本の紹介

2007年5月30日 (水)

戦国時代のハラノムシ

 「ここのところ、ブログを書いていないじゃないか。多忙な時間を割いてチェックしてやっているのに」と本屋さん経由でお叱りの声がシュガイザー先生改め鴻仁先生から届きました(笑)。下書きは沢山あるのですが、なかなか仕上げに至らなかった・・・という情況でして、とブログ上で言い訳してみたりして。

 そんな所に、タイムリーな話題が。5月27日(日)付けの、読売新聞の文化面、《本よみうり堂》のページに鴻仁先生の新著が取り上げられておりました。その日の本屋さんの勉強会にいらしていた、鴻仁先生の治療院でお手伝いをされている学生さんが持ってきてくれていたので、早速講義のサワリに紹介してくださいました。ワタシの家も読売新聞ですので帰ってから見てみると、載ってる載ってる(当たり前か)。

 見覚えのある赤い表紙がキレイに映っておりまして、母に「この本はいつもお世話になっている神戸の先生が出した本なんだぁ。稼いだお金を全部本につぎ込んじゃうくらい本ばかり買っている先生でね、神保町に来たときには『またやってしまった・・・』と言いながら、両手にたっぷり本を買って帰ってくるんだよ。大体一度に段ボール1杯分、いつもそれを事務所から送ってるんだ」と自慢気に紹介してみました。凡人の母は「そんなに買い続けてどこに本を置いておくの?」と心配そうに聞いていました(笑)。

 http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20070528bk0b.htmこちらのHPで紹介されています。飛ぶのが面倒な方に下記に添付しておきますね。

『戦国時代のハラノムシ』

長野仁 東昇
出版社:国書刊行会
発行:2007年4月
ISBN:9784336048462
価格:¥1050 (本体¥1000+税)

 可愛くて笑える病魔
 副題は「『針聞書(はりききがき)』のゆかいな病魔たち」。「ゆかい」な「病魔」ってどうよ? と思いつつ手に取ったのだが、たくさんの変な生き物が踊っているように見える表紙からして、たしかに愉快至極ではある。ページを繰ると、もっと楽しい。人体に巣くう(と考えられていた)「虫」がカラーで描かれているのだが、その「虫」の容貌(ようぼう)といい生態といい、「うふっ」と笑いたくなってしまうものばかり。もっとも、原書は現在の大阪府茨木市あたりで活躍していた鍼(はり)の先生が一五六八年にまとめた病気の解説書だというから、れっきとした医学書なのであった。

 当時の人々の病気のイメージがよく伝わってくる。彼らにとっては、病気は「虫」の形をしていて、どこからともなく飛来し体に取りつくもの、あくまでも外から来るものだったのだ。

 本書に描かれた六十三種の「虫」はどれもユーモラスで憎めない。「小姓」という「虫」などは、「子供のような肌色の顔に、白くて長いヒゲをはやし」「ペチャクチャしゃべり、甘酒が大好物」。可愛(かわい)いなーと思いきや、病状の説明には「この虫にとりつかれた人は、不治の病におかされ」「いかなる名医でも治せない」とあり、外見に似合わぬ凶悪さである。ほかにもギックリ腰を引き起こす「腰抜の虫」や鬱(うつ)状態を招く「陰気」、昼寝ばかりさせる「昼寝の虫」、宿主を酒飲みにさせる「大酒の虫」など、想像力の豊かさを感じさせる「虫」が登場する。(「本の虫」がいないのはちょっと残念。)

 中国の医学古典では腹部にできる病的な結塊に過ぎない「積聚(しゃくじゅ)」(=五臓六腑(ぷ)に生じた異変)が、日本では「感情を持って動き回る自立した生命体と捉(とら)え」られた、という解説者の指摘が印象に残った。虫の音を愛(め)づる日本人ならではの身体観、なのかもしれない。薄いけれどムシできない、興味深い一冊である。

 ◇ながの・ひとし=鍼灸師(しんきゅうし)◇ひがし・のぼる=九州国立博物館研究員。

(2007年5月28日  読売新聞)

ワタシの記憶が確かならば、鍼灸師の書いた本が読売新聞の書評に紹介されたのって初めてじゃないかしら? 鴻仁先生スゴ〜い!(笑)

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2007年5月15日 (火)

読書感想文

 3月18日に東京で行った『鍼灸開業繁栄の秘訣』講座が終わって2ヶ月が経とうとしておりますが、今回は読者感想文なんて載せてみようかなぁ~。

 ワタシは数回読み返しておりますが、なんか毎回発見を得るのは何故だろう?? 

 著者である塚谷信夫先生の鋭い洞察力による普遍性が底辺に隈なく流れているからなのでしょう。と言いつつ、ワタシの場合は読んだはずなのに記憶が無いな…と脳細胞に貯蓄できていないことを悲しむも、いや、もしかしたら貯蓄しているはずなのに引き出せないだけなのかも知れない、何かそこを繋ぐケーブルがあればすんなりズラズラ出てくるに違いない…と、アウトプット能力が発達していないのを棚に上げ、どうでもいい言い訳を繰り返しながら、「やっぱり面白いなぁ」とだけ結局は思って読むのでした。さすが「自分が読みたい本しか出版しない」と豪語する本屋さんが出すだけの事はあると思います(笑)。

 脳細胞とケーブルとアウトプットで浮かんでくるのはやはり鴻仁先生。書籍のタイトル&著者までならいざ知らず、なんで年号まで出てくるのか!! と、ワタシはいつも思ってしまいます。その年号を言いいながら西暦でもスッと言い換える独り言。自他共に認める鍼灸オタクだけあるなぁと感心しきり。

 そう言えば、こんなことも。以前、本屋さん宅で深夜の打ち合わせ中、少し横になったまま寝入ってしまった鴻仁先生を起こしてお布団で寝て頂こうとしていた我々でしたが、「先生、お布団でどうぞ」という本屋さんの奥様の美声も一行に届かず、全然起きません…。それを見ていた本屋さんがすかさず「『○○』の出版は永禄12年」とわざと間違った年号を言ってみると、「違う!『○○』は寛永2年、1625年!」とだけ言ってまだ寝ている…。即座の反応の素晴らしさといったら(爆笑)。さすがニコイチ、お互いの刺激ポイントが分かっているなぁと妙に感心した一件でした。

 脱線してしまいましたが、『鍼灸開業繁栄の秘訣』の感想文をご紹介。この方はワタシの後輩でもある現在3年生の学生さんです。まさかブログで公開されるとは夢にも思ってないと思いますが(笑)。以下↓。

さて、鍼灸開業繁栄の秘訣を4月中に読み終えました。
前書きにもあったように現代の開業にも必要な知恵がたくさん紹介されていました。
著者はもういらっしゃらない方なのでしょうが、とても身近に感じられ、本を通じてタイムトラベルをしたような気持ちになりました。
また、山崎良斎先生の綱領の第三項には、ズキューンと射抜かれたような気持ちになり、熱い情熱に胸打たれました。
読めない漢字もありましたが、読後は興奮して友人に貸しました。それが戻ってきたのでまた誰かに貸そうと思います。良さが分かって買ってくれる人が増えるよう運動していきます。

いい本をありがとうございました。また読もうと思っています。遅くなりましたが、お礼まで。ではまた!

