お待たせしました!
和方主宰者からやっと 多賀大社フォーラム の案内文が到着しました。
会員の皆様には、程なくオレンジ色の封筒にて到着するかと思われますが、一足先に内容を御覧下さい。
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和方&多賀フォー the FINAL
1.さらば和方 さらば多賀フォー
「良い手・良い鍼・良い文献」をモットーに活動して参りました和方鍼灸友の会ですが、発足時に予告いたしました通り、第5回の多賀フォーをもちまして解散いたしますことを、改めてここに宣言いたします。「継続は力なり」と申しますが、ダラダラ続ける意味はないとの見通しで、5年という時限を設け、全力疾走して参りました(何だか政治家っぽい口調でスミマセン…)。会員数は350名を超えて400名に届く勢いで、業界的には一大会派となっております。絶頂期ともいえる現時点で、創刊即廃刊ならぬ入会即退会を余儀なくされるビギナーズには誠に申し訳なく思うのですが、主宰以下、権力欲とは無縁の面々ゆえ何の惜しげもなく解散するのであります。「何よ!責任取ってよ!」的な文句もございましょうが、今後は、新城先生の実践塾(大阪)、奈良先生の勉強会(京都)、福川先生の長春会(九州)、寄金先生の直伝会(東京)、わたくし長野のお療理教室(ゲリラ的に、いつか、どこかで)などなど、時間と場所と予算と趣向のかなうところで地道に研鑽を積んでいただきたく存じます。スーパーマーケット的な多賀フォーは店じまいして、各地の専門店でじっくり鍼灸の醍醐味をご堪能いただきたく思うわけです。
2.鍼灸におけるショーの問題
さてさて、第三舞台の鴻上尚史に倣ったこの〈ごあいさつ〉では、ガラパゴス現象や深海魚になぞらえ、鍼灸師について自虐的に語ってまいりましたが、最終回はいかにして「鍼灸は証の医学」なのかについて考えてみたいと思います。とはいえ、自虐ネタを得意とするこの私が、随証療法や弁証論治について、ありきたりの説明をするはずがありますまい。
結論から先に申し上げますと(もう寒いか?)……私の経験から申しますと、「ショー → 商 → 証」なのでありますよ、ハイ。どのようなタイプの臨床家であれ、腕利きの面々はパフォーマンスが巧いとは思いませぬか? 意識的にせよ無意識にせよ、治療のどこかに必ず見せ場が仕込まれているのですよ。
例えば、ムチウチの患者さんがいて、どうにもこうにも首が回らないとしましょう。術者は首の状態を確認するやいなや、ここぞというポイントに取穴し、おもむろに鍼を下す。その手技たるや自由自在、患者は恍惚の表情で鍼響を味わい、術者は「良しっ」と呟き鍼を抜く。すると、「うっそ~、えェ~」などと言いながら首をなめらかに回し、痛みも消えて陰鬱な表情はどこへやら、満面の笑みを浮かべている……
これは極端な例で、日々の臨床がすべてこうなら夢のようですが、腕利きにとっての臨床のショーは見せ物のSHOW、凜とした緊張感に満ちあふれたショーなのです。見せ場は、ほれぼれする鍼捌き(散鍼ハリケーン!)の場合もあろうし、ピカピカ・キラキラの鍼具(よっ!弥曽以知)、おどろおどろしい鍼具(ぎぇっ!巨鍼・火鍼)によって演出される場合もありましょう。なぜこんな症状が出ているのか、どうしてこんな場所が治療点なのか、喩え話を交えた分かりやすい説明の場合もありましょう。
私がこの道に進むきっかけを与えて下さったカイロプラクティックの老師は、パフォーマーそのものでした。下ネタ混じりのムンテラで患者さんをリラックスさせ、背骨を触りながら、子供の頃にこんな病気してるね~とか、あぁ~二ヶ月前に何々の症状があったね~とか、何々を食べ過ぎてるね~とか、何でそんなことが分かるの?ってことを今はやりの霊視者ばりに不問診でバンバン言い当て、本人ばかりか待機している他の患者さん達の度肝までも抜き、いざ診療台に上ると、入ったァ!入ったァ!と掛け声が上がった次の瞬間、小気味よいクリック音とともに脊椎が矯正されていき、頭蓋骨・仙骨をも自在に矯正していました。圧巻なのは手掌部を使った筋膜剥がしで、特に大腿部の時は、パシュッ!パシュッ!という剥離音がするたびに、音の聞こえるような勢いで血流が増加し、熱いシャワーを浴びせられたように熱感を覚えたものです。
