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2012年7月12日 (木)

8月は八面体質論 ー 6月寺子屋の感想と8月の予定

今週末は7月の寺子屋開催日ですね。
前回の内容「脳活」では実技練習の前に貴重なお話がありました。
その一部を抜粋してご紹介したいと思います。

脳活・陰活の症例としてO先生が急遽送って来て下さった資料が配布されました。先月のこのブログで脳活が講義のテーマになるのを知ったO先生はご自分の体験が皆さんの参考になれば、と急いで資料を作って下さったのでした(本当にありがとうございます)。
 その内容は、末期癌で入院中のお母様を看取る際の実体験。バイタルが安定したり、尿が少なくなったと担当医から死期が近くなったことを伝えられた後に施した臍活によって翌日700cc出た事等々、リアルに書かれた内容そのものも驚異的だったのですが、お母様が旅立つその過程に寄り添って、鍼灸師として何ができるかを模索されるO先生の葛藤、それを支える(遠隔フォローというか導きというか)本屋さんのやり取りがとても尊いものに感じました。

鍼灸にこだわっていたO先生に、「鍼にこだわらずに、手の平、足の裏をほぐすとか、脳活、臍活等も行なってはどうか」というのが本屋さんの助言でした。この言葉でO先生は鍼灸治療と共に本屋さん直伝の「三活法」をお母様に施してみたら驚くべき効果があった、それが上記のメールのやり取りを元にした今回の資料です。

印象的だったのは、昏睡状態に入られていたお母様(臨床歴50年以上のマッサージ師)が陰活によって目を開き、10分以上O先生の腕を揉んだ晩のお話。栄養は点滴のみ、体重は32kをきって骨と皮だけになっているような状態ではあっても、揉んだ後の腕にはしっかりと指の跡が残っていたそうです。お母様の仕事に対する執念を見ることができた、一つの仕事や技術を、人生をかけて極めようとする姿とその心構えは確実に伝わった、と。

実は、このやり取りがされている最中、去年の夏ですね、本屋さんがO先生に実際に教えに行こうと九州入りするのにワタシも同行させてもらったのです。昨年の講義で三活法はやりましたが、O先生は本屋さんから直接、活法を習ったことは無い状態でした。九州という立地にも関わらず、何度か勉強会にはいらしていたものの、脳活の時には出席できていなかったのでした。ただ、本屋さんと同系統の武術をやられていたりと肉体的にも再現可能と睨んだ本屋さんはお母様が亡くなる前に間に合えばと九州に向かったのでした。文字通り、手から手への伝統的な伝授法だと、本物はこうやって受け継がれていくのかと知りました。

ワタシも遊びに行ったわけではありません、O先生の治療院で伝授されるモデルとしての責務がありました。ちゃんと伝えねばと意気込んでベットに横たわったワタシの頭をすくい上げたO先生。「あ、これはOK」その場で分かりました。本屋さんが時間を作ってわざわざ向かったのはO先生なら伝えれば理解し、活用できる人、受け継げる人だったからです。なんで一度も触ってもらった(治療してもらった)こともない人のレベルが分かるんだろうか。

その後、お母様の最期の瞬間もO先生は脳活をされていたそうです。本屋さんに言われていたように、「まったく苦しまず眠るように息を引き取った」とありました。

「母がその命を使って、私に学ばせた教えをしっかりと受け継ぎ、そして私から次世代に渡していきたいと思います。伝統というものは、先人達の思いと技術を受け継ぎ、常に先人の心とともに日々精進を重ねることで作られるのではないかと、いま感じています」

お母様の頭を手の平に感じながら、息を引き取る瞬間を看取った治療家としてのO先生の体験談はここで締めくられていました。

資料はA3、2ページ。それに本屋さんがO先生に送ったmailとちょっとした解説が1枚。
たったの3ページにどれだけの想いが込められているか。手段としての脳活を通して、自然な死の営み、見送る側の心の推移など、深い深い内容でした。本屋さんが常に示している治療家としての姿勢が現れている出来事の紹介でした。

さてさて。
今週末の7月の寺子屋。大正〜昭和初期にかけて集大成された日本の療術のある種のルーツである、還元療法の紹介と解説、練習です(当然ながら実際の症状への対応の仕方等も含めた実技中心です)。「整体が東洋のモノと思ってる時点で歴史認識の破綻!」と常日頃言っている本屋さん、還元療法のルーツも明らかにし、それと兄弟関係にある、いくつかの療法と、そこから派生し、一つの流れとなった「高野式圧診術」等にも触れ、おおざっぱな日本療術の俯瞰地図を提供して下さる予定です。
 尚、『還元療法』以前入手された方は使用しますので御持ち下さい。

 寺子屋前の11時からのうさぎ堂講座は、前月に引き続き「さらし巻」復習と、さらしに慣れていない患者さんに「自分で巻くやり方をどう教えるか」を、参考になればとご紹介します。一反サイズと半分サイズ、両方お持ちでしたらご持参下さいね。来月は8ヶ月の妊婦さんモデルをお呼びできる予定です(妊婦さんなので当日の体調次第では無理をしないでお休みして頂くつもりですが)。こればっかりは仮想お腹(座布団を入れる)などをしてもイメージがつかないので、実際にお腹の大きな方に巻かせてもらうより実地練習はありません。お知り合いや患者さんに妊婦さんがいらしたら、せっせと巻いて下さいね。

 最後に8月の予定と業務連絡をば。
 8月は以前から御要望のあった、八面体質論の紹介です。参加御希望の方は、いつものアドレス までメールを下さい。

 7月の寺子屋別伝は、22日29日ともあります。第三日曜以外、8月は5日と12日はある予定、26日は現時点では未定です。尚、午前中をメインの自主練幹事はT(♂)先生からT(♀)先生に替わりました。

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