 このように、色んな所に六然社ファンが存在し、草の根運動を展開してくださっているお陰で、一切営業活動をしていないにも拘らず成り立っている特殊な経営の六然社であります(笑)。これも本屋さんの経営手腕の一つなのでしょう。うんうん。ここは皆様、六然社が末永く続くよう暖かく、ついでにお財布の紐も暖かく弛め、書籍の売上にご協力いただきますようお願い申し上げます!!なんちゃって。

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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2007年4月 8日 (日)

新刊発売!! 『難経真義』

 できたてのホヤホヤ、六然社新刊発売のお知らせです。1月発売の『鍼灸開業繁栄の秘訣』に引き続き、今年は出版ラッシュの予定ですからねっ。

 『難経真義』池田政一先生著(12600円)

 「六十才になって、残りの人生で何をするべきかを考えた。いつまで生きられるか分からないが、その間に、古典を勉強する人のために『素問』、『霊枢』、『難経』、『傷寒論』、『金匱要略』などを解説し、遺言の代わりにしようと考えた」と、《序にかえて》で述べられています。そうです、先生の集大成の本なのです。

 内容ですが、単なる81難の解説だけではありまへん。「古典はいろいろな読み方をする人がいるし、それが出来るけれども、この本は、池田政一先生という臨床家が経絡治療の観点から難経を読み解いた本」だと本屋さんは言ってます。底本は最善本といわれる『難経集註』(内経医学会本?)です。「古典書物を勉強したくても、読むことからつまずいて、結局は放棄してしまうのではないか」とご心配くださった先生は、難しい字句の読みや解説も註として入れてくださいました(涙)。本文は各難ごとに【原文】、【訓読】、【通釈】、【註】、【解説】と言った具合にかかれていますが、それぞれ重要古典部分は『霊枢』『素問』『傷寒論』などの原文も欄外に記載されておりまして読者の便宜を図っています。そしてこれがなんとも本屋さんらしいアイデアなのですが、池田先生に各難における【臨症例】を書いてくださることお願いしたのだそうです。例えば三難の《尺寸陰陽の病的な脈》では、坐骨神経痛の治療例を、病証、望証、脈証、腹証、背証、考察、治療、経過、治療のポイント…と挙げています。

 重厚感溢れるこちらの本は箱入り、布張りの表紙ですもの、治療室に置いて見せびらかしたい一冊です。パラリとめくって見ると、蓬のようなグリーンが目に入ります。この色を決める瞬間に立ち会っておりましたが、本屋さんはインスピレーションで「この色!」と決めたのであります。出来上がってみるとすごくキレイな色合いに仕上がりました。桜や桃が咲き誇る春の京都で初売りでしたから、なんだか春色と妙にマッチしたイメージがワタシの中で出来上がりました。経絡治療学会会場で仕上がった本を手にされた著者、池田先生からはこぼれる笑顔、笑顔、笑顔。「立派にしてもらって」とご満悦でした。本屋さん曰く、「内容に見合うものにしたかっただけ」とのことですが、ムムムこれが素晴らしいのだ。できたての著書を数冊、大事そうに抱えて会場に向かう池田先生の後姿がなんとも嬉しそうだったなぁ。

 池田先生に「君は僕と似た所がある」と本屋さんは言われた事があるそうです。考え方において結構共通点があるみたいで、36にも及ぶコラムを拝読しているうちに、本屋さんと非常に近いニオイを感じましたね。このコラムがまた面白い、というか読み応えが有るのです。池田先生の人物像をかなり垣間見れます。全日本鍼灸学会のことも「劣等感のはけ口」とか「あるいはマスターベーションか」なあんて書いてしまっています。他の出版社でしたら実現しなかったでしょう。この辺り、常日頃「その人の治療法を理解する為には、その人そのものを学ばなくてならない」と主張する本屋さんならではのしかけでしょう。池田先生は伝統としての鍼灸を残すことに情熱を注がれ、鍼灸業界の様々な場を使ってそのメッセージを発信されていますね。この本の序についても、本屋さんが、誰か適任の人がいるだろうか? と打診した所(なんとか会やヤンチャラ会の会長とかは始めから本屋さん的に却下!)何と、池田先生御本人が長野仁先生を指名した辺りにも《遺言》がちらついている気がします。さすが我等がシュガイザー先生。古典ハンター冥利に尽きたご指名だったに違いありません。一部では、過去の経絡治療学会の学会誌でのやり取りを知ってか知らずか、「池田先生と長野先生とは仲直りしたんですね」なんて本屋さんに言ってきた先生もいましたが、本屋さん曰く「初めから喧嘩なんてしてませんから(笑)」

 …ということで、ご紹介したこの一冊。5月4,5日の『難経真義』講座にてテキストとして使用します。池田先生の生の講義をお聞きになりたい方は是非ともお申し込み下さい。お急ぎになって下さいね。あと少ししか余裕がありません。

5月4日(金) 10:00~12:00  

         『診極図説』第3回  講師 長野仁先生

         13:00~17:00  

         『難経真義』出版記念講演 

         1部:「歴代の医家が難経をどう臨床に生かしたか」 

            講師 長野仁先生

         2部:「難経の解説」 

            講師 池田政一先生

         18:00~20:30  懇親会

5月5日(土) 9:30~12:00  

         「難経解説」 & 質疑応答

         講師 池田政一先生 

参加費:

①『診極図説』第3回:前二回の参加者は無料ご招待&書籍のお渡し。新規参加御希望者については、書籍代含め1万円。前回までの出席者は出席の有無、並びに午後よりの出欠の是非を早めに御知らせ下さい)