つまり、私は患者体験を通じて「腕利き=パフォーマー」という前提条件が強烈に刷り込まれているのです。今考えると、なぜその技を盗むべく弟子にならなかったのか不思議でなりませんが、医療者資格のためだけに進んだ鍼灸と結局はお見合い結婚してしまったのだから仕方ないと諦めております。明鍼大を選んだのは一人暮らしをするのが第一の理由だったので、何を期待していたわけではありませんが、いちおう当時は日本唯一の鍼灸大学だったので多少は希望をもっておりました。しかし、入学してちょっとすれば、腕利きがいないのはバレバレで、2年次には見切りをつけ、たまたま誘われた経絡治療学会関西支部で福本憲太郎先生の実技を受け、鍼の腕利き見ぃつけたっ!と感激し、カイロを射程に解剖の長野と呼ばれていた私は、経絡治療の依拠するところが古典とのことだったので、たった一日で豹変し、今ここに古典研究者の私がいるわけです。
シューガイザー長野はもちろんアキバ系崩れですが、注射嫌いの私が非侵襲の代替医療(手技療法)を選んだきっかけも腕利きのショー、カイロを捨てて古典鍼灸にのめり込んだきっかけも腕利きのショー、舞台や音楽、スポーツに限らず、ショーには人生を変える感動と力があるのです。
グラハム・カーの「世界の料理ショー」(もう古いか?)に限らず、料理番組はショーそのものです。取り上げる料理とその食材の蘊蓄にはじまり、料理人の刻苦(コック)に涙を誘われ、包丁さばきと段取りの良さに思わず唸り、盛りつけられた絶品に目を奪われ、最後はゲストが堪能して感動にひたり、視聴者はもちろん欲求不満となり、翌日からそのお店には行列ができるのです。
鍼灸の実技供覧もまた然り、であるべきとは思いませぬか、会員諸氏? 臨床の上手な先生は、臨床を披露するのもまたウマイ。とはいえ、アチキのバヤイは弁証論治とか診断治療学とか、カックイイ看板は掲げまへん。自分の持ちネタで、なんとか患者さんのエンプティーを満たす「有り合わせ」をいかにこしらえるか、お料理ならぬお療理教室なのであります。お療理のコツは、レシピをそっくりそのまま踏襲することじゃなくて、自分なりにアレンジするってことです。遠藤周作曰く、「信仰とは7疑3信である」と。生後すぐに洗礼を受けた遠藤氏は、若年までクリスチャンという衣装の着心地が悪くてたまらなかった、でも年を重ねて自分の体型に合わせて仕立て直せばいいんだって気づいて心が楽になった、と。色んな先生の色んな治療が存在しまするが、どの先生・治療が一番かじゃなくて、どれが一番自分と自分の患者さんにしっくりくるのか、それを仕立て直す技量というか度量が肝心なのですよ。そういえば、バカな日本人がチベット行って、どの坊さんが一番悟ってんのかって聞くんだってサ。悟りって内面におけるステップの問題だから、他人と競う性質のもんじゃないのにねぇ。一番悟った坊さんに就けば一足飛びに悟れるって勘違いしてんのよ、そんな輩に内面が開けるわきゃないじゃん! 鍼灸も一緒で、誰に就くかじゃなくって、鍼灸に対して、どんだけ~っ(やや古っ)内発的・自発的な問題意識があるか、大事なのはその一点なんです。
チベット問題はチト置いといて、「デブ屋」の合い言葉“まい・う~”は、お療理的には“昧・得~”の字を当てるのであります。曖昧模糊とした患者さんの病態と自分の腕前…、患者さんはこいつに任せて大丈夫か?って不信で一杯、術者はこのツボで効くんだよな?って不安で一杯…、一か八か、昧と昧がぶつかって見事に奏効を得れば、この先生“まい・う~”、このツボ“まい・う~”となるわけです。
3.ファイナルのあらまし
さてさてトップ・バッターは、孤高の求道者・横田観風先生の高弟で「いやしの道協会」の2代目会長に就任された大浦慈観先生です。杉山真伝流の極太鍼管を覆刻されたのが2年前、『杉山真伝流臨床指南』を上梓されたのが昨年、現在は六然屋の所蔵する新出の和田家伝来の『杉山真伝流』の研究に着手しておられます。もはや他の追従を許さない管鍼術の研究家・実践家となられた大浦先生の新知見を、とくと拝聴しようではありませんか!
