ワタシの秘密

2011年11月25日 (金)

この場をお借りしまして・・・

今回は一月早いですが卯年総決算的雑談とまるっきりUさぎ堂の宣伝となりますがご容赦ください(笑)。本屋さんにも了承を取り、どんどん宣伝して下さいとのことでしたのでこの場をお借りして現状報告をさせて頂きます。

振り返ればこのブログを始めてから相当な月日が流れております。5年半ほどになるでしょうか。最初からご覧頂いている方は顔見知りの方が多かったのですが、最近は現役の学生さん等、直接存じ上げない方々にもご愛読頂いているようで、ネットってすごいなーと改めて思います。

本屋さんの元で学びつつ、「そろそろ開業したら?」と六然社の従業員の座を剥奪されて早3年、開業してから活動フィールドがあれよあれよと広がってきました。自分じゃまだまだ開業できないと思っていたのに分からないものですねー(なので経験談を元に皆さんに早く開業した方が良いと力説しています)。オールラウンドに極めている本屋さんのご指導をたっぷり受けながらのフィールド活動ですから、ワタシごときがやっておりましても、それなりのものが世間様に提供できているのではと自負しております。治療院外のお仕事は課外活動と思ってますが、治療院で「先生」をやっているのでは得られない社会経験が積めますね。鍼灸学校入学を機に企業で働くのは遠ざかっていましたが、新卒気分で勉強させてもらっています。

何でもそうですが、実地に勝るものは無いですね。来春発売のクッション開発が始まった当初、現在の市場を見てくるように具体的に指導されました。ワタシと言えば骨盤矯正になる形を提案すれば監修者としての仕事を全うしているのであろうと思っていたのですが、色や形、サイズ、素材、価格帯など「ロフトとハンズで傾向を見てきて下さい」と指示を受けた時、ハッとさせられたんです。売れるものを作る、これが企業の最優先目的であるわけで、本屋さんから習った形を提唱したクッションであれば絶対に効果があるので大丈夫、というのでは自分サイドからしかモノを見ていなかったのだーと反省。なるほど、だから健康器具は高くて問題なしなのだと実感。「○○先生ご推奨!」で必要に迫られた人が値段を厭わずに買うわけですから。しかし、ワタシが組ませて頂いたのは健康器具屋さんではありません。一般女子にかわいいゆるキャラ雑貨を提案している企業です。なので価格帯も決まってきます。某編集さんがキューピットとなり、引き合わせて下さった初回ミーティングで「ちゃんとした機能を持った雑貨」がコンセプトになり、健康志向の女子だけにしか届かないものではなく、普通にどんな人の日常にも溶け込んで、こっそり且つしっかりサポートするグッズをコンセプトを提案しました。

さてさて、世に広めるには安くあるべきだし、女子の心を掴む色柄素材でなきゃダメですし、使ってもらえば使用感は間違いなく効果があるわけですから、その前段階の「心をつかむ」仕掛けを実地にて学びましたです。その後ネットも含めて色々と見て回りまして、ふとその時思ったのですが、本屋さんや○っちゃんなどとお買い物へ行くと、目的とは全然違ったものもとりあえず見て回っているなーと。つまりは、こういうことだったのかーと、クッションを見て回りながら気付いたわけで、情報収集を常にされているんですね。だから突然の会話の中で現在の世の中の動向が言えたりしちゃうわけで、「鍼灸の先生」だけで生きているわけではないから、様々なアンテナが張り巡らされているのです。だから、どんなフィールドでも活躍できるだろうなと思ったのであります。

そうそう、鈍いワタシでもどうにかやらねばと、アナログ生活からの脱却もこういった課外活動での必要性から突っつかれて、少しずつ進んできました。今でも浦島太郎状態ですが、こういう必要性が無ければもっとひどいと思います。治療とは全然関係のないPC関連の能力が治療院の運営でも今の時代は大前提で、一人で何でもやらざるを得ない一刻一畳の主である鍼灸師は特にPCに助けてもらう部分を学んで行く必要があるとも痛感しています。この辺を至れり尽くせりでサポートしてくれている○っちゃんのノウハウを学び、来年度は「効率化」を目指そうと決意しました! 目下の宿敵、雑務君をバサバサ切って、お茶しに出歩いたり、お昼寝する時間を作りたいと思っています。熟れてきたらこの辺も講座の中で紹介できたらと思っています。