②『難経真義』2日間で21000円(和方鍼灸友の会会員&『経絡治療』購読読者は1000円引き)。定員:100名 ※『難経真義』の書籍代(定価12600円)を含みます。書籍を既にお持ちの方は参加費のみで1万円になります。

③懇親会:5,000円 定員40名

場所 :  国立オリンヒック記念センター 

      4日 センター棟401

      5日 センター棟402      

http://nyc.niye.go.jp/

《申し込み方法》

       こちら  までメールにてお申し込み下さい。

   予約確認のメールを返送させて頂きます。

   FAXでもお受けします。03-6279-5102 六然社 担当山本

        予約完了後、下記口座への振込みをお願いします。 

 ※お振込み期限 4月20日(金

   郵便振替 :口座番号  

有限会社 六然社  00150-4-44092

《  

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2007年3月13日 (火)

知って得した『食用油には危険がいっぱい!』

 今回ご紹介する本は、ワタシの人生を根底から支えてくれそうな内容です。【食用油】の知識が欲しかったので、患者さんにも紹介しやすい、お話しやすい、身近な文章でかかれた本を注文してもらいまぴた。

中央アート出版社の『食用油には危険がいっぱい!』氏家京子著(1500円)。

 ワタシは外食もかなり多いのですが、自炊をしていれば、油を一切使わない調理法の方が好みなので、気付くと数ヶ月も油を使っていなかった・・・ということになります。ワタシの場合は自分で作る以外の場所からしか油を摂取しないのですから、とても受動的です。「大体、外食産業のずっと加熱されっぱなしの油が良い状態なワケがない」とは思っていたものの、もっとやばかった。一般家庭に普通にある食用油こそ見落としてはいけないものだと言うのです。

 余談ですが、アロマで使う植物油は基本的には遮光瓶です。「自然なものなのでぇ、酸化が早いですからぁ、100%ピュアなアロマ商材はガラスでしかも遮光瓶に入っているものなのですぅ」とお客様によく説明していましたが、ふと考えてみるとスーパーで売っている食用油はプラスチックのボトルでしかもあんなに大量に入っている・・・。おかしい・・・。そうそう。アロマ商材を置く棚に照明があったりすると大変でした。デパートなどの商品陳列の棚には照明が付いているタイプがあります。商品をより素敵に見せるためなのですが、この熱がキャリアオイルと呼ばれる植物油の酸化をすご~く早めます。テスターで開封後の瓶を陳列しておくとあっという間にに酸化(もちろん蓋はしまっています)。特にグレープシードが早かったなぁ。なので、ワタシは勝手に照明を切っていました。これで随分長持ちしました。そして、家での保管も冷暗所です。足の速いのは冷蔵庫の野菜室に入れておくことも、経験的にしょうがないからしていました。だって、すぐに酸化して使えなくなるんだもん。でも、これって肌に塗る油のことです。肌に塗るレベルでこうなのに、口入れる油がビニール容器で、常温棚に埃をかぶって長年スタンバイ、場合によっては照明もしくは日に当たる売り場にあるってあり得ないんじゃ??

 A型特有の几帳面さがココに露呈します(笑)。本屋さん曰く、「A型が几帳面ていうのはさ、自分に関することなんだよねぇ」という言葉が脳裏をよぎりますが、自分の身体に入れるものは選びたいですしねぇ。どこかのバイアスが掛かっていない情報があったらなぁと思っていたのでこの本一冊で随分勉強になりました。巷に溢れるテレビや雑誌の料理情報や健康情報で出てくる【カラダに良いモノ】というのは、それが売れると喜ぶ人々の存在が後ろにあります。ですから、いくらお医者さんや栄養士という人達が肩書きを持って喋っていても、イマイチ信用ならない。特にテレビ、雑誌など広告料で成り立っている業界はその傾向が強いでしょ。本屋さんがよく言う「だまされるな!」の精神を持って見てみると、世の中、誰かの利益を根底にして作られた商品イメージの氾濫が目に付きます。

 さて、この本を読んで良く分かったのは、「油は絶対に摂取しなければいけないものである」、ということです。細胞膜の原料でございますから、人間を作る基礎、オオモト君です。脳神経細胞の材料でもあり、しかもワタシの体内で作り出すことができるものではない。加えて、日々のエネルギー源、ガソリンの役目を果たします。燃料なくして、きっつい鍼灸師人生は乗り切れぬ(笑)。こうなったら積極的に摂取しなければいけないじゃないか。・・・とくれば、答えは自ずと出て参ります。ワタシの原材料とでもいうべき、大切な油君。質の良い物を選び、最善の摂取方法で口に入れよう!!

油は一種類ではない:【油】というと、油・脂全般をイメージしてしまいますが、大きく分けて2種類あります。【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】。後者の【不飽和脂肪酸】では更に分かれて、【一価不飽和脂肪酸】と【多価不飽和脂肪酸】。【多価不飽和脂肪酸】が更に分かれて、リノール酸等の【オメガ-6】と、アルファ-リノレン酸等の【オメガー3】がありあます。この分類により、厳守すべき摂取方法が変わってきます。

【飽和脂肪酸】と【不飽和脂肪酸】:この分類がややこしい・・・と思っていたら簡単でした。前者が常温で固まりやすい動物性脂肪に多く、後者は常温で液体、冷蔵庫に入れても固まらず、分子構造が非常に不安定なので熱に弱く、酸素に触れると酸化しやすい、とってもデリケートな【生食用】と覚えればよし。

 一般的な食用油は【不飽和脂肪酸】ですね。常温で液体だもんね・・・。おやっ、【生食用】のはずが何故、天ぷら油になるのでせうか、そもそも賞味期限が1年以上ってありえないはず・・・。コレは怪しい。魔の手が入っておりますね。

 どうやら【精製】と呼ばれる工程が、自然界ではありえない長期放置プレーを可能にする油を作り出せるそうなのです。詳しいことは本に譲りますが、【生食用】たる由縁の【アルファ-リノレン酸】を真っ先に取り除き、強制的に安定させるようにさせちゃうのです。【安定】って言葉は良いイメージを植えつけますね。【生活の安定】、鍼灸師が一番所望する言葉ではないでしょうか。が、【油の安定】とは、一番大切な成分を抜き去り、その工程に溶剤を使い、熱に弱いはずの【不飽和脂肪酸】を150℃で蒸留し、脱ガム、精錬、脱色、脱臭といった過程で葉緑素&ミネラル&風味を抜いちゃいまして、場合によっては防腐剤、消泡剤、抗凝固剤、水素を添加しちゃうそうなのです。これじゃ摂取すべき成分が無い上に、取りたくも無い添加物までどうして口にしなきゃイケナイノ?? これって食べ物??、という素朴な疑問が出てきます。商品はできるだけ長持ちしてもらいたい、というのが業者のニーズです。それを最優先し、かつ大量生産できるのでコストパフォーマンスを取っているふりをしているのでしょうか。