そして、とても残念なお知らせがございます。鍼灸ショーイズムの立役者、ゴルゴ&ばーばの名コンビが、台湾でのお仕事とバッティングして参加できなくなってしまったのです(涙)。でも、海外遠征ならば致し方ございません。まだ虹彩分析の精度と巨鍼療法の妙技をご存じないビギナーズの皆さんは、ぜひぜひ(旧)和方会員限定、10月の実践塾にご参加あれ! 巨鍼こそ「唯掌論」の改変を迫った究極の特殊鍼なのであります。ということで、ゴルゴ36の代理を六然屋のキキン・ジョージが仰せつかったのであり~んす。もう一つの実技コーナーは、長野仁・終身不名誉主宰(ミスターのパクリ)によります小児鍼の実演、お披露目する鍼具は人工関節用の新素材として開発されたコバルト・クロム合金製の「扇(おうぎ・奥義)」でございます。繊細で流麗なフォルム、うっとりするほどの輝き、弥曽以知に一歩も引けをとらぬ、もはや芸術品の域に達した逸品です。
初日の締めは、ザ・トラキチ、武田時昌先生のスペシャル・ライブです。今回は「鍼灸の禁忌と秘伝」という学術的な演題で、鍼灸医学の核心に迫るとのことですが、抱腹絶倒の1時間となること必至、我々の期待を裏切ることなど決してありますまい。
2日目の第1弾は、科学派の急先鋒、神戸大学大学院医学研究科・特務准教授の高岡裕先生にご登場いただきます。高岡先生は東大で医学博士を取得された逸材で、「個別化医療」はすでに東洋医学だけの専売特許たりえない段階までゲノム医療は進展しているという点について、最新の研究成果を踏まえて熱く語っていただきます。実は、私が実技供覧で用いる「コバルト扇」は高岡先生の仲介で具体化したものです。その誕生秘話についても触れていただきます。
引き続きまして、和方の後見人、我らが正木晃先生のラスト・ライブです。チベット密教の身体、岡田茂吉の浄霊(お手当て療法)、新義真言宗と覚鑁、臨済宗(禅)と沢庵、ときて、今回は立川流と文観について概説していただきます。性の技法を教義に盛り込んだ立川流は邪教として糾弾・排除された歴史的経緯があり、いかがわしさ(エロ・グロ)が興味本位で取り上げることはあっても学術的に冷静に語られるケースは滅多にありません。時限爆弾を解体するのに、膨大な知識、冷静な判断、強靭な忍耐が要求されるように、立川流のようなあやうい存在を俎上において歴史的意味と今日的価値を析出するにも、尋常でない知識・判断・忍耐が不可欠です。今日の日本において、正木先生を超える適任者はいらっしゃいません。乞うご期待あれ!
そしてそして、ファイナルを飾るにふさわしい大御所、中国学の権威・加地伸行先生にご来臨いただけることとなりました。現在、加地先生は立命館大学・白川静記念・東洋文字文化研究所の学外顧問の要職に就かれており、超多忙なスケジュールの合間を縫ってお引き受けいただきました。加地先生とは、同志社大学ヒューマンセキュリティ研究センター主催の2006年のシンポジウム「東アジア型の安心・安全」にパネリストとしてお招きいただいて以来のご縁で、今回ようやく念願が叶った次第です。私の受賞記念祝賀会でのユーモア溢れる上品なスピーチは記憶に新しいと思いますが、医療の根幹となる「死生観」について、古代中国の降霊の儀式から現代日本の脳死の問題まで、縦横無尽に語っていただきます。聴衆をいつの間にか教養人へと昇華してしまう碩学の語らい、何とぞご満悦下さいますよう。
フィナーレは、武田先生の司会進行による「鍼灸の未来像」と題したディスカッションです。加地先生、正木先生、高岡先生、そしてニコイチ(シュガ&キキン)、異分野、異業種の5名が登壇して、鍼灸界の現状認識、鍼灸研究の方向性、鍼灸臨床の可能性などなど、時間一杯しゃべくります。
4.本当に解散です!
