この時期だから、特別おまけのサバイバル講座
明日日曜日の寺子屋。一応、先月の時点では、いつものお寺が使えないので、午前の部、午後の部、と分けて時間も減るるけど少人数にして開催の予定でしたが、こういう状況下キャンセルの方がかなりいらっしゃるので、昼休みをいれて、午前(10:30位)から午後(14:40位)まで、全員一緒にやることにいたします(すでに参加の皆様にはメールを差し上げましたが、交通事情が不安定ですから、遅刻早退ドタキャン御自由に安全第一どうぞ)。
各地に甚大な被害を起こした地震の影響で、来たくても来られない方々も多くいらっしゃいます。
茨城の方は瓦が落ちて業者さんも手一杯でご自分達で対処しているとか。先ほども震度5強がありました。また瓦が落ちていないと良いけどと祈るばかりです。
山形の方は交通網が回復したら行きたいけれども、被災者の方々の避難などの移動の邪魔になってはいけないから自分は動かないでおこうかと思う、という賢明なご判断。被災地でなくても、自分が動く事で消費されてしまうエネルギーを気にかける気の回り振り、さすがです。
さて、こんな時期だからこそのおまけの特別講座というのはですね。今週本屋さんからロープで自分を支える結び方を習ったんです。何故かというと、ワタシが借りているのは3階。本屋さんは同じビルの2階。万が一に備えて身を守る術を何気なく帰り際に教えてくれました。何度か手本を見せてもらって、実際にやってみると抜けてしまう「あ〜、落下しました・・・」、またやってみる、やはり抜けてしまう。同じようにやっているつもりでも、そして一見手順が同じでも、生きるか死ぬかが変わってしまうのです!
何度か教えてもらって、ぴしっと絞まるようになって「やった。助かりました!!!」とようやく出来ました。しかし、ロープなんて持ってないし。どんなロープが良いのかなどを教えてもらったところ、「あまり細すぎると食い込んで危ないからバスタオルなどを体に巻いてからロープを巻くんだ」などなど、補足情報全てに納得。さすが、サバイバル系。ご本人はミリタリ屋とおっしゃってまぴたが。
「これはみんなも知っておいた方が良いですよ!!! 次回の寺子屋でやって下さい」とお願いしてみまぴたのでロープが用意されるそうです。(人数分はないかもしれませんので御自分の分をご持参下さると助かります)
今回の地震で揺れたのは3階のワタシの方が圧倒的だったと思われますが、何せ物が少ない分、部屋はそのままでした。ひっくり返ったのはアンティークのチビデスクと、木製の洋服掛けの2つのみ。これらは重心が下に無い作りだったので倒れただけで(オシャレなものは駄目ですねぇ)、大工さんに造ってもらった木製治療ベットは微動だにしていませんでしたのでやろうと思えばすぐに治療が出来る状態でした。他に、壁に括り付けの棚は全て開き、物が落ちていましたが、2階の同様の棚は一部しか開いていなかったそうです。3階の方が揺さぶられたわけです。高さ2mの本棚が3つありますが、本屋さんから預かっていた重厚な書籍を下部に入れておいたお陰で幸いにも3台とも倒れずに済みました。が、2階は壁という壁、ほぼ全てに本棚が・・・。
そう。あの地震のちょっと前。患者さんをお見送りして、一人になって待合室を片付けていたワタシ。「あれ、揺れてるかも」と本棚を押さえてみたりしたのですが、3つあるから手が足りない。どんどん激しくなる揺れに「これじゃワタシが倒される」と、目に入った本棚に飾ってある萩原師匠の納屋から頂いた陶器だけをとりあえず下におろして、玄関を開けに走りました。
