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2012年2月

2012年2月27日 (月)

3月はお寺ではなく「効かせる手作り・体作り」

 2月の寺子屋も盛況のウチに終わりました(また人数が多すぎると怒られてしまいまぴた)。確かに、複数の方にお話する場合は、知識や教養を下のレベルを考慮しなくてはなりません。寺子屋の前夜に、本屋さんは鍼灸師会の目黒支部でお話されたのですが、その中で、前の方に座っていらした参加者(学生)の方に途中でなんどか話に付いてきているか確認していました。諸子百家の思想や孫氏の兵法などの中にも中医学の治法理論の中に生きている事があるから云々という繋がりで、あまりの知識の欠落についには「アナタ高校ホントに出てる?」とまで言う始末。今回も「リトルジョンって聞いた事ある人?」って確認してましたが、出席者ほぼ全滅で本屋さん絶句って場面がありました。身体の構造的力学的異常に対し調整を施すある種の理論を構築したオステオパシーの人のようですが、本屋さんにとって常識であっても、普通の鍼灸師は知らないのが普通でしょう(でも本屋さんには身体の事興味ないの?って言われちゃいます)。

 で、2月のテーマは「把持と離解」でしたが、講義の中で頻繁に出てきたキーワードが「手の内」という言葉。これは、日常の箸の持ち方で決まってくる、結局文化の継承があるかないかが「手の内」が出来るかどうかと密接な関連が……。
 という事で、結局日常が大切って事でした。4時間をちょっと越える講習で(本屋さんの講義は基本休憩無しです)皆さん熱心に練習されていましたが、会得出来ましたでしょうか? すぐにできるものではありませんが、続けているうちにドアが開いてくることがあるなーと、感じますです。

 さてさて、3月は御彼岸でいつものお寺が使えません。
 ので、別伝会場での身体作りとなります。普段はクローズの別伝ですが、今回は年に1、2回のセミオープンの講座です。常連の方はいつもと同じ繰り返しですので御休みして下さって構いませんし、初心に帰って下さっても構いません。

嘗て「和方鍼灸友の会(絶賛解散中)」が掲げていた「三大奇柱」

1.鍼具の製作と頒布
2.手指(掌)・身体の柔軟性・運動性・協調性、および指頭感覚を筆頭にした身体感覚の向上(唯掌論の継承研修)
3.鍼灸文献の発掘・復刻および鍼灸史の研究
 このうち「1」は、コバルト小児鍼の開発((株)東光舎)や、杉山真傳流の鍼管(大浦慈観先生)和鍼工房による打鍼の開発等々、「3」は、長野仁とその一派による古典籍の収集と整理、といった形で続いているようです。寺子屋講座の主に後半で行っていた「鍼灸師の為の身体作り」では「2」を継承しているつもりではありますが、月一回ではおぼつかなかった為、講義の半分を中途半端にやるより、別の場所を設けてより一層進化(深化)を図るべく、別伝講座を開催しています。 
 いい加減に「会派」とか「○○方式」といった排他的で限定された鍼灸のスタイルはやめようと言うのは常日頃六然社主が云っている事ですが、鍼灸界におけるこうした党派性のあり方は、概して、歴史的存在である鍼灸をどう解釈するか、あるいは解釈しようとしているか、例えば、治効機序の解明、客観的評価、弁証論治、随証療法、こうした標語が表象する所の、施術する際に必要なソフトウェア同士の互換性のなさ、つまりは「見解の相違」に由来しているに過ぎず、それらを人間関係や利害を絡めて党派性の問題にすり替えて政治活動(勢力争い)の材料としているに過ぎないのではないでしょうか? 

また、自称古典派を気取る割に鍼も患者さんの扱いもガサツな人はけっこうおりますし、自称科学派の中にも惚れぼれするような鍼サバキをなさる方もおります。「散鍼」の習得を例にだすまでもなく、臨床の良し悪しは、つまるところどのソフトを選択するかによって決まるのではなく、まったくもって肉体というハードの鍛え方にかかっていると肌身に感じられた事が和方鍼灸友の会の「2」の原点にはあったわけです。 

いくら特別あつらえの秀抜な鍼具を手に入れても、それを扱う手の肉体条件が整っていなければ十分な効果を発揮することは難しいものですし、身体を用いて身体そのものにアプローチする療術(手技)系のものであればなおさらです。(別伝講座では日本の療術のルーツである活法もその都度紹介したりもしています。何度も言っていることですが、殆どの「整体」はオステオパシーにルーツがあり東洋のものではありません。「東洋整体なんて言葉自体、ルーツのアヤウヤさを認識してない証拠!」by本屋) 