友の会という入れ物が重要なんじゃありません。「良い手・良い鍼・良い文献」という和方イズムが会員諸氏の心の片隅に刻まれんことを祈念しつつ、奮ってご参加下さいますようお願い申し上げる次第です。そして、私が直前力(最近は直後力)の持ち主につき、かくもご案内が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます。
2008年8月吉日
和方鍼灸友の会 主宰 長 野 仁 謹識
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少し前にも書きましたが、もう一度。連絡事項を。
日時は9月の第一の土日、9月6日と7日の両日です。
参加費用は両日共に昨年同様28000円(会員限定)。
最後の最後で参加したいけど和方鍼灸友の会会員ではないという方は+1万円になります。
会 期:平成20年9月6~7日(土~日)
会 場:多賀大社 参集殿
〒522-0341 滋賀県犬上郡多賀町多賀
参集殿直通 ℡0749-48-1103 FAX0749-48-2029
http://www.tagataisya.or.jp
参加費
両日参加 28,000円
①受講料 ②1日目:懇親会費 ③2日目:昼食代 ④記念品代の総額です。
(非会員は入会金10,000円が別途必要です)
2日のみ参加;18,000円
① 受講料 ②2日目:昼食代 ③記念品代の総額です。
(非会員は入会金10,000円が別途必要です)
※ 宿泊は各個人でご予約下さい。(社)彦根観光協会;宿泊のご案内
http://www.hikoneshi.com/syukuhaku_annai/index.html
締 切:8月27日(水) 郵便振替にてご入金下さい
記号番号:00130-5-351212 名義:和方鍼灸友の会
連絡先: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2‐14‐4 IKビル2F
(有)六然社内 和方鍼灸友の会事務局 tel/fax 03-6279-5101
①『多賀法印流医書集成』第1・2・3・4集 A4コピー版は各5,000円にて頒布する予定です。昨年申し込まれて受け取れなかった方は再挑戦お願いいたします。
主催:和方鍼灸友の会/後援:多賀大社・六然社・亜東書店・長春会
多賀大社フォーラム ’08
― プログラム 暫定版―
【9月6日(土)】
10:30 受付開始
11:00 開会の辞
11:05 ビギナー企画 「杉山真伝流を語る」(仮題)
いやしの道協会会長・大浦慈観
12:15 休憩 (昼食は各自御用意下さい)
13:00 解党講演「鍼灸は“しょう”である」
長 野 仁
14:15 休憩(本殿に移動)
14:30 「多賀法印」慰霊・「弥曽以知」入魂式
15:00 休憩(参集殿に移動)
15:15 実技1(長野仁)
16:15 実技2(寄金丈嗣)
17:00 休憩
17:15 教育講演「鍼灸の秘伝と禁忌について」
京都大学人文科学研究所教授 武田 時昌
18:30 休憩(参集殿1階大広間に移動)
18:45 懇親会(参集殿1階大広間)
【9月7日(日)】…………………………………………………………
9:00 受付
9:30 基調講演2「個別化医療・ゲノム医療の挑戦」
神戸大学大学院医学研究科特務准教授 高岡 裕
10:45 連続講演「文観上人と真言立川流」
慶應義塾大学講師 正木 晃
12:15 昼休憩
13:30 基調講演「死生観を語るー降霊から脳死まで」」
大阪大学名誉教授 加地伸行
14:45 休憩
15:00 メイン・ディスカッション 「 どうする鍼灸?! 未来像の模索~」 《司会》 武田 時昌
加地 伸行 × 正木 晃 × 高岡 裕 × 長野 仁
16:30 閉会の辞
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以上は、プログラムは暫定版でございます。当日は多少の変更もあることを予め御了承下さい。御入金を持ちまして、正式の申し込みとさせて頂きます。<<尚、その際、五回連続参加の方はその旨一筆加えて下さると幸いです。記念品を出す事を検討中です(予算的に厳しい場合は御容赦願います)>>。
一応書いておきますと懇親会会場の都合により、120名限定の原則先着優先とさせて頂きます事を記しておきます(シード権あり?)。現在和方鍼灸友の会の会員数は345人、大ざっぱに言いまして3人に一人の競争率(笑)でございます。既に、20人ほどから申し込みを頂いております。定員に達した場合は、このブログにもアップさせて頂く予定ですが、お断りさせて頂く事もあり得ますので予め御了承の程お願い申し上げます。