6月の六然講座をお知らせします。
メイン講座である寺子屋は「さらしの巻き方講座」です。これは以前からワタシが切望していたテーマです。
腰痛で杖をつきながら来た患者さんが、杖なしでかえってくれれば万歳ですが、治療の間違いや、ドーゼオーバーでベッドから起き上がれなくなっちゃったらどうします? あるいは酷くはならなかったものの殆ど結果が出せなかったとしたら・・・? そんなときの最後の砦、そして、産前産後のケアにも使える晒(さらし)の巻き方。歩く療術のデパート本屋さんならではの隠し技もいろいろ披瀝の可能性ありとワタシは見ていまぷ。
最近ワタシの所には、妊婦さんや産後のケアにいらっしゃる方が増えまして、さらしの巻き方は必ず教えてあげるようにしています。というのも、今の妊婦さんはさらしが巻けない。そして、何故巻かなければいけないかの意味を知らない。ま、ワタシも知らなかったわけですが(笑)。市販のベルトはお腹を上から抑える形になっていて、お腹を支える役目は果たさず、せっせと巻いても逆子を治す助けにもならない代物です。なぜさらしが必要なのか、を説明すると目ウロコの如く感心されます。
元々ワタクシメは、骨盤がポイントになる患者さんへの応急処置などに本屋さんがさらしを巻いていたのを目にしていまして、なんて便利なんだろう、これで安心して帰せる「究極のダメ押し」と名付けておりました(笑)。骨盤を安定させることで痛みを出さないで済むというメカニズムの理解にも役立ちますよ。今回の講座ではさらしを巻くだけと思っていたら大間違い。腰痛治療の根本がここにあると思います。鍼灸学生時代にはこういう視点はありませんでしたから、これを知った時の衝撃といったら。ベットに寝かせて鍼を打って、腰を揉んでじゃ悪化させるだけってのがよ~く分かったもんですよ。鍼灸師に欠かせない腰痛治療を120%レベルアップできるといっても過言ではないでしょう(笑)。この視点を持つか持たないかでは明らかに臨床の力に差が出ます。
そうそう、余談ですが。うさぎ堂に来られている不妊治療の患者さんが以前に通っていた鍼灸院での治療の後、ぎっくり腰を2回も起こされたそうです。その患者さんはなんの疑いも持っていませんでしたが、ただ純粋に「治療は良いけど、ぎっくり腰になるのは辛いな」と思って1年ほど通ったのを止めたそうです。
この方は9回もの流産を経験されている方でして、腰周辺の固さは尋常ではありません。確かに揉みたくなっちゃうよな、と思う一方、固いからと言ってグイグイ揉めばそりゃぁぎっくり腰も起こすわな、と。思うに、学校鍼灸は非常に平面的な人体観しかないから、お門違いな治療が横行している気がします。因みに上記の患者さん。通われて一ヶ月ほど経ちましたが、歩幅が広くなって、歩いていて足がスッスッと出るので、足が長くなった気がすると喜んでおられます。腰から動くようになってきたのですね。こうなれば自然と固い腰もゆるんできます。
あの手この手を使って必死に毎日臨床に向き合っていると、患者さんから教えてもらえる事ってたっぷりあるもんですね。未熟であっても引き出しは多くないとイケマセン(笑)。その引き出しを埋めるのは未来に掛ければいいのであって、引き出し自体を増やすには確実に効く方法を多数見ていくことでしょうね。その点、本屋さんは最高です。
うさぎ堂を開いてから今月末で1年ですが、想定外の順調さの礎にあるのは、本屋さんの治療を「アナタは何も見てないよね」と叱咤されつつも(笑)、ワタシなりに見てきた蓄積だと思うのです。色んな患者さんが見えますが、これでダメならアレをやってみればいいかも、というネタの蓄積があった結果だったと。本屋さんの1割程度しか実際には効かせられていないでしょうが(笑)、それでもその仕組みを持って体を触ると案外治っちゃうのですよ。システムってすごいですねぇ~。後は技のキレを年数をかけて磨けば良いわけで、システムがあるのとないのとでは進む方角が全然変わっちゃいます。本屋さんがよく言ってまぷ「猪突猛進も良いけどさあ、走り出す方向が違っちゃったらどうしようもないでしょう」って(笑)。
やはり治療技術と言うものは徒弟制度の中で身につけていくのが近道なのでしょうが、学校教育はそうではないわけですね。ですから、アンテナを出している人にはココに引っかかったら宝の山ですよ、という講座内容を提供したいとワタシは思っています。本屋さんの技に魅かれて全国から毎月いらっしゃる臨床家の先生方もその宝の山をご覧になっていることと思いますが、それ以上に魅せられているのは(お互いがある領域以上に踏み込んだ時の)本屋さんとの人間関係なんじゃないかなと思います。案外この業界の先生方は開けっぴろげで、心を開いて話ができる人間には(ここ大事です!)惜しげもなく教えてくださる事が多いです。本屋さんが「人間関係は金で買える」とよく言っているのはこういう意味なんですよ。浅はかな人間は「金で付き合う縁」と解釈するようですが、「出会いのきっかけ」を買うということも含まれているのですね。
皆さんと先生方を繋ぐ場を作ることぐらいしかワタシにはできませんが、今回のこの講座内容、あぁ~、また技術の安売りさせちゃうなと思う反面、鍼灸師の底上げに繋がる画期的な内容であるからやっぱり是非やって頂きたいわけです。参加される皆さん、ほんとに困った時に使える引き出しになることは請け合いです。家宝とまで言った人もいました(笑)。
6月7日(日) 固体稽古 12時15分~14時半(いつも大抵延びますが;;笑)
6月14日(日) 流体稽古 10時~12時(普段と違い、午前になってますので、御注意下さい!!!)
6月21日(日) 寺子屋 「さらしの巻き方:ぎっくり腰の緊急処置やら、産前・産後の妊婦さんへの応用」なお、「さらし」はこちらで用意します
ご希望の方は、ご希望の参加日と必要事項を明記の上、
ワタシのいつものアドレスまで、メールにてお申込み下さい。
<お願い>
7月19日(日) 寺子屋スペシャル。六然社直伝講習会「鍼灸師なら知っておきたい呼吸の事」招待講師から一応のアポは取れたようですが、詳細は本屋さんからの原稿待ちです。
気の早い方から七月の申し込みのメールを頂いておりますが、講師がフランスからやってくるため、詳細がまだ決定しておりません。この日は佐渡のクールヘアー先生も1受講生として参加される旨伺っておりますが、受け付けは6月24日以降になりますので、御了承下さい。