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2008年12月

2008年12月31日 (水)

年末の寺子屋報告

今年度最後の寺子屋が先日の日曜日に行なわれました。年末ですから長文です(笑)。ご容赦くださいませ。

『ツボに訊け!』発売後ということもあってか、初参加の学生さんが結構いらっしゃいました。毒舌と感じたのか、それとも深遠なる東洋医学への賛歌と受け取ったのかは分かりませんが、講座に参加された印象はまた違ったようです。

今回は午前中にスペシャル講座がありました。椿先生による女性鍼灸師のための講座です。色々とグッツをご持参くださり、それらを使っての説明は患者さんを納得させるには充分なものばかり。特に遠路ご持参下さったスポンジを思わせる独特の質感の板に乗って立ってみると、重心がどこにあるかが良く分かります。この板に乗ることによって、ふらついたり、どちらかに傾いたりと、自分の身体のクセを認識できるのです。傍目にも良く分かります。

で、面白かったのはですね。一つ一つセルフケア法を教えてもらう度に、その板に乗るのです。そうすると、どんどん重心が揃ってきて、立ち姿勢がしゃんとします。立っていても、最初は板に沈む感じあったのが、最後の方は浮いてゆく感じがしました。柔らかいものの上に立っているんですから沈むのは当たり前なんですが、それが上に向かって反発を受ける感じに変わります。足裏全体で着地出来ているからなんでしょうが、全然違うんですよ。疲れ知らずの立ち位置という感じでした。きっと、調子の良い時はそうやって足裏全体で立っているんでしょうね。疲れてくると偏りが出て、上部もそれにつられて偏るので全身疲労が出始めると。

椿先生がおっしゃるコアな部分の意識の仕方については、ちょうど前日、本屋さんの治療を見学させてもらっている時に出てきた話と共通点がありました。子宮癌後の予後の不調を抱えた患者さんの治療でしたが、セルフケアとして仙道系の修行法の一つを紹介されていました。人間の秘めた能力開発というのが色んな修行法の側面であると思うのですが、それを大病をされた方へも応用できるというのが本屋さんの知識の並々ならぬところです。本屋さんとは、3年位の付き合いですが、この話は初めて聞きまぴた。修行と言うと奥深い山の中を駆けずり回ったり、滝に打たれたり、どこかにこもって真言を唱え続けたり・・・といった凡人には到底出来ないようなきっついことしか連想できませんが(笑)、今回のは座っていても、立っていても、寝ていても、いつでもどこでも意識さえすればできるというものでした。とりあえず3ヶ月は続けてみると身体は変わるものですから、ワタシも実験中です。

椿先生の講座内容は、瞬時に胸鎖乳突筋を緩める方法、タオルを使った骨盤矯正・内転筋・臀部筋強化法、アルミ箔を使った胃部を柔らかくする法といった所がメインでした。タオルって使えますね~。臨床経験に基づかれた説明がとてもありがたく、女性ならではの細かい小話が満載でした。早速患者さんアドバイスに使いました~!

続きまして、本屋さんの寺子屋レポート。今回のテーマは「霊術と療術」。

《霊術と鍼灸との接点あれこれ》と題された資料が配布されました。臨床経験の長い先生方はここに挙げられている御名前を「なるほどね」と読んでおられましたが、学生さんは見た事がない・・・という表情で聞いて行くのが精一杯という高度な内容でした。ですが、学生さん。この資料にある御名前の先生方を追って行って見てください。治療ってどういう物かというのが分かってくるはずです。これは貴重な貴重な道しるべですよ。 それから、他の資料の中には、昭和一ケタの時代に書かれた温熱療法の本(この著者が平田内蔵吉の熱針療法のルーツになるとか…)の「参考文献」一覧もありました。本屋さん曰く「この本を書くのにこれだけ(6頁以上に亘る資料一覧)の本を参考に出来る環境に当時あったわけです。昭和一ケタ時代鍼灸は低迷していて、経絡治療を立ち上げた人たちが古典を復興したとか根拠なく言う人たちは、まずこういうものをみて当時の人たちがどれだけの文献を知っていたかにまず注目すべき」。……今の人たちは勉強しなさすぎ。教科書だけでいいと思っている時点でダメなんでしょう。

