« 2010年8月 | トップページ | 2010年11月 »

2010年9月

2010年9月24日 (金)

本屋さんの連続講座:『治療家の手の作り方』を読む&業務連絡

 お待たせ致しました、10月からの寺子屋の内容をお知らせ致します。

 表題にある『治療家の手の作り方』を読む……、といったって、「読むだけ」のわけがありません(笑)。
常日頃「教科書を読むだけの教員なんて、いないのと同じ、否、居ないより悪い!」と言っている本屋さん、どうやら本腰を上げる気になったみたいです。つまりかなり実技よりの講座です! 
 大好評だった経絡経穴講座(もう随分前の事になりました…)の際、具体的なツボの取穴や各ツボの表情については明言することを敢えて避けてきた部分もありましたが(「口伝」も満載でしたけど…)、そうした部分も今回はある程度明らかにして行くみたいです

 というのも、寺子屋やら別伝やらで、身体を触る実技的な事をその都度してきたわけですが、どうも学生さんを中心に、人の身体の触り方、見方について、実地に訓練を積んでいないし、そもそも教えてもらっていないらしい、ということに今さらながら気がつかれたみたいです(ワタシははじめから「本屋さんが当たり前と思っていることがみんなにとっては当たり前じゃないんです」って言っていたのに!)。その他、「ちゃんとツボを取る」ということや、「関節をいじる」といった触る経験を手ずから教わっていない人達からの要望も結構ありまして、ある意味「やっとこさ実現」の講座です。

 もともとは「それは僕のやり方を押し付けてしまう可能性があるからやりたくない」と言ってかたくなに拒んでいらっしゃいましたが、別伝などで、一年以上学生達の所作を見ていて、思う所があったのでしょう。「テキスト準拠でなら…」ということで実現することになった次第です。パチパチ。
 
 『治療家の手の作り方』は鍼灸界だけでなく、手技療法をやっている人達の間でもロングセラーになりつつありますが、ある意味、この本は本屋さんだからこそ作れた一冊であり(「治療家の手の作り方のあとがき」を御覧下さい)、多分一番内容を理解している人ではないかと思われます。
 
 テキスト準拠で、章毎にやるのか、幾つかの身体のパーツを分けてやるのか、まだ思案中のようですが、本屋さんならではの視点での関連する(させるべき)雑学やら、鍼灸だけでなく各部所ごとの活法なども織り交ぜて展開される事は間違いないでしょう。最低、連続6回、場合によっては10回位を予定しているみたいです。これで全身を診る、という体系的講座がようやく実現しました! 

 どの月にどの部位を行うなどの詳細は未だ決まっておりませんが、すでに話を聞きつけて申し込みをされてきた方がいるので、一応予約を受付けます。連続講座ですので、単発参加はお断り致します。ただ、ずっと参加希望の方が用事があってこの月は来られない、という類いのお休みは構いません。基本的には毎月第3日曜日、場所はいつものお寺(江東区内・11月には石坂宗哲のお墓参りもする予定です)です。御希望の方は、いつものアドレス にメールを下さい(初めてメールを下さる方は、受講の動機などの他に、学生の場合は学校名・学年、臨床家の先生は職種や臨床歴・他特技等、を書いて下さると助かります)。

 追記;:業務連絡
 9月の別伝は、26日、10月は3日(固体稽古)、10日(流体稽古)、24日(いろいろ復習)の3回です。今までは教室の後の時間が空いていましたので、場合によっては一時間近く延長…なんてこともありましたが、九月よりそれが出来なくなりましたので、開始時間を12時半〜12時に繰り上げる事になりました。午前中は、有志による自主練をやっていますので、御希望の方は担当T氏にアクセスして下さい。
尚、別伝は以前に寺子屋等にて「からだ作り系の講座」に出席されている方を前提として受け付けております。

| | コメント (0)

2010年9月10日 (金)

六然社社主 仙台にて出張講演

 東北地方の先生方&学生の皆様、朗報です。社主は地方ではやらないのか?という声をなんども頂戴したことがありますが、残念ながら滅多にありませんのです。
 過去、鍼灸専門学校での非常識講師を承った以外では、九州や、四国での講演があっただけでございました。
 今回は東北、仙台での講演です! テーマも社主ならではのもの、時間も長めとなっており、御興味のある方にとっては、千載一遇のチャンスかもしれません。

テーマ:「東洋の身体技法とその伝承形態 ー効かす手作り体作りー」
「東洋の身体技法」につきましては、社主は以前、京都大学の人文科学研究所で講演したことがありましたが、あの時は聴衆が一般の方がメインでした。今回は一応「鍼灸師の為の」講演ということが前提となっておりますので、よりマニアックな情報が提供されるだろうと思います。