リノール酸神話崩壊:この本の中では生活習慣病の原因と名指しされている、リノール酸。悪玉コレステロールを下げる働きにスポットライトが当てられ、随分チヤホヤされてきましたが、同時に善玉コレステロールも下げており「意味無いじゃん」という事実が近年分かってきたそうです。が、しかし。これは摂取すべき成分【オメガ-6】を多く含むものであり、且つワタシの体内で血液を流れやすくし、血管を拡張し、心筋梗塞・動脈硬化・糖尿病の合併症・肥満・アトピーを予防し、子宮の収縮を助け、生理前の不快をやわらげるといった素敵な作用を持つガンマ-リノレン酸やアラキドン酸を作り出す材料なので摂取しなければいけません。が、【アルファ-リノレン酸】とのバランスを考えた取り方の工夫が必要です。

リノール酸vsアルファ-リノレン酸:この両者は人体で競合しあっているそうで、両者の適切な摂取量をマークしてバランスをとることが、「油を取る意味」と言えます。4対1(1対1という説もある)が最適だそうですが、なにせ食用加工油にはアルファ-リノレン酸が予め抜かれておりますので、加工食品や外食産業が氾濫する現代では20対1の割合に陥っているそうです。このアンバランスさこそ、油を摂取する上で最も注目すべき点です。にゃので、完璧に不足している【アルファ-リノレン酸】を生食で毎日とることがキーになってきます。健康オタクであろうとも、油全般を敵視する単一的思考ではいけません。【アルファ-リノレン酸】を一日スプーン1杯取ることで作られる、ワタシの中で起こっているバランスにこそ意識を注ぐべきなのです。陰陽のバランス、東洋医学と通ずるこういう考え方は真理を付いていると思えてなりません(笑)。

動物性脂肪を取りすぎると血液がドロドロになる理由:ゴルゴ36先生もこないだ書かれていましたね。これは動物の体温と人間の体温に差があるからだそうです。牛さん、豚さんの方が体温が高いそうです。油は温度が下がると固まる性質がありますので、温度の低い人間の体に入るとサラサラとは流れずに、ドロドロっとなるのだそう。

ドロドロしない油って?:⑤から類推すると、人間よりも体温が低いモノからもらうのが良いのでしょう。イメージしてください。海は冷たいですねぇ(笑)。冷たい海水の中で生活している魚さんは泳いでいる間に血液が固まってしまっては生きていけませんから、体内で固まりにくい【不飽和脂肪酸】のDHAやEPAを沢山持っているそうです。血液サラサラとよく耳にする油の名前ですね。魚の純粋な油は-45度まで固まることが無いものあるそうです。ひょえぇ~。あ、ちなみにですね。古くから魚食が一般的だった民族は新鮮な魚の油を他の民族に比べて多めに取らないといけない体になっているそうです。一度お金を手にすると、生活レベルを下げられない現象とよく似ています。摂取量が多かったので、それに合わせた体になってしまっているんですね。ですから、余計に不足しがちだそうですよ。「生魚だけから摂取しなければいけないのかよ、EPAさん、DHAさんよぉ」と生魚が案外苦手なワタシは悪態をつこうかと思いましたが、デモ大丈夫。こんなワタシでも体内で生産できる設備が備わっているのです。【アルファ-リノレン酸】から作り出せるんですねぇ。だから、野菜と良質な植物油の組み合わせ、【サラダ】で済むわけですよ。冷たい大地から取られる冬のお野菜には、寒さで細胞壁が破壊されないように固まりにくい【不飽和脂肪酸】の【アルファ-リノレン酸】を大量に生産する能力が備わっているそうです。ですから、成分的に多く含まれるんですね。寒い冬の防寒に一役買う旬のお野菜、納得です。

トランス型脂肪酸:日本ではあんまり聞きませんが、欧米諸国ではコレを多く含んだ油脂製品の販売が禁止されるようになったそうです。マーガリンとかね。

後半には、油の悪い取り方が現代日本に於ける諸病蔓延の原因也、とアレコレ言っています。「これさえ守ればアンタは生き返るよ!!」と言わんばかりの押しの強さで畳み掛けていますが、こういう一般向けの本ではしょうがないですね。原因の一端では有るでしょうけど、ちょっちイージーすぎます。ただ、簡単に説明してくれているので、トークには応用が効きます。

 要するに、「質の良い油を選ぶこと」から始めなくてはいけません。信頼できる製造方法で、店頭に並ぶまで、及び店頭に並んでからも温度変化や光に当たってこなかったかをも見た方が良さそうです。生食【アルファ-リノレン酸】に限っていえば、冷蔵がよいらしい。自然食品屋さんでも常温棚に置かれているくらい、油の性質っていうのは気にされていないことが多いらしい。実際に目にしました(笑)。そして、油それぞれの特徴的な成分にあった調理法を守ること。これが正しい油の摂取法の気がします。

で、じゃあどうすればいいのよってことに当然なりますね。

『食用油には危険がいっぱい!』を最後まで読むと上記のような結論が導かれると同時に、巻末には「ココで買えます」と、良心的なオイル製造メーカーが載っています(同じ出版社から出ている『危険な油が病気を起こしてる』では、訳者による日本の精油メーカーへの公開質問状を載せる等、独自の調査結果も掲載されており、各メーカーの対応の仕方によって良心度も窺える仕組みになっていますが、本書では幾つかの入手先を記すに留めています)。

「受動的な油摂取のワタシは確実に【アルファ-リノレン酸】が欠乏しているであろう。これこそ改善せねば!!」と、一気に読み上げた勢いで、ネット検索を掛け、ついついお買い物カゴへ・・・、というパターンに陥る自分を冷静に眺めると、「食用油業界に騙されるな!」と思って読みながら、「いとも簡単にこの本に操られてしまった・・・」という一抹の敗北感も混在するのでした(笑)。でも、大手メーカーのモノは大抵アブナそうで、皆様の食生活へのあらたな視点になる事は間違いありません。皆さんならどうしますか?

