今月の第3日曜日に開かれました、六然直伝講習会第十弾 《火鍼講座》 の模様を報告いたします。
学生さんから臨床歴10年以上のベテラン先生まで幅広い層がご参加になりました。井手紀公生先生の火鍼講座は講義、練習法、実際に体験するまでの三段階の中で臨床で使ってこられているノウハウを丁寧に説明してくださり、たった一回の講座ですが、火鍼の守備範囲、不適切な場合などなど具体的に知る事ができました。
そして、最後に本屋さんの散鍼講座。時間は30分足らずの短い時間ながら、奥義皆伝(ワタシも初めて聞いた!!)というヒント満載の内容でした。参加者の先生から臨場感溢れる《まとめ》が送られて来ましたので掲載させて頂きます。
今回の井手先生の講義は井手火鍼臨床論として、リスクマネージメントと火鍼で変える世界観を中心にした、自分の経験からのみ講義する井手イズム全開の素晴らしい講義でした。
私は「よしっ!!」とおっしゃり綿花を当てているところが、井手先生らしくさりげないNLPを活用した最大のポイントだと受け取りました。
あとは実技でいろいろなポイントを火鍼される時の脚の組み方やポジション、下半身の安定があるからこそ、手の力を抜いて柔軟に動かされるところは、武術をされているベースもありますが、別伝講習会を含む身体作りにつながるところでしたね。
それに対比して本屋さんは散鍼の世界観を事もなげに教えてくださいました。擬音2種類で端的にまとめてしまう、要略力のすばらしさに驚嘆しました。「ただ、チョコマカ手を動かしているだけじゃダメ!、こういう風に身体にアプローチしているんだ、というイメージを持たないと」そして「出力と入力が出来る手を作らないと」「気持ちがいいというだけでしたら、腕のいいエステシャンには勝てませんよ!」と、いいつつたった二言の擬音で、散鍼のスタートからゴールまでを表現してしまいました!。
唯掌論から指作りをやり、散鍼の練習を始め、お会いした時にちょこっと指導いただき、
修正して練習を繰り返し、ある時自分の指の特性上同じ事が出来ない事に気付いて以来、同じ結果がだせる違った指使いを模索し現在に至っていますが、あの2種類の擬音で方向性に間違いがないことが確認でき、とてもありがたかったです。
いつもながら何にも代え難い価値がある勉強会ですね。
それぞれの世界観を味わうこと、味わえる事って、このうえない勉強だと思います。
わたしも修業時代にこれらのことに気付いて勉強できていれば、よかったのになぁ。
でも、遠回りの経験値が活かされる事も多いので、人生何一つ無駄はないもんだなぁ。
では鍼灸祭でお会いしましょう!
以上が某先生より送られてきました感想でございます。
さて、ワタシがお手伝いしながら感じた事を書きたいと思います。火を扱うから火鍼なんですが、火の取り扱いを十分に注意せねばと改めて思いました。臨床家の先生方は火鍼初体験であっても、普段患者さんと接している想定で動いていますから問題など無いのですが、学生さん、卒業したての方々の練習風景を見ていてちょっとした不注意が垣間見えました。
アルコールを染込ませてある綿花を会場全体の中間地点に置いておいたのですが、ここから持って行くときの対応でリスク管理があるかないか、はっきり見えました。
アルコールをたっぷり染込ませていますから、ピンセットでそのまま取るとアルコールが滴ります。それを絞らずに、そのままタクタクと自分の机まで移動する人。
次に、滴る程ではない綿花の余計なアルコールを灰皿に絞る人。綿花が燃え尽きてから灰皿に捨てれば問題はないですが、火鍼を充分に火熱できないぐらいの弱い火力になってしまった残り火がある状態の綿花を大抵捨てることになるので、灰皿の上で火が出てしまうんです。すぐに消えるといえば消える程度なんですが、こういった火も出さない方がベターでしょう。
これは自分にも言い聞かせている事ですが、事故は想定外で起こるケースが大多数ですから、先の事まで想像できるように訓練しないといけないわけです。「まさか!」ってことが原因になるわけですが、その「まさか」をなるべく減らす想像力を身に付ける、これは本屋さんの事前準備の徹底ぶりを見ると勉強になります。本屋さん曰、《想定内》を多く持てば、「まさか」と思うような事はだいぶ減らせるとのことです。なのであらゆるケースを考えられる癖を身に付けるようにしないとなんだと思います。
そうそう。何故、アルコール綿花の位置を数カ所にしか置かなかったのか。各テーブルに親切に準備しなかったのか。ここにも意図があっての事と思いました。一見不親切なような状況設定でどう対応するかを見る、そういう所からも《教育》は始まっているのです。
前回のブログに書いたように、寺子屋は飛行機製作所ですからね。自分の頭を使って、色んな危機感を想定する、諸先輩方はどう動いているのかを一緒になって教わる事で身に付けるチャンスをもらっているのだと考えると分かり易いと思います。そうすれば本屋さんの意図がより分かると思いますよ♪
ちなみに、本屋さんは火のついた綿花を手のひらで握りつぶして火を消してしまいます。ワタシにはそんな芸当ができないので、たっぷりの水が入ったココット皿(深いので)をすぐ脇に置いておきます。ココット皿は大活躍です。それが欲しくてクリームブリュレを買っちゃったりするのですが(笑)。
さて、次回の寺子屋は鍼灸祭と重なるためお休みです。5月16日(日)鍼灸祭、皆さんのお越しをお待ちしております。事前予約は必要ありませんので直接会場へいらしてください。近々詳細をアップします。