ところで、今まで技術伝承の現場において、なんらかの一芸を身に付けている方は、飲み込みが早い(事が多い)、技の習得がたやすい(同)、見所勘所を心得ている(同)といった現象があります。つまりなにかしら技を習得する時に、身体を使った一芸を身に付けている方がやりやすく、それが伝統的なものであった方が有利に働く傾向が強いのです。これが別伝講座を始めた理由の一つです。別伝講座では、基本的にはソフトの問題については必要最低限にしか与せず、徹底してハードウェア、身体そのものの向上に努めることを趣旨としています。日本や中国の伝統的な身体作りの技法を、できればなるべくオリジナルなまま稽古することによって、まず身体の核となるものを作る事を眼目にしています。
 3月の第三日曜日はセミオープンでやりたいと思います。 それなりに動きやすく汚れても問題ない服装を御配慮下さい。稽古場所には、小さいですが更衣スペースはあります。詳細は参加希望者にお伝えします。会場は都内山手線某駅徒歩一分です。

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今回は少人数にするため2部入替え制です。ご希望の部をお知らせ下さい。
※1部が初心者中心となります。1部(10時〜12時)、2部(12時45分〜14時45分)、またはどちらでも良い方はその旨を必ずご明記下さい。

参加御希望の方は、いつものアドレス にメールを下さい。

《服装》 
動きやすい格好をご用意下さい。
着替える場所は狭いですがあります。
フローリングですので室内履きは特に必要ありません。

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猶、以前もこれは書いた事ですから、耳タコの方もいらっしゃるかもしれませんが、初めて申し込みのメールを下さる時は、せめて簡単な自己紹介(出身校とか、学生でしたら学年とか、参加の動機とか)を頂けると助かります。名前もお書きにならずに「申込みをお願いします」というメールが毎月必ずあります。携帯からのケースが圧倒的ですが、必要最低限の情報も入っていないのには困りモノです。対面や直接声を聞ける電話とは違い、メールは一方通行の連絡手段です。そこで名乗らないというのは社会人として非常識だと思うのでございますが・・・。

と、小言で〆てしまいましたが、残り数席ですのでご希望の方はお早めにどうぞ。
ちなみに、うさぎ堂講座はお休みです。
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★★業務連絡です★★
3月の別伝は4日と11日。18日は上記の寺子屋講座、25日は自主練の予定です。

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2012年2月 6日 (月)

2月の寺子屋テーマ

 寒い日が続いていますが、皆様お元気でしょうか?
 1月の寺子屋で本屋さんが配った御年賀はそういえば身体を中から温めるものでしたね(笑)

 2月の寺子屋のテーマ決まりました。
 前回の寺子屋については、なんて言いますか、曰く言いがたい内容であまりコメント出来ません。
 でも、2月の講義内容が決まってもいないのに、殆どの参加者が2月も予約を入れていったことから見ても、みなさんそれぞれに感動があったのかと思われます。

 2月のテーマは、昨年もちょっとやりましたけど、「把持と離解」。
 把持について本屋さんは「捉持」ともいいますが、以前やった時にはその極意について「持たないことです」と言っていました。握られていないのに体を持っていかれる独特なそのやりかたは、さりげないのですけれども、なかなか習得が難しい。本屋さん的には「なんでできないのか分からない」という程度のことだそうですけれども、やはり修練を積んでこなかった体しか持っていない現代人の我々にとって、物を持ち上げる時の「力み」とは縁がなかなか切れないのであります。しかし、この力みを外すことができれば治療家としての体が長持ちするのは間違いなく、当たり前ですが、施術も上手になる。早いうちからトレーニングすることで色んな可能性を教えてくようとしてる本屋さんなのであります。受け手のこちらがあんまり分かってない所に歯痒さを感じておられる模様ではありますが・・・。

 実は本屋さん、なんでこのテーマにしたかというと(最初は八面体質論解説とか蒙色望診をやる予定だったみたいですが)先日の別伝で、手首の離解をみんなにやってもらった所、ほとんどの人がちゃんとは出来ていないことにショックを受けてしまったようです。ですので、2時間も練習すればできるはず…、だからちゃんと練習しよう、ということで、寺子屋でみっちり…ということのようでした。
 ですので、2月は実技中心になります。楽しみですね。
 少しだけ御席ございます。

 参加御希望の方は、いつものアドレス にメールを下さい。(以前も書きましたが、携帯から「参加を希望します」とだけ書いて、お名前も所属もなにも不明なメールを頂戴する事があります。お互い登録してある携帯同士のやりとりに慣れきってしまっているのだろうと思いますが、こういう謎なメールに対しては返信をしておりません。また、ドコモへの返信が上手く出来なようでして、申し訳ありませんがドコモユーザーの方はPC等からお願い致します。初参加の方は簡単な自己紹介など書いて下さると助かります)

日時;
 寺子屋 2月19日(日)12時半〜16時半 ※事前予約制
 うさぎ堂講座 同日   11時〜12時  参加費2000円 予約は必要ありませんがテキストとして六然社刊 『鍼灸開業繁栄の秘訣』をお持ちください。会場で特価にて販売もしておりますので、欲しい方は事前に上記メールに購入希望としてご連絡ください。

