5月の身体作り感想&次回のお知らせ
今のところ毎月ペースで開催出来ている《鍼灸師の為の身体作り》です。
いつもの「胴体をどう動かすか」や、身体の柔靭性を高める訓練に加えて、この2ヶ月間は八段錦をやって下さいました。それも単なる紹介ではなく、一つ一つの動きを丁寧に解説して下さいました。ワタシは以前、気功をやってらっしゃる先生から一度、八段錦を紹介されたことがあったのですが、今思えばこれは単なる体操と化していました。「ハイ!両手を組んで上に上げて~、顔もぐぅ~っと上を見ましょう。天を支える姿勢ですっ」みたいなノリでした。
その時の印象は、昔々のラジオ体操というもので「なるほどぉ。導引って健康体操なんだなぁ」という感じでしたが、本屋さんに習ってみると、とんでもない・・・。武術の基本姿勢の連続のようにもワタシには思え、身体をどう開発するかの矯正システムのようなものに高められ、「ここで人差し指を上に向けるのは、実は肘を意識させるためです。肘の向きをこうして下さい。前腕に起こるこの感覚を作って行きたいのです」となるのであります。もちろん、腕だけではなく、つま先、膝、骨盤の角度からくる仙腸関節関節の動き、それに続く脊柱の連動、首の使い方と鎖骨や肩甲骨の開き具合・・・、といった内的視点を作っていくことを要求されます。
この視点を自分の身体に置き換えた果てに出てくるのは、にゃんと、道教的内景図であるそうです(「内景図」が分からない人が意外と多くて、本屋さんは慄いていました;笑。でも、その方たちは今日で随分分かったことと思います)。命門の火を汲み上げて回す天人合一の世界観を自分に当てはめろ、ということを教えてくれました。今日は房中博士もいらしていたのですが、この内景図の説明をリアルに身体観として捉えていこう、という説明の際には「うんうん」と大きくうなずいてらっしゃいました。とまぁ、ここまではよくある話ですね。
大体、この内景図のことを持ち出す気功の先生は多いのですが、「任督をグルグル回そう」という、抽象的な説明で終わります。そういう人たちを本屋さんは「空車を回してる」とバッサリ! 加えて、多くの気功の先生達からは丹田の火がどこから作られるのかという具体的な説明は無いことが多いと思われます。例えば、「命門の位置は分かりますね」という風に言われると、「ハイハイ、ツボの位置ですからココですね」という回答が頭に昇って、腰のこの辺りを意識して~という風になります。本屋さんに教えてもらうまでは、こんな理解の仕方に何にも疑問を持たなかったのですが、本屋さんのように具体的に命門の火を体感できる身体能力を持って説明されると、なんと説得力の強い、ハタマタ現実的な事象であったのかと納得せざるを得ないのであります。
気功や太極拳を教えられている先生方、まぁ、本屋さん的にはバッタモンと切り捨てられるであろう先生方は命門を教えるのに苦心されているように見受けます。初心者に「命門の火を意識して」と言ったところで、言葉から分からない。で、内景図を見せてみて、「この部分の火が背骨沿いに上に昇って行くんです」と説明されても、今初めて見た《人体を中で動かす小人達の生活図》みたいなものを体感できるわけがない。要は個人の想像力の問題かと思われるレベルなわけですが、「次第に分かってくるよ」と言って慰めつつ、「分からない奴は一生分からないね」と内心、説明放棄をするか・・・という塩梅じゃなかろうか。
本屋さんだって「分からない奴は一生分からないね」と言うと思います(笑)。でも、それは《せっせと働く小人達》をどれだけリアルに妄想できるかという問題ではなく、骨盤の動きから出てくる熱エネルギーをどう利用するか、という具体的な身体観を提示してくれた上でのことです。「結局入り口はすべて過酷な肉トレ!」「身体を動かさないヤツは所詮無理!」と今日も言い切ってました。構造の問題を変化させ、機能を高めた時に出てくる、人間の可能性といったところでしょうか。身体の使い方一つとっても、妙に魅力的で怪しげな造語を使う事なく、多少の解剖学の知識が有れば「なっとく、ウンウン」と首を縦に大きく振ってみたくなる説明をするわけです。