それから、年度が進むたびに思う事ですが「先生」として扱われることが多くなると、それだけで持ち上げてもらえる機会が増えていきます。どこへ行ってもご馳走になり、良いお席に座らせてもらい、一方的に話すのを熱心にうんうんと聞いてもらえる。取材を受けても言いっぱなしで「勉強になりましたー」と頭を下げてもらえる。そりゃ気分がいいですよね。ただ、そういうのが気持ち悪いのだと、本屋さんは「先生」と呼ばれるのを嫌うのですが、ワタシもそういうのを嫌がる人を見てきたお陰で、違和感を感じる能力は備わっていて、「お、今先生モードで扱われているから気をつけなきゃ!」と、バードビューよろしく俯瞰的に確認したりしています。上から目線の「先生」にならず、PCを修理する技術者みたいに、体の不調を治す技術者として精進して行きたいなと思う背景には、技術の妙技を見せ続けて下さる本屋さんの背中があってこそなのでしょう。寺子屋や別伝にきている方々を見ていても同じように感じていると思います。

宗教学者のM先生が繰り返しておっしゃっていた話しで、「麻原があそこまで行ってしまったのは師匠がいなかったからだ」というのを思い出します。ある程度修行をすれば素人を驚かすぐらいの事は出来るわけですが、それを諌める存在、また修行の先にあるものを見せ続ける存在である師匠がいなかったから暴走してしまったのだということでした。自分に置き換えてみれば、ワタシが100歳まで生きたって本屋さんが見ている領域で体に触れることなんか無理だろうな、でも見てみたいから続けよう的な雲の上を行く存在があることで、常に「自分なんてまだまだ」と思わざるを得ず、「本屋さんだったらもっと簡単に取れただろうなー」と、患者さんに心の中で手を合わせていることしばし。寺子屋を続けて頂けることになりましたが年単位で参加されている方々も治療で行き詰まった際に「ふと思い出す髭の顔・・・」なのではないでしょうか。

常に足元を見ながら、浮き足立たず、今与えられた目の前の事を淡々と繰り返していく先に突然ステージが変わったり、落ちたり(笑)、試行錯誤をして人生が過ぎて行くわけですね。今回たまたま縁あって出版や雑貨のプロデュースが続きましたが、ベースの部分である治療技術の向上ができているのかを自問自答しながら卯年をちょっと一月早いですが振り返ってみました。

さてさて、前置きが長くなりましたが宣伝の部分をばさせて頂きたく存じまぷ。

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まとめてお買い上げの場合はご相談ください。

☆うさぎ堂監修 ほんやら堂温めグッズ
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治療院で販売されたい方はご相談下さいませ。


ワタシが高校卒業後から20代半ばまでに、弱い子ちゃん(あだ名はセンシティブ;本当、笑)に成り下がった頃から、自力復活したまでの経緯が今思えばセルフケアの実証でもありました。スタートだった素人的健康法から治療を学ぶ過程でより万人に合うものを知り、諸先輩方の教えを受けた中で得てきた実感の集大成が今回のムック本と温めグッズです。しかも可愛くて一般女子に届く形にしてもらえたのがワタシの希望通りです♪

ぜひ一度ご覧になってみて下さいませ。

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2006年11月12日 (日)

治療現場密偵

このブログで割と登場回数の多い○っちゃんの、お仕事現場を偵察(笑)に行ってきた。到着日の夕方から翌日の夕方まで、正味丸一日見学することが出来、質疑応答&奥義披露&伝授会も開催されたスペシャルな週末であった。○っちゃんにはいつも、本屋さんを初めとする各治療家の技の解説(通訳)頂いているのだが、今回の滞在では非常に得るものが大きかったなぁ。もちろん、均整術のアレコレも見せてもらった。習ったものをココで書いても良いのだが、文章では伝わらないことが多いので今回は<身体の使い方>に焦点を絞って書こうと思う。

現在、○っちゃんの相棒は元クラスメイトのR先生だ。彼是6年程一緒に仕事をされているらしい。R先生はパソコンもお持ちでないらしいので、ここでは思いっきり感じたことを書いてしまえ(笑)。だぁって、こんなに対照的なことってないんだもん!