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2007年2月14日 (水)

『鍼灸開業 繁栄の秘訣』 割引販売!!

 大変お待たせいたしました。数々の「書店で売ってないぞ~。送ってくれ~」等のお問い合わせありがとうございました。先日の福岡講演の日が初売りでした、『鍼灸開業 繁栄の秘訣』をこのブログをご覧になった皆様だけにお安くお求め頂けるよう準備をして参りましたのでございます。

 復刻された『鍼灸開業繁栄の秘訣』は六然選書 二でございます。一はお馴染『尾張藩医 浅井家伝 金匱口訣』でございまして、同じサイズ、同じ表紙カラーとなっておりますので本棚の『金匱口訣』横のスペースを空けて到着をお待ち下さい。因みに、この『金匱口訣』については限定数出版で再版はないそうです。お求めになっていない方はこの機会に一緒にどおぞ。後世に残る書籍です。

 実は。本が出来上がって納品されるまで、実際にどう仕上がるのかについてはワタシには一切伏せられているトップシークレット事項です(単に知っているのが本屋さんだけ:笑)大体この本に限らず、いつ仕事してるんだか不明です。。帯には「これで勝ち組!?」という本屋さんらしいギャグが入っていて、手に取った瞬間に「プッ」と笑えました。そして、いつの間にかオマケもついていました。「国医」と称された鍼灸醫家、山崎良齊の「開業の秘訣」であります。これは大正14年に印刷発行された『鍼灸医術開業法』(一名鍼灸医術概論)という本の一部です。著作兼発行人の山崎直文氏は、大正11年に鍼灸醫師法運動を提唱、この運動は同業者6707名の調印賛同者を得、衆議院貴族院などを巻き込み、大きな広がりを見せたことが記録に残っているそうです。これを附録にするに当たって、本屋さんはこんなことを書いております・・・

 昨今乱立してきた鍼灸専門学校や鍼灸大学等では、臨床経験の希薄な教員が増えてきており、本来職業訓練校的意味合いを持ちながら、術を教えられる教員も少なく、何故か業界の実態についてもなるべく知らせず、とにかく学生を試験にだけ受からせて卒業させようと言う意図が見え隠れしているのは不思議な事だが、先人の遺業を省察することで、そこから少しでも先人の抱いていた鍼灸術への思いを汲み取り、混迷する現状を改善する一助になる事を祈ってやまない。

  さて、本の内容は以前にこのブログでも紹介いたしました。同文をまた掲載しておきますのでお読みになっていない方は一度ご覧頂き、既にご購入の意思が確定している方はすっ飛ばしてください。

 この本はもともと昭和10年代に発行されたものです。「流行れば大名、流行らねば乞食、これが即ち医業に従事するものの生活状態の真相なのである」という出だしで始まるこの本は、戦前に書かれた物ながら現在にも深く通じるものがあるのであります。 例えば、「斯くまでに鍼灸医業の経営が果たして困難のであらうか、・・・(中略)・・・斯業家の開業政策そのものが、医師、歯科医師のそれよりも遥かに遅れていることが判然と認められる。換言すれば鍼灸家は概して開業術にうといのである」という具合に、今と全く変わらないのです(笑)。 「開業資金の点に於いても技術の研究に於いても、全く不用意でありながら、開業さへすれば忽ち流行るものと考へ、一日も早く旗揚げせんものと焦るからなのである」と、<鍼灸開業繁栄の道>をひた走る著者は言い切ります。この本の項目はこんな感じ・・・

①開業の準備 ②開業地の選定 ③宣伝の方法 ④療院の設備 ⑤療院の規定 ⑥患者応接の秘訣 ⑦診察と治療の秘訣 ⑧患者優遇上の注意 ⑨経営上の注意

そして、詳細な内容はこんな感じ・・・

「一人でも多く無料患者を取扱え」、「こんな地形は開業に不利だ」、「他業から鍼灸医になった者はこうして開業せよ」、「住宅地開業の繁栄の秘訣」、「便所は斯くすべし」、「診察時間表の根本問題」、「患者に煽てられるな」、「患者の希望を洞察すべし」、「治療回数券の発行は斯くすべし」、「鍼灸学教授の副業は失敗の因」、「濫りに分院を設置すべからず」、「按摩術兼業の利害」、「妻君の活用は繁栄の基」、「鍼灸医の往診は結局不利益だ」・・・・・等など紹介しきれない内容が盛り沢山!

 ということで、そろそろ本題(本代:ニヤリ)にはいります。  

 『鍼灸開業 繁栄の秘訣』  塚谷信夫著 

 附 鍼灸醫術開業の秘訣 山崎良齊著

 定価 4410(税込み)円 + 送料300円 4710円  

合計 4710円

なんですが、和方鍼灸友の会会員の方と、本屋さん(+ワタシ)と直接の付き合いのある方には割引もするといっていましたので、御希望の方はこちらまでメールにてお知らせ下さい。書店で頼むよりはお徳でございます。今すぐアクセス!!

①お名前

②お送り先ご住所 (〒も忘れずに・・・)

③お電話番号

④冊数

⑤その他の六然社出版書籍でご注文があれば、和方鍼灸友の会並びにワタクシ&本屋さんの友人にはそちらも割り引きますのでご相談下さい(笑)。

※10冊以上のまとめてご購入につきましては、本屋さんはいつも何かしらの特典をつけています。

 そして・・・。希望者が絶えないので、東京でも本屋さんの「繁栄の秘訣」セミナーを開催することになりそうです。詳細が決まり次第アップしますので、こまめにチェック願いま~す!

