拶をしながら(あ、先日と言ってもあの飲み会は夏であったと頭をかすめる)、「今日は本屋さんが講師をするので・・・」とお話しすると、わざわざ会場の教室まで自らご案内くださった。恐れ多い~。「お客様が見えましたよ」と、うごめく学生に向かってH先生がご紹介してくださったのはいいのだけど、肝心の本屋さんはまだ来ていない。まずい・・・。みんなの顔が嬉しそうにこっちを向いている。期待度120%である。
とりあえず、5月4日、5日の『診極図説』&『難経真義』講座のおススメポイントをお話させていただきながら場つなぎをしている最中に、主役が到着。ふ~助かったぜ。その後、ちょ~早口ながら濃厚すぎるアジテーションを繰り広げる本屋さん。五行の色彩による色分けで見る世界観、陰陽の見方には2通りあること、腧穴がどうして膀胱経にあるのか、五蔵に応じる刺法や八会穴等について、その使い方を教えない(教えられる教員が殆ど居ない)のに国家試験には出す矛盾などから現在の鍼灸学校の教育システムへの強烈な批判へ展開。そもそも、東洋医学概論がありながら、東洋医学各論がないというカリキュラム自体おかしいとニコイチは主張します。だいたい現在の東洋医学系のカリキュラムや教科書のレベルの低さといったら・・・と嘆いておられる。坂井豊作の『針術秘要』を引き合いに出しながら、「病状はまず筋に現れるから…」といった考え方も披露しつつも、「学校鍼灸は基本的には筋の部分しか見ないので、皮毛(散鍼)と肌肉(巨鍼)や血脈(刺絡)等をも臨床に取り入れると世界観が広がります。さぁ、巨鍼を受けてみたい人手を挙げて」とデモへ移行し、巨鍼製作がスタート。
今回は新2年生が中心だったようですが、まぎれて新3年生、専攻科、教員と実は幅広い方々がお集まりになっていた(笑)。2時間経たないうちに続々と仕上がる辺りはかなり優秀。
それぞれ出来た方から、本屋さんにコメント&刺してもらいながら、散鍼のオマケも随所でやってまぴた。本当は散鍼は散鍼だけでやりたそうでしたけど、せっかくの機会だから、なるべくてんこもり! マルチユーザーマルチタスクマルチパーパスが信条の本屋さんならではでぷ。こんな授業学生のうちに受けられるなんて凄い贅沢。それに今日の本屋さんの講義は全くのボランティア。あんだけ鍼灸学校教育に文句言ってるくせにやっぱり母校には愛着あるのかなあ(笑)
最後にはちょっとだけ質疑応答もありました。「東京で入学を奨める鍼灸学校ってどこですか?」との、学生の質問に「まず、鍼灸師になることを奨めない(笑)。それでもっていう人には都内だったらやっぱりココかなぁ。現在の鍼灸学校には優・良・可・不可で言ったら可か不可しかない。ココは可。H先生や今日の担当である、熱意溢れる勉強家の専任教師T先生がいる珍しい学校ではある。日本で何処?と言われたら、シュガイザー先生も教えてる学校かなあ」と言っていた。 「長い巨鍼を作ってちゃんと使って滅菌が必要な人は連絡下さい」と大サービスな発言も。他ならぬワタシもそうでしたけど、こういった一言(チャンス)に食いついて、「迷惑な押し掛けにはならずにちゃんとした人間関係の構築」が出来るかどうかが、結構試されるのだと思います。そう言えば、先日の「繁栄の秘訣講座」でも、六然社の本を大人買いしていた学生さんに、本屋さんはサプライズを差し上げていました。
その後、帰る前に、H先生の引っ越したばかりの研究室にお邪魔した。中医書が壁一面。この数倍の書籍が他の階に散らばっているそう。この研究室の位置づけは鍼灸科の付属というのではなく、独立している部門だそう。「へぇ。うちの学校は伝統、伝統と言いつつ、そういう独立機関まで持っていける人材&熱意不足だったんだなぁ(古典研究室っぽい部屋は確かにあったが、外に向けて動いている気配はなし……M先生頑張って欲しいby黒忍者)」と、お宅訪問的なノリのワタシであった。
駅で本屋さんと別れて、ワタシは事務所へ戻りまぷ。シュガイザー先生はパソコンに向かってキーボードを絶え間なく打ち続けている。どうやら、このまま徹夜らしい。明日朝から治療があるんじゃ・・・。今日のタイトルである肉マンはシュガイザー先生の好物。で、コーラは鍼灸鴻仁オフィシャルドリンク。で、書いているものが4月後半に発売予定の『戦国時代のハラノムシ』。九州国立博物館の『針聞書』の絵本の記憶も新しいかと思われるが、今度はハラノムシ全63種の解説を付けた図鑑のような詳しい本が出るそうだ。一般向けだそうなので、とっても分かりやすい。ざっと頭を拝見した限り、「続きが見たいぃ~。しかもハラノムシの解説が読みたいぃ~」となる(笑)。ハラノムシの解説が素人さんにだって面白く、勉強になる風に書かれているのも、シュガイザー先生のベースに《色体ちゃん=色体経象学》があるからなのだ。これも早く本にして頂きたい。
先生は書きながらたまに解説をしてくださる。「この戦国時代のハラノムシの概念って、『診極図説』に繋がるんだよね。ムシが毒に変わったの。だから吐かせたり、下したりっていう治療法に結びつくんだよ」と。なるほどぉ~。5月4日の講座が楽しみだ!因みにまだお申し込みは間に合います。こちら までメールにてお申し込み下さい。参加費1万円のうち、本代が殆どですから講義自体はタダみたいなものです。これを逃す手はない。腹診を身近なものにしたければ、お見逃し無く。今話題の『蟲師』からもヒントを沢山得たようであるシュガイザー先生のお説は、非常にユーモア溢れるハラノナカノハラッパなのだ。
気付けばもう20時。お腹が空いたので、勝手にワタシは夕食の準備に取り掛かる。先生は寝てしまうから食べないそう。さすがだ。で、コーラと肉まん(笑)。お昼の残りの土鍋お味噌汁が更に熟成されていて、まろやかな美味しさになっていた。一心不乱にパソコンに向かう先生の斜め前に座り、今日4杯目のコーヒーが落ちるコーヒーメーカーをボケ~と見ながらお菓子をつまみ食い。ここにあるコーヒーはどれもすごいランクのようだが、コーヒー党でないワタシにはサッパリ分からない。いつも大事なお客さんには一番いいものを出す本屋さんを見習って、「ハワイコナってすごいんだっけ、先生だからこれにしよう」と、たっぷり夜中の分も落としておいた。本屋さんも0時頃戻ってきて朝まで仕事らしい。シュガイザー先生は始発の新幹線で帰るとの事。一体この人達って?
そして、ワタシはこっそりブログを書き始めました。途中、シュガイザー先生に見つかってしまい「コラ、アンジェラ何やってるっ」と、つっこまれたが、本屋さんもまだ帰ってきてないし、いいでしょう(笑)。おしまい。
★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★
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