均整術をご存知の方も多いだろうが、特徴的なのは患者を<揺らし>ながら全身のバランスを整えてゆく点にあるとワタシは勝手に思っている。○っちゃんは手足を揺らすことで、全身の調節をしてしまう。同じ事をしている動作の中でも、実は違うお仕事をしていたりするようで、コノ辺りが本屋さんと通じる。今回の密偵を通し、ワタシ的には身体の変化が前よりは見て取れるようになったつもり(笑)。因みに、この揺らしの技術があれば、無意味に全経絡をモミモミしないで済むので、治療時間の短縮&労力の短縮になってすごく魅力的だ。全部で9人の施術風景を見せて頂いたが、患者の体が緩んでいくのが面白いほど見えてきた。が、ここで分かった気になってはいけない。○っちゃんも本屋さんも緩ませる以外に、緊張させる部分を作っているのである。これがサッパリ分からない。大体、学校では「緊張させる」というか、「力をつける」という概念がなかったからなぁ。「コリを取る、硬結を取る、緩ませる」が概ね初心者の治療目標である。鍼灸にはこういう視点が無いのかなぁ。あんまり聞かないよなぁ・・・。この辺りが、本屋さんの「鍼灸だけやって治るわけないじゃん」発言に通じるんじゃないかと思ったりした。

今までも○っちゃんの臨床デモは目にしてきたが、同じ均整術をやる人を見るのは初めてだったので、そういう意味でも楽しみにしていた。実際の施術が始まってみると「あれ??」と思わずにいられない。ユラユラと揺すぶりをあらゆる場面で多用している○っちゃんに対して、同じ流れで進みつつも隣のR先生がやっているのは「それって、揉んでる??」という具合。同級生なのにこの差は何だ??かたや、クイックマッサージ・・・。技を何で使わないのかなぁ、と不思議に思ってしまったワタシは、お二人が在学中、卒後にどういう事をされてきたのかこっそり聞いてみた。聞けば納得。○っちゃんは敢えて厳しい修行時代を選択されてきたのだった。「うぁ~、きつい」と思うこのエピソードは勿体無いので書かない(笑)。そういえば、先日ゴルゴ36先生の駆け出し時代のお話を聞く貴重な機会があった。シュガイザー先生の鍼灸業界サラリーマン時代の話も壮絶だ。これらの先生に通じるのは、本当に寝る間を惜しんで色んな勉強をされてきてる点とも言える。「鍼灸師の先生方は、苦労した苦労したって言うけど、よくよく聞いてみると患者が来なくて苦労したっていう意味でね。勉強の苦労じゃないらしい(苦笑)」とは、ゴルゴ36先生のお言葉である。麦酒を片手に、隣にいらしたバーバラ女史が開業当時や、ゴルゴ36先生が治療の傍ら、アメリカのキビシイィ通信講座を学び終えた経緯を思い浮かべ、「よく走ったなぁ、あの頃・・・」と相槌を打つ姿は、コンビを組んで○十年のお二人の歴史を垣間見れた気になった瞬間だった。