「丹田の火」に対しても、炉にくべられたものに何が着火剤として必要であるのか、そんでもってドド~ンとパワーみなぎる身体になるには結局鍛練しかないわけです(笑)。妄想ではなくてね。だから本屋さんは寝なくても何故か平気。命門のリアリティとは、着火剤を生み出せることと、個人の持っている炉を大きく育てること同時に、それを抱え込むスペースを骨盤内(丹田)にどうやって増殖させていくかという視点(つまり結局肉トレ)が必要なんだよ、と言った新たな妄想図(笑)を代わりに与えてくれます。仙腸関節をあれだけ稼動させて、仙骨そのものも化骨なんかしていないあの実態を(触らせて)見せられるとやっぱり説得力が違います。〔妄想するな、行動しろ!」いつも本屋さんがいってまぷ。でも「肉トレ」と言う割には上腕二頭筋を緊張させずに前腕を屈曲させて見せたりして、解剖学で習った事を根底から覆すような体の動きをやってくれたりしますから、「肉トレ」というより「骨トレ?」といいますか、結局あらゆるものを含めての「身体作り」ってことなんですね。
「経絡なんて所詮妄想」と言い切っちゃう本屋さんの妄想図(笑)は、歴史的宗教図をも取り込んで人間の構造と機能を踏まえた上で、出てきたエッセンスなのです。毒舌本屋さんの「経絡妄想説」を鵜呑みにするほど、低レベルな聴講者はいないでしょうが(笑)、その言葉の裏には底知れぬ深さが含まれておりますねぇ。
ところで、6月は本屋さんの講座はお休みです。その代わりに、と言っては面白すぎますが(笑)、7月28,29日の土日に夏合宿を行いますです。場所はなんと、房中博士のご実家でもある神奈川県秦野市の禅宗のお寺さんです。ここがまたすご~く良い所なので、いつもと違った空気の中、本屋さんのお話もマニアック街道まっしぐらではないか、と思われるぐらい《聞き逃せない》2日間になる事間違い無しです(笑)。
夜はもちろん、ナイトセミナーと称して房中博士(学術的)&本屋さん(きっと知っているに違いない数々の房中秘術;笑)の房中談義をお願いしたいと思っています。身体作り、○っちゃんによる「なぜ身体作りが臨床にものすご~く生きるのか」といった、身体作りがもたらす手技の上達術といった応用編の講義も含まれます。お寺だから覚鑁上人のお話とかもいいなぁとか、畳のお部屋なので先月にやってもらったゆらし系手技療法の解説などもいいなぁとか、TY式一発療法お披露目会とか、すぐに臨床に結びつく伝授会といった内容がアレコレ頭には思い浮かびます(リクエストがありましたら前向きに対処させて頂きます)。ですので、正直内容ははっきりとは決まっていません。打ち合わせ中ですが、充実の2日間ですね。日曜朝は座禅付(ご住職の指導付です…多分)。食事は仕出しもとろうと思いますが、(土曜夜か日曜昼かなあ?)他は、多分、みんなで作ることになります(ですので、ほんとに合宿です。本屋さんは人間料理くらい出来ないとイカンって考えみたいです。ですので、お口を開けて何かくれるのを待っているようなタイプの方はなるべく参加しないで下さいませ;笑)。 あ、そうそう、お寺ですけど、お酒は(ガンガン)飲めますので飲みたいお酒をお持ち下さい(笑)。土日両日参加者を優先しますが、どちらか一日だけでも参加可能なスケジュールにしたいとは思っております。詳細は追ってご連絡しますが、日程は変更無しです。 食事をどうするかを打ち合わせ中ですので合宿代はまだ分かりませんが、参加条件の一つに会場を提供して下さった博士の著書『気の思想から見る道教の房中術』(五曜書房・2500円)を持っている事があげられます。もちろん当日購入もできますので、お持ちでなくても参加費用+本代2000円(うまくすればサイン付?)で受け付けます。予約受付は6月下旬に行います。日程を空けてお待ちくださいね!
ちなみに人数限定/和方鍼灸友の会会員様限定でーす。
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