 うさぎ堂講座もお陰様で回数を重ねて参りました。未開業の参加者からは具体的な内容で助かると言ってもらえることが何より励みになっております。自己体験をベースに話してますので、どうしても人の多い都内での開業パターンに偏っていますが、実際にはお住まいの場所で開業される方も多いわけで、地元密着型で既に開業されている方のお話も交えて色んなケースを開業前に知っておいてもらえる場として位置づけていきたいと思っています。参加者の皆さんがそれぞれのペースで、しかし出来るだけ早く、自分の場所を持ってもらえるようになったら嬉しい限りです。

 講座を始める前にこのブログでも書きましたが、治療院を軌道に持っていく第一段階、安定した環境を早く手に入れてからご自分の臨床スタイルを磨いていってもらいたいです。「上手くなったら開業」と伸ばし伸ばしにする人に対して本屋さんは「じゃ、一体いつになったら貴方は自分が上手くなったと言えるわけ?」とおっしゃいます。ご自身もまだまだだ、という風に常に思ってらっしゃり(コレでまだまだ??、と周囲はびびってしまいますが)、自分が納得できる境地なんてそうそう達するものじゃないでしょ、と。とりあえず、一通りのことができるようになったら、開業すべし!なのです。ただし、「場所と空間選びには自信を持って開業する事!」というのがワタシのお薦めです♪

 こんな考え方も含めて、開業準備の話をさせてもらっていますが、話すこと自体がワタシにとっては勉強になっております。実はこれも本屋さんの仕掛けた教育方針、プロデュース力の一環であるとワタシは睨んでいます。そうはおっしゃいませんけど。別に練習したわけではなかろうに、本屋さんや○っちゃんの話し方って耳に入ってくるよなー、と自分が話す立場になると改めて思うわけです。○っちゃんからは、終わった後に「要点が伝わってこなかったよ」とか、具体的にアドバイスを頂戴しておりますが、一対一で患者さんに伝えるのと違い、多数に向かって要点を伝えるのは至難の業です。本屋さんもよく言ってますが、「アナウンスとコミュニケーションは違うんだ」「アナウンスは出来てもコミュニケーションの出来ない人が多い」
 言いたいことを喋った=伝わった、ではなく、自己満足に陥ってはイカンイカンと反省することしきりです。先日朝の情報番組にちょっと出たのですが(VTR)、テレビに映る自分を見て、練習課題が山ほど見つかりました。動画の世界ははっきりしてますねー。告知してなかったにもかかわらず、朝の8チャンネルだとかなりの患者さんもご覧になっていて、お恥ずかしいやら・・・・。

 というわけですが、ネタが尽きたからそろそろ終わりますと伝えた所、続けるようにとの指令です(笑)。自分に何が出来るのかを自分の頭で考えろ、とココでも創意工夫伝なわけですが、この与えられた場で何を伝えていくかを試行錯誤すると同時に、ではこの本屋さんの仕掛けをワタシから皆さんへどう連鎖してくことができるのか、これを軸に今後は展開していこうと思っています。

 寺子屋や別伝に参加されている方はお分かりと思いますが、本屋さんは出来合いのものを授けるような教え方は致しません。道具を渡す、というか、それを持って自分でどうやって作り出せるかを教えてくれるので、時間が掛かりますが応用力が付き、それは一生物の種となります。いつだったか、お子さんの教育方針だったか何かを「お金を上げるより、お金を稼げるようにしてあげた方が良いでしょ」と、さらりとおっしゃってました。

 確かに、お子さんが小学校の授業で「お墓の近くにお花屋さんがあるのはなぜですか?」という問いに、「儲けるためです!」と答えた逸話があります。10歳に満たない年頃にして、世の中が分かっている。また、うさぎ堂がオープンした年の秋、運動会のお誘いのお手紙を娘さんから頂いたのですが、その文面の冒頭に「うさぎ堂繁盛してますか?」とお気遣い。当時は二階と三階の同じビルだったので、遊びにくるたびにチラシをお客さんの目につく所に置き直してくれていました。「これじゃー、イヤラシすぎるよ」とワタシが言うと「一枚でも多く持って帰ってもらわないと」という断固たる経営者的反応。しかも、自分のクラスで配れば、子供は行かないだろうがお母さんが行くはずだとか、風船を付けて目の前の通りで配ってくるとか、チラシを渡したらそのまますぐにでも飛び出さんかの勢いでアイデアがどんどん出ます。こういう発想力と行動力があれば何でも出来ちゃう、いや、とりあえず行動を起こしちゃって、色んなトラブルがあっても工夫してやってのけちゃうだろうなーと思うわけです。もちろん、本屋さんは儲けるセオリー等を子供に話しているわけではないのですが、考える力を育てているのでこういった発想が娘さんからは自然に出るのです。

 いかがですか? チラシを作って配ってみたくはなりませんか?? ちなみに、チラシ配りの注意点は前回のうさぎ堂講座でお話しさせてもらいましたが、これは○っちゃんの教えそのものでした♪

 ではでは、2月の寺子屋は若干名の空席しかご用意はありませんが、ご希望の方は上記アドレスまでどうぞ。また、うさぎ堂講座は事前予約なしで結構です。

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