あ、また話がそれちゃった。

実はワタシはあん摩の免許も持っている(笑)。「そんな手で揉めるの?」とよく言われる。ごもっともだ。でも、入学前に購入した指輪が入らないので、これでも随分太くなったのだが、一般的には細い部類に入る。そうそう。柳谷素霊先生の最後の内弟子、と言われるM先生の鍼灸のベースになっている按摩を習える課外授業が在学中一年間を通してあった。「按摩10年」というキャッチフレーズが定着している、我が母校であったが、現在は開設して5、6年経っている鍼灸科の学生に配慮してそういう事は言わなくなったらしい。が、古い先生は「按摩10年やってから鍼を持て」ぐらいの気持ちはお持ちの様だ。按摩10年を通して、人体の見方を見につけろ、とね。で、この課外授業に意気込んで望んだワタシであったが、強圧を多用する手技に、初日で親指を壊してしまい、泣く泣く諦めた経緯がある。卒業式後の謝恩会でM先生に「あなたは自分の適性を見極めた。そういう選択も大事」とは言って貰ったが、鍼だけやっている先生でも取穴の時の押圧が「ここぞ!」という、すごい瞬間があったりするのを目の当たりにすると、「押せたらいいなぁ」と思うこともしばしばであった。

でも・・・。○っちゃんにイイコトを習った(笑)。身体を使えばびっくりするほど圧がかかるのだ。「身体を使って、腕の力は使わない」という言葉は耳ダコであるが、こういう事かと納得できた。下半身の力が指に伝われば良かったのだ。よく言われるフレーズは「体重を乗せる」であるが、体重だけで処理するのではなく、下半身が安定するベクトルの力を利用すれば良かったのだ。「本屋さんが教えている、身体作りの<コレ>を応用するんだよ。だから教えて下さっているんだね」と○っちゃんの通訳が入ったお陰で、「そうだったんだ!!」と開眼。もちろん、指も痛くない。

見学初日にこのポイントを教わり、翌日に○っちゃんとR先生が同時に脊椎横を押している場面で合点がいった。術者の姿勢を見れば明らかである。常時R先生は頭が自分のお臍を覗き込む角度であり、背中が繋がっていない。これを、本屋さんへ偵察報告していた時に話していたら、「それってつまり患者を見てないって事じゃん」とだけ・・・。その通りかもしれない。R先生と面識のない本屋さんであるが、ワタシが丸々一日見させてもらって薄々「変だなぁ」と感じていた部分を、この言葉で締めくくってしまった。

他にも身体の見所としては、○っちゃんの指の足である。いつでも5本がバラバラだ。常に床面、ベットの足、壁などなど、近くにある支持面を掴んでいるのだ。で、R先生を見てみると、キチンと正坐して折りたたまれた下腿に静物の如く固まってくっついている。だいたい、○っちゃんは正坐なんてしない。均整の揺れは胴体から発せられるのであって、正坐してたら出る分けないのだ。○っちゃんの胴体はスプリングのように動いている。これじゃ、寝ないでも平気だなぁと思う。患者を調節しながら、自分も調節できてるもん。だから、最小限の横になる時間と睡眠で体調の修復が出来るのだ。ワタシもこのシステムを採用したいと常々思っているが、なんせ胴体力が無いのがいかん。手技の最中に、気付くと正坐している瞬間がある。「はぁ~疲れちった」との身体の意思表示だ。「腰痛は職業病」と仰る先生方が多いが、それだけは避けたい。患者が増えて苦しくなる前に(笑)、身体を作ってしまいたい。「腰痛持ちの先生に、腰痛治療をお願いしたくないねぇ」と言っていた友人の言葉が真意を付いていると思う。

患者さんとの関係が濃厚な治療院ほど、見学者を受け入れての治療はデメリットの方が多いのにも関わらず、「押しかけ偵察員」を快く迎えて頂き、あっという間に一日は過ぎた。しかも、何から何まで奥様にもお世話になってしまったし、「父ちゃん、早く帰ってきてよ・・・」と待つ我が子との時間も頂戴してしまった。京都の学校で本屋さんが授業を持っていた当時、深夜バスで早朝に着いては授業の時間まで京都をフラフラ歩き回っていたワタシに「治療院に見学に来れば??」とお誘い下さったり、均整の世界では講師をされている○っちゃんであるので、見学者は常時受付なのだろうと疑いもなく思い込んでいたのだが、なんとワタシが初の受け入れだったようだ。ひょえぇ~。これに懲りてもう誰も受け入れなくなるかも知れない(笑)。