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日本腹診の源流

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六然選書① 尾張藩医浅井家伝 金匱口訣

古伝大東流闡明

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2006年12月16日 (土)

房中術つながり

不妊治療をされている方に最近よくお会いします。それを目的に治療に来ているわけではなく、鍼灸が効くとは想像もつかないみたい。そんなモンだろうなぁ。学生時代の友人が勤務している某鍼灸治療院ではホームページで盛んに不妊症治療を謳っているからか知らないが、一日中めまぐるしく回転する院内には不妊治療を受けながらの女性で溢れているそうです。治療内容を根掘り葉掘り聞いてみると、患者さんは自分がどういう身体状況で、どういう治療を受けているのかを理解できていないらしく、その先生は現代医学の不妊治療を深く勉強され、各病院の特色を把握しながら詳しく説明してあげる役割を担っているのが大きなポイントだとワタシは思うっ。因みに30代半ばの男性の先生です。

こういう成功例を目の当たりにしていたので、不妊治療の実際を知っておきたいなぁと思っていた矢先、事務所に置いてあった本が目に入ったのでご紹介します。

『「はりきゅう」治療でしぜんな妊娠  あんしん出産』 中央アート出版社 日野勝俊著1500円

専門書というより、素人さん向けの分かりやすい導入書です。 本屋さんに聞いてみると、著者の先生は、以前本屋さんがやっていたミニコミ鍼灸雑誌(本屋さん談:笑)『TAO鍼灸療法』でも原稿を書いてくれた先生らしい。本の内容は、現在病院で行われる不妊治療の実際についてというのではなく、男女の生殖の意味が生理学的に分かりやすく説明されているので、この部分が私としてはちょうど「コレコレ」という良い本でありました。鍼灸治療の具体的な方法論も述べながら、かといって鍼灸治療を強調した内容でもないのですが、どういうメカニズムで妊娠に至るのかを至極簡単な生理学で説明してくれているので患者さんに説明する時とか助かります。

というのも、事務所にたまにいらっしゃる梅川純代房中博士と本屋さんの房中談義を耳にする機会も多く、「そうなんだぁ」と目ウロコの連続の会話なのですが・・・。ご紹介しましょう。この、梅川純代房中博士とは、女性で房中術を研究されているのは世界唯一という方らしいです。著書に、

『「気」の思想から見る道教の房中術』 坂出祥伸 梅川純代著 五曜書房2830円

があります。実は、毎月行われる身体作りにも参加されているのです。とても気さくな方なので色々聞いてみるといいですよ(笑)。話を戻しましょう。お二人の会話からこぼれるエッセンスを不妊に悩む方々にも教えてあげたいと思ってみても、なんせ房中術の背景にある道教思想を分かっているわけではないので、単語からしてワタシには難解です。それでも。「コレってこういうことでしょ?」というお二人の房中談義はとても咀嚼されたものであって、素人でも分かりやすい。大体が梅川博士が本屋さんに質問しているケースが殆どで、そのおこぼれに与るわけですが、ここでもやはり「丹」が出来ている人じゃないと房中術は実践できそうもない(本屋さんはよく「結局基本は肉トレ(肉体トレーニング)なんですよ」といっている)・・・結局は身体の問題じゃんという風に感じます。

しかし、よくよく聞いていると、お二人の会話から伺い知る房中術とは、とにかく房中術にしても男性がメインのものではなく、如何に女性に重きを置いたものか、という点で一貫している(本屋さんは「どうやって女性を大事にするかの術」といってまぷ)。これは当然のことなんだと、生理学的にも説明がつくし、「種を存続させて行く」という人間の目的に適っているのが良く分かる。昔の人は偉かったなぁ。観察に次ぐ観察、経験に次ぐ経験で技法まで確立してしまうんだから。よく本屋さんは「下手な奴は鍼灸も多分下手。鍼灸学校の学生でわざわざ外国行って金かけて死体の解剖なんてするくらいなら、彼女とやっていた方がよっぽど腕が上がる」と断言していまぷ。要は観察力を如何に磨くかということらしい。

ワタシの知人で、旦那は子供を早く欲しい VS 奥さんはまだ欲しくない の対決の末、ついに離婚に発展してしまった夫婦が居たのです。が、よくよく奥さんの話を聞くと、そもそもその行為自体が嫌だったという。「痛いから・・・」という、なんとも切ない理由であったが、この感想を持つ女性は結構いるようであります。この話を本屋さんにすると、「それは男がヘタクソなだけじゃん」と烙印(笑)を押していました。この奥さんは、子供を欲しがらない自分が人間としておかしいのかと心底悩んでいたが、ワタシが思うに、子供を作る行為で痛みを伴うっていうのがそもそもイケナイ。人間は危険を回避して生き延びるために、痛みをしっかりと覚えていなければならず、と同時に嫌な思い出をセットにして経験メモリーに保存しておく。もちろん無意識の領域の作業である。これが扁桃体を持つ人間の宿命だ。よって、痛くて嫌な思い出として記憶されてしまったからには、ナカナカそれを外せない。次回からは意図せずとも瞬時に「あ~嫌だなぁ」モードに切り替わり、心身ともに開かず、なのだそうだ。話がそれるが、この辺りの記憶のお話も事務所に置いてあった

『海馬 脳は疲れない』 池谷裕二 糸井重里著 朝日出版社 1700円 

に分かりやすく出ていました。横道おわり。問題はココであったのに・・・、解決策は楽しい房中(笑)であったはずなのに・・・、若干DVもあったようなのでさっさと奥さんは見切りを付けたようである。きっと、この旦那は一生自分の技法(?)がヘタクソだった事が離婚の根本原因だったとは思いもよらないに違いない。だって、奥さん自身もそのことには気付いていないんだから。「アレって、そんなものでしょ」と言っていた。日本の性を取り巻く環境は女性の仕組みが全く蚊帳の外なんだなぁと思わずにはいられない、氷山の一角の離婚話でございました。

この話をすると、本屋さんはチベット密教の場合の話をしてくれました。密教のある宗派では技法に長けた高僧が年頃になった女性の初めてのお相手をするしきたりがあるそうであるが、これは女性がその後の人生で嫌いにならずにすむようにと配慮されているそう。子孫を残す点でも、先述のような<嫌な行為>では体が反応してこないので、妊娠しにくい。また、女性の健康は女性たる由縁の機能を使ってこそ作られるものなので、健康維持の役割からも嫌いにならないでもらおう、と配慮されていたそうだ。昔の人はつくづく人間を分かっているなぁと思う。

最後に、もう一つ例をあげましょう。先頃、彼女と別れた男性が教えてくれた話です。別れ話が進む中、鬱傾向に陥っているのが傍から見ても明らかだった彼女は婦人科へ通い始めました。彼女は元々生理のトラブルが結構重かったそうですが、この男性とお付き合いが深まるにつれてそれが治っていたそうです。が、別れの足音が聞こえ始めた辺りから再発。この男性は相談した上司から「ウソでもいいから、<カワイイ>とか<キレイ>だとか、女性ホルモンが出そうな言葉をかけてやれ。そうすりゃ治る」とアドバイスをされたそうです。う~ん、恐るべし。なんて、核心を突いたアドバイス。結局、生理のトラブルなんていうのは、良い男女交際、良い房中で治るのではなかろうか。大体、トラブルの原因は瘀血だったり、冷えだったりの血流の停滞や減少ですね。房中=運動、即ち全身運動よりも遥かに効果的な女性器をメインに強制的に動かす運動ですから、その部位の血流改善に最大の効果があるわけです。ちゃんと、子宮が収縮したのかどうか。この点だけを男性は気にして頑張っておくんなまし(笑)。パートナーの女性疾患を治すのは案外簡単かも知れませんよ。

本屋さんの講義に出られている方には、

『「はりきゅう」治療でしぜんな妊娠  あんしん出産』 中央アート出版社 日野勝俊著

『「気」の思想から見る道教の房中術』 坂出祥伸 梅川純代著

上記の本がお安く手に入るはずです。次回の経絡経穴と身体作りでお問い合わせ下さいませ。

 

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2006年12月 4日 (月)

お薦め本『はらのなかのはらっぱで』

報告が遅くなりました。この度、我らがシュガイザー先生監修の絵本が出版されました!!

