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2013年6月

2013年6月 8日 (土)

6月の寺子屋のお知らせ

 5月の鍼灸祭、多くの方がいらっしゃっておりました。ワタシにとっては毎年毎年、一年を振り返る良い区切りとなっています。学生時代にはこんな近所で開業するとは思いもよらなかったですもの。

 今年は5月らしい、さわやかな気候でした。例年通り恙無く、神田明神の宮司さんらによって執り行われました。窓から入る自然の風が心地よく、湯島聖堂を囲む新緑の美しさの中、懐かしい先生方との再会を楽しむこともできました。10年以上六然社主がやっていた事務局を引き継いだTK先生の頑張りもあって無事に終了となりましたです。

 さて、6月からの第三日曜日の寺子屋は「お待たせしました!本屋さんによる経絡経穴講座」となっております。第一回(原則シリーズ物は、1回目を聞かないと2回目からの出席はできません)は多分、経絡経穴以前の話がだいぶされると思いますが、3回連続で、お察しの通り既に満席ですが、今回からは鍼灸祭で本屋さんの挨拶を聞いて、感銘を受けられた学生さん等からの応募も重なってまして、うーん、一杯過ぎて・・・という状況です。とはいえ、熱意のある方には聞いてもらいたいという気持ちもあり、本屋イズムの普及活動ではないですが、デビューする前に、もちろんデビューしてからでも、この己を突き刺す刃に触れておくのは良いとワタシの経験上思いますので、お部屋に入れる限りと、本屋さんにはこそこそしながら調整中なのであります。
 多分、社主の話は、一度や二度聞いただけじゃ嫌悪感か妙な同調、高揚感(話しが上手いので)で終わってしまうのだと思うのですが、じっくり腰を据えて何年も通っている方々にはぶれない心の軸が出来ていると思います。もしくは、追い込み過ぎて嫌になって離れていくか(笑)。
 
 例えば先日、治療の相談を学生さんから受けた際に、本屋さんが言っているのはこういうことか、と合点したことを思い出します。本屋さんの言葉は何年も掛かって分かる発見が結構あるのです。まぁ、ワタシの頭が付いていっていないだけなのですが・・・。
 「ブスブス鍼を刺せば良いと思って勉強ばかりしていると、体に興味のない鍼灸師になっていく」と、嘆くように本屋さんはしばしばおっしゃいます。いつも極論なので、誰も大鍼ばかりやらないでしょ、などと否定したくなるのですが、「ブスブス鍼を刺す」ということの対局である「刺さない鍼」だってこのカテゴリーに入っています。道具を使う以前に、なんで患者さんの体を見ないのか(観察しないのか)と言っているのだと、この学生さんの件で分かったのであります。だって「体に興味がない」ワケがないんです、鍼灸業界に入ったのだから。でも本屋さんの言っている体に興味がないっていうのは、基本中の基本でありながら鍼灸師にはハイレベルであります。患者さんの主訴を動作、姿勢、寝た状態などから推察して、手技でちょいちょいと筋緊張レベルを取る。このちょいちょいと取るのが、非常に高度なテクニックで、本当に数秒です。この段階は言うなれば下ごしらえでもありますが、痛みの場合は取れてたらこれでOKでしょ、となります。あ、本屋さんの治療内容を書くと膨大になるのでこの辺で。
 その学生さんは非常にまじめかつ熱心で、六然社の勉強会を含め全国を駆け巡っています。相談を受けたので、実際にやってみた治療の説明を聞き、そこに寝ている相手の姿を見て、「不思議だなー」としみじみ思ってしまいました。「あぁ、これが本屋さんが言うとこの、体に興味がないってことか」と、納得したのです。
 この学生さん、患者さんの体の癖を完璧に無視して、体表にあるツボや経絡を目がけて治療していました。「無視して」と、恣意的にやってるのかと書いてしまいましたが、きっと目に入らなかったんでしょうね。
 学生時代の自分も同じような治療方法を自信満々にやっていたはずです。加えて、上から目線で偉そうに言ってしまえば、ツボの効果的な取り方、効かせる鍼の打ち方もできてるかどうか怪しい・・・、ワタシも相当怪しいですけど(6月からの経絡経穴講座はこの辺を含んで教えて下さるはずです)。症状をどうやって取るかのメソッドは、それぞれの勉強会なりのアプローチ法が数多あって当然で、色々と学んでいるはずのこの学生さんの治療が「木を見て森を見ず」(あれ、これって西洋医学を批判する東洋医学ですよね)に終わっていたのが、「あぁ、こうやって体に興味のない鍼灸師に育っていくのか」と、しみじみ本屋さんの嘆きが分かったのあります。体の形から来る不調を完璧に無視して、ツボと経絡を追う意味が現在のワタシには高度過ぎて理解不能でした。しかし、そういう領域を目指したい。一穴を使って、全身がバシーッと変わってしまう。憧れます。
 はっきり言って、開業以来この5年、人の体をコネコネしながらコリを取って均一化し、残った所に鍼をするといった、頭を使わない至極感覚的な治療法を毎日、毎日繰り返してきたと、実感しております。一穴治療とはほど遠い・・・(涙)。しかし、これは都会暮らしの体を使わない人々には有効であるわけです。そんでもって、何故かここ最近、患者さんの動作が気になり過ぎています。ゴルフをやった後に痛むこの部位は、こういう体の癖があるからじゃないか、などとやったこともないゴルフのアドバイスを「それ、コーチにいつも注意されてます」などと当てることができるようになりました。あと、産後の骨盤矯正で伺った際に、チャンスがあれば赤ちゃんを抱かせてもらいますが(幸せ〜な気分になるので♪)、子育て経験のないワタシの方が、新米両親よりも赤ちゃんを安定して抱ける現実があります。なので、力まない抱き方講座がその場で始まります。要するに、どれもこれも体の使い方が間違っているのであって、育児だろうが、ゴルフだろうが、OLの座りっぱなしであろうが、人間の体の構造を知っていれば、「そりゃ無理だろう。痛くなるよ」って、簡単に思いつくわけです。まぁ、思いつくレベルがまだまだ浅いものであるのは、○っちゃんや本屋さんを見れば痛い程身に沁みます。だって、今現在のワタシの結論は「足首の柔らかさ」なのですが、思い起こせば○っちゃんの治療院を初めて訪れた7、8年前ですかね、「足首硬いね。それじゃだめだよ」と言われていたのですから(笑)。
 