「なんだか、イイモノもらっちゃったなぁ」とほくそ笑んで、新幹線に乗って戻ってきた。そして、週明けの出勤時に、本屋さんから「再現してみい!」の指令を受け、全体の流れに乗せて、ココがポイントらしいと○っちゃんの解説と、ワタシの私見を織り交ぜて得意げにご披露したのだったが、「○田さんはそうはやらないと思うけどなぁ、ちょっと寝てみて、こうじゃなかった?」と逐一訂正が入る。見ているようで、やっぱり見てないんだなぁ~。節穴アンジェラを通してレベルダウンしたものが、「何をしているのか」という視点で本屋さんにより再構築されて、○っちゃんに違うバージョン&レベルアップして戻る予定である(笑)。○っちゃんありがとう!次回、本屋さんに会う日をお楽しみにぃ。

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2006年10月10日 (火)

千葉市美術館

先日、「浮世絵に見る薬と病い」という催しをやっている千葉市美術館へ行って来た。期間は10月29日(日)までで、なんと200円である。是非、時間を作って足を運んで頂きたい。そんなに大きな催しではないので、1時間も掛からない。病い、治療、懐妊・育児、薬、信仰、社会不安、医学書というカテゴリーに展示されている。本屋さんはチェック済みだったようだが、行って見てびっくりしたのは「医学書」の所に、『蔵志』『解体新書』『解体発蒙』等があった。千葉大学の医学資料も展示されていたのだ。東洋医学に西洋医学の概念が組み込まれた時代に遭遇。そのうちに飲み込まれて、捨てられていった悲運・・・。主役から脇役へ、その後は落ちぶれて滅多に人目につかなくなるのであった。うぅっ。
現在、鍼灸治療を受ける人は全人口の3%。因みにアロマは7%。これは4年前、『○道の日本』がアロマ雑誌に出していたコメントにあった。アロマ市場に多いに期待している、というその主旨であった。鍼灸学校に入って「あの会社は鍼灸関係がメインだったんだぁ」と思ったくらいである(笑)。この会社はなんでも「刺絡」は社是として扱わないそうである。お世話になっている先生が呆れて言っていたが、原稿依頼を受けてせっせと書き上げた中で、「刺絡」に触れていたのを理由に書き直しを命じられたそうである。この姿勢に対しては多くの心ある鍼灸師の先生方は怒っているというより、同様に呆れているという気がする。
 そう言えば、ついこの間の『○道の日本』9月号で「覆面座談会」という企画が巻頭を飾っていた。「おやぁ、このタイトルは……」と、ピンと来た方は『TAO鍼灸療法』の愛読者であろう。一部の熱狂ファンからは、復活を望まれている本屋さんがやっていた雑誌(本人はミニコミ紙という)である(ヤフオクに出品されているのを発見!11日現在あと3日)。読者が1500人集まったら定期出版が出来るそうである(笑)。和方鍼灸友の会の会員が現在約250名、その他合わせてもこの人数までは行かないみたいだ。そもそも、『TAO』の出版中止になった理由は経済的理由というよりは、いかにも本屋さんらしい私利私欲と全く関係のない所での、ある出来事をきっかけにした決断であったそうだ。おっと、話を戻そう。「覆面座談会」というタイトルを見るなり、シュガイザー先生は本屋さんの電話番号を押したようである。ちょうど、多賀フォーからの帰りの高速での事だ。運転中の本屋さんの代わりに、お電話を受けると、相当怒っていらっしゃる。そりゃぁそうだろう。後日、事務所で目を通して見ると、企画自体に何の「おりじなるちぃ」も無い。受け売り、パクリ、そんな言葉が妥当かもしれない。で、座談会をされている学生さん達の言い分は、普通にいつも話されている会話であり、敢えて覆面にして取り上げるものでもなんでもない。「如何に学校がひどいか」を言っているのだが、覆面の割にはパンチが効いていない。ご本家『TAO』の様に覆面にせざるを得ない(笑)、会話の危なさは微塵も無い。鍼灸業界の代表雑誌、マックスがこのレベルならば、ワタシが書いた答辞を、卒業式で読み上げる時こそ覆面ですべきだったかもしれないと反省した(笑)。うっかり、袴姿で着飾って臨んでしまった。
さて、本屋さんにこの企画の感想を聞いてみた。「つまんないねぇ。大体、『TAO』が出てから本の体裁を真似て横書きにしたりとかね。某雑誌も湯液中心だったのに鍼灸関連の記事を増やしたり、色々あんだよ」「ま、あの雑誌もそれなりに役割は果たしたって事かな」と、ちっとも気にしていない。パイオニアとはこうなのだろうか。自分の頭の中から出るモノの方が、世間に存在するモノよりもずっと面白いそうだ。そう思って見回してみると、ゴルゴ三六先生、シュガイザー先生も「おりじなるちぃ」に溢れる行動を結果として残している先駆者である。範囲をもっと広げて本屋さんの人間関係を見てみると、本屋さんが積極的に付き合っているご友人の方々は皆さん、突出した何かを持っている。ほとんどの場合、その分野のマニア的要素がたっぷり含まれており、やはり「おりじなるちぃ」に溢れる個性的な行動を取っている方々である。類は類を呼ぶのである。よって、本屋さんの友人関係は、この日本国においても相当に面白レベルが高いわけだ(笑)。例えば、先日も事務所に某有名(一部で…?笑)鍼灸師が、某有名(一部で…?笑)酒造の蔵元をお御連れになり、蔵元自ら持参して下さった秘蔵古酒&新酒を御馳走になった(そのときワタシは初めて「山廃」という言葉の意味を教えてもらったのだ)。 こんなふうに素敵な人達と付き合う時間を生み出す為に、日々覚醒作用のある物質を大量に摂取して、寝る時間を惜しんで人生を楽しんでいらっしゃるのかもしれない。