『はらのなかのはらっぱで』 

きゅーはくの絵本④ 針聞書

九州国立博物館所蔵の『針聞書』の腹の虫をモチーフにした絵本でございます。アンパンマンでお馴染みのフレーベル館から出版されました。文は講談社エッセイ賞を受賞されているアーサー・ビナード氏であります。夏前のシュガイザー先生講義に何回かいらっしゃっていましたね。先日、読売新聞にも特集を組まれていたこの方ですが、話し言葉もとても豊富なボキャブラリーで、先生方の打ち合わせをこっそり盗み聞きしては楽しんでいました(笑)。

とにかく、お手にとってご覧いただきたいっ。本当にキャラクターが活き活きとしております。これは一切手を加えていないんだそう。『針聞書』の挿絵からそのまま抜き出しているだけですと、担当者の方が仰っていました。ただ、色だけはより鮮明になるように加工したようです。500年前のキャラクターですが、これがこれが。なんだか笑える憎めない腹の虫=寄生虫達です。想像力豊かな先人がいたもんだ・・・と、感心する限りであります。63種の内、この絵本の中には18種が登場します。絵本の後ろには、シュガイザー先生による各虫達の解説もついていて、「なるほどぉ」と引き込まれてしまいます。

解説は他にもあります。日本文化と「腹の虫」、陰陽五行説と「腹の虫」、「腹の虫」が伝える「共生」の思想、昔の人体図と虫の居所。『五輪砕并病形』の図も出ており、「これって多賀フォーでシュガイザー先生が説明してくれたやつだっ!」と、お徳感てんこもり。これだけでも、持っている価値あり。これがなんと1050円とは、さすが大手出版社(大黒柱アンパンマン:笑)ですねぇ。

虫達の図鑑から、お一つ紹介しましょう。キャラクターの一つである<脾積>の説明文を見てみると、「顔は黄色っぽく、大の甘党で鼻歌が絶えない。宿主の多くが女性で、生理不順をおこし腰がたたなくなる」とあります。ぐぐぅ、面白すぎですよねぇ。五行の考えがしっかり入ったキャラクターですから、妙に親近感が沸いてしまいます(笑)。

解説の説明ばかりしてしまいましたが、絵本そのものも素晴らしい。大人が眺めても十分に楽しめる、センス良く仕上がっています。腹の虫という事自体、日本独自の発想だそうですから、英語版の解説があったら世界的に売れそうだなぁと思ったりしました。500年前の日本人がどうやって病気を考えていたかっていう見方も面白いでしょうし、しつこいようですがキャラクターが見れば見るほど味が出てくるタイプなので、鍼灸師じゃない人にも見てほしいなぁと思ったりします。

因みに、六然社からも資料提供されたようですよ。編集のお姉さんが何度か事務所にお見えになりました。

お買い求めはこちらへどうじょ。 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4577032945

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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治療家の手の作り方

神道の呼吸法

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東洋虹彩診断 『診断革命』

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2006年11月 2日 (木)

お勧め本 『病家須知』

先週末から11月1日にかけて、神田の古本祭りに行かれた方も多かったのではないでしょうか。日曜日にまた出かけてみました。本屋さんは「金曜からやってるんでしょ、もうイイ本なくなっちゃたよ」と言いうので、見ないし買わないのかと思いきや、1ブース見る度に数冊購入し、最後の店ではなんと20冊の大人買い。「沢山買えば安くなるの?」と、店番のお兄さんに聞きながら相手の反応を見て、「コレはいけそうだ・・・」と思ったか知らないが(笑)、お兄さんの要領をあんまり得ない風が露呈した瞬間から、「コレもコレも、あ、コレもね」とドンドン付け足して、計算不能に陥らせ、「そんな馬鹿な」という値段で買い物が成立してしまった(笑)。裏通りも覗いてみると、屋台も出ていて、さすが休日の賑わいでした。所謂屋台じゃなく、普段は結構な値段がする中華料理屋やエスニックレストランがお店の前で屋台しているので美味しい……で、そちらも満足。

さて、先月の勉強会でご存知の方も多いかと思いますが、参加できなかった方のために、農文協さんから出版された厚さ7.7cmの分厚い本(笑)、『病家須知』(原著・平野重誠、監修・小曽戸洋、監訳・中村篤彦、編著・看護史研究会・定価29000円)のご紹介です。

この本は翻刻訳注篇上下2巻と研究資料篇の計3巻セット。江戸時代である、1832年(天宝3年)に発行されたわが国初の、「薬に頼りすぎず、医療を良く選び、日々の養生を大切に」と説く、看護の心と技を伝える書であります。そもそもタイトルの意味ですが、「病家(病人のいる家)」+「須知(すべからく知るべし)」=家庭看護必携、家庭医学の百科を指しています。本屋さん曰く、「医家、じゃないところがミソなんだよ」との事でした。因に「江戸時代の赤本!」というのが本屋さんが『病家須知』を話す時のキャッチフレーズです。 ああ、でも「赤本から説明しなきゃならないんだよなあ」って嘆いてまぴたです(笑)。

先日「助産婦さんの技術が廃れる一方だ・・・」、というような話を事務所でしていた際に、本屋さんは「とりあげばばぁ、とりあげばばぁ」と、助産婦さんの事をわざと悪く言っているのかと(笑)思っていたのですが、「とりあげばばぁ」って江戸時代の助産婦さんの名称だったんですねぇ。家庭の医学書だけあって、お母さんと子供に関する項目が満載です。お灸の辺りではシュガイザー先生も協力したそうです。この本の為に調べなきゃならない事どもも出てきて結構苦労なさったけど新たな発見もあったとか……。