 そうそう、話しがそれますが、自分の力量の上の上を行く先輩方を知っておく利点とはこういう所にあるのだと実感します。ソコソコ患者さんの信頼を得られる、驚かれる治療結果が出始めると、かなりの確率で天狗になります(笑)。そこで「俺流」を広め始めます。同じ鍼灸師から見れば、自己満足だね、言ってるねー、ってことでおしまいですが、その犠牲になるのが患者さんです。立ち上げた「俺流」は、例え浅はかなレベルであっても横や上下のつながりがなければ「オリジナル」となってしまいます。そしてその、しょぼいメソッドであってもファンが付くわけで、その患者さんは、そのしょぼい理論で自分の不調を理解していきます。だから、治りきらないわけです。基礎的な仕組みを押さえていない人に教えてもらったメソッドでは歯抜け状態です。整体で「○○って言われた」などと、何も疑いもせずに医者に言われたのと同等に受け止めている患者さんの多い事。これはスピリチュアル業界でも同じように横行していますよね。ワタシに限って言えば、「足首だ!」に辿り着いた結論を、思い起こせば10年近く前に、あっさり答えを言われているわけです。自分の中から湧き出るのに費やした年数しかみないと大発明のようですが、もう答えは教えてもらっていたと(笑)。「足首だ!」と、頭に閃光が走った瞬間に、○っちゃんの「足首硬いねー」のシチュエーションがフラッシュバックしました。これまで眠っていた種が発芽したかの如く・・・・。
 何が言いたいかと申しますと、背中を見せてくれる先輩がいるかいないかで、自分の伸び率も変わってしまうのです。まだまだの段階で思いついたことを「世紀の発見」と捉えて、そこのレベルで終わってしまうのか。それを「自分はここまで階段が上がったけど、まだまだ上は果てしない〜」と思えるのかどうか。自分の立ち位置を確認する為にも先輩方とは仲良くさせてもらうことが何よりだと本当に思いまぷ。
 だいぶ話が長くなりましたが、前回のうさぎ堂講座では「自分が楽する治療の姿勢」をお伝えするつもりが、結局、「なんでそんなに肩上がったまま指圧してんの??」、「なんで反り腰で蹲踞してんの??」、「別伝に参加しながら何やってんのー?」、「なんで治療のポジション取りに活かさないのぉー!!!」という疑問で終わってしまいました。ワタシも大外できてない、人様に教える程の体能も持ち合わせていないと重々承知の上ですが、本屋さんに教えてもらっていることを治療姿勢に応用していない、勿体なさ過ぎる方々のお役に立てばと、今月以降もうさぎ堂講座(11時〜12時)はしばらくこれをやろうと思っています。前回参加された方は申し込み不要。新規に参加されたい方はご連絡下さい。ですが、人数的に手取り足取りフォローは出来ない可能性が高いです。悪しからず・・・。質問はもちろん受けますが、積極的に自分から理解しようと働きかけられる方でないと参加費が勿体ないと存じまぷ。受け身の教え姿勢を予めお詫びしておきます。
 
 

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