 あらあら、今日のタイトルは「千葉美術館」であった。脱線癖は本屋さんゆずり、とご了承頂きたい(笑)。『解体発蒙』の図をよ~く見てみると、動静脈のどちらを指しているのかはちょっと分からなかったが、経脈、絡脈とされていたり、リンパに関するらしき部分を取り出して描かれたものには、上焦・下焦(焦には月偏が付いている)といった単語で説明が加えられていた。当時の医師が持っていた東洋医学の基礎にあった固有名詞を、そのまま当てはめたのだろう。思い起こせば入学早々、経絡経穴の授業を担当されていた先生に「五蔵の名前と、西洋医学でいう所謂臓器の名前が一緒なのは何か関係があるのですか?」と、素人がするかわいらしい素朴な問いを投げかけた。「さぁ~、あるんでしょうねぇ~」と、俗に言う〈聞かないでくれオーラ〉を発散しながらはぐらかされた。じぇんじぇん、腑に落ちなかった。その後しばらくして、時代背景が分かった際に、「こんな簡単な答えか」とようやく合点したのだった。疑問がいつまでも脳ミソに巣食っている、という状況は却って勉強意欲を燃やす原動力になると、将来を見越して下さった先生の温かい親心だったに違いない。あ、あと艾の亀屋さんの浮世絵も展示されていたが、これは歌川広重の方だったので、もう終わっているかもしれない。
 会場の最後の辺りに、石坂宗哲の『栄図・衛図』の巻物が掛かっていた。図に書かれている石坂の「坂」の字が、「阪」になっているのが気になって、先に回り終わっていた本屋さんを呼びに行って聞いてみた。「そういえばさぁ、あれ見た? 家にもあるやつ」との唐突な発言に、一緒に行ったKさんも目が点。「あれ、ってなんですか? 家って、ご自宅ですか??」と矢継ぎ早に投げかけると、「あれ」が展示されている前に案内してくれた。何でも日本に数個しかないようである。他に所蔵しているのは、オランダの某美術館のような機関であり、個人で持っているのはありえないんじゃないでしょうか。なんで普通に持ってるんだろぉ~。

さあ、ご興味が沸いた方。「あれ」は何であるかを実際に見に行って、想像してみて下さいね(笑)。

★★★なお、六然社の本は、 こちらの書店ウェブサイトや こちらのウェブサイトから購入出来ます★★★

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2006年9月11日 (月)