 板張りの会場のようですので、実際に動きを見る&体験することができるのではいでしょうか。都内某所でほぼ毎週開かれている「寺子屋別伝」の稽古も板場でして、型を練習しながら実際に治療にどう生かすのかをその場でどんどん見せて下さいます。「ここで腕を伸ばす意味」、「遊びを取るには」などなど活法からの応用、つまり伝統的身体技法である殺法と対峙する体の扱い方を熟知されている社主ならではの視点が垣間見れると思われます。ほぼ一日の講義ですね。ワタシも行っちゃおうかな♩

 この講義とは関係ない話ですが、最近『もし高校野球のマネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海著を読みました。興味のないジャンルでも世の中の流行をしっておく方が良い、という社主の背中を見習い、どうやったら片付けができるか本を買うつもりが、平積みされているベストセラーを買ってみました。その中にある(p204)一文を読んで、いつもおっしゃっていることとだぶるなぁと思ったので引用してみます。

 

組織構造は、組織の中の人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。ー中略ー 成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。

 これはドラッガーの言葉ですが、「成果」を「治療効果」に置き換えて読んでみると社主がよく言うことが見えてきます。「脈診ができることよりも患者さんが楽になることが大事でしょ」としょっちゅうおっしゃいますが、「治療効果」を追い求めているつもりが、脈診などの鍼灸技法のマニアックさの「努力が重要」になってきてしまうのは道を外すことだと読めます。「職人的な技能それ自体が目的かのごとき錯覚を生んではならない」とドラッガーも言ってます。おぉ、偉大なる20世紀最高の知性も同じこと言ってる、と一人電車の中で膝を叩いた帰り道でした。

 「成果こそ、すべての活動の目的である」。これを鍼灸師的に置き換えれば、治療効果こそ施術(言葉での語りかけ・自宅でのケア法も含め)活動の目的であるのです。だからこそ、鍼灸だけにはこだわらない社主の姿に真理を感じて全国津々浦々から学びたい方が集まってくるでせう。東北の方、ナイスチャンスです。

 そして、「組織構造は、組織の中の人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない」のところですが、社主は一人行動派ですから組織ではないのですが(笑)、勉強会に来続けている面々を組織の中にいる人間と見ると、この「努力ではなく成果に目をむけさせなければならない」を地でやっている場面によくぶつかります。基本的に鍼灸師は間違った努力をしていることが多く(学校が間違った方法論で教えているから圧倒的に多いのでしょう)、それを成果(治療効果)を目指させるように導びかれています。成果(治療効果)のために働き、贅肉ではなく力(筋トレ体作り;笑)をつけ、過去ではなく(間違った思い込み治療法からの離脱を助け)、未来のために働く能力と意欲(治療院繁栄の秘訣)を生み出さなければならない(これが寺子屋がずっと続いている理由でしょう)。

 全く鍼灸師とは関係ないや、と思っていた経済学を読みながら、この本のコンセプトである野球部の女子マネが野球部をマネジメントする方法を利用して自分の身に置き換えて読んでみると、この本はとても有意義でした。

 そうそう。先日、足底筋膜炎っぽい社主の治療に挑戦してみました。治療というより練習に近い形でしたが、この骨をこういう風に動かして…、という社主の指示どうりに上手く出来ず、「どうしてできないのかなぁ」という社主のぼやきに、「頭を使ってないからでしょうか。この骨の関節面がこうなって、どっちから刺激を加えるとよいとか思考回路を発展させる辺りで苦しんどります」と答えた所、「いや、体を使ってないからだね」とあっさり切られました。「そっかあ、手先の動きではなくて体かぁ」と思い直して最近筋トレ(社主の武術力を支える超短時間にして体の芯を鍛える術、きっとご披露してくれるでしょう)をまた始めた所です(笑)。

 さて、前置きが長くなりましたが詳細です。

日時:10月11日(月・祝)
時間:11時~16時(昼休憩1時間)
場所:台原コミュニティーセンターC室
< http://www.its-mo.com/doko/15/507175921/137830764/ >
参加費:3000円
お申し込みは必要事項を明記の上、

 御希望の方は、「六然の小窓をみて」と一言書いて、今回の講演の企画運営をなさっている「弁研」の鈴木先生まで お申し込みのメールを送って下さい。
   弁研のURLは< http://www.geocities.jp/benken_sendai/ >  
定員は50名だそうですが、定員になり次第申し込み終了ということですので、御希望の方はお早めに。

|

« 2010年8月 | トップページ | 2010年11月 »