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2009年5月 8日 (金)

新学期に向けて

4月初頭に書いたはずが、もう一月も寝かせてしまいました・・・(笑)。なので、タイトルが「新学期へ向けて」なのです。

つい先日、とても勘の良い学生さんがワタシの所へいらっしゃいました。学校に入ったばっかりで、入学前から薄々は思っていた「学校って当てにならないのではないか」感が、入学して確信へと変わったとおっしゃっていました。そして、この「なんとなくオカシイ」がきちんと言葉にされていたのが巷の図書館で見つけた本屋さんの著書(『ツボに訊け』ちくま新書753)だったそう。そして、このブログを見つけ、神保町にいらっしゃったわけです。入学して一月でもう結論を当ててしまったこの学生は前途洋々だと思うのですが、ご本人は藪の中といったところです。

治療をしながら色々とお話ししているうちに、「そういえばこないだブログに書いたっけな」という下りが多く、ちょっと時期が外れたけど誰かのお役に立つかも知れないからアップしておくかと思いまして、手直ししつつ書いています。ということで、いつもの如く長文です(笑)。

3月の寺子屋感想文にもありました、「治療家を育てる気」というのが学校では建前になってはいますが、一番大事なのは「学校の存続」であるのを忘れてはいけません。利益集団による商売ですから、学校業は。

学校経営が成り立つ「合格率」が一番であって、「治療家になりたい人を育てる」のが現実止まりだと思います。「治療家を育てる」なんてのは30人もいたら面倒見れないし無理、というのが逃げ口上。なので、「どんなやつでも治療家にさせる!」ではなく、「治療家になりたい熱心な人養成」になってしまっている感が否めません。ただ、「なりたい人」はいつまで経っても「なりたい人」で、「なった人」に変わらないかもしれませんが、そんなことは卒業してしまった後のことですから自己責任という事でどうでも良いんです。

先日、母校から同窓会報誌が送られてきましたが、そのトピックを見て更に強く思いました。新宿近辺だけでも15校もある中、どうやって受験者を確保するか、これだけ努力したという箇条書きになったその内容を見るにつけ、先生方のご苦労がよく分かりました。

同じ会報誌には、卒後教育というプランも載せられていました。「3年間の学業を納めてもなお、治療に自信がない方のために、卒後のプランもご用意しております」という一見、最後まで面倒見主義的な親切プランのように見えますが、新規開拓が難しいから既存客へのアプローチと言った所でしょうか。

そもそも、3年間もあるのに治療ができるノウハウを与えられないというカリキュラム自体がとんでもない話なのです。国家資格者が下に見る、整体の学校を出た方々の体の見方や治療センスを垣間見るにつけ、鍼灸学校の方法論はずれているなぁとつくづく思います。カリキュラムの酷さについて、現場の先生方もおっしゃっているのを度々耳にしましたが、厚生省のせいにしてばかりで、課外授業でしか打開策が出ないのが数年経っても現状のようです。

卒業後にはすぐに治療家として食っていける、このようにド素人を教育するのは全然難しくないと思います。治療レベルを問うと議論の余地はありますが、治療して、満足していただいて、また来ていただく、このサイクルが順調に回るようにする、職業として成り立つのが目標であれば3年もあるんですから充分多岐にわたるノウハウを吸収できるでしょう。

ところで、「臨床家育成カリキュラムを作ろう!講師は本屋さんで」と、以前本屋さんに持ちかけたことがありますが(即断られました)、実現したら1年の期間で十二分なレベルに持ち上げてくれる事は間違いありません。

なぜだか、治療の基礎ってのがこの業界ではスポッと抜けていてると思いませんか。(実はこれは私だけの意見ではないのですが)本屋さんに会って初めて「俺流」でない、「治療の基礎」と出会ったといっても大袈裟ではありません。それは本屋さんが伝統的な武術などを通して体得している揺るぎようのない基礎を持っているからであって、そこの基礎が語られないままの学校教育では、基礎があることすら気付かずに独学のまま治療家人生を終えてしまうことだって普通なのです。何故同じ事を聞いて同じようにやっているつもりでも効かせる事が出来る人と出来ない人がいるのか……、分かったつもりで出来ていないというのは何故なのか……。スポーツと一緒で、良い指導者に会えば、独学とは比較にならない進歩が見られる世界なのです。しかも、これは単なる習い事ではないので、自分の稼ぎがアップする事に直結します。早く治るから患者さんも喜び、収入も増えて自分の生活も安定する。素晴らしい循環ではないですか。