本屋の治療見聞録 1

せっかく日記帳に書く場所があるのだから、本屋さんの治療見聞録を書く事にしまぴた。多賀フォーの続きは今書き途中で~す。ノートを取り取りのワタシの備忘録の為だけど、誰かの参考になるかもしれないし、◯っちゃん先生、その他大勢の隠れ本屋ファンも読みたいだろうとか思ったりもするし。でもカテゴリーから変な期待はしないでくださいね(笑) 。

たまにいらっしゃる30代の患者さんが、一昨日冷房直撃を7時間受け、翌日から高熱を出したことで、目の奥・周囲と頭がズキズキ痛いし、だるいしどうにもならない、といってみえた。

本屋さんは、いつもは大抵うつ伏せから始めるのであるが、急性症状だからと今回はやることが随分違う。今日は仰向けからまず最初に脈をみて、舌をみている。「やっぱり急性期には見た方がいいのだな」と珍しい光景を眺める。まだ熱があるようで、足は冷たい。「熱だから、今日は鍼灸だけかなぁ」と思いきや、パパパと手足に数本打った後に、大腿部をいじり始める。「ここは取るのが難しいんです、ちょっと痛いですけど目には効きますからね」と言いつつ、ズバリ当たっているポイントに患者さんは痛さのあまり、息を止めてしまう。

目の周りが痛いという事で、顔面部の目の周囲に散鍼をし始めた。「お。これは先日シュガイザー先生が本屋さんの治療で見せた技じゃないか」もう、出来てるよ・・・と思いながら見ていると、次は太淵に弾爪なんてしている。「あ。これもシュガイザー先生がやってたやつだ」と、随所にシュガイザー治療を取り入れている。

本屋さんは≪とりあえずやってみる指数≫が凡人よりもはるかに高い。努力は大嫌いと言っているが、創意工夫(ズルとご本人は言う)を施して、凡人が「面倒くさいから、今度やろう」と永久にやらない事を、ちゃちゃとやってみる。しかも、ご幼少の頃から頭を使い、あらゆる状況設定をしてから物事に当たる癖がついていらっしゃるみたいで、たいていの事は一度でできる。センスが良いと一言で言ってしまえばそれまでだが、「なんとなく」ではなく、「しっかり」物事を多重的に捉えてから行動するというのが、非凡な方の思考パターンであると思えるのである。よって、本屋さんは失敗が少ない、と言うか無い。まず、あらかじめ失敗に陥るいくつかのパターンを思い描くので、それを避けて行動するようである。(にゃので、随時回転中の脳ミソ君は過剰に熱を産むらしい。頭を触るといつも熱い。この辺りは本屋さんにツボの話を聞いてから、随分意識するようになった)。因みに、ワタシも目周りの散鍼を「こんな風でしたよねぇ」と、シュガイザー治療に感化されて本屋さんにやってみたところ、「やめてくれ」と頼まれてしまった。非常に不愉快だったらしい。また首のAKAを施す際の掌の位置も「なんでその指が顔にかかるの、耳を塞がれて気持ち良いと思う?」ナドナド、「ア~たまに誰かにやって貰うのは勉強になるなぁ」と嫌味のつもりじゃ無いらしい、本心を呟くのである(こうするのは良くないという情報を蓄積しているってことのようです)。

さて、伏臥位になってもらい、まだガンガン痛むと訴える患者さんの目の周囲の症状を取るのを目標に治療をする。基本的に、本屋さんは患者さんの服を脱がせない。それこそ四肢末端ぐらいで、あとは手技というパターンである。出ている所だけで勝負するのがポリシーだ。よって、今回の患者さんもTシャツ+膝迄パンツのまま手足に鍼灸を施している。「こういう熱があるときは、Th〇番が凹んでるはず」と言うので、「失礼しまーす」と女の特権を最大限に活かし、触ってみると本当に一ヶ所凹んでいる。「そこにお灸〇壮できる?」と要請を頂いたので、お灸係として治療に参加させて貰う。が、一発目で熱がらせてしまった。この時点で負けである・・・。本屋さんのお灸は指で行う緩和のみで、ほんわか気持ちよ~いスペシャルなお灸である。この〇壮も、「まじないか?」と思うような根拠であるが、必ず本屋さんはそうしている。

