5月鍼灸祭感想
すっかりアップが遅くなってしまいました。毎日毎日、月日の流れの速さに押し流されている感じです(笑)。
今年の鍼灸祭での特記事項といえば、やはり実技講演を担当された大貫先生の刺絡でしょう。今週の日曜日は大阪、森ノ宮学園でちょうど刺絡学会が開かれます。ワタシも行くつもりです。講演やシンポ等はもちろんの事、道具や書籍を買える機会として学会は有難いです。
ワタシ自身は刺絡に馴染みのある学生として育った環境でした。学校内で刺絡学会に属されている先生方の実技を見る機会もあり、友部先生には課外授業でも教えて頂きました。絞り方、ガーゼに吸わせていく流れるような手つきとガーゼにできる模様の美しさ。なかなかあのように一直線にはいきません。もちろん、刺絡学会の理事である本屋さんからも繰り返し習っています。特に井穴刺絡の痛くない絞り方には分かりやすく分解された工程の独特の教え方があります。(何度か六然講習会でもやって下さっていますね)
学校によっては禁止とされているところもおありのようで、こんなに効くものをもったいないなーと思います。例えば井穴刺絡であれば、初心者でも挑戦していける領域です。だって、素人さんだって自分でやっているぐらいですから。そこから入って、臨床で活用されている先生方に学ぶ過程を踏めば、注意事項からきちんと教えて下さいます。今回の大貫先生の実技でもその点を踏まえた内容でした。とても効くものだからこそ、基礎をしっかり押さえておかないとですよね。デモでは臨床と同じように血圧を測ってから始めて、井穴と肩背部のやりかたを紹介されました。
今、5月20日を思い出しながら書いておりますが、まるで会場のベッドサイドに居たかのような脳内リプレイに「あ、そういえばテレビで見てたんだっけ」と思い出しました。臨場感溢れるカメラワーク。そう、○っちゃんの脳内フィルターを通して選び抜かれた角度、寄り具合で映し出された画像で先生の肩越しにいたような錯覚が起きていました。さすがだー。
当日は同じようなことに気づいた人々が別室のテレビの前に陣取っていました。「おぉ、寄るねぇー!!」と感嘆の声が上がり続ける別室。先生の手元がしっかり映し出され、非常にお得でした。デモの詳細については当日来た人だけの特典、ということで宜しいかと思いますので記述は避けますが、実際に見ることで気づかされることの多いこと、多いこと。長年にわたる先生の手さばきには無駄がありません。だから一連の流れがとても美しい。やっぱり大阪まで学会を見に行く価値あるなーと、大貫先生の実技を拝見させて頂きながら更に楽しみになったものです。
さて、実技講演が終了後。テレビでは限界の有った点を補うべく、懇親会会場へ。と、その前に、実技のアシスタントさんがお片付け中なのを発見し、三陵鍼の刃先出具合を見せてもらいました。会場に回していたものを見せて頂き、「そうそう、これぐらいだったな」と数年振りのチェックが出来たことに感謝。毎年展示販売をしてくれている亜東書店さんでの買い物も済ませておいたし、と廊下を通って、会場へ足を踏み入れました。
鍼灸祭といえば、懇親会の美酒の数々が思い出されることと思います。言問通り沿いの明治屋酒店さんが今年も沢山のお酒を持って来て下さいました。今年で本屋さんの事務局はおしまいですが、是非こちらは続けて頂きたいと次期事務局のTKにはその点をお願いしたいと思いまぷ(笑)。話しがそれました。
この懇親会の利用方法を逃している方が多く、勿体ないなーと思ったので書いておきますね。懇親会はお酒を飲むことがメインではありません。珍しいお酒を取り揃えておくというのは本屋さんの計らい、環境設定、演出力ですね。素敵なお酒が飲み放題でほろ酔い状態、オープンマインドになっておられる先生方と読んで字の如く「懇親」するわけです。
例年、実技講演をされた先生には囲み取材的な人だかりです。今年も大貫先生の周りには常に誰かがいらっしゃいました。その隙を見計らってアタック!
テレビでは無理なこと。つまり、体験をさせてもらうんです。その場に先生がいらっしゃるんだから、チャレンジしない手はありません。「ご無沙汰してます」、とご挨拶後、「先生、絞りを体験させて下さい!」、勢い良く人差し指を出してみました。「ああいいよ」と、すぐに応じて頂きましたが、やっぱり心地よい。そして次に絞り方。大貫先生とご一緒できる機会はそうそうないですから、逃がしてなるものかと(笑)。これをチェックしてもらえたら、ワタシの今日の使命は終了です。とはいえ、図々しすぎるかなーと、恐る恐るお願いしてみるとあっさり快諾。先生の指を拝借して、案の定すぐにダメだしを頂く。本屋さんにも「そうじゃない」と注意されているわけですが、ついつい臨床の中で雑になってしまってました。いけないいけない。近くに居た参加者を先生がすぐさま呼び寄せ、先生が右手担当、ワタシが左手担当でせーのでやってみて何が違うかを言わせる、という即席実技講座となりました。当たり前ですが、教え慣れてらっしゃるなーと。有難いことに、先生の絞り方に似てくるまでご指導頂きました。
そう、これが懇親会の利用方法です。参加せずに帰ってしまった学生諸君、来年こそは鼻息荒く参加されるべし、でございます。3千円を高いと思うか、安いと思うか。我が身を振り返ってみて、鍼灸学生1年生の頃は高いと思ったでしょうね。その後、本屋さんからお金の使い方感覚を仕込まれた結果、今となっては「なーんて、お得ぅ〜♪」と小躍りしたくなる境地です。だって、先生を訪ねるとしたって、手土産3千円は最低ラインじゃないですか。それからお礼を包んだりなんだかんだ・・・、がありますね。しかも、懇親会には色んな先生がいらっしゃるわけで、次々に渡り歩けるわけです。そこで縁をつないで、次へ発展させることもできますしね。ワタシの場合は諸先生方のお力添えなくして、現状は絶対になかったと言い切れます。縁を活かせるかどうか。開業するって、技術以外にそういうことも含まれているわけです。
そして、故島田先生が発起人となって始まった経緯をお酒を飲みながら伺いました。しがらみ、紆余曲折を経て、ようやく取りかかれると思った矢先に島田先生のご病気が。「あんときは大変だったよなー」と本屋さんにしみじみ語る大貫先生。その隣には次の幹事であるTK。こうやって繋がっていくんだなーと、歴史に立ち会わせてもらった気分でチビチビやっておりました。島田先生が意図していた「流派会派立場を越えて鍼灸の進行の為に皆が集う場所」の構築には至らなかった…と本屋さんは、考えて居るようで、「10年やって出来ない事は出来ない」から運営からは身を引くという結論を出した本屋さんですが、随所に本屋さんマジックが掛かった鍼灸祭。1999年から続けていた事務局の引き継ぎ業務を思い浮かべながら、よくこれだけのことをお一人でやって来られたなと。そもそもワタシだったら出来ないことの数々(神折符の艾は今年で終わりになっちゃうのかしら…)。人として、できることの違いをここでも改めて感じたのでした。長い間、お一人で実務をこなされてきた本屋さんの後を受け継ぐべく、TKも気を引き締めて取り組んでいるのがよく分かりました。尊敬する先生の後を次ぐ決意、プレッシャーは相当のものでしょうが、来年の鍼灸祭もまた、楽しみにしてますね!