が、しかし。本屋さんにはビジネス欲が皆無なので、ワタシが期待しているような系統だった育成講座設立はないでしょう(笑)。「方法論は千差万別でいい、やる方も受ける方もみんな違うんだから……。単一の方法論に固執するのは間違い!」と何時も言っています。「それぞれの人がそれぞれのやり方に行き着けばいい」というのが本屋さんのポリシーなんですね。個別的な技術は聞けば教えてくれますが、御自分の方法論を押し付ける事は決してしません。「僕はこうやってるけどねー」って出来ない方から見ると「だからそれを教えてよ」って思いますけれども……。ま、その一端にでも触れてもらえればと思って勉強会は細々と続けてもらえるように準備しています。ただ、本屋さんや、本屋さんが認めている仲間の先生方の臨床技術が世のスタンダードになれば、鍼灸治療に限らず、手を使って治療する人たちの底上げになるわけですから、社会全体への幸福度アップにも繋がると思うのですが・・・。「慰安」から「治せる」ようになりますからね。

色々と勝手なことを綴ってみましたが、学校の企業姿勢を直視しつつ、しかし、学校の価値にも着目しなければいけません。

学校には色んな情報が集まります(集まらない学校も有りますね・・・)。学校にはベテランの市井で支持を得ている先生方が教えに来てくださいます(来ない学校も有りますね・・・)。カッコ内のような学校ではなかった母校では、とにかく出会いの機会が多かったことに感謝しています。ワタシの場合、その一つ一つを繋いでいった結果が現在です。いかに行動するかを基本にさえすれば有意義な学生時代が送れます。これは間違いありません。そこに、資格獲得以外で500万以上をつぎ込んだ価値があるのです。学校の授業時間を500万で割ったりして、「一時間幾らなのにこの内容・・・」とがっかりしてても始まりません。

学校に入ったことで得られるものに注目しようじゃありませんか。

学生証。横の繋がり、縦の繋がりの業界の人脈。3年間という、社会人生活では考えられないまとまった時間。図書室。

これだけあるのですから自分で勉強していけばいいのです。学生証は特権です。交通費が安い&時間があるのですからどこへでも行けばいいのです。全国各地で気になる先生がいれば会いに行く。そして、学生だからこそ恥を承知で聞ける些細な質問の数々。こういった恥の上塗り行為を学生時代にたっぷりして、何かが見えてくるのです。

そして、もう一つ大切なのは卒後のプラン。ワタシもそうでしたが、卒後のプランがなさ過ぎるのも鍼灸学生の特徴です。いざ開業するに当たって、もっと考えておけばよかったとすごく思いましたので、やはり在学中から色んなプランを具体的に練って遊ぶのを繰り返すのが良いと思います。遊び感覚で充分ですが、治療院に必要なアイテム一つ一つの値段を調べて行くなどと、具体的にやってみるとより現実味が増します。

これらは某国公立大学で起業セミナー等の講義をされている本屋さんのご友人から教えてもらったやり方です。その授業ではエクセルの使い方も含めて起業シミュレーションをするんだそうです。本屋さんの周囲にはこういった、その道のプロがぞろぞろといらっしゃるので、ちょっとした会話がとても刺激になります(私もタダでエクセルを教えてもらいました)。

開業するというのは起業です。このことをしっかり意識しないから、3年間は食えないというのが定説となって、せっかく取得した資格がペーパーになってしまうのです。そもそも開業の方法論が間違っているし、誰もここを教えようとしないのが学校教育というものです。専任の先生方は開業していないことが多く、現実問題、本当の意味での切り開き方や踏ん張りどころを知らないのかも知れません。いずれ機会があれば、開業しての実体験&ご参考までにうさぎ堂的コンセプト等をまとめて、今後にチャレンジしたい人を応援できればと思っています。

もし、鍼灸学校1年生の春にタイムスリップして戻ることができたら、自分にこんなアドバイスをしたいなと思って、ワタシの学生時代の反省を持ってこんなこをと綴ってみました。ま、無駄に学校の勉強に没頭した日々があったからこそ得られた機会もあったわけですし、何が正しいとかは言えませんが(笑)。ただ、卒後の進路も見据えつつ、行動するとさらに益になるでしょう。新学期はもうとっくにスタートしています。3年間は長いようで短いです頑張って!

あ、本屋さんが心配していましたが(笑)、本屋さんの勉強会に参加していて、国家試験落ちた人は一人もいないようで安心しました。「教科書はここが間違ってる!」っていう話を聞きに来る時点で、自分で考える頭があるって事なんでしょう。 

こんなことを先月書いたわけですが、この一月の間に母校ではタダナラヌ出来事があった模様です。「学校は学生のために在るわけではない」。一言で言えばそんなことが現実にまた繰り返されているようですね。

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