そこですぐに下に降りられるように靴を履いて、玄関の四隅に体を押し付けて揺れをしのいでいたのですが、ものすごい勢いで階段に大家さんが飾っていた花器や写真立てやガラスの置物がガシャガシャと落ちては割れていきます。地震の勢いは加速気味に増していき、「関東大震災だ!もうだめだ」と経験した事のない強い揺れに何もできず、止まる事を必死に願いつつも体が飛んでってしまいそうな勢いに、制御不能な大地の怒りに、無力でちっぽけな自分はこのまま建物の下敷きになるのだと覚悟しました。
そんな恐怖を味わいつつ、アンティークデスクがポンポン弾むのが視界に入ってきました。歩くように動き出してるのをただただ見ながら「あぁ、さようなら北欧ビンテージ。1点ものの君との出会いは忘れない・・・、壊れちゃうけどここを離れるわけにはいかないのだぁ」と倒れる様を泣く泣く見送り、色んな落下物と外の人の悲鳴と建物のサッシなどが軋むミシミシと気色の悪い音に迫り来る倒壊の図。この世の終わりのような音に包まれながら、訳が分からないうちにようやく地震が収まっていました。
部屋を見回すと本が雪崩のごとく床に落ち、天井から引っ張って来たケーブルがブラーンブラーンとして、出窓に飾ってあった植木達が土をばらまきながら床にこぼれ、押し入れの引き戸が外れていたりと、ぐちゃぐちゃではありましたが、先にも書いた通り、倒れているのはその程度で揺れがひどい割には救われた感がありました。そう、かつてない程の揺れの割に、実害はうさぎの置物の耳が3体折れたのと、キャンドルホルダーが一つ割れただけでした。
部屋をうろちょろ歩いて、状況把握をしながらしばらくして「あっ2階!」と我に返り、いっぱいものが割れている階段をそっと下りて2階のドアを勢いよく開けました。「大丈夫?!!!」と声を掛けるとそこは別世界。
まず、玄関脇の本棚と靴箱が倒れて部屋の様子なんてまるで見えない。「ひょぇぇええ〜。すごい事に!!」。奥からひょうひょうと出て来た本屋さんとそれらを起こすとようやく視界が開け、その先には更に本の山。よく目を凝らしてみると全ての本棚が倒壊している実態が・・・。そして、膝上浸水ならぬ膝上浸本で床面が全く見えない本の山で普通に本棚を戻している本屋さん。「うひゃー!すごい。本の海だ!!」とあまりの惨状にそんな言葉しか出ません。大きな余震で外に飛び出してはソワソワしていたワタシとは対照的に本屋さんは至って冷静。余震中もなお淡々とお片づけ。全然焦ってないし、「せっかくだからレイアウト変えちゃおうかな」と楽しそう。なぜ・・・。
3階の本棚と違って、2階は全て天井に突っ張り棒を噛ませていたのに、縦揺れではなく、回るように揺れたので倒れた模様。翌日から学生さん達が手伝いに来られ、本の山は床がとりあえず見える状態まで回復したのでした。
さてさて、東京は揺れの大きさこそ今までとは全く異なるレベルでしたが、震源地でもなく、電気もガスも水道も殆どの場所で途切れませんでした。この辺は火事もなし。電話回線こそ無理でしたがパソコンは常に繋がっていました。交通網が全てストップし、多くの人が歩いて帰らざるをえない緊急事態ではあったものの、心底リアリティのある避難訓練だったような気がします。1週間経って普段通りの時間が多くなるにつれ、うっかり忘れてしまいますが、余震が来るたびに体が恐怖を覚えているんだと交感神経振れまくりの内部環境に気付かされます。震災にあわれた方々の恐怖もまたリアルに感じられ、このような人体の仕組みの理解に、治療家としては良い経験をさせてもらっていると思うのでありました。
最後になりましたが、被災された東北の方々に心よりお悔やみを申し上げます。
付録:本屋さんが「現在もっとも信用出来る放射線被爆に関するサイト」として教えてくれたのが、下記サイトです。米軍が無人偵察機や北朝鮮核開発監視用の機材を使って調べているデータに基づいた記事だそうです。御参考まで。
http://nyti.ms/fTnkwr