ワタシも治療院を持つようになって大きく変わった点があります。今までは学生の仲間気分だったのですが、小さいながらも治療院を持つと、臨床家として学生さんからは見られるわけです。「どんな治療をされるんですか?、脈は見ますか?、経絡治療ですか?」などなど聞かれるわけです。ワタシもこういう質問を諸先輩にぶつけてきたんだよなぁと振り返りつつ、学生の頭の中って小さいなぁと思うのです。上から目線ではないですよ(笑)。ワタシもそうだったなぁ、少しは広がったかなぁと懐かしんでいるのですが、とにかく、色んな治療を見て、受けてを繰り返して見聞を広げるべしですね。学校で習う治療と街の鍼灸院がやっている治療は全然違います。経営ということも含まれますし、色んな要素が絡んだ治療スタイルが出来上がるわけです。是非是非、学校を飛び出して、色んな勉強会に出て、色んな先生方に出会って色んな物を見た方がいいデス。

話を寺子屋に戻して。本屋さんは霊術にも詳しいのです。霊術と呼ばれていた物を語るには裏の近代史が見えてくるのですが(これがオモシロイ!)、その後禁止されたりしながらも、色んな療術の中に息づいています。そして、それらの療術が実際にできちゃうのが本屋さんです。ですから、「これは桑田欣児がルーツで・・・、これは松本道別からだね」などとおっしゃいます。その中間にいらっしゃる先生方の方が有名なわけですが、その先を追う辺りが武術をやっている人は違うなぁと脱帽です。

あ、そうそう。療術も昭和22年、厚生省により禁止されています。・科学的でない、・種類が多い、・業者の素養が低い、・玉石混淆、と言った理由だそうです。まんま鍼灸に差し替えられる所がコワいです。本屋さんも、鍼灸の可能性(底力)と鍼灸師の玉石混交と鍼灸界のダッチロールとは明確に区別すべきであるといいたいらしく、その辺り鴻仁先生も以前からおっしゃっていますね。「空想で語る日本鍼灸の危うさから脱出しましょう!」。そして、『ツボに訊け!~鍼灸の底力~』の基本スタンスもここにあるそうです。

その他の資料は、田中聡氏のレポート『なぜ、「大正の気功師(霊術家)」は滅亡したか』などが綴じられたもの。この田中聡氏の著書はどれをとってもみんな面白いです。現在では買えないものが多いようですが、「ブックス鴻仁」より分けていただいたのがワタシの本棚には普通にあります。患者さんは普通目を留めませんが、こじんまり勉強会にこられる先生方は「いいのあるねぇ」(笑)と手に取る事多しです。

霊術関係の話は、あっちこっちに色々と関係があるので話が飛びます。ですので、1回では終りませんでした。次回もこの資料を持ってきたほうがいいかも・・・と、稀少なものを徹夜で作るのに、その資料を「いさぎよくすてて」(正木先生談)使わないことで有名な本屋さんにしては珍しいお言葉です(笑)。

さてさて、1月はお休みです。2月は15日(日)ですね。ご予約されている方が多々いらっしゃいますので、残りは若干名です。ご希望の方はいつものアドレスにたどり着いて下さい(だんだん狭き門になっていくようです;笑)。今度は霊術から一歩踏み込んで、「澤田流」へとお話が進む模様ですよん。本屋さんしか持っていない資料を使った、もうひとつの『鍼灸真髄』が語られるかもしれません。

身体作りももちろんあります。今月は初参加組みが多かったので、「立つ」「座る」(これだけで汗をかきます!)から、体幹能を活性化させる訓練法・・・・過去に教えていただいたものの復習が目立ちましたが、これだけを毎回やってほしいという意見があるぐらい、凡人の身体には手一杯な動きが満載。でも、続けていくと動くようになりますね。遅々として進んでいない気がしますが、臨床を毎日するようになって、足腰が多分に強くなりました。骨盤が動くようになってきたし。これらの動きをしながら、「お、できるようになってる」と嬉しい発見がありました。初参加組みは翌日の筋肉痛が凄かった模様です(笑)。「治療で疲れる」なんて言う前に、身体を鍛えなおすべしです!

ではでは、今年も「六然の小窓」をご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。おかげさまで開業の為、記事のアップ率が減ってしまいましたが、PCに向かう時間が取れるとこれぐらいは自動書記っていう感じで手が動きます(笑)。長すぎていつもご迷惑をお掛けしておりますが、来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

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