足に鍼をしていた本屋さんに「凹みが消えた?」と、問われるが「????」わからない。そこで、本屋さんの療術が炸裂。わずか30秒にして「よし、戻った」と触って見るように促す。「ほ~」、いつまでもぺたぺた触っているワタシをよそに淡々と治療を進めて行く。もう一度仰向けになってもらい、現状を聞いてみると「まだ目の周りが・・・」と。寝ている時は大丈夫になったが、起き上がると響くのか、体位変換がしんどそうである。

「頭にまだ熱があるか見て」と言われたので、触って見ると頭頂部は抜けたようだが側頭部がすごい。上実極まりない、飲食過剰の太ったおっさんの百会の如く蒸れている。「側頭部がまだあります」。「それは今から取るから大丈夫」と、また足をいじくり始めた。時間にして、左右夫々10秒。「見て」。「あれ????」、熱感が引いている。蒸れていたのが無くなっている。そんなにすぐに引くのかぁ??? 氷を当てたってこんなにすぐに引かないでしょう~。えー、えー、えー・・・とワタシはイマイチ状況が飲み込めない。が、本当に熱感が引いているのである。本屋さんの心理マジックかも知れないから、「えー」と思っている間に、何度か触って見た。やっぱり取れている……。

こんだけ、熱も引いたから大丈夫だろうとワタシは思ったが、患者さんは「まだ・・・」と痛みを訴える。今日の患者は手強い。「わかった」と、なにやら意を決したらしく、ゼロ番鍼を探す本屋さん。「うぉ~、眼窩内刺鍼だぁ」と、更に手元に注目していると「この方は骨の形がちょっと特徴的だから・・・」と刺鍼部位を丹念に探し出す。スーッと寸3が根元迄たっぷり入ったまま、しばらく置鍼タイムへ。いつも通り最後の調整をして、抜針後しばらくお休みいただく。ちょうど、多賀フォーの荷物を持ってきてくださった亜東さんがいらっしゃった。荷物を上げたりして、時間が経ったので「いかがですか?」とお部屋を覗くと、「頭痛は収まったけど、まだ目の周りが・・・・」と、大分楽になったが、全ては取り切れていないと訴える。それを聞いた本屋さん、本気モードのスイッチが入った。カチッ。座位にて、頚椎の調整やらを始めている。「最後をどう終えるのか」に興味深々だったのだが、雑用が入ってしまい残念ながら見届けられなかった。 

着替えを済ませ、お部屋から出てきた患者さんのお顔は一時間前とは明らかに違う。事務所の奥でなにやら整理を始めていた本屋さんの代わりに、お支払いをしようとしている患者さんの側へ進んだ。「ありがとうございました。楽になりました」と差し出すお金を受け取ろうと、両手を出す前に、何だか嫌な予感がしたので念のため本屋さんをチラッと見てみた。やはり・・・・。なぜだか、手をヒラヒラ振っている。ついでに首も振っている。そして口は「要らない」と言っている。状況が飲み込めない患者さんは口を開けたまま、本屋さんを見つめ返す。「今日の治療は自分的には納得が行かないから受け取れない」と、お財布にしまうように促す。両手を出す前で良かった、と恥をかかずに済んでホッとしたワタシは、「そういう事ですって(笑)」と、患者さんを玄関へお見送りした。

色んな状況によるが、治療費を受け取らないのはよくある事である。意表を突かれて、ポカンとする患者さんへの対応も慣れてきた(笑)。また、受け取った治療費も懐へ入るよりは、多賀大社のお賽銭に入る事の方が圧倒的に多いように見受けられるのであった。

翌日、本屋さんはこの患者さんへ電話をし、情況を聞いていた。フォローはもちろんするのである。

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