シュガイザー先生の講座と本屋さんの勉強会で、こちらの本をご紹介し、まとめて注文を取ったんですが、この値段にしてなんと31人もの方が即買いでした。やっぱり、トップのお二人の猛烈な読書量に影響されているのか、参加者の方々は意識が高い。ニコイチがよく言っていますが「本は高くない。その著者が何年もかかって築き上げたものが手に入る、その労力の短縮に焦点を当てれば高そうに思える本だって決して高くはない」ということです。この本は作るのに随分掛かったらしいですよ(笑)。本屋さんは「編集は突き詰めれば金と納期!」って言い切ってますが(だから編集者だけでなく、ライターも本屋もパチスロもやってるのでしょうか? :笑)、この『病家須知』については、編集者として「採算取れるのかなあ」と心配しています。なんでも限定千部らしいです(って書いちゃいけなかったかしら??)  図説も豊富で、包帯を巻く図だったり、とりあげばばぁ(笑)が取り上げている出産時の図だったり。図面見てるだけでも結構参考になります。  原文のすぐ下に現代語訳が付いているのも読みやすくて良いです。実を言えば、最初は原文から読んでいたのですが、気付くと下の現代語訳を読んでいる自分がいます。どお~りで内容がよく分かると思った! (笑)

さて、農文協&本屋さんの濃密なご関係(笑)により、六然社経由でご注文を頂いた際には特別お値引き価格でご提供できる段取りが整っております。

『病家須知』29000円 → 26000円 & 送料無料

お申し込みはこちらまでメールにてお知らせ下さい。当初11月一杯のサービスとさせて頂きましたが、まだ間に合います(間に合うことにしてよいとの本屋さんよりお許しが:笑)。お申し込みの際は、郵便番号、住所、お電話番号を明記願います。詳細はお申し込み後にご連絡いたします。(既に勉強会で御注文下さった先生方にはもうじき手元に届くものと思われます)

本の詳しく内容をお知りになりたい方は、こちらをご覧下さいませ。http://www.ruralnet.or.jp/zensyu/byokasuchi/index.html

因みに、このブログで農文協さんといえば、『だし』の本がありましたですねぇ。あの時ワタシと共にご購入頂いた30名ほどの方々、その後やってますかぃ??  ワタシはかつお節の削り器で、ざっくり薬指を削った「刺絡深すぎ」事件以降、なんだか腕を上げた気がします。単に削り方が悪かっただけのような気もしますが・・・。 やっぱり「アミノ酸」じゃない「天然だし」は美味しいですねえ。(そういえば前回の本屋さんの市民向け講座では、何故ある時期から食品の原材料成分表に「化学調味料」ではなく「アミノ酸」と表記するようになったのか、ってお話もしてましたっけ…そうそうあの講座の報告も本当は書かなくっちゃいけないのよねえ…毎日目を通してくれてる読者さんの為には、仕事してる暇なんかないんだわあ:笑)

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2006年6月11日 (日)

いつのまにか新刊

 何故か従業員のワタシもまったく知らない間に六然社に新刊が出来ているではありませんか? 
一体何時仕事をしているんだか……、確かに何時も何かしらやってるし、患者さんは来るし、寝ないし、っていう生活をしているんですが、果たして、何をやっているのだかはっきりとは従業員のワタシもよくわかんないんです正直な所。事務所は妙にさわやかで厳つい、だけど過剰に親切で怪しげな人達が出入りしますし。(本人の本職はスロッターらしいです。実際「お金がなくなったから…」って言って歩いて数十秒のP屋さんに行き、時給1万〜3万円位の仕事をこなして来ているのを数回見ています……、「忙しくって金稼ぐ暇がない」というのが本屋さんの口癖ですが、いつの間にか本も作ってるんですね。ちゃんと。どうやら自社出版物以外の本も(いわゆる編集プロダクションって言うのでしょうか?)手がけている節があり、全然知らない出版社の本を実は、黒忍者が作っている、ということもあるみたいです。ゴーストライターもしてるみたいですし。自社出版物を作るお金をそうして稼いでいるのかしら?
 で、六然社の新刊は『神道の呼吸法』というタイトルです。
 中身は、神武天皇の時代から国家の祭儀として宮中で行われ続けているという伝承のある石上神宮由来の鎮魂法と、各個人が修練出来るように、大正時代に神人といわれた川面凡児(1862〜1929)が纏め上げた禊祓行の実際を余す所なく伝えたもの……だそうです。
 著者の中川正光という方は、昨年5月97歳で亡くなりましたが、その年の2月迄、毎年欠かさず、オホーツクの流氷を割って海に入り禊行をしていたという神道界の大御所でありました。東京都内に禊行が出来る神社(地下深くから水をくみ出す設備を作ってあったそうです)が唯一ありまして、そちらの宮司だった、この中川正光先生の著作を出す事を本屋さんは生前企画していたとの事ですが、没後の一年祭に合わせて上梓、となったようです。値段は3000円、まだ一般書店には並んでいないようですし、何故か本屋さんも並べる気もないみたいです(「分かる人だけが買ってくれればいいんだ」って、いつものように言っています)。だいたい営業らしい営業をしているのを見た事がありません。それを心配してシュガイザー先生の方が一生懸命本を売っている図式を見ていると、やっぱりニコイチなのかなあと思ってしまいます。

 あ、そういえば、シュガイザー先生の著作は「石坂新伝流・五輪の書」として、世に出すんだと本屋さんは申しておりました。とりあえずは「四部書」として地水火風を出し、空之巻は「空」ゆえ出さない(シュガイザー先生の死後に誰かが纏めて出して)っていう予定だそうです。
……ほんとにこの人達って。

地之巻(おだやかに 誰をも癒すは 地の如し) 困った時の六王鍼 『迷導経(めいどうきょう)』ー万病一如の鍼ー
水之巻(やわらかに 論ずる思考は 水の如し) マンガ五臓の色体ちゃん『軟 経(なんぎょう)』ー色体経象学ー 
火之巻(かろやかに 鍛える血潮は 火の如し)これで鍼が上手くなる 『身 経(しんぎょう) 』ー唯掌論 ー 

風之巻(あざやかに 技にて治すは 風の如し) 巧みな鍼の使い方 『蘇 捫(そもん)』ー九鍼発揮ー

空之巻(秘するが花の口伝集) 

 いやあ、楽しみですねえ。

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